2013年2月11日月曜日

15年 阪急vs南海 9回戦 満州リーグ


8月16日 (金) 新京 児玉公園球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 5 0 0 0 0 6 阪急 38勝25敗4分 0.603 石田光彦
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 南海 17勝45敗5分 0.274 劉瀬章 政野岩夫

勝利投手 石田光彦 9勝8敗
敗戦投手 政野岩夫 6勝13敗

二塁打 (阪)山下好、石田、西村 (南)清水
三塁打 (南)岡村

勝利打点 黒田健吾 8


石田光彦、3試合連続完投勝利

 南海は2回、先頭の吉川義次が左前打で出塁、木村勉が中前打で続いて無死一二塁、清水秀雄の二ゴロは「4-6-3」と渡ってゲッツー、上田良夫が死球を受けて一死一三塁、劉瀬章が中前に先制タイムリーを放って1-0とする。

 3回まで4安打を放ちながら無得点だった阪急は4回、一死後森田定雄が四球で出塁、下村豊の遊ゴロをショート上田良夫は二塁に送球するがセカンド国久松一が落球して一死一二塁、石田光彦は右飛に倒れるがトップに返り西村正夫が四球を選んで二死満塁、上田藤夫が押出し四球を選んで1-1の同点とする。

 阪急は5回、先頭の山下好一が四球で出塁、井野川利春が三前に送りバントを決めて一死二塁、黒田健吾が右前に決勝タイムリーを放って2-1、森田、下村が連続四球を選んで一死満塁、石田光彦が右中間に走者一掃の三塁打を放って5-1、トップに返り西村がセンター左奥に二塁打を放って6-1とする。

 石田光彦は3回以降、南海打線を3安打無失点に抑えて7安打2四球2死球6三振の完投で9勝目をあげる。石田はこれで3試合連続完投勝利となった。翌日の満州日日新聞によると、前半はカーブが決まらなかったが後半はカーブが良かったとのこと。石田の切れのいいピッチングを物語っている。打っても満塁走者一掃の二塁打を放ち4打数2安打1得点3打点の活躍であった。


 森田定雄が5打席3打数3安打2得点2四球で5打席連続出塁を記録して“最も無名の最強打者”(2012年9月9日付けブログ参照。この時は「8試合に出場して22打数8安打3割6分4厘」と書いていましたが正しくは「8試合に出場して21打数9安打4割2分9厘」の間違いでした。お詫びして訂正させていただきます。)としての本領を発揮する。阪急はファーストに山下実と新富卯三郎がいるので森田は出番は少ないが、今季はこれで74打数23安打3割1分1厘となった。下位チームであれば四番を打っているでしょう。








         *石田光彦は7安打完投で9勝目をあげる。石田はこれで3試合連続完投勝利。













     *森田定雄が5打席連続出塁を記録した阪急打線。



















 

2013年2月10日日曜日

帯同試合 ②



 8月15日は公式戦はお休みでしたが吉林で金鯱vsジャイアンツの帯同試合(オープン戦)が行われました。両軍とも13日に大連で試合があり、昨日はお休みでしたので恐らく昨日大連から約800キロを旅して吉林入りしたものと推測されます。1月2日付けブログ「満州リーグ エトセトラ ①」に掲載させていただいた地図をご覧ください。吉林は新京(現・長春)から京図線で東に100キロ程の所にあります。大連から新京は約700キロとなりますので吉林までは約800キロの旅程となります。

 

 8月15日付け満州日日新聞はこの試合が行われるのは「吉林球場」と伝えていますが、16日付け満州日日新聞では「吉鉄球場」となってます。恐らく「吉林・満鉄球場」の事ではないかと考えられます。



 金鯱は明日16日に新京でセネタース戦が組まれていますので100キロ程戻ればよいのですが、ジャイアンツは17日に大連で名古屋戦が組まれていますので明日再び800キロかけて大連に戻ることとなります。すなわち、ジャイアンツはオープン戦だけのために3日間で1600キロの移動をすることとなります。当初は8月5日に吉林でジャイアンツvsライオン戦の帯同試合が予定されていましたが、満州シリーズの序盤戦は連日の雨のためスケジュールが滅茶苦茶となり、休養日であったはずの15日に無理やり組み込まれたのでしょう。とは言え、吉林のファンとしては待望の帯同試合となりますので両軍とも手を抜く訳にはいきません。現代のひ弱な選手会であれば「疲れるからいやだ~」、「ストライキだ~」と駄々をこねることとなるのでしょう。


