2025年7月31日木曜日

22年 中日vs大阪 9回戦

7月13日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 3 0 0 3 1 1 0 8 中日 32勝18敗1分 0.640 藤本英雄
1 1 0 0 0 0 0 0 0 2 大阪 38勝14敗1分 0.731 梶岡忠義 野崎泰一

勝利投手 藤本英雄 14勝8敗 
敗戦投手 梶岡忠義 10勝4敗

二塁打 (中)金山、古川、小鶴
本塁打 (中)杉浦清 3号

勝利打点(中)杉浦清 4


恐竜打線、実力を発揮

 西宮の第2試合は藤本英雄と梶岡忠義の先発で、第1試合が当時としては珍しく2時間31分かかったため午後4時25分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、先頭の呉昌征が中前打で出塁、金田正泰の右前打で無死一三塁、富樫淳の投ゴロで三走呉は三塁ストップ、一走金田は二塁に進んで一死二三塁、藤村富美男の二ゴロの間に三走呉がホームに突っ込むがセカンド金山次郎からの本塁送球にタッチアウト、二死一三塁から藤村が二盗、この時キャッチャー藤原鉄之助は三塁に送球するがレフトに抜ける悪送球、三走金田が還って1点を先制、藤村も三塁を回って一気にホームを狙うがレフト杉江文二からの返球を中継したサード三村勲からの本塁送球にタッチアウト。

 大阪は2回裏、先頭の土井垣武が一塁線ヒットで出塁するが二盗に失敗、本堂保次は左前打で出塁すると二盗に成功、玉置玉一の右前打で本堂は三塁ストップするが送球の間に玉置が二塁に進んで一死二三塁、長谷川善三が一塁線にスクイズバントを決めて2-0、二走玉置も三塁を回ってホームを狙うがファースト大沢清からの本塁送球にタッチアウト。

 大阪は積極的な走塁が目立つが少々暴走気味。

 中日は3回表、一死後金山次郎が右中間に二塁打、古川清蔵がレフト線にタイムリー二塁打を放ち1-2、大沢の中前タイムリーで2-2の同点、大沢が送球の間に二塁を狙うがタッチアウト、二死無走者となったが杉浦清監督がレフトスタンドに第3号ホームランを叩き込んで3-2と勝ち越す。

 中日は6回表、先頭の杉浦の当りは遊ゴロ、これを守備の良いショート長谷川がエラー、加藤正二の三前送りバントをサード藤村がお手玉、犠打とエラーが記録されて無死一二塁、一死後藤原は四球を選んで一死満塁、三村に代わる代打小鶴誠がセンター右奥に走者一掃のタイムリー二塁打を放ち3点追加、6-2とリードを広げる。

 中日は7回表、先頭の金山が中前打で出塁、古川も三塁に内野安打、二死後加藤の右前タイムリーで7-2と突き放す。

 大阪ベンチは8回から先発の梶岡に代えて野崎泰一をマウンドに送る。

 中日は8回表、先頭の藤原が四球で出塁、小鶴は左前打、トップに返り杉江に代わる代打笠石徳五郎が四球を選んで無死満塁、金山の左犠飛で8-2とダメ押す。

 藤本英雄は8安打1四球4三振の完投でハーラー単独トップに立つ14勝目をマークする。

 中日は打線の不振により大阪に大きく離されたが、この日は久しぶりに打線がつながった。

 大阪は7月に入って負け知らずの8連勝が続いていたが7月初の敗戦で連勝がストップした。序盤の暴走気味の走塁が響いた。

2025年7月29日火曜日

22年 巨人vs太陽 9回戦

7月13日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 2 0 0 0 0 3 巨人 25勝26敗1分 0.490 川崎徳次 
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 太陽 20勝31敗1分 0.392 池田善蔵

勝利投手 川崎徳次 8勝7敗 
敗戦投手 池田善蔵 5勝7敗

勝利打点(巨)多田文久三 1


多田文久三、代打決勝打

 後楽園の第2試合は川崎徳次と池田善蔵の先発で午後2時56分、西垣球審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は3回表、一死後千葉茂がストレートの四球で出塁、川上哲治もストレートの四球で一死一二塁、小松原博喜の右前タイムリーで1点を先制する。

 太陽は3回裏、先頭の松井信勝が四球を選んで出塁、池田が右前打で続き、トップに返り荒川昇治のバントが内野安打となって無死満塁、続く辻井弘のスウィングがキャッチャー武宮敏明のミットに当たり押出しの打撃妨害で1-1の同点に追い付く。

 押出し打撃妨害は珍しい記録であり、当ブログの調査では昭和18年11月2日の巨人vs南海12回戦、6回裏南海の攻撃で無死満塁から長谷川善三のスウィングがキャッチャー川畑博のミットに当たって押出し打撃妨害が記録されて以来約4年ぶりのことである。長谷川善三は戦前は南海でプレーしていたが戦後の現在は大阪タイガースでプレーしている。川畑博も戦地から生還して昭和24年にはプロ野球に復帰する。

 打者のスウィングがキャッチャーミットに当たって打撃妨害が記録された場合は捕手に「失策」が記録される。打者は打撃完了とは見做されないため打数はカウントされず、押出しの場面であっても打点は記録されない。

 巨人は5回表、一死後川上がライト線にヒット、小松原の投ゴロを池田は二塁に送球するが悪送球となって一死一二塁、平山菊二はストレートの四球で一死満塁、ここで宮下信明に代わる代打多田文久三が右前に2点タイムリーを放ち3-1と勝ち越す。

 川崎徳次は4安打5四球5三振、唯一の失点が押出し打撃妨害であったため自責点ゼロの完投で8勝目をマークする。

 巨人は勝つには勝ったが3併殺12残塁の拙攻であった。3つの併殺はゴロによるものではなく「F8-4」、「L1-3」、「L5-4」であった。実際のプレーは見ていないので全てが走塁ミス絡みと断定はできないが(エンドランがライナーでゲッツーになるケースなど)、巨人が球団創設以降で最も悪い成績となっている原因を垣間見ることができる。

2025年7月28日月曜日

22年 東急vs南海 11回戦

7月13日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
1 0 0 0 0 1 1 1 0  0   0   0  4 東急 18勝31敗2分 0.367 北川桂太郎 黒尾重明 
3 0 0 0 0 0 0 0 1  0   0   0  4 南海 27勝23敗3分 0.540 丸山二三雄

勝利打点 なし


長打もマルチヒットもなし、珍プレーあり

 西宮の第1試合は北川桂太郎と丸山二三雄の先発で午後1時27分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 東急は初回、先頭の一言多十が中前打で出塁、鈴木清一の捕ゴロでランナーが入れ替わり、鈴木が二盗に成功、飯島滋弥は四球で一死一二塁、大下弘の右前タイムリーで1点を先制する。

 南海は1回裏、先頭の安井亀和が三塁線にヒット、河西俊雄の右前打で無死一二塁、岡村俊昭の遊ゴロをショート鈴木清一は三塁に送球して二走安井は三封、山本一人監督は四球で一死満塁、堀井数男の一ゴロの間に三走河西が還って1-1の同点、朝井昇は四球を選んで二死満塁、筒井敬三が中前に2点タイムリーを放ち3-1とリードする。

 東急は6回表、一死後飯島が四球を選んで出塁、二死後長持栄吉が死球を受けて一二塁、鈴木圭一郎の二ゴロをセカンド安井が一塁に悪送球する間に二走飯島がホームに還って2-3と1点差、二死一三塁からダブルスチールを仕掛けるがキャッチャー筒井からの送球をピッチャー丸山がカットして本塁に送球、「2-1-2」で三走長持の本盗は失敗に終わる。

 南海は6回裏、一死後小林悟楼、安井が連続四球、東急ベンチはここで先発の北川から黒尾重明にスイッチ、黒尾が後続を抑える。

 東急は7回表、一死後大沢喜好が三遊間にヒット、二死後トップに返り一言は四球で一二塁、鈴木清一の中前タイムリーで3-3の同点に追い付く。

 東急は8回表、一死後長持が左前打で出塁、鈴木圭一郎はストレートの四球で一死一二塁、黒尾の遊ゴロが野選を誘って一死満塁、続く大沢のカウントがスリーボールツーストライクのフルカウントになったところで東急ベンチは白木義一郎を代打に起用、しかし白木は投飛球に倒れて二死満塁、清水喜一郎が押出し四球を選んで4-3と1点勝ち越す。サード大沢の代打に出た白木はそのまま三塁の守備についた。

