2022年12月3日土曜日

21年 ゴールドスターvsタイガース 15回戦

10月26日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 1 0 0 0 0 0 0 3 ゴ軍 41勝58敗2分 0.414 清原初男
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 タ軍 56勝43敗 0.566 野崎泰一 渡辺誠太郎

勝利投手 清原初男 2勝2敗 
敗戦投手 野崎泰一 7勝12敗

二塁打 (ゴ)坂本 (タ)渡辺
本塁打 (ゴ)坪内道則 1号

勝利打点(ゴ)坪内道則 6


坪内が戦後初本塁打

 第27節4日目、後楽園の第1試合は清原初男と野崎泰一の先発で午後零時33分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 ゴ軍は初回、一死後大友一明が左前打で出塁、坪内道則監督の右への打球は意外に伸びてライトスタンド人入り、戦後初ホームランとなって2点を先制する。

 タ軍は1回裏、先頭の呉昌征が一塁線にドラッグバントを決めて出塁、金田正泰の二ゴロで呉は二封、本堂保次の三ゴロは「5-4-3」と渡ってダブルプレー。

 タ軍は2回裏、一死後土井垣武が中前打で出塁、宮崎剛のバントはピッチャー正面に転がり清原から二塁に送球されて土井垣は二封、宮崎がディレードスチールを試みるが清原からショート酒沢政夫に送球されてタッチアウト。

 タ軍は序盤、機動力が空回りした。

 ゴ軍は3回表、先頭の中村信一が四球で出塁、トップに返り酒沢の右前打で無死一三塁、酒沢は二盗に失敗するが、大友が四球を選んで一死一三塁、坪内が死球を受けて一死満塁、西沢道夫の三ゴロをファースト本堂保次が落球する間に三走中村が還って3-0とする。

 タ軍は4回裏、二死後本堂が四球で出塁、藤村富美男監督の右前打で一二塁、土井垣が左前にタイムリーを放ち1-3と追い上げる。

 タ軍はこの後も走者を出すがあと1本が出ず無得点が続く。

 タ軍は7回からリリーフの渡辺誠太郎が8回、9回とピンチを併殺で切り抜けこちらも無失点。

 タ軍は8回裏、一死後金田、本堂の連打でチャンスを迎えるが、藤村は中飛、土井垣も二飛に倒れて無得点。

 タ軍は最終回も先頭の渡辺が左中間に二塁打を放ってチャンスを作り、代走に戦後初出場となる武智修を送り反撃体勢に入るが、21日に猛打賞と当たっている富樫淳は中飛、、勝負強い高山泰夫は珍しい投邪飛、長谷川善三はストレートの四球で歩いて二死一二塁、トップに返り呉昌征は中飛に倒れてゲームセット。

 清原初男は8安打を打たれながら3四球3三振の完投で2勝目をマーク、最終回にファウルフライを自らキャッチしたように、最後まで気合で投げ抜いた。

 タ軍はよく粘って反撃を試みたが、序盤の拙走が最後まで響いた。

 坪内は戦後初ホームランをライトスタンドに叩き込んでこれが決勝打となった。坪内は第2打席で今季7個目の死球を受けて戦後復活初年度死球王の座を確定的にした。内角球を恐れずに最後までボールを見極めるため、右への打球も鋭い。内角球を恐れて体が早く開くとピッチャーにとっては思う壺で外角の変化球で簡単に打ち取ることができる。最後までボールを見極める打者は打率が高くなるのである。

 戦後の実例で説明しよう。1989年の「10.19」で高沢が阿波野から同点ホームランを打って近鉄の夢を砕いたことはよく知られているが、高沢がホームランを打つ前の投球で阿波野の内角に食い込んでくるスライダーを体を開かずに見極めたシーンを覚えている人は少ない。筆者はこの瞬間「こりゃ打つぞ」と呟いたが、次の球をレフトスタンドに叩き込んだ。このホームランは外へ逃げるチェンジアップを引っ張ってレフトスタンドに運んだものであるが、この一打の伏線はその前の内角体の近くに食い込んできたスライダーを体を開かず右に回転するように最後まで見極めて見逃したことにあったのである。あれを体を開いて腰を引いていたら、次のチェンジアップを引っ掛けて凡打となり近鉄が優勝していた可能性が高い。高沢はこの年首位打者に輝いたが、ボールを正しく見極めていたからでしょう。これこそがバッティングの極意。

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