2013年1月11日金曜日

15年 タイガースvs南海 8回戦 満州リーグ


8月6日 (火) 新京 児玉公園球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 1 3 1 0 6 タイガース 34勝23敗3分 0.596  木下勇 三輪八郎 若林忠志
0 0 0 1 0 0 0 2 0 3 南海          17勝40敗3分 0.298 劉瀬章 
 
勝利投手 三輪八郎 11勝2敗
敗戦投手 劉瀬章       2勝6敗
セーブ     若林忠志   4

勝利打点 森国五郎 1


森国五郎、決勝打

 タイガースは3回、先頭の皆川定之の三ゴロをサード藤戸逸郎がエラー、松木謙治郎と本堂保次の二ゴロの間に皆川は二進、三進して二死三塁、伊賀上良平が左中間に二塁打を放って1点を先制する。

 南海は4回、先頭の国久松一が四球で出塁、吉川義次が中越えにタイムリー二塁打を放って1-1の同点に追い付く。吉川は二塁ベースを蹴って三塁に向かうが「8-6-5」と中継されてタッチアウト。

 タイガースは6回、一死後宮崎剛が中前打、土井垣武に代わる代打カイザー田中義雄の三ゴロをサード藤戸がジャッグル、一走宮崎がオーバーランしたところ白球を拾い上げた藤戸から「5-4-6」と転送されてタッチアウト、この間に打者走者の田中は二塁に進んで二死二塁、森国五郎が右中間に三塁打を放って2-1と勝ち越す。

 タイガースは6回から田中が土井垣に代わってマスクを被り、先発の木下勇に代えて三輪八郎をリリーフに送る。

 タイガースは7回、先頭のジミー堀尾文人が左前打で出塁、皆川の右前打で無死一三塁、キャッチャー吉川義次からの三塁牽制が悪送球となって堀尾が生還し3-1、皆川も二塁に進み、松木は三振に倒れるが本堂の左前打とレフト木村勉のエラーで皆川が生還して4-1、打者走者の本堂は三塁に進みワイルドピッチで生還して5-1とする。

 タイガースは8回、二死後三輪が右中間に二塁打、トップに返り堀尾が左前にタイムリーを放って6-1と突き放す。

 南海は8回裏、一死後藤戸が左中間に二塁打、トップに返り岩出清の二ゴロの間に藤戸は三進、岡村俊昭のバントヒットで藤戸は動かず二死一三塁、国久松一が中前にタイムリーを放って2-6、吉川の三ゴロをサード伊賀上良平がエラーする間に二走岡村が生還して3-6、清水秀雄に代わる代打上田良夫の三塁ライナーを伊賀上が連続エラーして二死満塁、しかし木村に代わる代打山尾年加寿は捕邪飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 南海は9回裏、先頭の前田貞行がセンター左奥に二塁打、タイガースベンチはここで三輪に代えて若林忠志を三番手としてマウンドに送る。劉瀬章に代わる代打岩本義行がライトに二塁打、二走前田諭治は三塁に止まっているのでライトが捕れるかというポテン性の当りだったのでしょう。更に藤戸が死球を受けて無死満塁、しかしトップに返り岩出の当りは投ゴロ、「1-2-3」と渡ってダブルプレー、岡村が遊ゴロに倒れてタイガースが逃げ切る。最後は若林が得意のシンカーで仕留めたのでしょう。

 森国五郎が決勝三塁打を放って初の勝利打点を記録した。森は大分商業の出身。大分商業時代は昭和13年の夏の甲子園に出場している。森国五郎は通算3年間プロ野球に在籍し、通算84安打を記録することとなるが、長打は、二塁打が3本、三塁打が1本、本塁打は0本であった。すなわち、本日の決勝三塁打が森国五郎にとってプロ生活唯一の三塁打であったことになる。



 

2013年1月10日木曜日

15年 金鯱vs南海 8回戦 満州リーグ


8月6日 (火) 新京 児玉公園球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 2 2 1 0 6 金鯱 15勝38敗7分 0.283 中山正嘉
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 南海 17勝39敗3分 0.304 政野岩夫