 南海は9回裏、先頭の岡村が四球で出塁、山本の左前打で無死一二塁、堀井の左前打で二走岡村は三塁を回って同点のホームを狙うが、レフト大下からの返球を中継したピッチャー黒尾の本塁送球にタッチアウト、一走山本は三塁に進んで一死一三塁、堀井が同点スクイズを決めて4-4と追い付く。

 試合は延長戦に突入するが両軍得点なく4対4で引分け。

 丸山二三雄は6月14日の太陽戦でも真田重蔵と投げ合って延長12回引分け完投だった。

 両チーム単打だけで長打は無く、マルチヒットもいなかった。

 この試合のハイライトは東急初回の攻撃。大下のタイムリーで1点先制して一死一二塁、二塁ランナーの飯島滋弥は長持栄吉が三振した場面で二塁ベースを大きくリード、キャッチャー筒井敬三は二塁への偽投を繰り返しながら走って二塁ベース方向に進んでいき、飯島が戻ろうとした時に自らタッチアウトにした。記録は三振ゲッツーであるが、長持の三振で筒井に刺殺が記録され、更に飯島をタッチアウトにして2個目の刺殺、結局キャッチャーによる「単独ゲッツー」が記録されたのである。

 筒井がスリーストライク目の投球を捕球してから二塁に送球してアウトにしたのではなく、自ら二塁ベースまで走って行ってアウトにしたため、二塁アウトの記録はスコアカードには「2B」と記されており、「雑記」欄にはこの経緯を公式記録員治村宗三が詳細に記載している。

 スリーストライク目のスクイズをウエストなどで打者が空振りして捕手に刺殺が記録され、飛び出してきた三塁走者にタッチしてキャッチャーに「単独ゲッツー」が記録されるケースはあるが、「三振と二塁走者へのタッチによる捕手の単独ゲッツー」はプロ野球史上唯一の珍プレーではないだろうか。

2025年7月26日土曜日

22年 阪急vs金星 10回戦

7月13日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 1 0 0 0 1 2 阪急 25勝26敗2分 0.490 野口二郎 
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 金星 18勝34敗1分 0.346 江田孝

勝利投手 野口二郎 9勝8敗 
敗戦投手 江田孝    5勝13敗

二塁打 (金)大友
本塁打 (急)野口二郎 1号

勝利打点 なし


ダブルエラーで決着

 第13節4日目、後楽園の第1試合は野口二郎と江田孝の先発で午後1時5分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は5回表、野口二郎がライトスタンドにホームランを叩き込んで1点を先制する。

 金星は5回裏、先頭の小前博文が中前打で出塁、江田の投前送りバントは野口二郎が二塁に送球して小前が二封され失敗、辻勇夫の投ゴロをファースト野口明が後逸、一走江田は三塁に進んで一死一三塁、トップに返り酒沢政夫の一ゴロの間に三走江田が還って1-1の同点とする。一走辻は二塁でアウトとなって酒沢が一塁に残り、続く大友一明がレフト線に二塁打を放って二死二三塁、しかし期待の坪内道則監督は三振に倒れる。ここで追加点が取れなかったことが敗因となった。

 阪急は9回表、一死後下社邦男がピッチャー強襲ヒットで出塁、青田昇の遊ゴロで下社は二封、青田が二盗を決めて二死二塁、野口明の三ゴロをサード清原初男が後逸、更にバックアップのレフト小前も後逸、この間に二走青田が一気にホームに還って2-1と勝ち越す。

 野口二郎は5安打2四球4三振、自責点ゼロの完投で10勝目をマークする。戦後2本目、戦前からの通算3本目の本塁打も放った。

 阪急の決勝点はサード清原とレフト小前のダブルエラーによるものだった。2つともエラーが記録されたということは、青田の三塁進塁が清原の失策によるもので青田の本塁生還はレフト小前の失策によるものと判断されたことになる。

 ダブルエラーによる決勝点は、昭和18年10月3日の阪急vs南海12回戦、7回表阪急の攻撃で二死一二塁から「ピッチャー丸山二三雄が二塁に牽制悪送球、二走伊藤健一が三塁に走り、白球を拾ったセカンド増田敏が三塁に送球するがこれも悪送球、伊藤はホームに還って2-1と勝ち越して決勝点になった」以来のことである。

 阪急は4年前にはダブルエラーで敗戦を経験したが、この日はダブルエラーにより勝利を得たのである。

2025年7月25日金曜日

22年 南海vs大阪 6回戦

7月12日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 南海 27勝23敗2分 0.540 中谷信夫 別所昭 松川博爾 
0 0 0 0 2 1 0 4 X 7 大阪 38勝13敗1分 0.745 御園生崇男

勝利投手 御園生崇男 10勝0敗 
敗戦投手 中谷信夫      5勝8敗

二塁打 (大)本堂、御園生
本塁打 (南)山本一人 3号

勝利打点 なし


御園生崇男、開幕10連勝

 西宮の第2試合は中谷信夫と御園生崇男の先発で午後3時20分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は5回裏、先頭の本堂保次が右前打で出塁、玉置玉一は三塁に内野安打、長谷川善三が送りバントを決めて一死二三塁、御園生の投ゴロをピッチャー中谷が弾くがショート小林悟楼がバックアップして一塁アウト、この間に三走本堂が還って1点を先制、二死三塁からワイルドピッチで三走玉置も還って2-0とする。

 南海は6回表、先頭の安井亀和が右前打で出塁、二死後山本一人監督がレフトスタンドに同点ツーランを叩き込んで2-2と追い付く。

 大阪は6回裏、一死後藤村富美男が四球で出塁、藤村の二盗はタイミングはアウトであったが二塁ベースカバーのショート小林が落球してセーフ、土井垣武は四球で一死一二塁、本堂の捕邪飛で二走藤村がタッチアップから三塁を陥れる好走塁、玉置の遊ゴロをショート小林が失する間に三走藤村が還って3-2と勝ち越す。

 南海は7回から先発の中谷に代えて別所昭をマウンドに送り込む。

 大阪は8回裏、先頭の藤村が四球で出塁、土井垣の右前打で無死一三塁、土井垣が二盗を決め、本堂が左中間に2点タイムリー二塁打を放ち5-2、玉置も左前にタイムリーを放ち6-2、南海ベンチはここで別所から三番手の松川博爾にスイッチ、一死後御園生が中越えにタイムリー二塁打を放ち7-2とリードを広げる。

 御園生崇男は3安打2四球1三振の完投で開幕から10連勝を飾る。

 御園生は勝率の高い投手として知られており、昭和12年秋季は11勝0敗で勝率10割を記録した。その後の勝率10割は1981年に間柴茂有(15勝0敗)、2013年に田中将大(24勝0敗)が記録することになる。

2025年7月24日木曜日

22年 金星vs巨人 8回戦

7月12日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 0 0 0 0 0 0 0 0 3 金星 18勝33敗1分 0.353 内藤幸三 
0 0 0 1 3 0 0 0 X 4 巨人 24勝26敗1分 0.480 中尾輝三

勝利投手 中尾輝三 7勝6敗 
敗戦投手 内藤幸三 4勝7敗

三塁打 (巨)平山
本塁打 (巨)川上哲治 4号

勝利打点(巨)田中資昭 1


田中資昭、ミス帳消しの決勝打

 後楽園の第2試合は内藤幸三と中尾輝三の先発で午後2時50分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は初回、先頭の酒沢政夫が四球を選んで出塁、大友一明の遊ゴロの間に酒沢は二進、坪内道則監督の左前打で二走酒沢は三塁ストップするが、レフト平山菊二が直接ホームに送球してしまい、これが悪送球となる間に酒沢が還って1点を先制、外野からの返球はカットまでが基本、打者走者の坪内も二塁に進み、西沢道夫の一ゴロの間に坪内は三進、清原初男が四球から二盗を決めて二死二三塁、ここで小前博文の遊ゴロをショート田中資昭が2点タイムリーエラー、金星が初回に1安打で3点を先制する。

