2019年11月14日木曜日

代走 高山泰夫


 実況でお伝えしたとおり、昭和21年5月24日、後楽園球場で行われたゴールドスターvsタイガース4回戦は、タ軍が1対3のビハインドで迎えた9回裏に3点を取って逆転サヨナラ勝ちをおさめました。

 もう一度タ軍9回裏の攻撃を振り返ってみましょう。


「先頭の池端忠夫の遊ゴロをショート酒沢政夫が一塁に悪送球、打者走者の池端は二塁に進んで代走に小林英一が起用され、野崎泰一に代わる代打渡辺誠太郎の遊ゴロを再びショート酒沢がエラー、この間に二走小林が還って2対3、無死一塁から長谷川善三が送りバントを決めて一死二塁、トップに返り呉昌征が四球を選んで一死一二塁、ここでダブルスチールを決めて一死二三塁、金田正泰が右前に決勝の2点タイムリーを放ち、タ軍が劇的な逆転サヨナラ勝ちを飾る。」


 実況でお伝えするのを忘れていたのですが、遊失で一塁に生きた渡辺誠太郎に代えて代走に高山泰夫が起用され、金田の逆転サヨナラタイムリーの引き金となったダブルスチールにおいて、二塁走者として貴重な三盗を成功させたのが高山でした。


 高山は岐阜商業時代、昭和15年の第17回センバツ大会では控え選手でしたが、代打で3打数3安打を記録、特筆されるのは決勝戦で、0対0で迎えた8回裏一死満塁で代打に起用され、京都商業の神田武夫から決勝打を放って岐阜商業に優勝をもたらしました。


 高山はこの活躍により、控え選手としては異例の大会表彰選手に選ばれ、「美技賞」を獲得しています。プロに入っても、「代走」として大仕事をやってのけました。


 高山がプロで記録した通算盗塁数は2個だけ、昭和21年はこの1個のみとなります。大一番で大仕事をする選手ですね。

 なお、当日の実況中継は、高山泰夫が代走に起用された部分を加筆・訂正させていただいております。


 高山泰夫については、2014年11月15日付け「勝負度胸」もご参照ください。
https://shokuyakyu.blogspot.com/search?q=%E9%AB%98%E5%B1%B1%E6%B3%B0%E5%A4%AB


*昭和15年第17回センバツで表彰選手に選ばれ「美技賞」を獲得した高山泰夫。(「選抜高等学校野球大会 50年史より)





0 件のコメント:

コメントを投稿