勝利投手 中山正嘉 8勝19敗
敗戦投手 政野岩夫 6勝11敗

二塁打 (金)五味、漆原、中山 (南)岡村、岩本、吉川
三塁打 (金)室脇

勝利打点 室脇正信 3


岩本義行初登場

 南海では岩本義行がプロ入り初出場。岩本は昭和13年の南海結成時に主将として招かれたがすぐに応召、除隊となってこの日がプロ入り初出場となった。翌日の満州日日新聞は「軍務から帰還した岩本が3日奉天に到着したので五番打者に起用」と伝えている。また、翌日の読売新聞には「主将として6日から出場した」と書かれているので鶴岡一人の入営により空席となっていた南海の主将として復帰した模様である。

 金鯱は初回、先頭の五味芳夫が8球粘った末中越えに二塁打、森田実は左飛に倒れ、濃人渉の投ゴロで二走五味が三塁を狙うが「1-5」と転送されてタッチアウト、黒澤俊夫の中飛をセンター岩本義行が落球、岩本のプロでの最初のプレーは落球であった。二死二三塁となって室脇正信の遊ゴロをショート上田良夫がエラーする間に三走濃人が還って1点を先制する。

 南海は4回、二死後岩本の三ゴロをサード漆原進がエラー、岡村俊昭の右中間二塁打で岩本が生還して1-1の同点に追い付く。

 金鯱は6回、一死後黒澤が右前打で出塁、室脇が右中間に三塁打を放って2-1と勝ち越し、松元三彦が左前にタイムリーを放って3-1とする。

 金鯱は7回、五味、森田が連続四球、濃人が送って一死二三塁、黒澤は投飛に倒れるが、室脇が左前に2点タイムリーを放って5-1と突き放す。

 金鯱は8回にも中山正嘉が左中間に二塁打、五味の中飛をセンター岩本がこの日2個目のエラーする間に中山が還って6-1として快勝する。

 中山正嘉は6安打1四球5三振の完投で8勝目をあげる。翌日の満州日日新聞によると南海先発の政野岩夫は得意のシンカーが決まらず高目に浮いたところを金鯱打線に捕まったようだ。


 室脇正信が5打数2安打1得点3打点の活躍を見せた。室脇は1917年生まれで広陵中学-明治大学なので、1912年生まれで広陵中学-明治大学の岩本義行の後輩に当る。大先輩の前で奮い立ったのでしょう。


 約2年間の兵役から戻ってきた岩本義行は全く練習をしていない状況で満州に飛びデビューの地は大連から700キロ離れた新京 児玉公園球場であった。守備では目測が合わず2失策であったが、打撃では第一打席は三振だったものの第三打席では右中間に二塁打を放って貫録を見せた。











            *中山正嘉は6安打1四球5三振の好投を見せて完投で8勝目をあげる。














     *岩本義行がデビューした南海打線。






 

2013年1月8日火曜日

15年 セネタースvsイーグルス 8回戦 満州リーグ


8月5日 (月) 奉天 満鉄球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 0 0 0 0 0 1 0  0   0  1 セネタース  35勝17敗6分 0.673 野口二郎
0 0 1 0 0 0 0 0 0  0   0  1 イーグルス 29勝28敗4分 0.509 長谷川重一

二塁打 (セ)織辺 (イ)岡田

勝利打点 なし


延長11回引き分く

 第一試合で奇跡の逆転勝利を演じたイーグルスはダブルヘッダーの第二試合に長谷川重一が先発、セネタースは肩を痛めている野口二郎が先発する。第一試合から降り続く雨の中、第二試合は午後5時27分、川久保喜一主審の右手が上がりプレイボール。

 イーグルスは3回、先頭の木下政文の遊ゴロをショート柳鶴震がエラー、しかし清家忠太郎の右飛に木下が飛び出してダブルプレー、山田潔が右中間にヒットを放ち二死一塁、トップに返り岡田福吉の左中間二塁打で山田が還り1点を先制する。

