2016年3月2日水曜日

17年 南海vs巨人 15回戦


11月18日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 49勝56敗 0.471 川崎徳次 別所昭
0 0 0 2 1 5 0 0 X 8 巨人 73勝27敗5分 0.730 須田博

勝利投手 須田博     26勝8敗
敗戦投手 川崎徳次 15勝17敗

二塁打 (巨)呉、中島
三塁打 (巨)呉

勝利打点 なし


300勝投手が初競演

 いよいよ今季最終戦を迎えました。

 この試合の見どころは呉波と岩本義行による今季通算打率争いにあります。呉はここまで366打数104安打で打率2割8分4厘、岩本はここまで354打数98安打で打率2割7分7厘。この試合で呉が3打数無安打だと2割8分1厘8毛、岩本が4打数3安打だと2割8分2厘1毛で逆転首位打者となります。呉が1本打てば逃切り濃厚ですね。


 巨人は初回、先頭の白石敏男が四球で出塁、呉波の第一打席は右飛に終わり岩本にチャンスが残る。続く伊藤健太郎の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー。

 南海は2回、岩本義行の当りは遊ゴロ、これをショート白石が弾いて記録はエラー、これで岩本は苦しくなった。

 南海は4回、二死後岩本は遊飛に倒れてほぼ絶望。

 巨人は4回裏、先頭の呉が右中間に三塁打を放って昭和17年の年間首位打者を決めた。伊藤は浅い左飛に倒れるが中島は四球を選んで一死一三塁、ここで南海先発の川崎徳次がワイルドピッチを犯して三走呉が還り1点を先制、楠安夫は四球で一死一二塁、青田昇が中前にタイムリーを放ち2-0とする。

 南海は5回から先発の川崎が退き別所昭がマウンドに上がる。

 巨人は5回、一死後白石が四球で出塁、呉のレフト線二塁打で白石が還り3-0とする。

 巨人は6回、先頭の青田の三ゴロをサード柳鶴震が一塁に悪送球、別所の一塁牽制が悪送球となり、坂本茂が四球を選んで無死一二塁、三好主は三振に倒れるが、須田博の遊ゴロをショート長谷川善三がエラーする間に二走青田が還って4-0、トップに返り白石の遊ゴロも長谷川がエラーして一死満塁、長谷川は2試合連続で連続エラーを犯した。続く呉が押出し四球を選んで5-0、小暮力三は三振に倒れて二死満塁、中島治康が右中間に走者一掃の二塁打を放って8-0として試合を決める。

 須田博は4安打1四球1三振の完封で26勝目をあげて今季最終戦を飾った。


 ここまでの実況中継でお気付きの点があると思います。巨人は先発の須田博が完投、南海は5回から別所昭が登板した。この瞬間、日本プロ野球史上初めて「後の300勝投手による競演」が実現したのである。


 呉波は4打数2安打を記録して今季通算370打数106安打、打率2割8分6厘で年間首位打者となった「。2割8分6厘」は現在でも首位打者としての史上最低打率となっている。


 これにて昭和17年のペナントレースは終了、戦火は増々激しくなる中、昭和18年のシーズンを迎えることとなる。




*記念すべき日本プロ野球史上初の「後の300勝投手による競演」を伝えるスコアカード。









*南海最終戦のオーダー。今季中盤まで巨人と優勝を争っていたが、終盤にかけて息切れした。神田武夫の病気の進行が主要因であるが、八百長疑惑も囁かれている。










*巨人最終戦のオーダー。73勝27敗5分の圧勝であった。





 

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