2010年5月24日月曜日

12年春 大東京vs ジャイアンツ 2回戦

5月12日(水)上井草


1 2 3 4 5 6 7 8   9  計
1 0 0 0 2 0 0 0   0  3 大東京     7勝12敗1分 0.368 近藤久-大友一明
2 1 0 0 0 0 0 0 1X  4 ジャイアンツ 15勝5敗    0.750 澤村栄治


勝利投手 澤村栄治 11勝1敗
敗戦投手 近藤久    4勝6敗


二塁打 (大)坪内、藤浪 (ジ)水原、伊藤、中島
三塁打 (大)鬼頭 (ジ)呉


山本栄一郎の粘り、サヨナラを呼び込む


 大東京は初回、トップの坪内道則が左中間を破るや二塁を蹴って三塁へ、レフト伊藤健太郎-ショート白石敏男-サード水原茂と転送されてタッチアウト。続く鬼頭数雄は一二塁間を破り、水谷則一も中前打で続き鬼頭は三塁へ走り一死一三塁。水谷の盗塁にキャッチャー内堀保は二塁へ悪送球し鬼頭還り1点を先取。一番から三番の三連打で1点だけは痛い。ジャイアンツはその裏、トップの呉波が右中間へ三塁打、続く水原が左中間に二塁打してあっさり同点。三原脩四球で無死一二塁、大東京小西得郎監督はスパっとエース近藤久を引っ込め大友一明をリリーフに送る。中島治康のショート内野安打の際に悪送球が重なり水原が還ってジャイアンツが2-1と逆転。白石もサード内野安打で続くが後を大友が抑えチェンジ。
 ジャイアンツは2回、一死後呉が一二塁間を破り出塁、水原死球後ワイルドピッチで呉が三塁に進むと三原が中犠飛を打ち上げ3-1とリードを広げる。

 この日の澤村はいつものスピードに欠け、2回は藤浪光雄に二塁打を浴び3回も坪内に三遊間を破られるが何とか持ちこたえる。大東京は5回、遂に澤村を捕え遊失の藤浪とヒットの大友を置いて鬼頭が右中間に2点タイムリー三塁打を放ち3-3の同点に追い付く。更に大東京は6回、柳澤騰市が中前打を放つが続く浅原直人が6-4-3のゲッツー、ジャイアンツは大東京に傾きかけた流れを強引に土俵中央に寄り戻す。

 澤村は後半立ち直り7回、8回は三者凡退、9回は2三振を奪う。大友もよく投げジャイアンツ打線を抑えて試合は延長へ。10回表、澤村は大友、坪内を連続三振に斬って取る。投げれば投げる程力を発揮して最終回に最速を記録する、江川、野茂、松坂、斎藤祐ちゃん同様、大投手特有の底力を発揮するタイプである。

 ジャイアンツは10回裏、伊藤健太郎に代えてチーム最長老山本栄一郎を代打に起用、昨年、澤村の一度目のノーヒットノーランゲームでも代打決勝タイムリーを放った代打の切り札、日本運動協会ではエース兼三番打者として鳴らし、各倶楽部チームを渡り歩いてきたつわもの、ここでも粘りを発揮して四球を選び出塁。更に大きくリードをとりキャッチャー藤浪光雄の一塁牽制に釣り出されるが二塁へ爆走、ファースト浅原直人からの送球をショート筒井隆雄が落球して二塁に進塁、内堀は何とか送ろうと右飛を放つが浅い当たりで山本は動けず、続く澤村は普段は流し打ちが多いがここはランナーを進めるために引っ張って二ゴロとなり山本は三塁へ進塁し二死三塁、トップに返り呉が三遊間を破り山本栄一郎がサヨナラのホームを踏む。日本運動協会以来、くぐってきた修羅の数が違う。山本栄一郎については、好著「もうひとつのプロ野球 山本栄一郎の数奇な生涯」に詳しい。

*写真は昭和9年全日本時代の山本栄一郎のサイン(一番右)




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