2014年11月14日金曜日

17年 南海vs朝日 4回戦


4月29日 (水) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 0 0 0 0 0 0 0  0  0 南海 13勝6敗 0.684 神田武夫
0 0 0 0 0 0 0 0 1X 1 朝日  7勝11敗 0.389 林安夫

勝利投手 林安夫     3勝5敗
敗戦投手 神田武夫 9勝2敗

勝利打点 早川平一 1


白眉の投手戦


 林安夫と神田武夫、昭和17年を代表する二人の若手投手による投げ合いは白眉の投手戦となった。


 南海は初回、先頭の国久松一は二飛、猪子利男は左飛、北原昇はバントヒットを決めるが岩本義行は遊ゴロに倒れる。

 朝日はその裏、現在首位打者の坪内道則が三振、五味芳夫は四球を選ぶが鬼頭政一も三振、伊勢川真澄は遊ゴロに倒れる。

 南海は2回、岡村俊昭は投ゴロ、中野正雄も投ゴロ、神田が三ゴロに倒れて三者凡退。

 朝日はその裏、先頭の内藤幸三は二ゴロに倒れるが広田修三が左前にチーム初ヒット、しかし岩田次男は三邪飛、室脇正信は遊ゴロに倒れて広田が二封される。

 南海は3回、八木進が二ゴロ、柳鶴震が遊ゴロ、国久が中飛に倒れて三者凡退。

 朝日はその裏、林が三ゴロ、坪内が二直、五味芳夫の三ゴロをサード柳がエラーするが鬼頭は中飛に倒れて無得点。

 南海は4回、猪子が投ゴロ、北原も投ゴロ、岩本の三ゴロをファースト広田が落球するが岡村も投ゴロ、3つのアウトは全てピッチャーゴロであった。

 朝日はその裏、先頭の岩田は三振、室脇は三ゴロ、林が中飛に倒れて三者凡退。

 南海は5回、中野が捕邪飛、神田が中飛、八木も中飛に倒れて3度目の三者凡退。

 朝日はその裏、先頭の岩田が三振、室脇が三ゴロ、林が中飛に倒れて2イニング連続の三者凡退。


 林安夫はここまで1安打無四球無三振無失点、神田武夫は1安打1四球3三振無失点。打撃でも共に三ゴロと中飛、前半戦は五分と五分の勝負であった。


 南海は6回、先頭の柳の三ゴロをサード岩田がエラー、トップに返り国久の一塁線バントが内野安打となりゴロを捕球したピッチャー林の一塁悪送球が加わて無死二三塁とこの試合両軍初のチャンス、しかし猪子に代わる代打徳島忠彦の当りは二塁正面を突くライナーとなってセカンド鬼頭のグラブに収まり、北原の左飛で三走柳がタッチアップからホームに向かうがレフト室脇からの好返球にタッチアウト、無得点に終わる。代打の徳島に代わって6回裏の守備からショートには加藤喜作が入る。

 朝日はその裏、先頭の坪内が中前にヒット、五味が送って一死二塁とこちらも初めてスコアリングポジションに走者を進めるが、鬼頭は中飛、伊勢川も中飛に倒れて無得点。

 南海は7回、先頭の岩本が死球を受けて出塁、岩本のことなのでここは当たりにいったか、しかし岡村の二ゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレー、中野が捕邪飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 朝日はその裏、内藤が三振、広田が遊ゴロ、岩田が三飛に倒れて三者凡退。

 南海は8回、先頭の神田は三振に倒れるが八木がレフト前にヒット、柳の遊ゴロでランナーが入れ替わり、トップに返り国久の打席で柳が二盗を決めて二死二塁、国久が四球を選んで二死一二塁、しかし加藤は投ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。


 徐々に試合が動いてきた。


 朝日はその裏、先頭の室脇が四球を選んで出塁、林が送って一死二塁、トップに返り坪内はツースリーから四球を選んで一死一二塁、五味の遊ゴロはショート加藤からセカンド北原に送られ一走坪内は二封、北原からファースト中野に転送されるが一塁はセーフ、この隙を突いて三塁に達していた二走室脇がホームを狙うが中野からの送球にタッチアウト、一度は併殺が記録されたが後に取り消された。ということでスリーアウトチェンジ。

 南海は9回、先頭の北原は遊ゴロ、続く岩本が左前打を放って出塁、しかしキャッチャー伊勢川からの牽制球にタッチアウト、伊勢川は又も補殺を記録した。岡村も二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 朝日は9回裏、先頭の鬼頭がレフト線にヒット、伊勢川が送りバントを決めて一死二塁、内藤の二ゴロの間に二走鬼頭は三塁に進み、広田が四球を選んで二死一三塁、朝日・竹内愛一監督はここで岩田に代えて代打に早川平一を起用、早川が期待に応えてレフト線にサヨナラタイムリーを放ち死闘にケリがつく。


 昭和17年を代表する白眉の投手戦であった。


 林安夫は4安打1四球1死球1三振で今季2度目の完封、3勝目をあげる。


 神田武夫は8回3分の2を完投して4安打4四球4三振1失点、3月30日から続けてきた連勝を9でストップさせ2敗目を喫した。


 林と神田の投げ合いと共に、9回裏サヨナラのチャンスで早川平一を代打に起用した竹内愛一監督の采配が光ったゲームであった。




*神田武夫と林安夫との投げ合いによる白眉の投手戦を伝えるスコアカード。








*共に4安打に抑えられた両軍打線。








 

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