 翌日の満州日日新聞は「水都ファン・妙味満喫」の大見出しでこの試合を伝えています。Wikipediaによると、「吉林市は、松花江(スンガリ川)の岸辺にあり、松花江は北流してアムール川と合流し、日本海に繋がる水路であるため、古くから造船業も盛んである。」とのことで、これが“水都”と呼ばれる所以でしょう。


 金鯱は内藤幸三が先発、ジャイアンツは泉田喜義が先発。内藤は完投し、泉田は5回で降板して6回から中尾輝三が登板する。金鯱のキャッチャーは福永一馬が先発マスクを被る。奇しくも福永は神戸港から大連港に向かう“吉林丸”の船上で開催された聯盟理事会で登録が承認されて満州シリーズからプロ野球選手となったものである。


 試合は金鯱が5回、佐々木常助が押出し四球を選んで1点を先制、ジャイアンツが6回に中島治康の右犠飛で追い付く。金鯱は8回、森田実が右中間に二塁打して三盗に成功、ここで中尾がボークを犯して森田が還り2対1で金鯱が勝利した。金鯱はオープン戦でもジャイアンツに強い。満州シリーズ好調の漆原進が4打数3安打を記録しています。


 この試合は帯同試合なのでスコアカードは残されていません。本日の記述は8月16日付け満州日日新聞に依拠しています。








 

15年 名古屋vsライオン 9回戦 満州リーグ


8月16日 (金) 大連 満倶球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 4 3 0 0 8 名古屋   38勝26敗5分 0.594 村松幸雄
0 0 2 0 1 0 0 0 0 3 ライオン 16勝44敗4分 0.267 近藤久 井筒研一 山本尚敏

勝利投手 村松幸雄 15勝8敗
敗戦投手 近藤久       3勝13敗

二塁打 (名)吉田
三塁打 (名)三浦、中村 (ラ)玉腰

勝利打点 三浦敏一 6


IsoD

 ライオンは初回、二死後玉腰年男の遊ゴロをショート村瀬一三がエラー、鬼頭数雄(兄)の遊ゴロで玉腰が二封されてスリーアウトチェンジ。

 ライオンは2回、先頭の戸川信夫の遊ゴロを又も村瀬がエラー、しかし鬼頭政一(弟)の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってダブルプレー。村瀬は2イニング連続でエラーの走者を自ら処理した。

 ライオンは3回、一死後近藤久が左前打で出塁、トップに返り坪内道則は左飛に倒れるが村上重夫が四球を選んで二死一二塁、玉腰の遊ゴロをショート村瀬が3イニング連続エラーする間に二走近藤が三塁ベースを蹴ってホームインし1点を先制、なお二死一二塁から鬼頭数雄が右前にタイムリーを放って2-0とする。

 名古屋は4回、先頭の桝嘉一が死球を受けて出塁、中村三郎が中前打を放って無死一二塁、三浦敏一の遊ゴロで中村が二封されて一死一三塁、三浦が二盗を決めた際にキャッチャー伊勢川眞澄からの送球をセカンド戸川が落球する隙を突いて三走桝がホームに還り1-2とする。桝には本盗は記録されていない。

 ライオンは5回、一死後玉腰が左中間に三塁打、鬼頭(兄)が四球を選んで一死一三塁、ここで鬼頭(兄)がディレードスチール、キャッチャー三浦からセカンド中村に送球され鬼頭(兄)は一二塁間に挟まれる。中村からショート村瀬に送球された瞬間、三走玉腰がホームに走り村瀬がバックホームするがこれが悪送球となって玉腰がホームイン、3-1とする。村瀬には4個目のエラーが記録される。

 名古屋は6回、一死後吉田猪佐喜が右中間に二塁打、桝が四球を選んで一死一二塁、中村が左前にタイムリーを放って2-3、ライオンベンチはここで先発の近藤をあきらめてリリーフに井筒研一を送る。しかし三浦が左中間に三塁打を放ち二者を迎え入れて4-3と逆転に成功、芳賀直一が右前にタイムリーを放って5-3と突き放す。こういう追撃弾は大きい。

 名古屋は7回、二死後桝が四球を選んで出塁、中村が右中間に三塁打を放って6-3、三浦が死球から二盗を決めて二死二三塁、芳賀の中前タイムリーで7-3、村松が左前にタイムリーを放ち8-3として試合を決める。

 ライオンは8回から三番手として山本尚敏がプロ入り初登板のマウンドに上がる。山本はこれまで主にショートとして出場してきたので肩が強かったのでしょう。山本は今季6試合に登板することとなる。

