2013年1月5日土曜日

15年 タイガースvsジャイアンツ 8回戦 満州リーグ


8月3日 (土) 大連 満倶球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
1 0 0 0 0 0 0 0 0  1 タイガース    33勝23敗3分 0.589 三輪八郎
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 ジャイアンツ 40勝20敗 0.667 スタルヒン

勝利投手 三輪八郎  10勝2敗
敗戦投手 スタルヒン 19勝11敗

勝利打点 カイザー田中義雄 5


三輪八郎ノーヒットノーラン


 タイガースは初回、先頭のジミー堀尾文人が中前打で出塁、しかし皆川定之の投ゴロは「1-6-3」と渡ってダブルプレー、松木謙治郎が中前打を放って出塁、本堂保次がセンター左へのヒットで続き二死一二塁、カイザー田中義雄がセンター右にタイムリーを放って1点を先制する。

 タイガース打線は2回以降ジャイアンツ先発のスタルヒンに2安打に抑えられてゼロ行進が続いた。

 タイガース先発の三輪八郎が快投を見せた。初回は白石敏男三邪飛、水原茂三ゴロ、千葉茂投ゴロで三者凡退と幸先の良いスタート。2回、先頭の川上哲治の二ゴロをセカンド宮崎剛がエラーする間に川上は二進、中島治康の投ゴロで一死二塁、平山菊二の一ゴロの間に川上は三進、呉波は一直でスリーアウトチェンジ。3回も先頭の吉原正喜の捕飛をキャッチャー田中が落球、スタルヒンを捕邪飛に打ち取るが吉原に二盗を決められ白石四球で一死一二塁、しかし水原を左飛、千葉を三ゴロに打ち取る。

 4回、5回は三者凡退。6回、一死後水原に四球を与えるが千葉、川上を連続中飛に抑える。7回は二死後呉を四球で出すが牽制で釣り出し一二塁間でタッチアウト。8回も三者凡退に抑える。

 9回、先頭の水原を右邪飛に打ち取るが千葉の三ゴロをサード本堂がエラー。川上に四球を与えて一死一二塁、しかし中島をピッチャーフライ、平山をセカンドフライに打ち取り無安打無得点を達成する。この日は伊賀上良平が欠場しておりサードには本堂保次が入って一瞬ひやりとさせられたが凌ぎきった。スミ一を守り抜く厳しい展開であったが、タイガースは澤村栄治に2度無安打無得点を喫してきた雪辱を果たした。


 松木謙治郎著「タイガースの生い立ち」によると「長身から投げおろす速球と、大きくおちるドロップで各打者を凡打させ、強い当たりは2回、川上の二ゴロだけという好投だった。四球は4個あったが、投球数はわずか91球だった。」とのこと。川上の強い当たりの二ゴロはセカンド宮崎剛が大きく弾いて川上は二塁に進んでいる。公式記録員・広瀬謙三の判定は宮崎のエラーで、これが明暗を分けたことになる。翌日の満州日日新聞に寄せた広瀬謙三の選評には「速力球を本塁の内外角に配して稀有の好投を示し、投球数僅かに91後半に入るに従って巨人軍の予期するカーブと速球の裏をかいて直球を多くしてカーブを適時に配し巨人軍は2回川上の二ゴロが強い当りがあっただけで完全に三輪八郎に名をなさしめた。」と書かれている。


 三輪八郎は91球で無安打4四球4三振無失点、10勝目をあげる。この日のスコアカードにはカウントは記録されていないが雑記欄に「投球数91」と書かれている。









             *三輪八郎はジャイアンツ打線を無安打無得点に抑えた。













                   *「雑記」欄には「投球数91」と書かれている。











     *三輪八郎に無安打無得点に抑えられたジャイアンツ打線。

















     *初回にカイザー田中義雄が決勝打を放ったタイガース打線。

























 

15年 金鯱vs名古屋 8回戦 満州リーグ


8月3日 (土) 大連 満倶球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 金鯱     14勝38敗7分 0.269 内藤幸三 中山正嘉
2 0 1 0 0 0 0 0 X 3 名古屋 31勝23敗4分 0.574 村松幸雄

勝利投手 村松幸雄 13勝7敗
敗戦投手 中山正嘉   7勝19敗

二塁打 (名)吉田

勝利打点 吉田猪佐喜 7


吉田猪佐喜、決勝二塁打

 満州日日新聞は「3日に入って依然降り止まぬ恨みの雨に奉天シリーズ、イーグルス対南海、イーグルス対セネタースの2試合は又また中止の已むなきに至ったが、大連においても前日襲った台風の余波を受けて細雨煙る悪コンディションの中に金鯱対名古屋、巨人対タイガースの2試合を挙行、洋傘をかざした熱心なファンの注視を浴びて悲壮なゲームを続けた」と伝えている。


