2016年5月18日水曜日

18年 巨人vs南海 2回戦


4月28日 (水) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 1 1 0 0 0 0 0 0  2  4  巨人 5勝6敗1分 0.455 沢村栄治 中村政美 藤本英雄
0 0 0 2 0 0 0 0 0  0  2  南海 6勝5敗 0.545 鈴木芳太郎 別所昭

勝利投手 藤本英雄 3勝3敗
敗戦投手 別所昭    4勝3敗

勝利打点 青田昇 1

ファインプレー賞 (南)長谷川善三 1


沢村の巧投が勝利を呼び込む

 巨人は沢村栄治 が二度目の帰還後2回目の先発、南海も鈴木芳太郎が昭和13年以来5年ぶりとなる登板で今季初先発。

 巨人は2回、一死後青田昇が左前打で出塁すると二盗に成功、伊藤健太郎の三ゴロをサード平井猪三郎が一塁に悪送球して一死一三塁、多田文久三の三ゴロを平井がエラーする間に青田が生還して1点を先制する。

 巨人は3回、先頭の呉昌征が中前打で出塁、坂本茂は二邪飛に倒れるが、白石敏男が右前打を放って一死一二塁、中島治康が左前にタイムリーを放ち2-0とする。

 二度の兵役により肩が上がらなくなった沢村は、下手からの巧投を見せた。1回、先頭の猪子利男に三塁内野安打を許すが、長谷川善三を投ゴロに打ち取り猪子を二封、八木進を左飛、別所昭を右飛に打ち取る。2回、先頭の堀井数男を一邪飛に打ち取り、鈴木に三塁内野安打を許し、サード小池繁雄の一塁送球が低く逸れる間に打者走者の鈴木は二進、しかし中野正雄を遊ゴロに打ち取り、平井も右飛に抑えて無失点。

 南海は3回、先頭の八木進が二塁に内野安打、別所の中前打で一走八木は三塁に進み、センター呉からのバックサードの間に打者走者の別所も二塁に進んで一死二三塁、堀井が中前にタイムリーを放って1-2、巨人ベンチはここで先発の沢村から二番手の中村政美にスイッチ、中村は鈴木、中野を連続三振に打ち取るが、平井に代わる代打岡村俊昭が四球を選んで二死満塁、加藤喜作が同点の押出し四球を選んで2-2と追い付く。


 南海は4回、先頭の長谷川が左前打で出塁、八木進も中前打、別所が四球を選んで無死満塁、巨人ベンチはここで中村から三番手の藤本英雄にスイッチ、堀井は浅い左飛、鈴木は三振、中野も三振に倒れて無死満塁のチャンスを生かせず無得点。

 南海は5回からライトの別所をマウンドに上げて鈴木をサードに回す。別所は5回、先頭の白石を中飛に打ち取るが中島に二塁内野安打を許して一死一塁、続く青田の遊ゴロをショート長谷川が二塁ベースを踏んで一塁に送球してゲッツー、この「6B-3」に対して「ファインプレー賞」が贈られた。

 巨人三番手の藤本は6回、先頭の岡村に四球を与える。どうも今季の藤本はコントロールが悪い。加藤の一塁線送りバントで加藤がファースト伊藤の守備を妨害してインターフェアが宣告されたが犠打は記録されている。一死二塁となってトップに返り猪子の打球は二遊間へのライナー、これをセカンド坂本が捕球してそのまま二塁ベースを踏んで無補殺併殺を完成させる。

 藤本は7回、二死後別所、堀井に連打を浴びるが、続く鈴木を三振に打ち取り無失点。この後はエンジン全開となり10回まで無失点に抑える。

 巨人は延長10回表、先頭の坂本が中前打、白石が右前打で続いて無死一二塁、中島の三ゴロで二走坂本が三封されて一死一二塁、青田が左前に決勝タイムリーを放って3-2、レフト堀井からのバックホームの間に一走中島は三塁に、打者走者の青田も二塁に進んで一死二三塁、多田の右犠飛で4-2と突き放す。この1点は効いた。


 巨人先発の沢村栄治は3回3分の0を投げて5安打無四球1三振2失点、自責点2。投球内容から、球威はないもののコントロールが安定していたと読み取れる。許した5安打のうち、内野安打が3本を占めていたことがスコアカードから判明している。残りの2本は二巡目に別所と堀井がアジャストして中前打を放ったもの。2失点目はリリーフした中村政美の押出し四球によるものであった。

 投球内容をもう少し詳しく分析してみると、南海打線は凡飛と引っ掛けた当りを繰り返していることが分かる。初回と2回のヒットは右打者猪子と鈴木の三塁内野安打であった。すなわち、下手からの浮き上がる外角速球とインシュートが巧みに機能していたのである。

 昭和18年の沢村栄治の投球を酷評している記述が数多く認められるが、事実関係を検証してから書いてくださいね。少なくともこの日のピッチングは、当時の平均的投球と比較してみても、「巧投」の部類に分類されることを当ブログが保証します。沢村栄治の名誉にかけて。


 

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