2013年5月3日金曜日

8糸差



 昭和15年10月11日、西宮球場で巨人vsライオン11回戦が行われることとなります。


 鬼頭数雄はここまで今季通算326打数101安打で打率3割9厘8毛2糸、川上哲治は313打数97安打で打率3割9厘9毛0糸。川上が「8糸差」で鬼頭を抑えています。


 夏季シリーズを終えた時点では鬼頭が277打数90安打で打率3割2分4厘9毛1糸、川上が268打数87安打で打率3割2分4厘6毛3糸と「2毛8糸差」でした。ミクロの闘いは「毛差」から「糸差」に進化しています。


 秋季シリーズに入って鬼頭はここまで49打数11安打で打率2割2分4厘4毛9糸、川上は45打数10安打で打率2割2分2厘2毛2糸と仲良く調子を崩しています。



 9月15日から最初の四試合のヒット数は鬼頭が1、1、2、1本で川上が2、0、2、1本。ここからお互い四試合連続無安打が続きます。更に鬼頭は1、3、1、0本、川上は2、3、0、0本。両者共に45打数10安打でした。10月9日のセネタース戦で鬼頭が4打数1安打を記録して3割9厘8毛2糸vs3割9厘9毛0糸の「8糸差」となったところで直接対決を迎えることとなります。




 

15年 黒鷲vs名古屋 11回戦


10月11日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 3 4 黒鷲     41勝39敗4分 0.513 亀田忠
3 0 0 0 0 0 0 4 X 7 名古屋 46勝33敗5分 0.582 河村章

勝利投手 河村章    2勝2敗
敗戦投手 亀田忠 22勝17敗

二塁打 (黒)宗宮 (名)岩本

勝利打点 吉田猪佐喜 10


岩本章、2盗塁2得点

 名古屋は初回、先頭の岩本章が左中間に二塁打、村瀬一三が四球を選び、ダブルスチールを決めて無死二三塁、桝嘉一は遊ゴロに倒れ大沢清が四球を選んで一死満塁、吉田猪佐喜が中前に先制タイムリーを放って1-0、亀田忠がワイルドピッチを犯して2-0、中村三郎の投ゴロで三走桝は三本間に挟まれるがサード木下政文の悪送球でホームに生還して3-0とする。

 黒鷲は2回、先頭の亀田が左翼線にヒット、寺内一隆は三振に倒れるが、中河美芳が左翼線にヒットを放って一死一二塁、木下の左前打で一死満塁、清家忠太郎が押出しの死球を受けて1-3、しかし宗宮房之助の投ゴロは「1-2-3」と渡ってダブルプレー。

 2回と4回のヒットを何れも併殺で無為にした名古屋は5回~7回まで三者凡退が続く。

 名古屋は8回、先頭の岩本が四球を選ぶと二盗に成功、村瀬も四球を選んで無死一二塁、桝が中前にタイムリーを放って4-1、村瀬も三塁に進んで無死一三塁、ここでダブルスチールを敢行、「2-4-2」と送球されてタイミングはアウトであったがキャッチャー清家が落球する間に村瀬が還って5-1、清家に失策が記録されたので村瀬と桝には盗塁は記録されない。桝は三塁に進み、木村進一が四球を選んで無死一三塁、木村のディレードスチールは「1-3-6」と転送されてタッチアウト、一死三塁から吉田が中前にタイムリーを放って6-1、中村が左翼線にヒットを放ち、亀田のワイルドピッチで一死二三塁、三浦敏一の遊ゴロの間に三走吉田が還って7-1と突き放す。

 黒鷲は9回、一死後寺内に代わる代打長谷川重一が四球を選んで出塁、中河が左翼線にを放って一死一二塁、木下が左前にタイムリーを放って2-7、中河は三塁に進んで一死一三塁、清家に代わる代打玉腰忠義の三ゴロは「5-4-3」と転送されるがセカンド木村からの一塁送球が悪送球となって三走中河が生還して3-7、打者走者の玉腰は二塁に進んで二死二塁、宗宮が左前にタイムリーを放って4-7と追い上げるがここまで。

