2020年3月24日火曜日

21年 パシフィックvs巨人 4回戦


6月27日 (木) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 パ軍 15勝17敗2分 0.469 井筒研一 
0 0 2 0 0 0 0 0 X 2 巨人 23勝10敗1分 0.697 近藤貞雄 

勝利投手 近藤貞雄 10勝2敗
敗戦投手 井筒研一   4勝8敗  

二塁打 (パ)藤井

勝利打点 (巨)多田文久三 8


近藤貞雄、10勝一番乗り

 後楽園の第2試合は井筒研一と近藤貞雄の先発で午後3時丁度、桝嘉一球審の右手が上がりプレイボール。桝はこの試合が初の球審となる。

 パ軍は3回表、先頭の平野徳松が中前打で出塁、井筒が送って一死二塁、二死後木暮力三は四球、小島利男も四球を選んで二死満塁、しかし藤井勇は右飛に倒れて無得点。


 巨人は3回裏、一死後呉新亨が左前打で出塁、山川喜作の右前打で一死一三塁、千葉はストレートの四球で一死満塁、黒沢は投前にスクイズバント、これを井筒がホームに送球して三走呉は本封、二死満塁から多田文久三が三塁線にタイムリーを放ち1点を先制、林清一も左前にタイムリーを放ち2-0とする。


 近藤は四球が多くランナーを出しながらのピッチングであったがパ軍に得点を許さず、2安打7四球5三振で今季3度目の完封、ハーラー単独トップとなる10勝目をマークする。


 近藤はここまで防御率0.96と安定した投球を続けているが、WHIPは1.07、奪三振率は2.32と決して圧倒的なピッチングという訳ではない。例えば、戦前を代表する沢村、スタルヒン、野口二郎の全盛期ではWHIPは0.8台、奪三振率は5~8程度であった。近藤が技巧派に転向するのはこの年のオフに進駐軍のジープにはねられそうになった際に右手をガラスの破片で怪我して巨人をクビになり、中日に移籍してからとなるが、キャリアハイの成績をあげた昭和21年でも快速球で圧倒的なピッチングをしていたという訳ではなかったことをこの数字が物語っている。後に指導者となってから見せることとなる柔軟な発想が、現役時代のピッチングにも見て取れるのである。


 本日も決勝打を放った多田文久三は現在断トツの勝利打点王であるが、多田が打つ試合では不思議と林清一も殊勲打を放つ。多田が記録した8個の勝利打点の試合では、林が3回「並列の殊勲打」を記録しており、5月23日に多田が犠飛により勝利打点を記録した試合でも林が「真の殊勲打」を放っている。この「事実」から分かるように、昭和21年序盤戦に首位を走る巨人を引っ張っているのは主力打者ではなく、下位を打つ多田文久三と林清一である。



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