2022年12月28日水曜日

21年 セネタースvsグレートリング 15回戦

10月28日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  計
0 0 2 0 1 4 0 2 0  0   0   9  セ軍 43勝57敗 0.430 一言多十 黒尾重明 白木義一郎 
1 0 2 4 2 0 0 0 0  0  1X 10 グ軍 65勝36敗2分 0.644 松川博爾 丸山二三雄

勝利投手 丸山二三雄 25勝14敗 
敗戦投手 白木義一郎 27勝21敗

二塁打 (セ)鈴木 (グ)岡村
三塁打 (セ)大下 (グ)堀井
本塁打 (グ)山本一人 3号

勝利打点(グ)小林悟楼 1

猛打賞 (セ)鈴木清一 8、清水喜一郎 1 (グ)田川豊 6、山本一人 14、堀井数男 6


小林悟楼がサヨナラ打、グ軍が総力戦を制す

 後楽園の第1試合は一言多十と松川博爾の先発で午後2時2分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 9分前に西宮の第1試合で巨人が負けた報せは山本一人監督の耳にも届いていたであろう。試合が終盤に入っても中部が4点リードしていることも電話で連絡を受けていた可能性が高く、メンバー交換の段階で巨人劣勢を知っていたからこその松川先発ではなかったか。ローテーション通りであれば丸山二三男である。

 グ軍は初回、先頭の安井亀和が四球で出塁、河西俊雄の左前打で無死一二塁、田川豊の送りバントは正直すぎてピッチャー一言が三塁に送球して安井は三封、山本は左飛に倒れるが、堀井数男が右前にタイムリーを放ち1点を先制する。

 グ軍先発の松川は1回、2回と三者凡退に抑えて無難な立ち上がり。

 セ軍は3回表、一死後根津弘司が左前打で出塁、清水喜一郎のライト線ヒットで一死一三塁、トップに返り鈴木清一の打席で清水が松川の牽制に刺されて二死三塁、鈴木がレフト線にタイムリー二塁打を放ち1-1の同点、長持栄吉のライト線タイムリーで2-1と逆転する。続く飯島滋弥の三ゴロをサード河西がエラー、二走長持のリードが大きく白球を拾い上げた河西は二塁に送球、長持は三塁に向かうが、セカンド安井から河西に送球されてタッチアウト。

 セ軍は3回から一言をセンターに回してマウンドには黒尾重明が上がる。

 グ軍は3回裏、先頭の田川が中前打で出塁、山本の左前打で無死一二塁、堀井が中前に2打席連続のタイムリーを放ち2-2の同点、三塁に向かった山本はセンター一言の強肩に刺されて一死一塁、堀井が二盗を決め、岡村俊昭のピッチャーへの当りは黒尾のグラブを弾き、バックアップしたショート鈴木清一が一塁に送球するが悪送球となる間に二走堀井が還って3-2と逆転する。

 この試合に勝てば優勝に大きく前進することになるグ軍はリードしたところで4回から丸山二三男を投入する。

 セ軍は4回表、先頭の大下弘が左の丸山からレフトに流し打って出塁、しかし鈴木圭一郎の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー、一言はストレートの四球で出塁するが、黒尾は三振に倒れて無得点。

 グ軍は4回裏、安井、河西が倒れて二死後、田川が四球を選んで出塁、山本も左前打で続いて二死一二塁、堀井が3打席連続タイムリーとなる右中間三塁打を放ち2点を追加して5-2、岡村が四球で歩いて二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて6-2、筒井敬三が3球ファウルで粘って四球、丸山の中前タイムリーで7-2と大量リードして優勝に大きく近付いた。

 セ軍は5回表、先頭の根津の当りは三ゴロ、これをサード河西がこの日2個目のエラー、清水の左前打で無死一二塁、トップに返り鈴木清一の三ゴロを今度は河西が慎重に三塁ベースを踏んで一死一二塁、長持は中飛に倒れるが、飯島滋弥が中前にタイムリーを放ち3-7と粘りを見せる。続く大下は思いっきり引っ張って鋭いライナーが一塁を襲ったが、ファースト山本がファインプレーで防ぐ。

 セ軍は5回から三番手として白木義一郎を投入、何とか流れを変えようと抵抗する。

 グ軍は5回裏、先頭の安井が中前打で出塁、河西の遊ゴロの間に安井は二塁に進み、ここでディレードスチールを試みるが「1-5-6-5」と転送されてタッチアウト、しかし田川が左前打で出塁、山本がレフトスタンドに第3号ツーランを叩き込み、9-3とダメ押したかに見えたのだが・・・。

 セ軍は6回表、先頭の鈴木圭一郎は三ゴロ、これを河西がこの日3個目のエラー、一言、白木は連続四球で無死満塁、根津が左前にタイムリーを放ちまず1点、清水も3打席連続ヒットとなるタイムリーを左前に放ち2点目、トップに返り鈴木清一が中前に2点タイムリーを放ちこの回4点、7-9と追い上げる。続く長持が送りバントを決めて一死二三塁、飯島のセンターフライで三走清水がタッチアップからホームを狙うが、センター田川からの好返球にタッチアウト。

 グ軍は6回裏、先頭の岡村が四球で出塁、一死後丸山の二ゴロをセカンド清水がエラーして一死一三塁、宮崎仁郎に代わる代打安井鍵太郎のライトフライで三走岡村がタッチアップからホームを狙うが、ライト長持からの好返球にタッチアウト。

 セ軍は8回表、一死後鈴木清一が左前打で出塁、鈴木が二盗に成功、長持は四球で一死一二塁、、飯島が中前にタイムリーを放ち8-9と1点差、長持は三塁に進んで一死一三塁、、前の打席で右中間に三塁打を放ち復調気配が見えてきた大下が中犠飛を打ち上げて遂に9-9の同点に追い付く。

 白木は7回から9回を三者凡退に抑えて試合は延長戦にもつれ込む。

 グ軍は11回裏、先頭の岡村が三塁線に流し打って二塁打、筒井の投前送りバントを白木が三塁に送球するがセーフ、野選が記録されて無死一三塁、筒井が二盗を決め、丸山は投ゴロに倒れて一死二三塁、ここで小林悟楼がセンターにサヨナラ打を放ち激戦に終止符を打つ。

 山本監督は巨人がダブルヘッダー第1試合を落としたことを知って松川博爾を先発させ、リードしたところで4回から丸山二三男を投入、予想外の同点に追い付かれても慌てて別所昭を投入するような愚は犯さなかった。

 殊勲のサヨナラヒットを放った小林悟楼は戦争で6年間のブランクがあったが、昭和14年にはショートのレギュラーとしてほぼフル出場していた実績がある。平和な時代が戻ってきた幸せを実感しているのではないか。

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