2011年7月30日土曜日

14年 南海vs名古屋 1回戦

3月28日 (火) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 南海     1勝4敗 0.200 政野岩夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 名古屋 2勝4敗 0.333 松尾幸造


勝利投手 政野岩夫 1勝2敗
敗戦投手 松尾幸造 1勝3敗


二塁打 (名)石田

鶴岡一人参上


 今季南海には明大の清水秀雄と法政の鶴岡一人が入団する予定であった。今であれば桑田と清原が、又は江川と原が、或はマー君と佑ちゃんが同時に入団するような騒ぎであった。昭和14年1月26日付け読売新聞には「明大 清水 南海入り決定 鶴岡と共して」の見出しが躍っている。しかし2月3日には「清水問題 明大否定」となり、清水秀雄の入団は流れた。鶴岡も卒業式まではプロ野球などに出るのはまかりならぬということとなり、いよいよ本日封印が解かれた訳です(結局清水は翌昭和15年、南海に入団することとなる。)。

 南海は5回までノーヒット。鶴岡の初登場とあって大和球士著「真説 日本野球史」にはこの試合が描かれています。この日は小雨で観客は二千人くらい。スコアブックには「曇 小雨 冷し」と記載されており、翌日の読売新聞にも「雨中快絶の打撃戦」の見出しが躍っています。因みに打撃戦とは第一試合でもこの第二試合でもなく、後でお伝えする第三試合のタイガースvsライオン1回戦のことです。同著によると「鶴岡と対決する名古屋の左投手松尾の出来は素晴らしかった。」とのこと。

 南海は6回、先頭の山尾年加寿が四球で出塁、平井猪三郎が送って、小林悟楼の遊ゴロをショート天野竹一がエラーして無死一三塁、ここで新人キャッチャー服部受弘が痛恨のパスボールを犯して1点を先制、岡村俊昭が中前にタイムリーを放ち2-0とする。

 南海は7回、吉川義次一邪飛、国久松一三ゴロで二死無走者、ここで七番日新商業出身の新人・平野正太郎に代わっていよいよ鶴岡一人が代打として登場、しかし鶴岡のデビュー打席は三振に終わる。「真説 日本野球史」は第一球・鋭く大きいカーブ・見逃し、第二球・剛速球が低めへ・ファウル、第三球・剛球うなって内角へ・見逃し、だから三球三振と伝えている。

 南海は8回は三者凡退、9回一死後岡村がこの日2本目のヒットを左翼線に放ち中村金次の遊ゴロをショート芳賀直一が失して一死一二塁とするが吉川の左飛に二走岡村が飛び出してゲッツー。南海は結局岡村の2安打のみに終わる。

 名古屋は南海先発政野岩夫の下手投げに苦しみながらも何度もチャンスを作るが4回は一死一二塁から4-6-3、7回は一死一二塁から1-5-3のゲッツーを喫するなど得点を奪えずシャットアウト負けとなった。


 政野岩夫は4安打6四球4三振の完封で今季初勝利をあげる。松尾幸造は2安打5四球2三振、2失点であるが自責点はゼロであった。

 なお、名古屋の八番は村松幸雄が一塁手として先発出場しています。これまで代打として出ていましたが、スタメンはこの日がプロ入り初となります。本職の投手デビューまで今しばらくお待ちください。



          *鶴岡一人のプロ入り初打席は三振であった。








          *政野岩夫も松尾幸造も好投を見せる。


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