 3回まで無安打の巨人は4回裏、二死後川上哲治がライトスタンドに第4号ソロを叩き込んで反撃の狼煙を上げる。

 巨人は5回裏、二死後宮下信明が中前打で出塁、中尾の中前打で二死一三塁、トップに返り初回に余計な送球ミスを犯した平山が右越えに同点の2点タイムリー三塁打を放ち3-3と追い付き、初回に2点タイムリーエラーを犯した田中が左前に逆転のタイムリーを放ち4-3と試合をひっくり返す。

 中尾輝三は四球を出しながらも2回以降金星打線を無安打無得点に抑え、1安打7四球4三振、自責点ゼロの完投で7勝目をマークする。

 巨人はこのところポイントゲッターになっている平山菊二が同点三塁打、初回にタイムリーエラーをやらかした田中資昭が決勝タイムリーを放ちミスを帳消しにした。

2025年7月22日火曜日

22年 東急vs中日 6回戦

7月12日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 2 0 0 0 0 0 3 6 東急 18勝31敗1分 0.367 白木義一郎
1 0 0 0 1 0 0 0 0 2 中日 31勝18敗1分 0.633 星田次郎 久野勝美

勝利投手 白木義一郎 8勝10敗 
敗戦投手 星田次郎     2勝2敗

二塁打 (東)長持 (中)古川
三塁打 (東)大下
本塁打 (東)大下弘 3号

勝利打点(東)大下弘 7


大下が決勝ツーラン

 西宮の第1試合は白木義一郎と星田次郎の先発で午後1時30分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 中日は初回、二死後古川清蔵が左前打から二盗に成功、大沢清の中前タイムリーで1点を先制する。

 東急は2回表、先頭の熊耳武彦が右前打で出塁するとパスボールで二進、白木の遊ゴロで熊耳は三塁に向かうがショート鈴木清一からサード大沢喜好に送球されてタッチアウト、二死後清水喜一郎の右前打で二死一三塁、清水のディレードスチールにキャッチャー藤原鉄之助が二塁に悪送球、三走白木が還って1-1の同点に追い付く。

 東急は3回表、先頭の一言多十が四球で出塁、鈴木清一が送りバントを決めて一死二塁、二死後大下弘が右越えに第3号ツーランを叩き込んで3-1とリードする。続く長持栄吉も左中間に二塁打、ここで中日ベンチはバッテリーを星田-藤原から久野勝美-上林繁次郎に代えて後続を抑える。

 中日は5回裏、先頭の加藤正二が中前打で出塁、上林は三塁線にヒット、久野の投ゴロを白木がファンブルして無死満塁、三村勲の右飛で三走加藤がタッチアップからホームイン、一走久野もタッチアップから二塁に向かい、ライト長持はホームを諦めて二塁に送球して久野はタッチアウト、三村の右飛で併殺が記録されたが加藤のホームインにより「右犠飛」となって2-3と1点差に迫る。

 中日は7回裏、先頭の小鶴誠が左前打で出塁、一死後上林が四球を選んで一死一二塁、久野のレフトへの飛球で二走小鶴はスタートを切るがレフト大下がキャッチして二塁に送球してダブルプレー。

 東急は9回表、一死後熊耳に代わる代打鈴木圭一郎の当りは遊ゴロ、これをショート杉浦清が一塁に悪送球、白木は三塁線にヒット、大沢喜好の右前打で一死満塁、清水の三塁内野安打がタイムリーとなって4-2、サード三村からの本塁送球が悪送球となる間に二走白木も還って5-2、一死二三塁からトップに返り一言の二ゴロの間に三走大沢が還って6-2とリードを広げる。

 白木義一郎は7安打1四球無三振の完投で8勝目をマークする。

 白木の好投と大下の決勝本塁打が目立つ試合であったが、長持と大下の補殺による2つの併殺も見逃せない。

2025年7月21日月曜日

22年 太陽vs阪急 7回戦

7月12日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 2 0 3 0 0 6 太陽 20勝30敗1分 0.400 井筒研一 
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 阪急 24勝26敗2分 0.480 天保義夫

勝利投手 井筒研一 3勝2敗 
敗戦投手 天保義夫 3勝7敗

二塁打 (急)野口二郎
三塁打 (太)森下

勝利打点(太)藤井勇 4


好調井筒が完投勝利

 第13節3日目、後楽園の第1試合は井筒研一と天保義夫の先発で午後1時3分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は初回、一死後下社邦男が左前打で出塁、二死後下社が二盗に成功、野口明は死球を受けて一死一二塁、坂元義一の左前タイムリーで1点を先制する。

 太陽は4回表、先頭の森下重好がセンター左奥に三塁打、伊勢川真澄の右犠飛で1-1の同点に追い付く。

 太陽は5回表、二死後荒川昇治が右前打で出塁、辻井弘の遊ゴロをショート田中幸男が二塁に送球するがセカンド安井鍵太郎のベースカバーが遅れてセーフ、野選が記録されて無死一二塁、藤井勇の左前タイムリーで2-1、レフト下社が後逸する間に一走辻井もホームに還って3-1とする。

 太陽は7回表、一死後井筒が右前打で出塁、トップに返り荒川が三前に内野安打、サード荒木茂の一塁送球が逸れる間に一走井筒が一気にホームに還り4-1、打者走者の荒川も三塁に進み、辻井の中前タイムリーで5-1、藤井の中前打で一死一三塁、森下の三ゴロはサード荒木がこの回2度目の送球ミスで一死満塁、伊勢川の一ゴロ併殺崩れの間に三走辻井がホームに還って6-1とする。

 前節週間MVPの好調井筒研一は、初回の1失点で連続無失点こそ16イニングで途切れたものの2回以降は阪急打線を無失点に抑えて、7安打3四球1死球3三振の完投で3勝目をマークする。

 井筒は昭和14年にライオンに入団し、応召と終戦を挟んで戦後パシフィックに復帰、現在は太陽に所属し、昭和27年に松竹でプレーした後に引退して審判員に転向するが、所属球団は同一球団ながら球団名がライオン-朝日-パシフィック-太陽-大陽-松竹と変遷していく。

2025年7月19日土曜日

22年 中日vs南海 8回戦

7月11日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 中日 31勝17敗1分 0.646 服部受弘 
0 0 2 0 0 0 0 0 X 2 南海 27勝22敗2分 0.551 別所昭

勝利投手 別所昭   13勝9敗 
敗戦投手 服部受弘 9勝2敗

本塁打 (中)小鶴誠 5号

勝利打点(南)堀井数男 3


別所昭、ハーラートップタイ

 西宮の第2試合は服部受弘と別所昭の先発で午後3時33分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 南海は3回裏、二死後河西俊雄が右前打で出塁すると二盗に成功、岡村俊昭は四球、山本一人監督も四球で二死満塁、堀井数男が中前に先制の2点タイムリーを放ち2-0とリードする。

 現在36イニング連続無得点の中日は1回から3回まで三者凡退の連続。4回は四球で初走者、5回は初ヒットが出るが別所に抑え込まれて無得点が続く。

 中日は7回表、先頭の大沢清がストレートの四球で出塁、杉浦清監督は中前打、加藤正二は三塁内野安打で無死満塁、しかし服部の投ゴロが「1-2-3」と渡ってダブルプレー、藤原鉄之助に代打藤本英雄を起用すするが中飛に倒れて43イニング連続無得点。

 中日は8回表、先頭の三村勲に代わる代打小鶴誠がレフトスタンドに第5号ホームラン、7月5日の東急戦3回表以来の得点となって1-2と1点差に追い上げる。

 別所昭は最終回も一死から連続三振で締めて、6安打3四球5三振の完投で13勝目をマーク、藤本とハーラートップタイに並んだ。

 中日は44イニング無得点は免れたものの、首位大阪には5ゲーム差と離された。

2025年7月18日金曜日

22年 太陽vs巨人 8回戦

7月11日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 1 0 0 0 0 0 3 太陽 19勝30敗1分 0.388 真田重蔵 
0 0 0 0 0 0 4 4 X 8 巨人 23勝26敗1分 0.469 多田文久三

