5月9日 (日) 後楽園
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 巨人 7勝9敗2分 0.438 藤本英雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1X 1 朝日 10勝8敗 0.556 林安夫
勝利投手 林安夫 5勝4敗
敗戦投手 藤本英雄 4勝4敗
勝利打点 森本清三 1
林安夫、10度の三者凡退で12回を1安打完封
巨人先発藤本英雄と朝日先発林安夫による、火を噴くような投手戦が展開された。
巨人は1回~3回まで三者凡退。アウト9個の内訳は三振が1個で凡飛が8個。
朝日も1回~3回まで三者凡退。
巨人は4回、二死後白石敏男が左前打を放つが、中島治康は中飛に倒れる。
朝日は4回裏、一死後酒沢政夫が四球を選んで出塁、しかし早川平一は三振、酒沢が藤本からの牽制に刺されてスリーアウトチェンジ。
林安夫は巨人打線を5回から10回まで6イニング連続で三者凡退に打ち取り、ここまで1安打無四球無失点。巨人6回の攻撃で、先頭の小池繁雄の当りはライトに抜けたが、ライト浅原直人がファーストに送球して小池を刺し、ライトゴロを完成させて林を助けた。
藤本英雄は6回は原秀雄に左前打を許し、8回には先頭の中谷順次に四球を与えるなど、徐々に走者は出してきたが9回まで1安打2四球無失点。
朝日は10回裏、二死後中谷が左飛を打ち上げるが、これをレフト青田昇が落球して二死一塁、しかし林は中飛に倒れてこの回も無得点。
巨人は11回表、一死後永沢富士雄の当りは遊ゴロ、これをショート酒沢がエラー、多田文久三が四球を選んで一死一二塁と、この試合両軍初めてスコアリングポジションに走者を進める。しかし三好主は三振、藤本も中飛に倒れてチャンスを生かせず。
朝日は11回裏、二死後原が右前打から二盗を決めてチーム初のスコアリングポジションに走者を進める。藤本は打席の坪内道則を歩かせ酒沢と勝負、酒沢は二ゴロに終わりこの回も無得点。
12回表の巨人はこの試合10度目の三者凡退。
朝日は12回裏、一死後浅原が左前打で出塁、中谷の三ゴロ間に浅原は二進、ここで浅原が三盗を決めて二死三塁、林が四球を選んで二死一三塁、朝日竹内愛一監督はここで小林章良に代えてプロ入り初出場のルーキー森本清三を代打に起用、林が二盗を決めて二死二三塁、ここで森本が期待に応えてライトにサヨナラ打を放ち、遂に決着がついた。
林安夫は12回を投げて1安打1四球3三振で完封、5勝目をあげる。三者凡退を10回記録し、ほぼパーフェクトなピッチングであった。
藤本英雄は11回3分の2を完投して4安打4四球8三振1失点。最後はバテたようだ。
プロ入り初出場初打席で大仕事をやってのけた森本清三は、海草中学の甲子園二連覇目の昭和15年優勝メンバーで二番ファーストの左投げ左打ち、一旦明大を経由して今季朝日入りし、海草中学以来、再び真田重蔵と同僚となった。
森本のサヨナラ打は、浅原直人の三盗にアシストされたとも言える。飛ばない打球の当時、外野手は前進守備を敷いているのでランナー二塁ではシングルヒットでの生還は難しい。浅原は6回にはライトゴロも見せて林安夫を助けており、地味ながら貴重な働きを見せた。
*林安夫は147球、藤本英雄は154球の熱投であった。
森本清三はスパイクを履かず運動靴でプロ初打席サヨナラ安打を放ちました。竹中半平や大井廣介といった古参の評論家には「白い運動靴」が強く印象に残ったそうです。
返信削除ちなみに、海草中時代の昭和16年におこなわれた2府4県大会でも滝川中との延長25回戦に終止符を打つサヨナラ安打を放っています。打たれた滝川中の投手は森本のプロ初打席で代打を送られた小林章良でした。
物資欠乏のため新人にはスパイクは支給されなかったようですね。
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