2022年1月5日水曜日

21年 ゴールドスターvsパシフィック 11回戦

9月23日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 2 0 2 ゴ軍 31勝48敗1分 0.392 江田孝 
1 0 0 0 0 3 0 0 X 4 パ軍 33勝46敗3分 0.418 湯浅芳彰

勝利投手 湯浅芳彰 3勝11敗 
敗戦投手 江田孝    3勝11敗

二塁打 (ゴ)坪内

勝利打点(パ)藤井勇 4*

猛打賞 (パ)白石敏男 3


湯浅芳彰、7安打2失点の好投

 激戦が続く第22節最終日は西宮の2試合のみ。第1試合は江田孝と湯浅芳彰の先発で午後1時5分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 パ軍は初回、先頭の白石が中前打で出塁、一死後辻井の右前打で白石は三塁に進んで一死一三塁、藤井の中犠飛で1点を先制する。

 湯浅は初回から好投を続け、6回まで2安打無失点。5回にエラー、ヒット、四球で一死満塁のピンチを迎えたが、酒沢を遊ゴロ併殺に打ち取った。

 パ軍は6回裏、先頭の白石が右前打で出塁、小暮の遊ゴロが野選を誘って無死一二塁、辻井の三塁線ヒットで無死満塁、藤井は三邪飛に倒れて一死満塁、森下が中前にタイムリーを放ち2-0、続く伊勢川の二塁への飛球はインフィールドフライが宣告されたがセカンド中村信一は落球、この場合はボールデッドではないので三走小暮はホームイン、二走辻井も三塁ベースを蹴ってホームに突っ込み、落とした白球を拾った中村がバックホーム、タイミングはアウトであったが悪送球となり辻井もホームインしてこの回3点、4-1とする。

 ゴ軍は8回表、先頭の中村が汚名挽回の中前打で出塁、酒沢の二ゴロでランナーが入れ替わり、坪内の右中間二塁打で一死二三塁、西沢が左前に2点タイムリーを放ち2-4、しかしこの試合がプロ入り初出場となった清原初男の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー。

 湯浅は終盤バテてきたが、最終回、先頭の早川平一を三振に打ち取り、辻功に代わる代打大友一明に中前打を許し、江田に代わり今節プロデビューの小前博文が代打に起用されるが三振、坂本勲に四球を与えて二死一二塁とするが、最後の力をふり絞って中村を三飛に打ち取りゲームセット。

 湯浅芳彰は7安打2四球3三振の完投で3勝目をマークする。ピンチを2度の併殺で切り抜けたのが大きかった。

 パ軍6回裏の得点は実況のとおり「3点」であるが、スコアカードの得点欄には誤って「2点」と記載されており、「日本プロ野球記録大全集」は機械的にスコアカードの数字を転記しているだけなので誤ったままの「2点」となっていて、パ軍の総得点も「3点」と誤って記載している。

 なお、6回のインフィールドフライについて、「雑記」欄には「インフィールドフライを二塁手落したが、安打性の球だったので生還可能と認め得点打を與う」と書かれている。

 ここで言う「得点打」とは今で言う「打点」のことである。「與う」(⇒「あたう」)は現代語表記では「与う」であり、「与える」(あたえる)の文語形となる。したがって、この二塁への飛球で伊勢川には「セカンドフライ」で「凡打」が記録されているが、三走小暮が生還したことにより「打点」も「1」記録されている。

 インフィールドフライが宣告されても野手が落球して走者が進塁した場合はその野手に「失策」が記録されるが、上記のような経緯によりセカンド中村信一には「失策」は記録されず「刺殺」が記録されている。二走辻井の生還は中村の本塁送球が悪送球になったためであり、この悪送球に対しては「失策」が記録されている。上記のような経緯でなければ、中村は「落球」と「悪送球」のダブルエラーで「失策」が2個記録されるところであるが、公式記録では中村の失策は1個となっている。

 結局のところ伊勢川の「二飛」は一死満塁からの内野ゴロによる三塁走者生還と同様の取扱いとなり、伊勢川は「凡打」により打率を落としたが打点を記録されることとなった。

 公式記録員が「安打性の打球」と認めているということは、「インフィールドフライ」の宣告が微妙なものであって、中村信一の落球はむしろ「よく安打性の打球に追い付いたがグラブを弾いた」ものと見ることもできる。伊勢川真澄と藤本定義監督が抗議すれば「インフィールドフライ」の宣告が取り消されて「安打」に変更されていたかもしれないが、伊勢川は「冷静沈着」で知られており、藤本監督はそんなけち臭い男ではないので抗議はしなかったようだ。現代であれば翌日にインフィールドフライが取り消されて「安打」に記録が訂正されているかもしれない。

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