 村瀬一三は8回にも遊ゴロを失して5失策を記録、打っても5打数無安打と散々の出来であった。村瀬は今季週間MVPを2度獲得するなど好調名古屋を引っ張っている。第一試合でもイーグルスのショート山田潔が3失策、宗宮房之助が2失策を記録しており、グラウンドコンディションも影響している可能性がある。

 村松幸雄は8安打2四球3三振3失点、自責点ゼロの完投で15勝目をあげる。


 桝嘉一が5打席1打数1安打3得点3四球1死球で5打席連続出塁を記録した。桝は通算1927打数451安打で404四球13死球を記録している。通算打率は2割3分4厘、通算出塁率は3割7分である。出塁率から打率を引いた差が「IsoD」と呼ばれる指標で、桝の1.36は驚異的な数値である。歴代でも王貞治は1.45と飛び抜けているが清原は1.17、落合は1.11、松中は0.95、野村は0.80。四球を選ばないイチローはNPBで0.68、MLBで0.43と低い。四球選びの名人と言われる千葉茂でも1.01、大杉に「月に向かって打て」と指導したことで知られる飯島滋弥は1.09、当ブログが戦前では最も価値の高い選手と認めている山口政信でも1.26です。因みに筆者の東京六大学準硬式野球リーグ戦での記録は通算200打数37安打23四死球でIsoDは0.84とイチローよりも高い(笑)。当時はセイバーメトリクスから生まれた「IsoD」という言葉は知りませんでしたが、出塁率が打率を1割上回ることを目標にしていました。







               *村松幸雄は自責点ゼロの完投で15勝目をあげる。











*桝嘉一が5打席連続出塁を記録した名古屋打線。桝嘉一の四死球欄は「*4」となっていますが「*」は死球を表します。













 

2013年2月9日土曜日

15年 イーグルスvsタイガース 8回戦 満州リーグ


8月16日 (金) 大連 満倶球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 3 2 0 0 5 イーグルス 32勝31敗4分 0.508 長谷川重一 中河美芳
0 2 2 2 0 2 0 0 X 8 タイガース 39勝25敗3分 0.609 三輪八郎 木下勇

勝利投手 木下勇   11勝9敗
敗戦投手 長谷川重一 8勝5敗

二塁打 (イ)岡田、玉腰、岩垣 (タ)伊賀上、堀尾
三塁打 (タ)田中

勝利打点 宮崎剛 4


守備の破綻

 タイガースは2回、先頭のカイザー田中義雄が左中間に三塁打、伊賀上良平が四球を選んで二盗に成功、松木謙治郎も四球を選んで無死満塁、宮崎剛の投ゴロの間に三走田中が還って1点を先制、二走伊賀上が三封されて一死一二塁、キャッチャー清家忠太郎からの一塁牽制が悪送球となり白球がライトファウルグラウンドを転々とする間に二走松木が三塁ベースを蹴ってホームに還り2-0とする。

 タイガースは3回、先頭のジミー堀尾文人の遊ゴロをショート山田潔がエラー、皆川定之の遊ゴロの間に一走堀尾は一気に三塁に進み一死三塁、本堂保次は一飛に倒れるが田中が四球を選んで二死一三塁、伊賀上が左中間に二塁打を放ち二者を迎え入れて4-0とする。

 イーグルスは4回から先発の長谷川重一に代えてファーストの中河美芳をマウンドに送る。

 タイガースは4回、先頭の宮崎が四球で出塁、山根実ショートへの当りは内野安打、ショート山田は一塁に送球するがこれが悪送球となる間に一走宮崎は三塁に、打者走者の山根は二塁に進んで無死二三塁、三輪は遊ゴロに倒れるが、トップに返り堀尾が左中間に二塁打を放って6-0とリードを広げる。皆川は左飛に倒れて二死二塁、田中の遊ゴロをショート山田がこの日3つ目のエラー、しかし松木は右飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 イーグルスは6回、先頭の清家が中前打で出塁、3失策の山田に代わる代打宗宮房之助が中前打で続いて無死一二塁、トップに返り岡田福吉の左中間二塁打で二者還り2-6、岩垣二郎は中飛に倒れるが玉腰忠義が左翼線に二塁打を放って3-6と追い上げる。中河は死球を受けて一死一二塁、タイガースベンチはここで先発の三輪八郎から木下勇にスイッチ、谷義夫は中飛、菅利雄は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 タイガースは6回、一死後堀尾が左前打、皆川の二ゴロは「4-6-3」と転送されるが二塁はセーフで野選が記録され、ショート宗宮からの一塁送球が悪送球となってエラーも記録されて一死二三塁、本堂の中犠飛で7-3、なお二死一三塁から田中の遊ゴロをショート宗宮がエラー、三走皆川が還って8-3と突き放す。