 長谷川重一の前に7回まで2安打無得点に抑えられてきたセネタースは8回、先頭の織辺由三が四球で出塁、トップに返り苅田久徳も四球を選んで無死一二塁、横沢七郎の投前バントはピッチャー長谷川が三塁に送球して織辺は三封、西岡義晴に代わる代打浅岡三郎が左前打を放って一死満塁、小林茂太の投ゴロを長谷川が一塁に悪送球する間に三走苅田が同点のホームを踏む。


 セネタースは5安打8四球ながら試合巧者ぶりを発揮できず11回まで13残塁で1得点、イーグルスは3安打1四球1死球で1得点、結局1対1で引き分けた。イーグルスでは7月2日以来約1カ月ぶりに四番に起用された谷義夫が4打数無安打3三振とブレーキになった。

 野口二郎は11回を完投して3安打1四球1死球4三振1失点、長谷川重一は5安打8四球1三振1失点で共に11回を投げ抜いた。
















 

2013年1月7日月曜日

満州リーグ エトセトラ ③



 当ブログではスコアブックの解読と並行して当時の新聞スクラップの記事を参考にしています。お気付きのとおり、満州リーグでは読売新聞と共に満州日日新聞の記事も参照させていただいております。当ブログが参照しているスクラップは野球体育博物館の図書室に保管されている河野安通志によるスクラップブックのコピーです。同館の図書室で閲覧できる当時のスクラップブックは“鈴木龍二寄贈”となっていますが、これは河野安通志の死後鈴木龍二が河野の遺族から買い取ったもので、それが野球体育博物館に寄贈され、我々が目にできるのはそのコピー版となります。


 本日のニュースで夏目漱石が満州日日新聞に寄稿した随筆が発見されたとのことです。発見者の作家・黒川創氏は韓国を訪問した際現地の本で発見して、国立国会図書館所蔵のマイクロフィルムで確認したとのことです。歴史研究のプロセスとして正しい方法だと思います。書籍を読むことはもちろん重要ですが、書かれている内容を鵜呑みにするのではなく、原データで確認、検証する作業が重要であると考えます。


 満州日日新聞の記事は読売新聞よりも情報量が多く貴重な資料ではありますが、試合経過の記述には誤りが数多く見られます。記事の佼成係りがスコアブックの読み方を良く理解していないのではないかと疑われるレベルの間違いが多く見られます。満州日日新聞で満州リーグの模様を研究する際にはご注意ください。真実は当ブログにあります。



 満州日日新聞の試合経過の記事の誤りを2事例ご紹介します。


*8月5日の南海vsイーグルス戦で9回裏、イーグルスが奇跡の逆転勝利を収めた場面。

 満州日日新聞には「亀田の投ゴロ併殺を狙う岩垣の俊足は本塁を陥れて同点、尚おウィニング・ラン谷を二塁に置いて中河が一塁側に平凡なゴロを放つと政野投手は中河の背中に送球を当てて生かす間に谷勇躍ホームイン」と書かれています。

 しかし、無死満塁で亀田忠の投ゴロは「1-2-3」と渡ってゲッツーとなりましたが二走岩垣は三塁に止まっており、中河の一塁線ゴロを捕ったピッチャー政野の送球が中河の背中に当たる間に三走岩垣に続いて二走谷もホームインしたのが真相です。

 スコアカードには二番・岩垣と三番・谷のホームインは共に「e’]によるものと書かれています。「e」は五番打者・中河の記号です。四番・亀田の投ゴロ併殺の際、二走岩垣は三塁で止まっています。三塁に「d」と書かれています。「d」は四番・亀田の記号です。















*8月3日タイガースvsジャイアンツ戦3回裏ジャイアンツ攻撃の場面。

 満州日日新聞には「吉原二飛失、スタルヒン三邪飛」と書かれていますが、正しくは「吉原捕飛失、スタルヒン捕邪飛」です。これは簡単ですね。





同様の間違いが他にも数多く見られますのでご注意ください。








 

