2017年8月12日土曜日

18年 朝日vs南海 10回戦


10月1日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   3  3 朝日 35勝27敗6分 0.565 真田重蔵
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0  0 南海 23勝44敗2分 0.343 丸山二三雄 長沼要男

勝利投手 真田重蔵   11勝9敗
敗戦投手 丸山二三雄 4勝15敗

三塁打 (南)増田

勝利打点 小林章良 4

猛打賞 (朝)田中雅治 1


真田重蔵、9回まで無安打無得点

 真田重蔵が快投を見せた。

 初回、一死後長谷川善三にストレートの四球を与えるが、鈴木芳太郎を中飛、岡村俊昭を三飛に抑える。2回、先頭の堀井数男を三ゴロに打ち取るがサード中谷順次が一塁に悪送球、しかし中野正雄を中飛、丸山二三雄をニゴロ併殺に打ち取る。3回は荒木正、増田敏、トップに返り猪子利男を3連続中飛に打ち取る。

 4回、先頭の長谷川に四球を与えるが、鈴木の捕ゴロで長谷川を二封、岡村の一ゴロで鈴木を二封、岡村の盗塁をキャッチャー小林章良が刺してスリーアウトチェンジ。5回、6回は三者凡退。

 7回、先頭の長谷川に3打席連続で四球を与え、鈴木が送って一死二塁、しかし岡村を左飛、堀井も中飛に打ち取る。8回、先頭の中野を四球で歩かせるが、丸山を三振、荒木に代わる代打清水秀雄の飛球が一塁ファウルグラウンド上に上がると自らマウンドから駆け付けて捕球し「投邪飛」、増田も右飛に打ち取る。9回、猪子を中飛、長谷川を一飛、鈴木も右飛に打ち取り延長戦に突入。

真田重蔵は9回まで無安打4四球1三振、無失点。27個のアウトの内17個が飛球アウトで、球威で押していたものと見られる。

 朝日は8回、先頭の大友一明が四球で出塁、6回の守備から林安夫に代わってライトに入っていたプロ入り初出場の田中雅治が初打席で右前打、早川平一の遊ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、真田の遊ゴロで三走大友が本塁ベースめがけて突っ込むがショート長谷川からのバックホームにタッチアウト、先制点はならず。

 朝日打線は丸山二三雄に抑えられて9回まで3安打無得点。

 朝日は10回表、一死後田中が中前に2打席連続ヒット、しかし早川は投ゴロ、真田は右飛に倒れて無得点。

 南海は10回裏、二死後中野がチーム初ヒットを左前に放ち二盗に成功、しかし長沼は二ゴロに倒れて無得点。

 朝日は11回表、先頭の坪内道則がセンター右にヒット、坪内が二盗を決め、森本清三は四球で無死一二塁、南海ベンチはここで好投を続けてきた丸山を下げて長沼要男をマウンドに送る。酒沢政夫の三塁線バントが内野安打となって無死満塁、中谷は三邪飛に倒れて一死満塁、ここで小林が投前にスクイズ、ピッチャー長沼が本塁に送球するがセーフ、犠打と野選が記録されて1点を先制、田中が3打席連続ヒットとなる2点タイムリーをライト線に放ち3-0とする。

 南海は11回裏、一死後増田が右中間に三塁打、しかし猪子の三ゴロに三走増田が飛び出して三本間に挟まれ「5-2-5」と渡ってタッチアウト。長谷川が中飛に倒れて朝日が延長戦を制す。

 真田重蔵は11回を2安打4四球3三振で完封、11勝目をあげる。真田は戦後2度の無安打無得点を記録することになるが、この日も9回まで無安打ピッチング。この試合が無安打無得点であったら、沢村栄治 、外木場義雄と並ぶ通算3度の無安打無得点投手となっていたかもしれない。

 海草中学で真田の同僚であった田中雅治が華々しいデビューを飾った。6回の守備から林安夫に代わってライトに入り、3打席連続安打を放つ。3本目は試合を決定付ける貴重な2点タイムリーとなり、勝利打点は決勝スクイズを決めた小林章良にゆずったが、「真の殊勲者」に輝いた。

 

2 件のコメント:

  1. 田中雅治は海草中が夏連覇を成し遂げた時の二塁手でした。昭和15年は2回戦・京都商戦で乱調の真田を救援し、神田武夫と投げ合って、延長12回の末に勝利をもたらしました。
    昭和18年11月、和歌山市内の海草中OB宅にて学徒出陣の壮行会がおこなわれ、田中、真田、嶋清一、古角俊郎、竹尻太次、宮崎繁一の6名が集まりました。朝日の投手だった真田は、日本大学大阪専門学校に籍を置いていたため、学徒とみなされましたが、恐らく田中もそれに該当したのでしょう。ただ、残っている壮行会の写真には真田だけが背広姿で、あとの5名はツメ襟の学生服でしたが。
    壮行会に出席していた後援者の丸山直広氏夫人によると、
    「6人のうち、サバサバして征かれた3人が生きて還ってきたのも皮肉でした。古角さんなんかは主人が『あいつは気が強いから、真っ先に危ないところへ飛び込んでいくぞ』と心配していましたが、最初に復員され、びっくりしました。人の運命とは本当にわからないものです......」戦没野球人 読売新聞大阪社会部編
    田中、嶋、竹尻は護国の鬼となったのです。

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    1. 田中雅治については別稿で特集させていただきます。

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