5月20日 (水) 西宮
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 南海 20勝12敗 0.625 神田武夫
0 0 0 0 2 0 0 0 X 2 巨人 22勝10敗 0.688 広瀬習一
勝利投手 広瀬習一 10勝3敗
敗戦投手 神田武夫 13勝4敗
二塁打 (巨)水原
勝利打点 川上哲治 3
天王山
1ゲーム差で首位を行く巨人と追う南海との春季天王山を迎えた。
巨人は復帰してきた須田博の調子が上がらず、18日の南海戦では中尾輝三が7失点ということで広瀬習一が先発。南海は調子のいい川崎徳次を先発させて神田武夫をリリーフという手もあったが、18日の巨人戦で完投勝利を飾った神田で勝負をかけてきた。
南海は初回、一死後猪子利男が四球で出塁すると二盗に成功、北原昇は左飛に倒れるが岩本義行も四球を選んで二死一二塁、ここでダブルスチールを敢行するとキャッチャー隈部一郎からの三塁送球が悪送球となって二走猪子が生還、1点を先制する。
巨人は楠安夫が復帰しておらず隈部を使っているが各チームに走りまくられている。楠は徴兵検査で帰郷していると推測されます。
巨人は3回、二死後水原茂が中前打、中島治康も二塁に内野安打、川上哲治がストレートの四球を選んで二死満塁、しかし伊藤健太郎は右飛に倒れて無得点。
巨人は5回、先頭の隈部が中前打を放って出塁、トップに返り白石敏男の投前バントは神田がダッシュよく飛び出して隈部を二塁に刺す。しかし一死一塁から水原がライト線に二塁打を放って一走白石を迎え入れ1-1の同点、中島の投ゴロの間に水原が三進して二死三塁、川上がライトに決勝タイムリーを放って2-1と逆転する。
南海は6回、8回と盗塁に成功するなど5盗塁で広瀬を揺さぶったが2回以降得点をあげることができず巨人に2ゲーム差を付けられて絶体絶命となった。
この試合の勝利打点は川上に記録されたが、同点二塁打から決勝のホームを踏んだ水原も並列の殊勲者であった。水原は今季途中で兵役に就くが17年度シーズンMVPに輝くこととなる。この日の春季優勝を決定付ける一打は、その選考に大きく影響を及ぼしたと考えられる。
広瀬習一は5安打5四球7三振1失点、自責点ゼロの完投で10勝目をあげる。
徴兵検査のためと思われる欠場が続く楠安夫に代わってマスクを被る隈部一郎は各チームに走りまくられているが、この日は5回に逆転の口火を切る中前打を放って巨人の春季優勝を決定付ける勝利に貢献した。長崎商業出身で巨人の捕手ということで内堀保の後輩となる隈部のプロでの足跡は全く知られていない。昭和15年から17年まで3年間巨人に在籍しながら出場したのは僅かに24試合であるが、スタメンアーカイブでお馴染の「日本プロ野球私的統計研究会」様によるとスタメン出場は5試合のみとのこと。楠安夫が欠場した昭和17年5月17日から21日の間の5試合が隈部のスタメンマスクの全てである。この間に4試合連続4個のパスボールを記録し、相手チームに17個の盗塁を許して1つしか刺せなかった。プロでの通算成績は18打数2安打であるがこの5試合で10打数2安打を記録、この日の殊勲の中前打がプロで記録した最後のヒットとなった。
*広瀬習一は神田武夫との投げ合いを制して10勝目をマークする。
*南海を降して春季優勝に大きく前進した巨人打線。坂本茂、広瀬習一、隈部一郎と並ぶオーダーは歴史上この試合だけ。17日の朝日戦のダブルヘッダー第一試合は七番坂本、八番隈部、九番広瀬の順でした。
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