2015年3月22日日曜日

着席




 昭和17年6月29日、西宮球場で行われた朝日vs巨人7回戦1回表朝日の攻撃でその事件は起こった。


 実況中継でお伝えしたとおり、先頭の坪内道則が二塁打で出塁し、五味芳夫の右前打で無死一三塁、鬼頭政一の右犠飛で朝日が1点を先制、広田修三は左飛に倒れて二死一塁に五味という場面でのことであった。


 伊勢川真澄のレフト線ヒットで一走五味は二塁ベースを蹴って三塁に進んだ。この時サードを守る水原茂と交錯したようだ。スコアカードの「雑記」欄には「五味、水原をスパイクしたとかで水原憤慨して約30分もめ、水原、五味着席を命ぜられる。」と書かれている。五味には代走山本秀雄が起用され、水原に代わってサードには小池繁雄が入った。巨人1回裏の攻撃でトップの呉波に続いて小池繁雄が打席に入った理由はこうした経緯からであった。この試合の開始時刻は午後1時2分で終了は3時12分、当時としては珍しく2時間を超えているが、中断が30分あったからであろう。


 「着席」が「退場」を意味することは広く知られているようです。プロ野球初の「退場」は昭和11年の「甲子園二次リーグ戦」、11月20日のタイガースvsセネタース戦で苅田久徳が二出川延明球審に「着席」を宣告された時であるとされている。この試合で苅田は4打数2安打を記録しており、テーブルスコアによるとレフトの今岡謙二郎が試合途中で苅田に代わってセカンドに入っている。


 戦前「着席」を宣告されたのは4人だったと言われている。苅田、水原、五味の他にもう一人いるようです。ご存知の方は名乗り出てください(笑)。




  *「雑記」欄の記載。





  *問題のシーン。




 

5 件のコメント:

  1. 着席させられた4人のうちの1人は、確か巨人の藤本定義監督だったと思います。
    昭和12年か昭和13年か忘れましたが、沢東洋男球審に暴言を吐いて着席させられたようです。
    私が見たのは、何かの古雑誌の記事で、詳しいことは忘れてしまいました。

    話は変わりますが、shokuyakyu様は、来月12日日曜日のイベントに行かれるでしょうか。

    http://baseballgleaning.blog.fc2.com/

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    1. 行くつもりですが、多分終わった後に呑みに行くことになるので夕方にしようかと思っていました。おいでになるようでしたら時間は合わせますのでご連絡ください。

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    2. こんばんはたばともです。こちらには初投稿になります。
      この試合のようです、さすがここのブログです。
      ジャイアンツvsライオン5回戦11月16日(水)後楽園
      http://shokuyakyu.blogspot.jp/2011/06/vs_26.html

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    3. 自分で書いていて忘れていました。まぁ、よくあることなのですが(笑)。しかし、よく気付きましたね。

      この試合の「雑記」欄には何かが書かれているのですがかすれていて見えません。翌日の読売新聞には「巨人軍はこの判定に不服を申し立てて抗議数分、沢主審は遂に“飽くまで審判に従わずして試合の進行を妨げるもの”との理由の下に監督藤本に退場を命じた。この間の巨人軍の言い分にも同情される点もあったが、巨人軍が監督退場に気を腐らせて捨て鉢になったのはよくなかった。」と書かれているので間違いないでしょう。

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    4. いえいえ、宇佐美さんの記録大鑑さまさまでございます。

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