2016年7月19日火曜日

18年 阪神vs朝日 4回戦


5月19日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 2 0 1 1 5 阪神 11勝11敗 0.500 若林忠志
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 朝日 13勝8敗 0.619 真田重蔵

勝利投手 若林忠志 6勝3敗
敗戦投手 真田重蔵 4勝3敗

二塁打 (神)田中

勝利打点 若林忠志 1


野口昇、絶妙のプッシュバント

 阪神は初回、先頭の塚本博睦が四球で出塁、御園生崇男が左前打で続いて無死一二塁、カイザー田中義雄の三前バントが内野安打となって無死満塁、山口政信の投ゴロで三走塚本が本封されて一死満塁、門前真佐人の中犠飛で1点を先制する。

 朝日は1回裏、一死後酒沢政夫が四球を選んで出塁、中谷順次はライト線にヒット、一走酒沢は三塁に進み、打者走者の中谷も一塁ベースを蹴って二塁に向かうが、ライト御園生が二塁に送球してタッチアウト、記録はシングルヒットで二死三塁、浅原直人の三ゴロをサード平林栄治が一塁に悪送球する間に三走酒沢が還って1-1の同点に追い付く。


 阪神は2回、一死後乾国雄がストレートの四球で出塁、武智修の一塁線バントが送りバントとなって二死二塁、トップに返り塚本博睦がピッチャー強襲ヒットから二盗を決めて二死二三塁、御園生も四球で二死満塁、しかし田中は投ゴロに倒れて無得点。


 立ち上がり不安定だった朝日先発の真田重蔵は3回から立ち直り5回まで三者凡退を続ける。


 阪神は6回、先頭の門前が中前打で出塁、野口昇の左前打で一死一二塁、若林忠志が右前に勝越しのタイムリーを放ち2-1、ライト浅原がジャッグルする間に一走野口は三進、記録はワンヒットワンエラー、一死一三塁となって乾がスクイズを成功させて3-1とする。


 阪神は8回、先頭の山口の当りは右中間への飛球、センター坪内道則が捕球体勢に入ったところにライト浅原が衝突して坪内が落球、このプレーで浅原にエラーが記録された。打者走者の山口は二塁に進み、門前の左前打で無死一三塁、ここで門前がディレードスチールから一二塁間に挟まれて挟殺プレー、「1-3-4-1」と転送されて門前はタッチアウト、三走山口は動けず門前の陽動作戦は失敗に終わったが、その直後、野口昇がセカンドの前にプッシュ気味のスクイズバントを成功させて4-1と突き放す。


 阪神は9回、二死後塚本が四球から二盗に成功、御園生が左前にダメ押しのタイムリーを放って5-1として試合を決める。


 若林忠志は7安打4四球2三振1失点、自責点ゼロの完投で6勝目をあげる。


 阪神は終盤効果的に加点して逃げ切る。



 8回に野口昇が決めたセカンド前へのプッシュバントスクイズの技巧が光った。スコアカードの記載では「4-3」が四角で囲まれており「犠打」を表します。一死三塁からセカンドへの犠打により打点が記録されているので、スクイズであることは間違いない。打って出ての二ゴロの間に三走山口が生還したのなら犠打は記録されません。絶対に1点をやれない場面で二塁手がスクイズ警戒で極端な前進守備をとるケースもありますが、朝日は2点ビハインドの8回表なのでそのような極端な守備態勢をとる場面ではなく、野口昇がプッシュ気味にセカンドの前にスクイズバントを決めた可能性が高い。サインは出ていたとは思いますが、上記のとおり、門前がトリックプレーを行った直後のことなので、虚を突いてノーサインでプッシュバントを試みた可能性も否定できない。野口二郎は自伝「私の昭和激動の日々」の「すべてプロ入りした野口4兄弟」の項で、「私の見たところでは、昇は内野も外野もこなせる。打力もある程度あるし、脚も速い。昇が一番よかったように思えたが・・・」と書いている。野口二郎が認める昇の野球センスが見られた場面であった。



*8回阪神の攻撃で、野口昇がセカンド前にプッシュバントスクイズを決めた場面。その直前に一走門前真佐人がトリックプレーを行っている。



*8回、山口政信の打席でのライトのエラーについて、「雑記」欄に「坪内の捕球を浅原衝突して失す」と書かれている。

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