勝利投手 多田文久三 5勝3敗 
敗戦投手 真田重蔵    7勝12敗

本塁打 (太)森下重好 4号、5号 (巨)多田文久三 1号

勝利打点 なし


小松原と平山がポイントゲッター

 後楽園の第2試合は真田重蔵と多田文久三の先発で午後2時50分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 太陽は初回、一死後辻井弘が四球を選んで出塁、二死後森下重好がレフトスタンドに先制ツーランを放ち2-0とリードする。

 太陽は4回表、一死後森下がレフトスタンドに追撃の2打席連続弾を叩き込んで3-0とリードを広げる。

 このまま真田が完封でもすれば太陽にとっては万々歳だったのだが・・・。

 ラッキーセブンを迎えた巨人は7回裏、先頭の宮下信明が右前打で出塁、トップに返り呉新亨に代わる代打古家武夫は三振に倒れるが、田中資昭が四球を選んで二死一二塁、千葉茂の遊ゴロをショート松井信勝がエラー、この間に二走宮下が還って1-3、川上哲治が四球を選んで二死満塁、小松原博喜が中前に2点タイムリーを放ち3-3の同点、三塁に達していた一走川上が太陽守備陣の送球の隙を突いてホームに還り4-3と逆転する。センター森下から本塁に返球され、キャッチャー伊勢川真澄は打者走者の一塁オーバーランを見てファースト辻井に送球したが、三走川上がその隙を突いてホームに滑り込んだ。川上の本塁進塁に対して太陽側にエラーは記録されていない。送球の間の進塁であった。

 巨人は8回裏、一死後多田がレフトスタンドにホームランを叩き込んで5-3、トップに返り林清光が左前打で出塁、二死後千葉が右前打、川上は四球で二死満塁、小松原が押出し四球を選んで6-3、平山菊二が左前に2点タイムリーを放ちこの回4点追加、8-3とリードを広げる。

 多田文久三は4安打4四球5三振の完投で5勝目をマークする。森下に2打席連続本塁打を打たれたが、自らも4年ぶりの本塁打を放った。

 真田重蔵は6回まで完封ペースだったが7回二死からのエラーをきっかけに崩れた。7回の4失点は二死後のエラー以降の失点なので自責点にはならない。調子が上がらない真田だが、6回までの投球内容には復調の兆しもみられる。

 巨人ではこのところ小松原博喜と平山菊二がポイントゲッターになっているが、この日も小松原が3打点、平山が2打点の活躍であった。

2025年7月16日水曜日

22年 大阪vs東急 8回戦

7月11日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 1 1 2 0 0 5 大阪 37勝13敗1分 0.740 渡辺誠太郎
0 0 0 0 3 0 0 0 0 3 東急 17勝31敗1分 0.354 黒尾重明 白木義一郎

勝利投手 渡辺誠太郎 2勝1敗 
敗戦投手 黒尾重明     5勝9敗

二塁打 (大)藤村、本堂、金田 (東)黒尾

勝利打点(大)金田正泰 4


大阪、波状攻撃で逆転

 西宮の第1試合は渡辺誠太郎と黒尾重明の先発で午後1時33分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、一死後塚本博睦が四球で出塁、金田正泰も四球を選んで一死一二塁、藤村富美男の中越えタイムリー二塁打で1点を先制する。

 大阪は5回表、先頭の山口政信が中前打で出塁、長谷川善三の二ゴロをセカンド清水喜一郎がエラー、渡辺の一塁線ヒットで無死満塁、一死後塚本博睦の遊ゴロ併殺崩れの間に三走山口が還って2-0とする。

 東急は5回裏、先頭の大下弘が右前打で出塁、一死後鈴木圭一郎が左前打、黒尾の一塁内野安打で一死満塁、大沢喜好の二ゴロをセカンド本堂保次が失する間に三走大下が還って1-2、大沢には打点が記録され、清水の一ゴロで三走鈴木圭一郎は本封、二死満塁となってトップに返り一言多十が右前に逆転の2点タイムリーを放ち3-2と試合をひっくり返す。

 大阪は6回表、先頭の藤村がライト線にヒット、一死後本堂の右越えタイムリー二塁打で3-3の同点に追い付く。

 大阪は7回表、先頭の渡辺が中前打で出塁、トップに返り呉昌征が三遊間にヒット、塚本が送りバントを決めて一死二三塁、東急ベンチはここで先発の黒尾から白木義一郎にスイッチするが、金田が中越えに2点タイムリー二塁打を放ち5-3とリードする。

 渡辺誠太郎は6安打2四球1死球6三振の完投で2勝目をマークする。渡辺は打っても3打数2安打の活躍。以前は打者として起用されることが多く、シーズン途中には一時首位打者に立ったこともある。

 大阪は得意の波状攻撃で逆転勝利。チーム合計12安打であったが猛打賞は無しで、二番塚本、四番藤村、六番本堂、九番渡辺が2安打と上位下位万遍なくヒットを連ねるのが初期ダイナマイト打線の特徴である。

 大阪は独走態勢に入ってきた。

2025年7月15日火曜日

22年 金星vs阪急 9回戦

7月11日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 1 0 0 0 2 金星 18勝32敗1分 0.360 重松通雄
0 0 0 0 1 0 2 0 X 3 阪急 24勝25敗2分 0.490 今西錬太郎 野口二郎

勝利投手 野口二郎 8勝8敗 
敗戦投手 重松通雄 7勝5敗

二塁打 (金)大友 (急)野口二郎
三塁打 (急)安井

勝利打点 なし


両軍無三振

 第13節2日目、昨日の雨も上がった後楽園の第1試合は重松通雄と今西錬太郎の先発で午後零時59分、西垣球審の右手が上がりプレイボール。

 1回、3回と併殺でチャンスを潰した金星は4回表、先頭の中村信一が四球を選んで出塁、大友一明が送りバントを決めて一死二塁、二死後西沢道夫の中前タイムリーで1点を先制する。

 金星は初回も先頭の中村が四球で出塁したが、二番大友は強攻策に出て遊ゴロ併殺に終わった。4回はきちんと送って先制点に結び付けた。

 阪急は5回裏、一死後日比野武が右前打、ライト坂本勲が後逸する間に打者走者の日比野は二塁に進み、二死後上田藤夫の欠場によりセカンドに起用された安井鍵太郎が右中間に同点のタイムリー三塁打を放ち1-1と追い付く。

 金星は6回表、先頭の中村が3打席連続四球を選んで出塁、大友のライト線二塁打で無死二三塁、阪急ベンチはここで先発の今西から野口二郎にスイッチ、坪内道則監督の左前タイムリーで2-1と1点を勝ち越す。

 阪急は7回裏、二死後荒木茂が左前打で出塁、安井の右前打で二死一二塁、野口二郎がレフト線にタイムリー二塁打を放ち2-2の同点、二死二三塁からトップに返り田中幸男の遊ゴロをショート中村が失する間に三走安井が決勝のホームを踏む。

 中村信一は決勝のタイムリーエラーを犯したものの、先頭打者として3打席連続四球で出塁。昭和11年に苅田久徳がセネタースに入団した際、プロではセカンドに転向すると決めていた苅田は法政の後輩だった中村信一をセネタースに引っ張り、キーストーンコンビとして徹底的に鍛え上げた。この経緯は苅田の自伝「天才内野手の誕生」に詳しい。11年後も苅田は東急、中村は金星で現役を続けている。

 阪急は開幕からセカンドを務めてきた上田藤夫が欠場して前の試合からセカンドに安井鍵太郎が入っている。安井はここまで22打数1安打、打率0割4分5厘であったがこの日は2安打1打点、一時同点に追い付くタイムリー三塁打を放った。上田はしばらく欠場が続くことになる。

 この試合は両軍無三振であった。公式記録員の山内以九士はスコアカードの「雑記」欄に「無三振試合」と記している。

2025年7月13日日曜日

22年 大阪vs中日 8回戦

7月10日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 2 0 0 0 0 0 0 3 大阪 36勝13敗1分 0.735 若林忠志 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 中日 31勝16敗1分 0.660 藤本英雄