2013年1月6日日曜日

15年 南海vsイーグルス 8回戦 満州リーグ


8月5日 (月) 奉天 満鉄球場

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
1 0 0 1 0 0 0 0  0  2 南海           17勝38敗3分 0.309 清水秀雄 政野岩夫
0 0 0 0 0 0 0 0 3X 3 イーグルス 29勝28敗3分 0.509 亀田忠

勝利投手 亀田忠  16勝13敗
敗戦投手 政野岩夫 6勝10敗

二塁打 (南)岡村

勝利打点 なし


奇跡の逆転サヨナラ

 昨日大連で名古屋と延長10回を戦ってきたイーグルスは本日は奉天で南海と対戦する。イーグルスはこれで大連-奉天間を二往復半しており8日間での移動距離は2,000キロとなった。8日間での移動距離としては日本野球史上空前にして絶後の距離でしょう。現代のような飛行機ならまだしもほとんどが三等車での夜行列車です。到着日の7月29日の大連から奉天への移動は昼間でしたが二日と20時間船に揺られた直後のことです。満州シリーズの移動が苛酷であったことは書籍などでも読める話ですが、こうして一日一日の動きを追っていくとよりリアリティがあるのではないでしょうか(笑)。しかもイーグルスは本日は南海、セネタースとのダブルヘッダーです。8月5日付け満州日日新聞に掲載されている進藤鎮雄の予想にも「南海、セ軍に戦を挑まれるイ軍は今大会でも最も苦しい試合ではあるまいか」と書かれています。


 南海は2日の新京でのライオン戦以来の試合となるが、当初の予定では4日に哈爾濱(ハルビン)でセネタースと帯同試合(オープン戦のことです)を行う予定になっていたが各地の雨のおかげでこちらは中止となり哈爾濱まではいかずに済んだようです。哈爾濱(ハルビン)は新京から更に北に約250キロとなります。因みに「ハルビン」は「ハルピン」と表記される場合もあるようですが現在では「ハルビン」と表記されることが多いようなので当ブログでは「ハルビン」とさせていただきます。松木謙治郎著「タイガースの生いたち」には「オープン戦として撫順、安東、吉林、錦県、ハルピンで数試合が行われた。」と書かれています。以前は「ハルピン」と表記されていたようです。


 南海は肘に故障を抱える清水秀雄が先発。哈爾濱での帯同試合が中止になったおかげで南海は3日、4日と奉天に滞在して休養がとれたためでしょう。イーグルスは亀田忠が先発で四番、下痢のため3試合欠場が続いていた中河美芳が五番ファーストで満州リーグに初登場となった。

 南海は初回、先頭の岩出清が左前打で出塁、岡村俊昭が右中間にタイムリー二塁打を放って1点を先制する。

 南海は4回、先頭の吉川義次が四球から二盗に成功、清水も四球を選び、木村勉の遊ゴロで清水が二封されて一死一三塁、木村が二盗を決めて一死二三塁、上田良夫の左犠飛で2-0とする。

 2,000キロを旅してきたイーグルス打線は清水の剛球とドロップに手も足も出ず7回まで杉田屋守の中前打1本に抑えられて二塁も踏めず無得点。


 イーグルスは8回、二死後木下政文が四球を選んで出塁、翌日の読売新聞及び満州日日新聞によると、この時清水が左足に痙攣を起こして退場を余儀なくされ、南海ベンチは政野岩夫をリリーフに送る。清家忠太郎は一ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 イーグルスは9回裏、先頭の山田潔に代わる代打玉腰忠義が四球を選んで出塁、トップに返り岡田福吉も四球を選んで無死一二塁、岩垣二郎の一塁線送りバントはファースト伊藤経盛がもたつきオールセーフ、犠打エラーが記録されて無死満塁、谷義夫が押出し四球を選んで1-2、亀田の投ゴロは「1-2-3」と渡ってゲッツー、二死二三塁から中河の当りは一塁線のゴロ、ピッチャー政野岩夫がマウンドを駆け降りて一塁に送球するがこれが中河の背中に当たる間に三走岩垣が同点のホームを踏み、続いて二走谷もサヨナラのホームを駆け抜けてイーグルスが奇跡的な逆転勝利をおさめる。


