11月18日 (水) 後楽園
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 大和 27勝68敗10分 0.284 松本操
0 1 0 0 0 4 0 0 X 5 朝日 49勝50敗6分 0.495 林安夫
勝利投手 林安夫 32勝22敗
敗戦投手 松本操 1勝10敗
二塁打 (和)渡辺
本塁打 (和)木下 4号 (朝)浅原 4号、林 1号
勝利打点 浅原直人 3
林安夫32勝、浅原と林が連続ホームラン
いよいよ昭和17年ペナントレースも最終日を迎えました。
朝日は初回、先頭の坪内道則がレフト線にヒットを放つが、酒沢政夫の二ゴロで坪内は二封、岩田次男の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー。
朝日は2回、先頭の浅原直人が四球を選んで出塁、林安夫が送って一死二塁、大友一明は右飛に倒れるが、中谷順次が左前に先制タイムリーを放って1-0とする。
大和は3回、先頭の杉江文二が中前打で出塁、松本操はストレートの四球を選んで無死一二塁、しかし渡辺絢吾の送りバントがピッチャーへの小フライとなり、捕球した林が二塁に送球して「1-6B」のダブルプレー、トップに返り山田潔が四球を選ぶが、木村孝平は捕邪飛に倒れてスリーアウトチェンジ。
大和は4回、先頭の木下政文がレフトスタンドに第4号同点ホームランを叩き込んで1-1と追い付く。続く小松原博喜の右飛をライト浅原が落球、金子裕が中前打を放って無死一二塁、しかし苅田久徳の送りバントは一邪飛となって失敗、杉江は三振、松本は一ゴロに倒れて同点止まり。
大和は6回、先頭の小松原博喜が右前打、金子裕の二遊間の当りはセカンド原とショート酒沢が譲り合って内野安打となり無死一二塁、苅田の中飛をセンター坪内がピッチャー林に返球したところ、二走小松原が飛び出しており林はショート酒沢に送球してタッチアウト、「8-1-6」の併殺が完成する。松本は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。
朝日は6回裏、一死後浅原がレフトスタンドに第4号決勝ホームラン、林もレフトスタンドに連続ホームランを叩き込んで3-1、大友の遊ゴロをショート山田が一塁に悪送球、中谷が左前打を放って一死一二塁、原秀雄の三ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、広田修三の一二塁間安打で二者還って5-1とダメ押す。
大和は7回、先頭の渡辺が左中間に二塁打、トップに返り山田の打席で林が二塁に牽制悪送球して渡辺は三進、山田は四球を選んで無死一三塁、木村の遊ゴロでショート酒沢は二塁ベースを踏んで一走山田は二封、この時三走渡辺が飛び出しているのを見た酒沢が三塁に送球、タッチアウトとなって「6B-5」の併殺が完成する。
酒沢政夫はこの日3つの併殺に関与したが、何れも「1-6B」、「8-1-6」、「6B-5」の変則併殺プレーであった。酒沢は昭和27年の大映時代、6月21日の毎日戦で一試合2度の三重殺に関与することとなる。この時は酒沢はセカンドを守っており、ショートはこの日の対戦相手である大和のショート山田潔であった。
林安夫は8安打6四球1三振1失点の完投で32勝目をあげて最終戦を飾った。6回に浅原と連続ホームランも放った。2シーズンで兵役にとられて戦死することとなる林にとって、生涯唯一の本塁打である。林はこれで今季541回3分の1を投げ抜いたこととなる。現在に至るまでの日本最高記録であり、今後も更新されることはない。林がここまで投げることができたのは、複数の要因が考えられる。精神的には竹内愛一監督に心酔しており監督のために投げたこと。技術的には541と1/3イニングスで与四死球138個という抜群のコントロールを誇っていたこと。当時の野球雑誌でもそのコントロールの良さを絶賛されている。そして何より時代背景が、「どうせ戦争に連れて行かれるのだからそれまで好きな野球をやり抜きたい」というアスリートの本能を刺激したからである。
*この試合では身上のコントロールが今一であったが完投で32勝目をあげる。
*大和最終戦のオーダー。今季は27勝68敗10分に終わったが、終盤に苅田久徳が参入してチームは変わってきている。
*朝日最終戦のオーダー。昨シーズン竹内愛一監督を迎え、今季林安夫を得て49勝50敗6分と大健闘を見せた。
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