勝利投手 若林忠志 11勝5敗 
敗戦投手 藤本英雄 13勝8敗

勝利打点(大)本堂保次 3


恐竜打線沈黙

 西宮の第2試合は首位大坂と3ゲーム差で追う中日による首位攻防戦。中日としてはこれ以上離されたくない前半戦の天王山となる。

 若林忠志と藤本英雄の先発で午後3時23分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は2回表、先頭の藤村富美男が右前打で出塁、土井垣武の右前打で無死一三塁、本堂保次の二ゴロで土井垣が二封される間に三走藤村が還って1点を先制する。強打のダイナマイト打線が藤本を右打ちで攻略した。

 大阪は3回表、先頭の呉昌征が右前打で出塁、金田正泰も右前打で続いて無死一二塁、キャッチャー藤原鉄之助からの二塁牽制が悪送球となって二者進塁、一死後藤村の投ゴロの間に三走呉昌征が還って2-0、土井垣の一塁線タイムリーで3-0とする。この回は一二番の左打者が引っ張ってチャンスを作った。

 若林忠志は5安打無四球3三振の芸術的なピッチングで今季4度目の完封、11勝目をマークする。

 恐竜打線は36イニング連続無得点と失速してきた。

 6月14日を最後に切り込み隊長岩本章が戦列を離れてから得点力が落ちている。笠石徳五郎と杉江文二がトップに入って頑張ってはいるが、杉浦清監督も頭が痛いところで自ら二番に入ったり打線組み換えに苦心している。この日はベテラン山本尚敏を二番に入れた。

 主砲小鶴誠も休みがちで、四番には代役として大沢清を入れて何とかカバーしているが徐々に大阪に離されて4ゲーム差となった。

 岩本と小鶴はオフの赤嶺旋風で退団することになる。お家騒動の兆候は既に芽生えていると見てよいであろう。当ブログはスコアカードを見ながら分析することができる。読者の方々も、「日本プロ野球私的統計研究会」様の「スタメンアーカイブ」を見ながら恐竜打線の変遷を分析してみると、より現実感が湧いてくるのではないか。

2025年7月12日土曜日

22年 南海vs東急 10回戦

7月10日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 3 0 2 6 南海 26勝22敗2分 0.542 丸山二三雄 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 東急 17勝30敗1分 0.362 一言多十

勝利投手 丸山二三雄 8勝4敗 
敗戦投手 一言多十     3勝4敗

二塁打 (南)山本、河西 (東)大下

勝利打点(南)筒井敬三 3

猛打賞 (南)山本一人 3


丸山二三雄、半月で3度目の完封

 第13節初日、関西は昨夜の雨が上がって試合可能だが、関東は雨が残って後楽園の試合は順延。

 今節は関西に人気チームの大阪と南海が集結。第2試合には大阪vs中日の首位攻防戦が組まれていることもあって、西宮球場には今季関西での平日初の1万人越えとなる12,241人の観客が押し寄せた。

 西宮の第1試合は丸山二三雄と一言多十の先発で午後1時32分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 南海は2回表、先頭の山本一人監督が左前打で出塁、堀井数男の一ゴロの間に山本は二進、二死後筒井敬三の左前タイムリーで1点を先制する。

 南海は7回表、先頭の丸山が中前打で出塁、一言の一塁牽制をファースト飯島滋弥が逸らして丸山は二進、小林悟楼の三塁内野安打で丸山は動けず無死一二塁、一死後河西俊雄の三ゴロをサード大沢喜好がベースを踏んで二走丸山は三封、二死一二塁となって岡村俊昭はスリーボールワンストライクから四球、この時二走小林はスタートを切っており、キャッチャー鈴木圭一郎が投げる必要のない三塁に送球、これが悪送球となる間に小林が生還して2-0、二死一二塁から山本が左越えに2点タイムリー二塁打を放ち4-0とリードを広げる。

 南海は9回表、一死後安井亀和が中前打で出塁、河西の右中間二塁打で一死二三塁、岡村の右犠飛で5-0、二走河西もタッチアップから三塁に進み、山本の遊ゴロ失の間に河西が還って6-0として試合を決める。

 丸山二三雄は5安打2四球2三振で今季3度目の完封、8勝目をマークする。丸山は6月26日以降、5試合の登板で3度の完封勝利。現時点では別所に代わってエースの座に就いている。

2025年7月11日金曜日

22年 第12節 週間MVP

週間MVP

投手部門
 太陽 井筒研一  1 1勝1完封、今節16イニング無失点。 現在31イニングス連続自責点ゼロを継続中。キャリアで最高の状態にある。
打撃部門
 大阪 藤村富美男 1 22打数9安打2得点9打点。 ダイナマイト打線を牽引する活躍。

殊勲賞
 阪急 野口明   2 21打数5安打1得点8打点。 3日の巨人戦で満塁本塁打。
 巨人 小松原博喜 2 20打数4安打2得点9打点。 前節最終戦から4試合で11打点。
 中日 杉浦清   2 22打数7安打3得点5打点。 4日の南海戦で満塁本塁打。
 大阪 山口政信  1 4日の巨人戦で逆転サヨナラ打。 大阪が独走態勢を築くきっかけとなる。
 東急 長持栄吉  2 4日の太陽戦で満塁本塁打。3節連続の三賞受賞。 

敢闘賞
 大阪 呉昌征   1 20打数10安打8得点。 
 大阪 金田正泰  2 16打数8安打8得点。 
 大阪 長谷川善三 1 18打数8安打2得点3打点。7日の金星戦で5安打。 
 阪急 下社邦男  1 13打数7安打、三塁打2本。 
 太陽 伊勢川真澄 2 19打数7安打1得点5打点。 

技能賞
 阪急 山田伝   1 6日の金星戦で好走塁。


2025年7月10日木曜日

22年 大阪vs金星 10回戦

7月7日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
3 3 3 0 2 0 0 1 5 17 大阪 35勝13敗1分 0.729 野崎泰一 渡辺誠太郎
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  金星 18勝31敗1分 0.367 内藤幸三 門馬祐 西沢道夫 秋枝寿一郎

勝利投手 野崎泰一    1勝2敗 
敗戦投手 内藤幸三    4勝7敗 
セーブ    渡辺誠太郎 1

二塁打 (大)長谷川 3、金田 (金)清原、秋枝

勝利打点(大)土井垣武 6

猛打賞 (大)呉昌征 5、金田正泰 4、長谷川善三(5安打)1 (金)清原初男 5


長谷川善三、5安打二塁打3本

 第12節最終日最終戦、西宮の第2試合は野崎泰一と内藤幸三の先発で午後3時41分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、先頭の塚本博睦が右前打で口火を切り、呉昌征は左前打、金田正泰も右前打で続いて無死満塁、一死後土井垣武の右前2点タイムリーで2-0、一死一三塁から本堂保次の遊ゴロの間に三走金田が還って3点を先制する。

 大阪は2回表、先頭の長谷川善三がレフト線に二塁打、野崎が送りバントを決めて一死三塁、トップに返り塚本の中犠飛で4-0、呉昌征は四球から二盗に成功、金田が右越えにタイムリー二塁打を放ち5-0、藤村富美男の中前タイムリーでこの回3点追加、6-0とする。

 金星は3回から先発の内藤に代えて門馬祐をマウンドに送る。

 大阪は3回表、先頭の本堂が左前打で出塁、山口政信は中前打、長谷川も中前打を放って無死満塁、野崎が押出し四球を選んで7-0、トップに返り塚本の中前タイムリーで8-0、金星ベンチはここで門馬を下げてファーストの西沢道夫を三番手のマウンドに送り、一死後金田の右前タイムリーでこの回も3点追加、9-0とする。

 大阪は5回表、先頭の塚本が四球から二盗に成功、呉昌征の三遊間ヒットで無死一三塁、金田は四球を選んでこの試合三度目の無死満塁、藤村の遊ゴロで金田が二封される間に三走塚本に続いて二走呉もホームに還る好走塁を見せて2点を追加、11-0とする。藤村には2打点が記録された。