 金鯱は初回、先頭の五味芳夫がストレートの四球で出塁、佐々木常助の投前送りバントをファースト中村三郎が逸らす間に五味が三塁に進んで無死一三塁、佐々木はキャッチャー三浦敏一からの牽制球にタッチアウト、濃人渉が左前に先制タイムリーを放って1-0、黒澤俊夫の二ゴロをセカンド木村進一が二塁に悪送球して一死一二塁、森田実の中前打で一死満塁、室脇正信の三ゴロで三走濃人は本封、キャッチャー三浦は併殺を狙って一塁に送球するがこれを又もファースト中村が後逸する間に二走黒澤が三塁ベースを蹴ってホームインして2-0とする。

 名古屋は初回、先頭の石田政良、村瀬一三が連続四球、金鯱ベンチはここで早くも先発の内藤幸三をあきらめて中山正嘉をマウンドに送る。大沢清はファーストライナーに倒れるが吉田猪佐喜が中前にタイムリーを放って1-2、一走村瀬も三塁に進んで一死一三塁、1回表の守備で手痛い2エラーを犯した中村が中犠飛を打ち上げて2-2の同点に追い付く。

 名古屋は3回、先頭の村瀬一三が中前打で出塁、大沢は右飛に倒れるが吉田が右中間に二塁打を放って村瀬を迎え入れ3-2と逆転する。これが決勝打となった。中村三振後、三浦が右前打を放ち二走吉田がホームを突くがライト森田からのバックホームにタッチアウト。

 名古屋先発の村松幸雄は2回以降立ち直り、中山と漆原進にヒットを打たれたのみで金鯱に追加点を与えなかった。結局、4安打1四球4三振の完投で13勝目をあげる。


 翌日の満州日日新聞に掲載された広瀬謙三の選評には「旅行疲れのない名古屋が勝ったのは順当であろう。」と書かれている。金鯱のスケジュールは7月29日午前8時に2日と20時間かけて神戸港から大連港に到着、10時発の列車で午後4時奉天到着。30日は奉天で入場式のみ。31日奉天でジャイアンツ戦を行い夜行列車で8月1日午前7時45分新京入り。1日は新京でタイガース戦を行い、3日の名古屋戦のために大連に戻ってきた。新京-大連間は700キロなので約10時間かかる。一方、名古屋は奉天での入場式の後は1日に大連でジャイアンツ戦を行い大連に留まっていた。当初の予定では名古屋は1日の大連でのジャイアンツ戦の翌日に新京で南海戦が組まれていたが雨によるスケジュール変更に助けられたと言える。因みに大連の翌日新京で、新京の翌日大連で連戦というスケジュールも組まれているので大連-新京間700キロの夜行列車も運行されていたようです。








             *2回以降立ち直った村松幸雄は4安打完投で13勝目をあげる。









 

画像追加



 グーグルの画像システムが変更になったようで画像の取り込みができませんでしたが、操作方法が分かりましたのでタイガースvs金鯱8回戦以降の3試合に画像を追加させていただきました。






 

15年 南海vsライオン 8回戦 満州リーグ


8月2日 (金) 新京 児玉公園球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 2 3 南海      17勝37敗3分 0.315 政野岩夫
0 0 0 2 0 0 0 0 0 2 ライオン 16勝39敗3分 0.291 近藤久

勝利投手 政野岩夫 6勝9敗
敗戦投手 近藤久    3勝12敗

二塁打 (南)上田 (ラ)近藤

勝利打点 なし


両投手が猛打賞

 8月1日付け満州日日新聞が伝えるところによると、南海の清水秀雄は「明大在学時痛めていた左腕の肱が又痛み出して思うように投げられません」とのこと。南海は政野岩夫が先発、ライオンは近藤久で応戦する。南海はここまで16勝37敗3分、ライオンは16勝38敗3分で、熾烈な七位争いでもある。

 8月3日付け満州日日新聞は「開催以来連日に亘って雨に祟られ通しの本社主催職業野球満州リーグは三日目の2日に入っても依然険悪の天候に禍いされこの日開催予定の新京シリーズ、南海対ライオン1回戦、阪急対セネタース1回戦の再試合は頗る前途を危ぶまれたが、主催者聯盟側の一致した“決行”の意思に定刻より遅るること53分にして第一試合を挙行、而もこの熱意にも拘らず恨みの雨は刻一刻烈しさを加えグラウンドコンディションは極めて不良となり第二試合は中止のやむなきに至った」と伝えている。ということで、午後4時53分、倉信雄主審の右手が上がりプレイボール。


