11月4日 (木) 後楽園
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 0 0 1 0 0 0 3 西鉄 38勝36敗8分 0.514 野口二郎
0 0 0 1 1 0 0 0 0 2 阪神 41勝35敗6分 0.359 三輪八郎 若林忠志
勝利投手 野口二郎 24勝12敗
敗戦投手 三輪八郎 11勝11敗
二塁打 (西)中村民雄 (神)三輪八郎
本塁打 (西)山田 1号 (神)三輪八郎 1号
勝利打点 山田秀夫 5
山田秀夫、先制ツーランと決勝打
西鉄は秋季リーグ戦ここまで15勝7敗3分で首位、阪神は15勝9敗1分で三位。阪神はこの試合に負けると秋季優勝の目はなくなる。
西鉄は3回、先頭の鵜飼勉が四球を選んで出塁、続く山田秀夫がワンボールワンストライクからの3球目をレフトスタンドに叩き込む先制ツーラン、2-0とリードする。
阪神は4回、先頭の金田正泰はツーボールツーストライクから捕邪飛、ところがこれをキャッチャー中村民雄が落球、中村にはエラーが記録され、命拾いした金田が中前打を放って出塁、センター富松信彦がこの打球を後逸する間に打者走者の金田は一気に三塁に進む。富松にはエラーが記録されてワンヒットワンエラー、金田は1打席で2個のエラーを誘発させた。藤村冨美男は投ゴロに倒れ、景浦将は歩かされて一死一三塁、田中義雄の当りはショート後方への小飛球、これがレフト黒沢俊夫の前にポトリと落ちてタイムリーテキサスリーガーズヒット、1-2とする。
阪神は5回、先頭の三輪八郎がライトスタンドに同点ホームランを叩き込んで2-2と追い付く。
西鉄は6回、先頭の富松が4球ファウルで粘って四球を選び、中村民雄の一ゴロはスコアカードには「3.4-3」で一塁アウトと記載されており、をファースト景浦のミットを弾いた打球をセカンド藤村がバックアップして、景浦が素早く一塁ベースに戻ってアウトにした。この間に富松は二塁に進み、鵜飼は中飛に倒れて二死二塁、ここで山田がセンター右に決勝タイムリーを放ち3-2と勝ち越す。
野口二郎は7回以降阪神の反撃を無安打に封じ込め、5安打4四球3三振の完投で24勝目をあげる。西鉄は秋季リーグ戦優勝に向けて大きく前進した。
山田秀夫が先制ツーランと決勝タイムリーを放つ活躍を見せた。山田は7・8月の月間MVPに選出される活躍を見せた後、9月に入って試合出場が無くなったが10月に入って戦列に復帰し、この日爆発した。荏原中学からプロ入りして在籍は昭和18年のみとなる。この日のホームランがプロでの唯一の本塁打であった。
三輪八郎が一時同点となる本塁打を放ったが、三輪にとってもこれがプロでの唯一のホームランであった。三輪はこの後戦死することとなる。福田赳夫、中曽根康弘と二人の総理大臣を輩出した名門・高崎中学(現・群馬県立高崎高等学校、地元では「タカタカ」と呼ばれる)の出身で、松木謙治郎は著書「タイガースの生いたち」に「もし復員しておれば、戦後阪神にエースとして活躍したと思われるだけに、惜しい左腕投手を失ったものだ。」と書いている。
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