 イーグルスは1安打で満州リーグ初勝利を飾った。亀田忠は5安打3四球無三振の完投で16勝目をあげる。


 過酷な旅を続けるイーグルスと外地の水が合わず苦しんできた中河美芳に勝利の女神が同情の微笑みを投げかけた試合であった。







*亀田忠は5安打完投で16勝目をあげる。清水秀雄は7回3分の2を1安打無失点に抑えながら左足の痙攣により無念の降板。














  *8日間で2,000キロを旅し、1安打ながら奇跡的な逆転サヨナラ劇を演じたイーグルス打線。









 

15年 ジャイアンツvs阪急 8回戦 満州リーグ


8月4日 (日) 大連 満倶球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
3 0 0 0 0 0 0 0 3  6 ジャイアンツ 41勝20敗 0.672 中尾輝三
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 阪急             31勝22敗4分 0.585 浅野勝三郎 森弘太郎

勝利投手 中尾輝三  15勝6敗
敗戦投手 浅野勝三郎 3勝4敗

勝利打点 白石敏男 3


中尾輝三2安打完封

 阪急は1日に奉天で予定されていた南海戦が雨天中止、2日の新京で予定されていたセネタース戦も雨のため中止。7月29日に大連港に入港してから大連-新京間を往復1,400キロ旅してきたが試合は無く本日が満州リーグ開幕戦となった。 8月1日付け満州日日新聞が伝えるところによると、「山田選手は大連にいたる船中発病して大連にただ一人留り療養中」とのことで、この日のスタメンにはフランク山田伝の名前は見られない。

 ジャイアンツは初回、一死後水原茂が左前打、千葉茂、川上哲治連続四球で一死満塁、中島治康は三振に倒れて二死満塁、白石敏男が押出し四球を選んで1点を先制、平山菊二が中前に2点タイムリーを放って3-0とする。

 ジャイアンツは2回、二死後水原の二ゴロをセカンド伊東甚吉がエラー、千葉が右前打を放って二死一二塁、阪急ベンチはここで先発の浅野勝三郎に代えて森弘太郎をマウンドに送る。川上は中飛に倒れてリリーフ成功。

 森は4回は「4B-3」、5回は「5-4-3」、7回は「4-6-3」とランナーを出しながら3つの併殺で切り抜けて8回まで無失点。

 ジャイアンツは9回、二死後水原の遊ゴロをショート上田藤夫がエラー、千葉、川上は連続四球で二死満塁、ここで中島が右中間に走者一掃の三塁打を放って6-0とする。中島は初回の一死満塁で三振、7回の一死一二塁でも二ゴロ併殺といいところが無かったが、最終回に爆発した。


 開幕戦となった金鯱戦で打ち込まれた中尾輝三はこの日は見違えるようなピッチングを見せて2安打1四球6三振で今季4度目の完封、15勝目をあげる。





               *中尾輝三は2安打完封で15勝目をあげる。







             *中島治康が走者一掃三塁打を放ったジャイアンツ打線。






 

 

15年 名古屋vsイーグルス 8回戦 満州リーグ


8月4日 (日) 大連 満倶球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  1   1 名古屋       32勝23敗4分 0.582 西沢道夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0 イーグルス 28勝28敗3分 0.500 玉腰忠義

勝利投手 西沢道夫 10勝5敗
敗戦投手 玉腰忠義   1勝2敗

勝利打点 中村三郎 3


名古屋、全員安打

 この日は鞍山 昭和製鋼球場でライオンvs金鯱戦とライオンvsタイガース戦が予定されていたが雨のため中止となった。

 満州リーグは過酷なスケジュールとなるが、イーグルスは7月31日が奉天、8月1日が大連で試合があり、3日の奉天の試合に備えて奉天入りしたが雨のため中止となり大連に戻って本日の試合を迎えた。満州入りして既に大連-奉天間を2往復しており、移動距離は1,600キロに及んでいる。一方の名古屋は1日と3日に続いて大連に留まっての連戦となる。