 イーグルスは7回、先頭の木下政文が四球で出塁、清家の一ゴロの間に木下は二進、宗宮の一塁内野安打で一死一三塁、トップに返り岡田は遊飛に倒れるが、岩垣が右翼線に2点タイムリー二塁打を放って5-8と追い上げる。

 木下勇は終盤のイーグルスの反撃を抑えて11勝目をあげる。先発の三輪八郎が6回途中でリードしたまま降板しており、その後タイガースは追い付かれていないので現行ルールでは三輪に勝利投手が記録されるが公式記録では木下に勝利投手が記録されている。


 イーグルスのショート山田潔が3失策、5回から山田に代わってショートに入った宗宮房之助が2失策、先発の長谷川重一は3回を投げて4失点で自責点は1、二番手の中河美芳は5回を投げて4失点で自責点は1。タイガース先発の三輪八郎は5回3分の1を投げて3失点で自責点は3、二番手の木下勇は3回3分の2を投げて2失点で自責点は2であった。イーグルスはチーム合計で7失策、タイガースは無失策であった。

 イーグルスは一番岡田福吉が2打点、二番岩垣二郎が2打点、三番玉腰忠義が1打点、打点は全てタイムリー二塁打であげたものであった。元気な上位トリオの活躍が目立ったが守備の破綻により勝てる試合を落とした。












*イーグルスの2投手は8失点で自責点は2、タイガースの2投手は5失点で自責点は5であった。イーグルスは守備の破たんで勝てる試合を落とした。







 

満州リーグ エトセトラ ④



 セネタースvs阪急8回戦のコメント返しにも書かせていただいたとおり、満州リーグに入って7月31日~8月11日に行われた37試合で合計471安打、長打は96本で安打に占める長打の比率は20.4%。直前の内地で7月5日~7月22日に行われた37試合では合計432安打、長打は64本で安打に占める長打の比率は14.8%となっています。内地の試合では満州リーグに備えてニューボールを使わず、使い古しのボールを使用していたのではないかと推測しています。


 夏季シリーズに入って内地の試合では打撃力低下が目立っていました。6月21日~7月7日に行われた41試合では完封試合が22試合あります(0対0の引分けと三輪八郎-若林忠志による完封リレーを含む。)。7月26日付け読売新聞に鈴木惣太郎による「“夏の陣”総評(下)」が掲載されています。「最も注目すべき重大原因の一つは“用球の品質低下”という事ではあるまいか?職業野球開始の当時使用球の品質という点には入念の注意が払われた。厳重な規格があった上に出来上ったボールを一個ずつ慎重に試験して合格品のみを試合に使用していた。・・・使用球を厳選した結果は所期の弾力を十分備えたものが得られたのであるが、事変後はボールの中心用材である木綿糸、羊毛等に“スフ”を混用することになり皮革も適品の入手が困難になったなど材料の品質が著しく低下した上に製造が間に合わぬとあって現在では使用球の検査を行わずして直ちに使用している有様である。」文中の“事変”とは昭和12年7月に勃発した盧溝橋事件のことでしょうか。


 8月1日付け満州日日新聞に掲載されている“審判員”吉田要による「職業野球の特異性」には「満州リーグから初めて使用する再生品のボールにもなお不慣れな点もあり・・・」と書かれています。「再生品」と言うからには、スフが混在していないボールから材料を取り出して再生したニューボールということになります。現在で言うリサイクル品というところでしょうか。したがって、満州リーグではややボールの反発係数が上がったことが安打に占める長打の比率が上昇した要因ではないでしょうか。





 

2013年2月8日金曜日

15年 タイガースvs阪急 9回戦 満州リーグ


8月14日 (水) 奉天 満鉄球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 1 0 0 0 0  1 タイガース 38勝25敗3分 0.603 若林忠志
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 阪急          37勝25敗4分 0.597 浅野勝三郎

勝利投手 若林忠志  14勝10敗
敗戦投手 浅野勝三郎 4勝5敗

二塁打 (タ)堀尾、伊賀上


阪急打線4併殺を喫す

 タイガースはこのところ調子を上げてきている若林忠志が先発、ダブルヘッダーの第二試合となる阪急は浅野勝三郎が先発する。

 タイガースは初回、先頭のジミー堀尾文人が左前打を放つが後続なし。2回、先頭の伊賀上良平が左越えに二塁打、松木謙治郎が四球を選び、宮崎剛が送って一死二三塁、しかし若林は遊飛、森国五郎は二ゴロに倒れて無得点。4回も先頭のカイザー田中義雄が遊失に生き、伊賀上の三塁内野安打で無死一二塁、しかし田中がキャッチャー日比野武からの牽制球に刺され、松木は一飛、宮崎は中飛に倒れてここまで無得点。