 大阪は勝利投手の権利を得た先発の野崎を5回で下げて、6回から渡辺誠太郎がマウンドに上がる。同時にキャッチャーも土井垣から小林英一に交代。

 金星は8回から西沢をファーストに戻して秋枝寿一郎がプロ入り初登板のマウンドに上がる。

 大阪は8回表、一死後山口がストレートの四球で出塁、長谷川の中前打で無死一二塁、ここで初登板の秋枝がボークを犯して無死二三塁、渡辺の遊ゴロの間に三走山口が還って12-0とする。

 大阪は9回表、一死後金田が四球で出塁、藤村は左前打、小林の二ゴロをセカンド大友一明が失して一死満塁、本堂は押出し四球、山口も押出し四球を選んで14-0、長谷川が左中間に走者一掃の3点タイムリー二塁打を放ちこの回5点を追加、17-0とする。

 金星は9回裏、先頭の秋枝がプロ入り初打席で左中間に二塁打、二死後トップに返り中村信一に代わる代打山本秀男が中前打、大友は四球を選んで二死満塁と最後の反撃を試みるが、坪内道則監督が左飛に倒れて試合終了。

 ダイナマイト打線は19安打で17得点、二塁打4本でシングルヒット13本を連ねた。4本の二塁打のうち、3本を打ったのがダイナマイト打線では唯一打力が弱いとされる長谷川善三であった。長谷川は5安打を放って打率を1割6分2厘から1割9分7厘に引き上げた。

 大敗の金星では清原初男が猛打賞を記録して一人気を吐いた。

 台湾実業出身の秋枝寿一郎がプロ入り初出場。ピッチングではボークを犯したが、バッティングでは初打席で二塁打を放った。秋枝のプロでの活動は今季だけとなる。

 西沢道夫が5イニングを投げた。戦前の投手時代には20勝とノーヒットノーランを記録した西沢は、昨年ゴールドスターに移籍後打者転向してからは1試合だけ登板、この日の投球がプロでの最後のマウンドになった。

 2025年現在、ロサンジェルス・ドジャースでは大差で負けている試合で野手のキケ・ヘルナンデスがマウンドに上がっている。1947年でも2025年でもやっていることは何も変わらない。

2025年7月9日水曜日

22年 東急vs太陽 7回戦

7月7日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 1 0 0 0 0 0 0  0  1  東急 17勝29敗1分 0.370 一言多十 黒尾重明 
0 0 1 0 0 0 0 0 1X 2 太陽 19勝29敗1分 0.396 池田善蔵

勝利投手 池田善蔵 5勝6敗 
敗戦投手 黒尾重明 5勝8敗

二塁打 (東)大沢喜好

勝利打点(太)平野徳松 2


平野徳松がサヨナラ犠飛

 後楽園の第2試合は一言多十と池田善蔵の先発で午後3時29分、西垣球審の右手が上がりプレイボール。

 東急は2回表、一死後長持栄吉がストレートの四球で出塁、鈴木圭一郎は中前打を放って一死一二塁、一言の三ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、大沢喜好は四球を選んで二死満塁、柴田繁雄が押出しの死球を受けて1点を先制する。

 太陽は3回裏、一死後松井信勝が三前にセーフティバントを決めて出塁、池田の三ゴロをサード大沢が二塁に送球するがベースカバーに入ったセカンド苅田久徳監督が落球して一死一二塁、トップに返り荒川昇治の右前タイムリーで1-1の同点に追い付く。

 太陽は8回裏、先頭の池田が四球を選んで出塁、トップに返り荒川の送りバントは犠打野選となって無死一二塁、東急ベンチはここで先発の一言をセンターに回して黒尾重明をマウンドに送り、辻井弘は三振、スリーストライク目に一走荒川のリードが大きくキャッチャー鈴木圭一郎は一塁に送球、この間に二走池田が三塁にスタート、ファースト飯島滋弥から三塁に送球されて池田はタッチアウト、この回も無得点に終わる。

 1対1の同点で迎えた太陽最終回の攻撃、先頭の森下重好が左前打で出塁、伊勢川真澄の二ゴロをセカンド苅田が二塁に悪送球、無死一二塁から藤村隆男が送りバントを決めて一死二三塁、平野徳松がライトにサヨナラ犠飛を放ち太陽が快勝。

 池田善蔵は5安打4四球2三振の完投で5勝目をマークする。

 東急は苅田の2失策が響いて自責点ゼロの敗戦となった。

 平野徳松は6月29日阪急戦のサヨナラ二塁打に続いてサヨナラ犠飛を放つ活躍を見せた。

 池田善蔵は尾道商業から慶應野球部に進んだが、学徒出陣世代であり大学での球歴は確認できない。最後の早慶戦のメンバーにもその名は見られない。学徒出陣を控えて慶應野球部は選手を帰省させていたが、最後の早慶戦開催が決まると全国から選手を呼び寄せた。映画でも別当薫が嬉々として東京に戻るシーンが描かれている。池田は戻れなかった事情があったのかもしれないが、真相は不明。プロで活躍後は母校の監督としてセンバツ準優勝2回と、尾道商業野球部の全盛期を築き上げることになる。

2025年7月8日火曜日

22年 阪急vs巨人 8回戦

7月7日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 2 1 4 阪急 23勝25敗2分 0.479 今西錬太郎 
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 巨人 22勝26敗1分 0.458 川崎徳次

勝利投手 今西錬太郎 11勝5敗 
敗戦投手 川崎徳次      7勝7敗

二塁打 (急)下社、今西 (巨)川上

勝利打点(急)楠安夫 1

猛打賞 (急)下社邦男 3


阪急、単独4位に浮上

 西宮の第1試合は今西錬太郎と川崎徳次の先発で午後1時37分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 現在同率で4位タイに並ぶライバル同士の一戦。

 巨人は初回、一死後平山菊二、千葉茂が連続四球、川上哲治が中越えにタイムリー二塁打を放ち1点を先制する。

 阪急は1回、2回と2安打を放ちながら無得点。3回~5回は三者凡退の連続。

 阪急は6回表、二死後青田昇がライト線ヒットから二盗に成功、野口明は四球、坂元義一も四球を選んで二死満塁、日比野武に代わる代打野口二郎が押出し四球を選んで1-1の同点に追い付く。

 阪急はキャッチャー日比野に代打野口二郎を起用したので、野口はライトに入り、五番ライト坂元のところに巨人から移籍してきた楠安夫が入って日比野に代わって阪急での初マスクを被る。

 阪急は8回表、先頭の下社邦男がライト線に二塁打、青田は四球、野口明の投ゴロが野選を誘って無死満塁、楠の二ゴロの間に三走下社が還って2-1と勝越し、野口二郎が中前にタイムリーを放ち3-1とする。

 阪急は9回表、先頭の今西がレフト線に二塁打、トップに返り田中幸男は死球を受け、下社の三遊間ヒットで無死満塁、青田の投ゴロで三走今西は本封されて一死満塁、野口明の左犠飛で4-1と突き放す。

 今西錬太郎は巨人打線を3安打1失点に抑え、11勝目をマークする。ハーラーダービーは藤本英雄が13勝でトップ、別所昭が12勝で続き、今西もハーラー争いに顔を出してきた。
 阪急は同率の巨人を倒して単独4位に浮上した。

 満塁からのセカンドゴロで勝利打点をあげた楠安夫は巨人から移籍して一昨日の大阪戦で5年ぶりの公式戦出場を果たし、この日は古巣との一戦で戦後初打点を記録した。楠は大変な勉強家として知られており、14年の現役生活でレギュラーだったのは昭和17年の1年間だけのバイプレイヤーだったにもかかわらず、現役引退後はその豊富な知識を活かしてテレビ、ラジオ各局で名解説者として活躍することになる。

2025年7月7日月曜日

22年 南海vs中日 7回戦

7月7日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  0 南海 25勝22敗2分 0.532 別所昭 
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  0 中日 31勝15敗1分 0.674 藤本英雄

二塁打 (中)杉浦

勝利打点 なし


歴史的投げ合い

 雨が降らなかった5日間開催の第12節最終日、後楽園の第1試合は時代を代表する二人、別所昭と藤本英雄の先発で午後1時6分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 プレイボール直後の時点では、期待感はあったかもしれないがこの試合が歴史的な試合になるとは誰にも分らなかった。