 名古屋が押し気味に試合を進めた。名古屋は2回、二死後中村三郎、芳賀直一が連続左前打を放つが西沢道夫は二ゴロに倒れる。3回、一死後村瀬一三が左前打、大沢清の投ゴロの間に村瀬は二進、吉田猪佐喜の左前打で村瀬はホームを突くがレフト谷義夫からのバックホームにタッチアウト。5回、二死後村瀬が四球で出塁すると二盗に成功、キャッチャー清家忠太郎からの送球がセンターに抜けて村瀬は三塁に向かうがバックアップの岩垣二郎からの送球にタッチアウト。6回は左前打から二盗と内野ゴロで三塁に進んだ大沢がホームスチールを敢行するがタッチアウト。

 名古屋は7回、一死後中村が四球で出塁、芳賀は左前打、西沢も左前打を放って一死満塁、しかし石田政良のスクイズは捕邪飛となって失敗、村瀬も投ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。8回は先頭の大沢が四球で出塁、吉田は中飛に倒れるが桝嘉一が左翼線にヒット、三浦敏一が四球を選んで一死満塁、中村が犠牲フライには十分の中飛を放つが翌日の満州日日新聞によると「大沢は離塁を誤って本塁を衝くことができず」この回も無得点。9回も一死後石田が左前打、村瀬は右飛に倒れるが石田が二盗に成功、大沢四球で二死一二塁とするが吉田は遊ゴロに倒れる。

 イーグルス打線は名古屋先発の西沢道夫に9回まで3安打に抑えられて無得点。2回は先頭の谷が左前打で出塁するが玉腰忠義の一ゴロはファースト大沢がベースタッチしてから二塁に送球してタッチアウト、「3-6B」でダブルプレー。6回も一死後岡田福吉が中前打を放つが岩垣の二ゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレー。

 名古屋は10回、先頭の桝が四球で出塁、ピッチャー玉腰からの牽制が悪送球となって無死二塁、三浦の三前送りバントが内野安打となって無死一三塁、三浦が二盗を決めて無死二三塁、玉腰の投球をキャッチャー宮崎皓が逸らし、三走桝がホームを突くが玉腰がホームカバーに入り宮崎からの送球にタッチアウト、この間に二走が三進して一死三塁、中村が右犠飛を打ち上げてようやく先制の1点をあげる。

 西沢道夫は10回裏のイーグルスの反撃を三者凡退に抑えて3安打3四球1三振で今季4度目の完封、10勝目をあげる。


 名古屋は全員安打を記録、10安打8四球で13残塁であった。試合経過から見ると拙走が続いたようにも見えるが最後は三浦の二盗が効いた。好走と凡走は紙一重です。


 イーグルス先発の玉腰忠義は10回を完投して10安打8四球1三振。当時の論評によると玉腰はスピードは無いがインシュートを武器としており、この日はアウドロも良かったようだ。投げれば好投を続けているが打線の援護が無くピッチャーとしての通算成績は1勝6敗に終わり、戦後は駿足好打の外野手として活躍することとなる。センスに優れているところはぷプレー振りからもうかがわれる。1日のジャイアンツ戦ではピッチャーとして3つの併殺を記録、本日も9回の本塁ベースカバーなど守備にも優れている。

 名古屋の放った10安打のうち外野に飛んだヒットは全てレフト方向への打球であった。名古屋打線は全員右打者で、玉腰の決め球であるシュートを狙っていったようです。









*西沢道夫は延長10回を3安打に抑えて今季4度目の完封、10勝目をあげる。玉腰忠義も10安打8四球を許しながら粘りのピッチングを見せた。












*全員安打を記録した名古屋打線。全てシングルヒットであった。打球方向を見ると全て左方向であることが分かる。玉腰忠義のシュートを狙っていたようです。右打ちの大沢清まで左前打を放っています。