6月27日 (木) 西宮
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
5 0 2 0 1 2 1 0 0 11 タ軍 19勝16敗 0.543 渡辺誠太郎 呉昌征 藤村冨美男
0 1 0 0 2 1 6 0 0 10 阪急 22勝14敗 0.611 野口二郎 天保義夫 前川八郎
勝利投手 藤村冨美男 5勝0敗
敗戦投手 野口二郎 7勝4敗
二塁打 (タ)金田、乾、藤村 (急)下社、三木、上田、野口明
三塁打 (タ)富樫 (急)下社
勝利打点 (タ)本堂保次 4
猛打賞 (タ)金田正泰 5、藤村冨美男 5、本堂保次 2、土井垣武 4 (急)上田藤夫 5、下社邦男 1、尾西信一 1
引き締まった打撃戦
西宮の第2試合は午後2時55分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。審判は杉村、金政の二氏。第1試合は阪急球団職員の片岡が塁審を務めたがこの試合は外れる。
タ軍は初回、先頭の金田が中前打で出塁、呉昌征が右前打、藤村がストレートの四球で無死満塁、本堂の中前タイムリーで1点を先制、土井垣が中前に2点タイムリーを放ち3-0、富樫もレフト線にタイムリーを放ち4-0、渡辺誠太郎は遊飛に倒れるが、高山泰夫が中前にタイムリーを放ち5-0、三塁に向かった一走富樫はセンター山田伝からの送球にタッチアウト、長谷川善三が右前打を放って二死一二塁、トップに返り金田は投ゴロに倒れ、打者10人、7安打で初回の攻撃を終える。
阪急は2回裏、一死後下社が左中間に二塁打、二死後尾西信一の右前タイムリーで1点返して1-5、トップに返り上田の右前打で尾西が三塁に向かうが、ライト富樫からの好返球にタッチアウト。富樫はピッチャー出身だけに肩が強い。
タ軍は3回表、先頭の土井垣の当りは遊ゴロ、これをショート尾西がエラー、富樫が中越えに三塁打を放ち6-1として先発の野口二郎をKO、渡辺が二番手の天保義夫から中前にタイムリーを放ち7-1と突き放す。
阪急は4回裏、一死後坂田清春が中前打で出塁、尾西の中飛に坂田が飛び出しておりセンター呉からの返球でダブルプレー。
タ軍は5回表、二死後長谷川が右前打で出塁するとパスボールで二進、金田が中前にタイムリーを放ち8-1とリードを広げる。
阪急は5回裏、先頭の上田がレフト線に二塁打、山田の左前打で無死一三塁、山田が二盗を決め、青田の三ゴロをファースト高山が落球して無死満塁、野口明の右越え二塁打で2点を返して3-8、タ軍ベンチはここで先発の渡辺をファーストに回し、ファーストの高山に代えて乾国雄が入ってセカンド、セカンド本堂がサードに回り、サード藤村がセンターに回り、センター呉がリリーフのマウンドに上がる。無死二三塁から試合は再開、三木久一は三振、天保は一飛、下社は三振に倒れて追加点はならず。
リリーフの呉が阪急に傾きかけた流れを引き戻した。
タ軍は6回表、先頭の藤村が二遊間にヒット、本堂は二飛に倒れるが、土井垣のライト線ヒットで藤村は三塁に進み、ライト下社からの三塁送球が悪送球となる間に土井垣も二塁に進んで一死二三塁、富樫は投ゴロに倒れるが、渡辺がレフト線に2点タイムリーを放ち10-3と突き放す。
阪急は6回裏、一死後尾西が四球で出塁、トップに返り上田の三ゴロでランナーが入れ替わり、山田が四球を選んで二死一二塁、青田の中前タイムリーで4-10、一走呉は三塁に進み、野口明の初球に青田が二盗を決めて二死二三塁、青田がリードを大きくとっており、野口明の3球目にキャッチャー土井垣が二塁に牽制、この時三走山田がホームに向かうが、土井垣からの送球を捕球したショート長谷川が本塁に送球してタッチアウト。
タ軍は7回表、一死後金田が右中間に二塁打、二死後藤村が中前にタイムリーを放ち11-4と突き放す。
阪急は7回裏、仕切り直しとなった先頭の野口明が四球を選んで出塁、三木に代わる代打坂井豊司の右前打で無死一二塁、天保に代わる代打前川八郎は右飛に倒れるが、下社の中前打で一死満塁、坂田が押出し四球を選んで5-11、尾西がライト線に2点タイムリーを放ち7-11、トップに返り上田の左前タイムリーで二走坂田が還って8-11、山田の左前タイムリーで二走尾西が還って9-11、タ軍はここで呉をマウンドからセンターに戻してセンターの藤村監督がマウンドに上がり、青田の左前タイムリーで二走上田が還って10-11と1点差に迫るが、野口明は三振、坂井は右飛に倒れてこの回6点止まり。
阪急は8回裏、一死後下社が右中間に三塁打を放ってチャンスメイク、坂田の遊ゴロで三走下社が同点のホームを狙うが、ショート長谷川からの送球に本塁寸前タッチアウト、尾西がライト線にヒットを放って二死一二塁と再度チャンスを作るが、トップに返り上田の三ゴロで尾西が二封されてスリーアウトチェンジ。
タ軍は9回表、二死後藤村が中越えに二塁打を放つが、本堂は一ゴロに倒れて無得点。
阪急は最終回、先頭の山田がストレートの四球で出塁、青田が初球に手を出して三ゴロ、山田が二封されて一死一塁、青田が二盗を決めて一死二塁、しかし野口明は三ゴロ、坂井は投ゴロに倒れてゲームセット。
タ軍は21安打で阪急は18安打、両軍合計39安打を記録した。この記録は昭和15年4月6日の阪急vs南海戦、32対2で阪急が勝った試合で阪急が27安打、南海が10安打の合計37安打を更新する新記録となった。
数字だけを見ると打撃戦であるが、守備に見どころ満載の好ゲームであった。タ軍ショート長谷川善三が本塁クロスプレーを2度刺した場面、リリーフ呉昌征が阪急に傾きかけた流れを断ち切った場面がこの試合のハイライトであった。呉昌征、富樫淳、山田伝の外野手が捕殺を記録、この3人はプロでも投手経験がある強肩の持主である。
阪急は七番の下社邦男が二塁打1本、三塁打1本を含む3安打を記録したが打点は無し。この試合、タ軍は全員安打、阪急は六番のピッチャーのところだけが無安打であった。下社の2本の長打を生かせなかったことが阪急の敗因となった。特に8回裏の三塁打が得点に結びつかなかったことが痛かった。9回裏に先頭の山田が四球で出塁した場面で青田が初球に手を出したのも響いた。あそこは山田を走らせて勝負を賭ける手があったのではないか。
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