 南海は初回、先頭の安井亀和が四球を選んで出塁、河西俊雄は三振に倒れるがスリーストライク目に安井が二盗に成功、二死後山本一人監督も四球で二死一二塁、山本がディレードスチールを仕掛けて一二塁間に挟まれ、キャッチャー藤原鉄之助の二塁送球を見て三走安井がスタートを切るが安井のホームインより早く山本が「2-6-3」でタッチアウト、山本に「盗塁失」が記録されて無得点。

 中日は初回、先頭の杉江文二が四球を選んで出塁、金山次郎が送りバントを決めて一死二塁、古川清蔵のレフトライナーに二走杉江は戻れず「7-4」と送球されてダブルプレー。

 南海は2回表、先頭の堀井数男が右前打で出塁、朝井昇の「ライトライナーに堀井は戻れず「9-3」と送球されてダブルプレー。ここはエンドランだったか。エンドランの場合はいい当たりだったとしてもライナーはご法度。

 中日は2回裏、先頭の大沢清が四球を選んで出塁、杉浦清監督が三塁線を破る二塁打を放って無死二三塁、一死後藤本の遊ゴロの際に二走杉浦がショート小林悟楼に対して「守備妨害」、イリーガルプレーが記録されて打者走者の藤本は一塁に残り二死一三塁、ここでダブルスチールを仕掛けるが「2-6-2」の送球で三走大沢はタッチアウト。

 中日は3回裏、先頭の藤原鉄之助が三塁線を抜き、一塁を回って二塁を狙うがレフト岡村俊昭が素早く送球してタッチアウト、三村勲が三塁に内野安打を放って一死一塁、トップに返り杉江の投ゴロが「1-6-3」と転送されてダブルプレー。

 中日は5回裏、一死後藤本が左前打で出塁、しかし藤原の二ゴロが「4-6-3」と転送されてここもダブルプレー。

 中盤以降も別所と藤本の投げ合いは続き、南海は9回まで3安打無得点、中日も8回まで6安打無得点。

 中日は9回裏、二死後加藤正二が中前打で出塁、藤本はストレートの四球で二死一二塁、ここで中日ベンチはサヨナラの二塁走者加藤に代走笠石徳五郎を起用、藤原がライト前にヒット、二走笠石は三塁ベースを蹴ってサヨナラのホームに向かうが、ライト朝井昇からの返球を中継したピッチャー別所の本塁送球にホーム寸前タッチアウト、試合は0対0のまま延長戦に突入。

 中日は11回裏、一死後大沢が四球で出塁、しかし杉浦のショートライナーに大沢が戻れずダブルプレー。

 12回は両軍三者凡退。延長12回0対0で引き分く。

 別所昭は12回を9安打6四球1死球6三振無失点。

 藤本英雄は12回を4安打2四球4三振無失点。

 時代を代表する二投手による歴史的投手戦となった。

2025年7月6日日曜日

22年 大阪vs巨人 8回戦

7月6日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 0 0 2 4 大阪 34勝13敗1分 0.723 武智修
0 0 0 0 0 0 0 1 1 2 巨人 22勝25敗1分 0.468 諏訪裕良 近藤貞雄

勝利投手 武智修     3勝2敗 
敗戦投手 諏訪裕良 1勝4敗

本塁打 (巨)川上哲治 3号

勝利打点(大)藤村富美男 4

猛打賞 (大)呉昌征 4、藤村富美男 5 (巨)内堀保 3


ダイナマイト打線、全てシングルの13安打

 西宮の第2試合は武智修と諏訪裕良の先発で午後3時30分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、一死後金田正泰が三塁線に内野安打、サード古家武夫からの一塁悪送球もあって打者走者の金田は二塁に進み、富樫淳の中前打で一死一三塁、藤村富美男の左前タイムリーで1点を先制、二死後本堂保次の右前タイムリーで2-0とりーどする。

 7回まで武智に3対して3安打無得点の巨人は8回裏、先頭の平山菊二が中前打で出塁、内堀保も中前打、田中資昭の一ゴロが野選を誘って無死満塁、諏訪に代わる代打中島治康の右犠飛で1点返して1-2と1点差、トップに返り古家の三ゴロで中島が二封されて二死一三塁、呉新亨に代わる代打多田文久三はストレートの四球で二死満塁、大阪ベンチはここでライトを富樫から塚本博睦に交代、ここは武智に一息入れさせることが目的、落ち着きを取り戻した武智が千葉茂を左飛に打ち取る。

 諏訪に代打を出した巨人は9回表のマウンドに近藤貞雄を送る。

 大阪は9回表、二死後呉昌征が四球を選んで出塁、金田の右前打で二死一二塁、塚本の三塁内野安打でサード古家が又も一塁に悪送球、呉昌征が還って3-1、藤村の左前タイムリーで4-1と突き放す。

 巨人は9回裏、先頭の川上哲治がセンター左奥に第3号を叩き込んで1点返すが反撃もここまで。

 武智修は7安打2四球2三振の完投で3勝目をマークする。

 ダイナマイト打線は13安打全てがシングルヒット。初期のダイナマイト打線の特徴は打線のつながりにあった。

 大阪8回表の攻撃は藤村のヒットと土井垣武の四球で無死一二塁、本堂の二ゴロでセカンドに滑り込んだ土井垣のスライディングが激しくショート田中は一塁送球ができなかった、このプレーに対して「守備妨害」が認定されて併殺となるイリーガルプレーが記録された。関西の試合を担当する公式記録員治村宗三は「雑記」欄に「土井垣二封された折、一塁送球を妨害してアウトの宣告を受けた」と記している。

2025年7月4日金曜日

22年 太陽vs中日 8回戦

7月6日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 3 0 0 1 0 0 0 4 太陽 18勝29敗1分 0.383 井筒研一 0
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 中日 31勝15敗       0.674 松尾幸造 服部受弘

勝利投手 井筒研一 2勝2敗 
敗戦投手 松尾幸造 0勝2敗

二塁打 (太)伊勢川、藤井

勝利打点(太)森下重好 5 

猛打賞 (太)藤井勇 5


井筒研一、31イニングス連続自責点ゼロ

 後楽園の第2試合は井筒研一と松尾幸造の先発で午後3時14分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 中日は初回、先頭の金山次郎が左前打で出塁、杉浦清監督はストレートの四球で無死一二塁、一死後小鶴誠も四球で満塁のチャンスを迎えるが、大沢清と加藤正二が倒れて無得点。

 太陽は3回表、二死後辻井弘が中前打で出塁、藤井勇も中前打を放って二死一二塁、森下重好が右中間に先制タイムリーを放ち1-0、二死一三塁から伊勢川真澄が右中間を破る2点タイムリー二塁打、3-0とリードする。

 太陽は6回表、先頭の伊勢川が左前打で出塁、藤村隆男は四球で無死一二塁、平野徳松の捕前のゴロは「2-5-3」と渡るが三塁セーフで一死二三塁、松井信勝の遊ゴロの間に三走伊勢川が還って1点追加、4-0とする。

 井筒研一は6安打4四球4三振で強竜打線を完封、2勝目をマークする。

 昨年13勝をマークしながら今季出遅れていた井筒は、6月5日の大阪戦で3イニング無失点、6月13日の阪急戦で3イニング無失点、6月21日の南海戦は9イニングを完投して1失点ながら自責点ゼロ、7月4日の東急戦で7イニングを無失点、そしてこの日は9イニングを完封と、31イニングス連続自責点ゼロを続けている。戦前は野手としての出場が多く、投手としては通算0勝5敗であった。5年ぶりに戦場から復帰した戦後は昨年が13勝、出遅れながら調子を取り戻してきた現在はキャリア最高の状態で投げている。戦場から生きて戻ってきたからこそである。

2025年7月3日木曜日

22年 金星vs阪急 8回戦

7月6日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 1 0 0 0 3 金星 18勝30敗1分 0.375 三富恒雄 江田孝 
2 2 0 0 0 0 0 0 X 4 阪急 22勝25敗2分 0.468 森弘太郎 野口二郎