 タイガースは5回、二死後堀尾が右中間に二塁打、皆川定之が中前に決勝のタイムリーを放って1-0とする。

 タイガースの7安打に対して阪急も7安打を放つが、2回、3回、8回、9回、と4度の併殺に泣いた。すなわち、2回は一死後山下好一が右前打で出塁するが森田定雄の投ゴロが「1-4-3」と渡ってゲッツー。3回は先頭の日比野がピッチャー強襲ヒット、伊東甚吉が送って一死二塁、浅野の三塁内野安打で一死一三塁、しかし西村正夫の投飛に三走日比野が飛び出してゲッツー、シチュエーションから西村のスクイズ失敗の可能性が高い。8回、一死後西村が四球で出塁、下村豊が右前にヒットを放って一死一二塁、しかしフランク山田伝の一邪飛に三走西村が飛び出してゲッツー。9回、一死後山下好一が右前打で出塁、森田の投ゴロをピッチャー若林が二塁に送球するがセカンド宮崎が落球して一死一二塁、しかし日比野の投直が若林から二塁ベースカバーのショート皆川に送られて4つ目の併殺を完成させる。


 若林忠志は7安打2四球1三振で今季4度目の完封、13勝目をあげる。若林は11日に続いて阪急戦2試合連続完封となった。前回は試合時間56分の最短記録を樹立したが、本日は午後5時33分開始、6時48分終了で1時間15分であった。






                   *若林忠志は今季4度目の完封。




















 

2013年2月7日木曜日

15年 セネタースvs阪急 8回戦 満州リーグ


8月14日 (水) 奉天 満鉄球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 2 0 2 セネタース 37勝21敗8分 0.638 三富恒雄
0 0 0 0 0 0 0 5 X 5 阪急          37勝24敗4分 0.607 森弘太郎

勝利投手 森弘太郎 21勝8敗
敗戦投手 三富恒雄   3勝4敗

二塁打 (セ)三富 (阪)森田
三塁打 (阪)山下好

勝利打点 黒田健吾 7


決勝スクイズ

 セネタースは野口二郎が依然として投げられず三富恒雄が先発、阪急はエース森弘太郎が先発する。

 セネタース打線は7回まで森に2安打に抑えられて無得点。

 阪急は2回、一死後山下好一が左前打、新富卯三郎が中前打、日比野武が右前打を放って一死満塁とするが下村豊は浅い右飛、森は中飛に倒れて無得点。3回以降は三富に1安打に抑えられて無得点が続き、7回を終わって0対0。

 セネタースは8回、一死後柳鶴震が三塁に内野安打、キャッチャー日比野からの一塁牽制が悪送球となって一死二塁、佐藤武夫は捕邪飛に倒れるが三富が右中間に二塁打を放って1点を先制、織辺由三は四球、トップに返り苅田久徳の三飛をサード黒田健吾がエラーして二死満塁、横沢七郎の中前打で2-0、二走織辺も三塁ベースを蹴ってホームを狙うがセンターフランク山田伝からのバックホームにタッチアウト、記録は「8-2」。

 阪急は8回裏、一死後下村が中前打、森が四球を選んで一死一二塁、トップに返り中島喬の二塁内野安打で二走下村が還って1-2、田中幸男に代わる代打森田定雄が左翼線に二塁打を放って2-2の同点、山田が四球を選んで一死満塁、黒田が投前に決勝スクイズを決めて3-2と逆転、山下好一が右翼線に三塁打を放って5-2とする。

 森弘太郎はセネタース最終回の攻撃を三者凡退に退けて、5安打1四球1三振2失点、自責点ゼロの完投で21勝目をあげる。


 この試合は7回まで0対0が続いたが、翌日の読売新聞は「奉天だけは反発力の悪いボールを使っているため安打性の当りが全部凡打になる」と伝えている。この記事は貴重な証言で、満州リーグではホームランこそ井野川利春の1本だけであるが、内地の試合よりも長打の数が多くなっていることにお気付きの方も多いことでしょう。当ブログでは満州リーグに備えて7月の内地の試合ではニューボールは降ろさず、使い古しを使っていたため極端にシングルヒットが多かったが、満州リーグではニューボールを使って長打数が増えていると読んでいます。但しホームランが1本だけなのは、ニューボールですら反発係数が落ちているからであると考えています。ニューボールの数には限界があるので、奉天では内地と同様使い古しを使っているようです。










                 *森弘太郎は5安打完投で21勝目をあげる。