 南海は2回、先頭の吉川義次が中前打、木村勉も左前打を放って無死一二塁、ここで重盗を試みるがキャッチャー広田修三からの三塁送球に吉川はタッチアウト、岡村俊昭は三振、藤戸逸郎の遊ゴロをショート加地健三郎がお手玉して二死一二塁とするが上田良夫は三塁ライナーに倒れる。

 ライオンは2回裏、先頭の鬼頭数雄が中前打、一死後広田が左前打を放つが加地は三振、前田諭治は遊ゴロに倒れる。

 南海は3回、先頭の政野が中前打、トップに返り久々復帰の国久松一が右前打で続くが岩出清は三振、清水の三ゴロは「5C-3」と渡ってゲッツー。

 ライオンは3回裏、先頭の近藤が中前打、トップに返り坪内道則の投前送りバントを政野が一塁に悪送球、村上重夫が三前に送りバントを決めて一死二三塁とするが戸川信夫の遊ゴロに三走近藤が飛び出して三本間でタッチアウト、鬼頭も二ゴロに倒れる。

 ライオンは4回、先頭の玉腰年男の遊ゴロをファースト清水が落球、広田は四球で無死一二塁、加地に代わる代打として吉林丸船中の理事会で登録が承認された佐野忠澄がプロ入り初登場するが佐野の送りバントは政野が三塁に送球して玉腰は三封、前田は一邪飛に倒れて二死一二塁、近藤が中越えに2点タイムリー二塁打を放って2点を先制する。

 南海は5回も2安打を放ちながら無得点に終わったが7回、二死後上田が中越えに二塁打、政野の遊ゴロをショート佐野が一塁に悪送球する間に上田が還って1-2とする。

 南海は9回、先頭の山尾年加寿に代わる代打前田貞行が中前打で出塁、藤戸逸郎の三前送りバントで前田は二封、これは「5-6B」と記録されているので三ゴロ封殺ではなく送りバント失敗です。上田が左前打を放って一死一二塁、政野が起死回生の同点タイムリーを左前に放って2-2、トップに返り国久の遊ゴロをショート佐野がエラーする間に二走上田が決勝のホームを踏み南海が逆転勝ちして七位の座を守った。

 政野岩夫は7安打3四球2三振の完投で6勝目をあげる。打っても起死回生の同点打を放つなど4打数3安打1打点の活躍であった。

 一方、近藤久は9回を完投して11安打無四球5三振。こちらもチームの全得点を叩き出す二塁打を含めて4打数3安打2打点の活躍であった。


 第二試合に予定されていた阪急vsセネタース戦は雨が激しくなったため中止となった。南海vsライオン戦は佐野忠澄のタイムリーエラーで決したが、グラウンドコンディションが頗る悪く、選手の健闘を称える記事は多く見られるが批判的な記事は見られない。









     *政野岩夫が猛打賞を記録した南海打線。













     *近藤久が猛打賞を記録したライオン打線。












 

2013年1月4日金曜日

15年 タイガースvsセネタース 8回戦 満州リーグ


8月1日 (木) 新京 児玉公園球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 タイガース  32勝23敗3分 0.582 亀田敏夫 三輪八郎 藤村隆男
1 1 0 2 0 0 0 0 X 4 セネタース 35勝17敗5分 0.673 三富恒雄 野口二郎

勝利投手 三富恒雄 2勝2敗
敗戦投手 亀田敏夫 2勝1敗
セーブ    野口二郎 3

二塁打 (タ)本堂、田中 (セ)横沢2、苅田

勝利打点 横沢七郎 6


横沢七郎、2打席連続二塁打

 セネタースは初回、先頭の苅田久徳が四球を選んで出塁、横沢七郎が左越えに先制二塁打を放って1-0とする。

 セネタースは2回、先頭の山崎文一が中前打、柳鶴震が四球を選んで無死一二塁、タイガースベンチはここで早くも先発の亀田敏夫をあきらめてリリーフに三輪八郎を送る。佐藤武夫は三振に倒れるが三富恒雄の遊ゴロをショート皆川定之が二塁に悪送球する間に二走山崎が還って2-0とする。一走柳も三塁に進んで一死一三塁、織辺由三の遊ゴロは今度は「6-4-3」と渡ってダブルプレー。

