2010年5月10日月曜日

12年春 セネタースvs阪急 4回戦

4月29日(木)洲崎


1 2 3 4 5 6 7 8 9
0 0 2 1 0 0 0 0 0 3 セネタース 9勝6敗 0.600 野口明
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 阪急     9勝6敗 0.600 宮武三郎-笠松実-石田光彦


勝利投手 野口明  7勝2敗
敗戦投手 宮武三郎 0勝1敗


二塁打 (阪)黒田
本塁打 (セ)中村民1


セネタース、阪急に並び3位に浮上
 セネタースは昨日阪急を完封した野口明が連投、一方阪急は遂に宮武三郎をマウンドに送るというある意味非常に興味深い一戦。
 宮武はコントロール定まらず、投手としての往年の力を期待するのは酷か。初回は中村信一に四球を与えたのみで切り抜けるが2回は3四球、キャッチャー倉本信護の三塁牽制で何とかピンチを切り抜ける。しかし3回、先頭の中村信に又も四球、尾茂田叶の二ゴロでランナーが入れ替わり四番中村民雄が左翼へツーランホームランを放ち2点を献上したところで二番手笠松実にマウンドを譲り宮武はファーストへ。
 セネタースは4回にも二死から四球で歩いた横沢七郎がキャッチャー倉本の一塁牽制悪送球で二進、苅田久徳の当たりは三塁内野安打となり、送球を受けたファースト宮武がオーバーランの横沢七を刺そうとサードに送球するもこれが悪送球となり3-0。
 野口明は昨日に続き快調なピッチング、6回まで3安打(うち内野安打2本)無得点に抑え込む。阪急は7回、先頭の山下好一が中前打で出塁、一死後山田伝の二ゴロをセカンド苅田が一塁に悪送球して一死二三塁、ここで阪急ベンチは川村徳久に代えて代打に投手登録の丸尾千年次を送る、ヤケのやんぱちのような選手起用がズバリ的中して丸尾は右翼に犠牲フライを打ち上げ1点を返す。戦後は阪急のスカウトとして活躍、梶本隆雄、米田哲也、山田久志を獲得して阪急黄金時代の礎を作ることとなる丸尾千年次の若き日の一駒である。因みに阪急が作新学院の江川卓をドラフト一位指名した時もヤケのやんぱち的指名であったが、担当スカウトは辣腕の丸尾であった。
 阪急は最終回、山下好一四球、山田伝右前打で一死一二塁と最後の反撃機を迎えると丸尾の後にキャッチャーとして入った島本義文に代えて又もピッチャーの北井正雄を代打に起用、しかし期待の北井は中飛に倒れて野口明が二日連続完投で7勝目をあげ、澤村栄治に並びハーラートップタイに躍り出る(北井は打撃にも優れておりこの代打起用は想定内である)。
阪急の石田光彦は4月16日以来久々の登板で2イニングスをパーフェクトに抑える。打線が下降気味なだけに石田の復帰は明るいニュース。


 セネタース内野陣はこの日も3併殺を記録、2回6-4-3、5回5-4-3、6回1-4-3と全て苅田久徳を軸としている。苅田はこの後、昭和13年春季シーズンにおいてMVPを獲得することとなる。残されている数字だけでは苅田がMVPに選ばれた理由は見出せない。本日のようなプレーの積み重ねが1年後のMVP獲得につながっていくのである。

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