勝利投手 森弘太郎 2勝3敗 
敗戦投手 江田孝     5勝12敗 
セーブ     野口二郎 1

二塁打 (金)西沢、重松

勝利打点(急)田中幸男 2

猛打賞 (金)坪内道則 6、西沢道夫 4


山田伝の好走塁で阪急快勝

 西宮の第1試合は三富恒雄と森弘太郎の先発で午後1時30分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は初回、一死後大友一明が左前打で出塁、坪内道則監督が3球ファウルで粘ってから放った当りは二ゴロ、これをセカンド上田藤夫が失して一死一二塁、西沢道夫の左前打で一死満塁、清原初男の遊ゴロは「6-4-3」と転送されてゲッツーかと思いきや、上田からの一塁送球が悪送球となる間に三走大友に続いて二走坪内もホームに還り2点を先制、清原には打点「1」が記録された。打点が記録されたということは「併殺崩れ」と認定されたことになる。セカンド上田からの一塁送球は悪送球でなくてもセーフのタイミングだったことを意味する。上田のエラーは坪内の本塁生還に対して「失策」が記録されたものである。

 阪急は1回裏、先頭の田中幸男が中前打で出塁、初回に2失策の二番上田は四球を選んで無死一二塁、青田昇の二ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、野口明が中前に同点の2点タイムリーを放ち2-2と追い付く。

 阪急は2回裏、先頭の荒木茂が左前打で出塁、森が送って一死二塁、山田伝の中前打で二走荒木は三塁ストップ、しかしセンター坪内からの三塁送球の間に打者走者の山田が二塁を陥れる好走塁を見せて一死二三塁、トップに返り田中が中前に2点タイムリーを放ち4-2と勝ち越す。

 山田のヒットで二走荒木がホームに突っ込んでの本塁送球の間に二塁に進んだのであればよく見られる走塁であるが、荒木は三塁ストップでセンター坪内からの三塁送球の隙を突く山田の走塁は「プロ技ブロンズ」に認定できる。

 金星は6回表、先頭の坪内が左前打、西沢も左前打で続いて無死一二塁、阪急ベンチはここで先発の森から野口二郎にスイッチ、二死後江田が左前にタイムリーを放ち3-4と1点差に詰め寄る。

 金星は8回表、一死後小前博文が中前打で出塁、続く江田の初球で小前が二盗を試みるがキャッチャー日比野武からの送球にタッチアウト、この際セカンド上田が小前にスパイクされて負傷退場、セカンドには安井鍵太郎が入り、後続なく無得点。

 金星は9回表、先頭の辻勇夫に変わる代打重松通雄が右中間に二塁打、代走に山本秀男を起用、門馬祐が送りバントを決めて一死三塁と同点のチャンス、しかしスタートを切った三走山本が三本間に挟まれて「2-5-1」でタッチアウト、山本に「盗塁失」が記録されているのでスクイズを外されたのではなくホームスチールを狙ったのかディレード気味にスタートして相手ミスを誘おうとしたのか。最後は中村信一が左飛に倒れて阪急が逃げ切る。

 野口二郎は7、8、9回とヒットを許しながら無失点で切り抜け、森が今季2勝目、野口二郎が初セーブをあげる。

 山田伝の好走塁に起因する4点目が実質的な決勝点となった。

 この時点で東急が17勝28敗1分で勝率3割7分8厘、金星が18勝30敗1分で勝率3割7分5厘、太陽が17勝29敗1分で勝率3割7分0厘。下位3球団は0.5ゲーム差で全て勝率3割7分台にひしめく超混戦となった。

2025年7月2日水曜日

22年 東急vs南海 9回戦

7月6日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 0 0 2 1 1 0  0  4 東急 17勝28敗1分 0.378 白木義一郎
0 3 0 0 1 0 0 0 0 1X 5 南海 25勝22敗1分 0.532 丸山二三雄 中谷信夫

勝利投手 中谷信夫     6勝7敗 
敗戦投手 白木義一郎 7勝10敗

二塁打 (東)一言 (南)丸山2、河西
三塁打 (東)飯島 (南)山本

勝利打点(南)筒井敬三 2

猛打賞 (東)一言多十 2、飯島滋弥 1


筒井敬三が延長10回裏サヨナラ打

 第12節4日目、後楽園の第1試合は白木義一郎と丸山二三雄の先発で午後1時7分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 南海は2回裏、先頭の堀井数男の当りは遊ゴロ、これをショート鈴木清一が一塁に悪送球して打者走者の堀井は二塁に進み、朝井昇の投前送りバントを白木がサードに送球するがセーフ、犠打と野選が記録されて無死一三塁、一死後丸山が右中間にタイムリー二塁打を放ち1点を先制、一死二三塁から小林悟楼の投前スクイズを白木がホームに送球するがセーフ、又も犠打と野選が記録されて2-0、一死一三塁からトップに返り安井亀和の二ゴロの間に三走丸山が還って3-0とリードする。

 南海は5回裏、先頭の河西俊雄が三塁線を破る二塁打、岡村俊昭の投ゴロの間に二走河西は三進、山本一人監督が右中間にタイムリー三塁打を放ち4-0とリードを広げる。

 東急は6回表、先頭の苅田久徳監督が左前打で出塁、トップに返り一言多十が死球を受けて無死一二塁、鈴木清一の一塁線バントが内野安打となって無死満塁、飯島滋弥が押出し四球を選んで1-4、一死後長持栄吉の左犠飛で2-4として反撃開始。

 東急は7回表、先頭の白木が中前打で出塁、大沢喜好が送りバントを決めて一死二塁、苅田は四球を選んで一死一二塁、南海ベンチはここで先発の丸山から中谷信夫にスイッチ、トップに返り一言が右前にタイムリーを放ち3-4と1点差に追い上げる。

 東急は8回表、先頭の飯島が左中間に三塁打、大下弘の右前タイムリーで4-4の同点に追い付く。

 延長に入って南海は10回裏、先頭の河西の当りは三ゴロ、これをサード苅田が一塁に悪送球、岡村の中前打で無死一二塁、山本の投前送りバントを白木はサードに送球するがセーフ、この試合3度目の野選で無死満塁、別所昭の右飛は浅すぎて一死満塁、朝井は2球目にスクイズを試みるがファウルで失敗、朝井も浅い右飛に倒れて二死満塁、筒井敬三が右中間にサヨナラ打を放ち南海が競り勝つ。

 10回裏の浅井のスクイズ失敗は、スコアカードではファウルの表記しか分からないが山内以九士が「雑記」欄に「スクイズプレーならず」と記している。

 東急は白木の3度のフィルダースチョイスが響いた。

2025年7月1日火曜日

22年 阪急vs大阪 7回戦

7月5日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 21勝25敗2分 0.457 野口二郎 天保義夫 
1 0 0 0 2 0 5 0 X 8 大阪 33勝13敗1分 0.717 梶岡忠義

勝利投手 梶岡忠義 10勝3敗 
敗戦投手 野口二郎   7勝8敗

三塁打 (急)下社 (大)金田、藤村、土井垣
本塁打 (大)梶岡忠義 2号

勝利打点(大)藤村富美男 3 

猛打賞 (大)金田正泰 3


梶岡が完封で10勝目

 西宮の第2試合は野口二郎と梶岡忠義の先発で午後3時50分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、一死後金田正泰が右中間に三塁打、二死後藤村富美男が右中間にタイムリー三塁打を放ち1点を先制する。

 大阪は5回裏、一死後呉昌征が中前打で出塁、金田の中前打で一死一三塁、富樫淳の遊ゴロで三走呉はストップして二死二三塁、藤村が中前に2点タイムリーを放ち3-0とリードを広げる。

 大阪は7回裏、先頭の梶岡がレフトスタンドに第2号ホームランを叩き込んで4-0、トップに返り呉が一二塁間にヒット、金田も三塁線にヒット、7回表の守備から富樫に代わってライトに入っている塚本博睦も中前打で続いて無死満塁、藤村の右犠飛で5-0、土井垣武が左中間に2点タイムリー三塁打を放ち7-0、本堂保次の右前タイムリーで8-0として試合を決める。

 梶岡忠義は安定した投球で4安打1四球3三振、今季2度目の完封で10勝目をマークする。

 大阪はダイナマイト打線の特徴である波状攻撃で快勝、首位の座をキープした。