2019年12月5日木曜日

21年 タイガースvsセネタース 3回戦


5月31日 (金) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 タ軍 10勝8敗 0.556 藤村冨美男 
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 セ軍 7勝11敗 0.389 大下弘 

勝利投手 藤村冨美男 3勝0敗
敗戦投手 大下弘        0勝1敗

 二塁打 (セ)一言

勝利打点 (タ)本堂保次 2


史上最強の投手戦

 西宮の第2試合は藤村冨美男と大下弘の先発で午後3時丁度、杉村主審の右手が上がりプレイボール。藤村と大下は共に五番に入っている。

 タ軍は初回、大下の立ち上がりを攻めてトップの金田が左前打で出塁、呉昌征も右前打を放ち無死一二塁、御園生が送りバントを決めて一死二三塁、本堂が左前にタイムリーを放ち1点を先制、一死一三塁から藤村のニゴロをセカンド長持栄吉がゲッツーを狙って二塁に送球、ところが送球を焦ったショート鈴木清一が落球、三走呉が還って2-0、藤村には打点が記録された。一死一二塁から土井垣のニゴロを長持がエラーして一死満塁、しかしここは大下が踏ん張り、乾国雄はカウントノーストライクスリーボールから三振に打ち取り、長谷川善三も左飛に抑えてこの回2点止まり。


 大下は初回からどうなることかと思われたが、2回以降は立ち直ってタ軍打線を抑える。


 セ軍は3回裏、先頭の長持が二遊間にヒット、二死後一言多十の右中間二塁打で長持が生還、1-2と1点差に詰め寄る。


 藤村は4回以降セ軍打線を3安打無得点に抑える好投、大下もタ軍打線に得点を許さず、試合は2対1でタ軍が勝利した。


 藤村冨美男は107球で9回を完投、5安打1四球5三振であった。


 大下弘も136球で9回を完投、9安打2四球3三振であった。


 二人ともピッチングに専念していたため、ここまで4割を超える打率の藤村は4打数無安打、2試合連続2安打と調子を上げてきた大下も3打数無安打であった。


 藤村と大下という、「最強打者列伝」に名を連ねる強打者同士の投手戦となった。戦前でも川上と景浦が投げ合った事例は無く、川上と野口二郎が同じ試合で投げた事例はあるものの野口二郎は好打者ではあるが「再強打者列伝」には入らない。


 タ軍は投手専任の渡辺誠太郎と野崎泰一がぱっとせず、野手兼任の藤村が3勝目、呉昌征も3勝をあげ、御園生崇男も2安打完封がある。


 一方、セ軍はエースの白木義一郎が5月20日から登板しておらず、6月8日に復帰するまでの「空白の3週間」に大下が2度先発している。


 この試合で演じられた「史上最強の投手戦」は、こうした両チームの投手事情に起因して偶然にも起こった現象であった。


 なお、この試合の模様を伝える「日本野球年鑑」には「平凡な大下のカーブが打込めず」と書かれており、大下のカーブは「ションベンカーブ」だったようだ。



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