2016年8月19日金曜日

18年 巨人vs名古屋 4回戦


5月30日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 3 0 4 巨人 16勝9敗2分 0.640 藤本英雄 須田博
0 0 0 0 2 0 0 0 0 2 名軍 15勝10敗2分 0.600 森井茂 西沢道夫 石丸進一

勝利投手 藤本英雄 8勝4敗
敗戦投手 森井茂     3勝2敗

三塁打 (巨)中島、呉

勝利打点 なし


巨人、決戦を制す

 春季優勝を賭けた決戦、名古屋の先発は森井茂であった。

 森井は超スローボールを駆使して決死の好投を見せる。初回、呉昌征を二ゴロ、坂本茂を三ゴロ、白石敏男も三ゴロに打ち取り三者凡退。巨人打線は森井の緩球を引っ掛けている。2回、先頭の中島治康も三ゴロ、しかしサード芳賀直一からの一塁送球が悪送球となり中島は二進、ここも青田昇を二飛、永沢富士雄を左飛、多田文久三を遊ゴロに打ち取り無失点。3回、小池繁雄を三振、藤本英雄を遊ゴロ、呉が森井のスローボールに合わせて流し打ちを試みるも遊ゴロに倒れて三者凡退。


 森井は4回も坂本を三ゴロ、白石を遊ゴロ、中島を遊ゴロに打ち取り三者凡退。巨人打線は森井の術中にはまっている。


 巨人は5回表、先頭の青田昇が中飛、永沢は右飛、多田は三前に内野安打、小池は投ゴロに倒れて無得点。但し、打球方向から見ると徐々に森井のスローボールに合ってきているようだ。


 名古屋は5回裏、一死後藤原鉄之助が中前打で出塁、金山次郎の右前打で一死一二塁、森井の遊ゴロで金山が二封されて二死一三塁、トップに返り石丸藤吉が右前に先制タイムリーを放ち1-0、岩本章も左前にタイムリーを放って2-0とリードする。


 森井は6回も続投する。先頭の藤本を三振、トップに返り呉を遊ゴロに打ち取り、坂本にはストレートの四球から二盗を許すが、白石を右飛に打ち取りこの回も無失点。


 巨人は7回、先頭の中島がセンターに三塁打、「雑記」欄には「突込みすぎ」と書かれており、センター古川清蔵が突っ込んだが後逸したようだ。記録は三塁打。青田は浅い右飛に倒れて一死三塁、永沢の右飛で三走中島がタッチアップから生還、永沢の犠飛で巨人が1-2と反撃する。


 巨人は8回、先頭の小池に代わる代打小暮力三が左前打を放って出塁すると代走に林清光を起用、藤本の投前バントをピッチャー森井が二塁に送球して林は二封、トップに返り呉が左中間に三塁打を放って2-2の同点、「雑記」欄には「中堅手転倒」と書かれており、センター古川がつまずいて転んだのか、ダイビングキャッチを試みて左中間に抜けていったのか、名古屋ベンチはここで力投を続けてきた森井をベンチに下げて西沢道夫をリリーフのマウンドに送る。坂本はストレートの四球から二盗を決めて一死二三塁、白石も四球を選んで一死満塁、更に西沢のワイルドピッチで3-2と逆転、一死二三塁から中島の中犠飛で4-2とする。


 リードを奪ったところで巨人ベンチは先発の藤本から須田博にスイッチ、須田は8回、先頭の古川に左前打を許すが小鶴誠を遊ゴロ併殺に打ち取り、吉田猪佐喜もレフトライナーに抑えて無失点。


 名古屋は9回から石丸進一を三番手のマウンドに送り、石丸は二死後三好主に中前打を許すが須田を遊ゴロに打ち取る。


 名古屋は9回裏、先頭の芳賀に代わる代打桝嘉一が左飛、藤原は一飛に倒れ、金山に代わる代打加藤正二の二ゴロをセカンド坂本がエラーして二死一塁、最後は石丸進一に代わる代打野口正明が投ゴロに倒れ、巨人が春季優勝に向けて大きく前進する。



 名古屋の敗因は森井茂を引っ張り過ぎた継投策にあった。5回から巨人打線が森井のスローカーブに合ってきており、巨人と同じようにリードを奪った6回から西沢道夫を投入していたらどう転んでいたか分からない。


 逆に言うと名古屋首脳陣の森井茂に対する信頼感の現れでもある。当ブログ指摘しているとおり、森井は課題であったコントロールが改善して安定感を増してきており、行けるところまで森井で押そうというのが名古屋首脳陣の考えであったようだ。20勝をあげた昭和15年以降は安定感を欠く西沢道夫と、投手転向後間のない石丸進一には、あまり信頼を置いていないようである。




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