 タイガースは4回、先頭の本堂保次が左中間に二塁打、伊賀上良平の右飛で本堂はタッチアップから三塁に進み、カイザー田中義雄の右前タイムリーで1-2とする。

 セネタースは4回裏、一死後佐藤が四球で出塁、三富は三振に倒れるが織辺が左前打を放って二死一二塁、トップに返り苅田が左中間に走者一掃の二塁打を放って4-1と突き放す。

 苅田監督は自らの2点タイムリー二塁打で勝てると見たか5回から野口二郎を注ぎ込む。野口は期待に応えて5イニングを3安打無四球6三振無失点に抑えてセネタースが逃げ切る。現行ルールでは野口に勝利投手が記録されるが公式記録では三富恒雄に勝利投手が記録されている。野口には当ブログルールによりセーブが記録される。


 横沢七郎が2打席連続二塁打を放った。横沢は昭和22年で引退するまで通算1770打席で0本塁打の記録を作ることとなる。兄の横沢三郎(後に野球殿堂入り)は審判として満州遠征に帯同している。





     *横沢七郎が2打席連続二塁打を記録したセネタース打線。















     *カイザー田中義雄が3打数3安打を記録したタイガース打線。













 

15年 タイガースvs金鯱 8回戦 満州リーグ


8月1日 (木) 新京 児玉公園球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 2 0 1 0 4 0 0 8 タイガース 32勝22敗3分 0.593 木下勇 若林忠志
0 2 1 0 1 0 0 0 0 4 金鯱          14勝37敗7分 0.275 古谷倉之助 内藤幸三 中山正嘉 長尾貞利

勝利投手 若林忠志 11勝10敗
敗戦投手 中山正嘉   7勝18敗

二塁打 (タ)伊賀上、本堂、宮崎 (金)黒澤、濃人
三塁打 (金)古谷

勝利打点 宮崎剛 3


森国五郎、4打数4安打

 満州は今日も雨だった。翌日の満州日日新聞は「開会以来の根深き雨はこの日も全満各地を襲い新京では午後3時開始予定の開会式は折からの驟雨にこれを中止、而も関屋副市長の始球式によって開始されたタイガース対金鯱の一戦も又々襲った驟雨に第三回中途にして一時小憩の已むなきに至れば」と伝えている。スコアカードには3回裏先頭打者の五味芳夫が四球で出塁したところで「雨のため5分休む」と記録されている。「驟雨」とはWikipediaによると「対流性の雲から降る雨のこと。しゅう雨。降水強度が急に変化し、降り始めや降り止みが突然で、空間的な雨の分布を見ても変化が大きく散発的であるのが特徴。特に、短時間で止むような一過性の驟雨をにわか雨という。」とのこと。奉天の2試合は雨天中止、大連は曇り空でした。


 タイガースは初回、ジミー堀尾文人、皆川定之が連続三振に倒れるが本堂保次が四球を選んで出塁、伊賀上良平が左中間に先制タイムリーを放って1-0とする。

 金鯱は2回、先頭の黒澤俊夫が四球で出塁、古谷倉之助が右中間に同点三塁打を放って1-1、室脇正信は投ゴロに倒れるが、漆原進が右前にタイムリーを放って2-1と逆転する。

 タイガースは3回、先頭の堀尾が中前打、皆川が右前打を放って無死一三塁、金鯱ベンチは先発の古谷をファーストに回して内藤幸三をリリーフに送る。直後に重盗を決めて2-2の同点、本堂が左中間に二塁打を放ち皆川も還って3-2と逆転する。

 金鯱は3回、先頭の五味芳夫が四球で出塁、ここでにわか雨のため5分間の中断があった。一死後濃人渉も四球を選び、黒澤の左前打で一死満塁、古谷の右犠飛で再び3-3の同点に追い付く。

 タイガースは4回、一死後森国五郎がセーフティバントを決めて出塁、金鯱ベンチはここでキャッチャーを福永一馬から松元三彦に交代、福永は吉林丸の船中で開かれた理事会で登録が承認されて本日がプロ入り初出場であった。木下勇に代わる代打山根実が四球を選んで一死一二塁、しかし堀尾は左飛、皆川は三振に倒れる。

 タイガースは先発の木下に代打を出したので4回裏から二番手として若林忠志をマウンドに送る。

 タイガースは5回、一死後伊賀上が四球で出塁、カイザー田中義雄は右直に倒れるが伊賀上が二盗を決めて二死二塁、松木謙治郎が中前にタイムリーを放って4-3とリードする。

 金鯱は5回裏、一死後森田実が左前打で出塁するが二盗に失敗、しかし濃人がセンター右にヒット、黒澤が左中間にタイムリー二塁打を放って4-4と三度追い付く。しかし黒澤が若林の牽制球に刺されてスリーアウトチェンジ。

 タイガースは7回、先頭の本堂の遊ゴロをショート濃人がエラー、伊賀上が四球を選び、田中が送って一死二三塁、松木が四球を選んで一死満塁、ここで宮崎剛が右中間に二塁打を放って6-4、森の左犠飛で7-4、若林が左前にタイムリーを放って8-4として勝負を決める。


 タイガースは13安打を放って8得点。森国五郎が5打席4打数4安打を記録した。但し4本のヒットが出たイニングでは得点は入らず、唯一ヒットでなかった7回の左犠飛により1打点を記録した。

 一方、金鯱打線も12安打を放ったが4得点に終わった。漆原進が4打数3安打の猛打賞であった。

 ロングリリーフとなった若林忠志は6イニングを8安打無四球2三振1失点で11勝目をあげる。翌日の満州日日新聞・武田尚昌の戦評たによると「金鯱は・・・老巧若林のチェンジ・オブ・ペースに眩惑されて」、翌日の読売新聞・宮島武夫の論評によると「金鯱は4回より代わった若林の老巧な投球術に遭って安打こそあったが散発に終わり」とのことである。












               *ロングリリーフの若林忠志が11勝目をあげる。












     *森国五郎が4打数4安打を記録したタイガース打線。











     *漆原進が4打数3安打を記録した金鯱打線。






 

2013年1月3日木曜日

15年 ジャイアンツvs名古屋 8回戦 満州リーグ


8月1日 (木) 大連 満倶球場

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 1  1 ジャイアンツ 40勝19敗 0.678 スタルヒン
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 名古屋         30勝23敗4分 0.566 松尾幸造

勝利投手 スタルヒン 19勝10敗
敗戦投手 松尾幸造     8勝9敗

勝利打点 中島治康 6


スタルヒン無四球完封

 ダブルヘッダーとなるジャイアンツは入国審査に手間取ったため大連に残っていたスタルヒンが先発、名古屋は松尾幸造が先発する。

 名古屋は初回、二死後大沢清が右前打を放つが吉田猪佐喜は二ゴロに倒れる。

 名古屋は3回、二死後石田政良が中前打を放つが村瀬一三は二ゴロに倒れる。名古屋は4回以降スタルヒンにパーフェクトに抑えられて一人の走者も出せなかった。

 ジャイアンツは初回、先頭の白石敏男が左前打、水原茂が中前打を放って無死一二塁、しかし千葉茂の送りバントはキャッチャー三浦敏一がダッシュ良く飛び出して白石を三塁に封殺し一死一二塁、川上哲治は左飛、中島治康はショートライナーに倒れて先制のチャンスを潰す。

 ジャイアンツは2回、先頭の平山菊二が四球で出塁、吉原正喜の遊ゴロでランナーが入れ替わり、スタルヒンの右飛にスタートを切っていた吉原が戻れず「9-3」と渡ってダブルプレー。

 ジャイアンツは3回~5回まで三者凡退。6回二死後水原が四球で出塁するが千葉は遊ゴロに倒れる。7回、8回は三者凡退。

 ジャイアンツ9回の攻撃は一番から始まるが白石、水原は連続三ゴロ、千葉が粘って四球を選び二死一塁、川上の左前打で二死一三塁、翌日の満州日日新聞によると「川上とヒット・エンド・ランを試みれば球は切れて遊撃後方のテキサスとなって二塁カバーに入った村瀬に逆となって及ばず」とのこと。ここで中島がセンター右にタイムリーを放って均衡を破る。翌日の満州日日新聞によると「名軍ベンチから歩かせてもよいとの注意の声がまだ終わらぬうち松尾第一球を無造作に投ずれば中島すかさず右中間に安打」とのこと。読売新聞の論評も満州日日新聞の論評も広瀬謙三の署名記事となっており、広瀬謙三は律儀にも読売新聞と満州日日新聞に別々の原稿を送っている。

 両軍無失策の引き締まったゲームであった。


 スタルヒンは2安打無四球8三振で今季8度目の完封、19勝目をあげる。スタルヒンの勝利は7月9日以来のこととなる。


 川上哲治はこの日4打数1安打、満州リーグ通算12打数4安打、夏季シリーズは103打数36安打で3割5分、今季通算220打数72安打で3割2分7厘となった。鬼頭数雄は夏季シリーズ3割5分5厘、今季通算3割5分2厘で川上を抑えている。







             *スタルヒンは無四球完封で19勝目をあげる。











     *中島治康が決勝タイムリーを放ったジャイアンツ打線。













     *スタルヒンに2安打に抑え込まれた名古屋打線。