 河村章は7安打3四球1死球1三振の完投で2勝目をあげる。


 黒鷲は2回の攻撃で1点返してなお一死満塁で宗宮房之助が投ゴロ併殺に倒れたが、宗宮は第二打席で二塁打、第四打席で左前タイムリーを打っているだけにここで1本出ていったら試合の行方は分からなかった。


 名古屋の岩本章は10月8日に今季初めて一番に起用されたが4打数3三振と結果を出せなかった。しかしこの日は第一打席で亀田忠の出鼻を挫く二塁打を放って三盗にも成功、8回にも先頭打者として四球で出塁し二盗を決めた。一番打者は第一打席にヒットを打てば役割の半分は達成したと言えます。長打であればなお良し。切り込み隊長と呼ばれる所以です。









                 *河村章は7安打完投で2勝目をあげる。













  *8日の南海戦に続いて一番に起用された岩本章が切り込み隊長ぶりを発揮した名古屋打線。














 

57年ぶり



 アトランタ・ブレーブスのティム・ハドソンが通算200勝を記録しました。メジャーでは200勝は珍しくなく、大したニュースではないのですが、ハドソンがこの日ホームランを打ったため歴史に残る偉業となりました。


 200勝達成試合でホームランを打った投手は1956年のボブ・レモン以来出現していなかったのです。ハドソンのライトへのホームランは飛距離ではスタンドに届いていませんでしたが、前進守備のブライス・ハーパーがフェンス際まで追いかけてグラブを出して、ハーパーのグラブに当ってスタンドインしました。ハーパーのアシストがなければ57年ぶりの記録はなりませんでした。


 1956年に200勝達成試合でホームランを打ったのはクリーブランド・インディアンスのボブ・レモンです。ボブ・フェラーより知名度では劣るかもしれませんが、ロパット・オールスターズの一員として日本にも来たことがあります。70年代後半から80年代前半にかけては、ニューヨーク・ヤンキースの監督でしたがスタインブレナーの気紛れによりビリー・マーチンと目まぐるしく監督の座を交代しています。ボブ・レモンは右投げ左打ちなので、レモンのホームランもライトスタンドだったかもしれません。ハドソンは流し打っています。




*ティム・ハドソンのサイン入りカード、アスレチックス時代のものです。因みに本日のスポニチに掲載されているハドソンの写真も何故かアスレチックスの帽子を被っています。







            *1948年にワールドチャンピオンに輝いたインディアンス。





  *一番上がボブ・フェラー、その下がボブ・レモンです。下から二番目はサチェル・ペイジです。




















 

2013年5月2日木曜日

内藤博文氏



 元巨人軍内野手・内藤博文氏の訃報が伝えられております。心よりご冥福をお祈りいたします。


 出身校の山梨県立甲府第一高等学校は旧制甲府中学の伝統を受け継ぐ名門校で、石橋湛山を始め、政・財・官界に数多の人材を輩出していることで知られています。1901年から校長を務めた大島正健が札幌農学校でクラーク博士の薫陶を受けていたことから校是は「Boys be ambitious」です。野球界では、甲府中学出身の五味芳夫が当ブログで活躍中であることはご存じのとおりです。


 甲府中学は日本人最初のプロ野球選手「ジャップ・ミカド」とも言われる三神吾朗の出身校でもあります。但し、「「ジャップ・ミカド」の謎」の著者である佐山和夫氏は「三神吾朗がジャップ・ミカドとしたのは間違いであった」として2011年1月28日付けスポーツニッポンに日本人最初のプロ野球選手はオール・ネイションズの「Naito」であったと公表されています。


 Wikipediaによると「日本のプロ野球で初めてジャンピングスローを披露した選手である。これは内藤自身が1970年代後半に東京スポーツの専属評論家だった時に、新聞コラムで書いていた。」とのことです。筆者が内藤博文の名前を知ったのも評論家時代のことです。70年代半ば~後半の高校・大学時代は東スポを熟読していましたので内藤のコラムは読んでいるはずですがこの記事は覚えておりません。評論家としての評価が高かったのも、名門校出身らしい頭脳によるものでしょう。










 

15年 南海vsセネタース 11回戦


10月11日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0   0 南海          21勝59敗6分 0.263 清水秀雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0   0 セネタース 44勝30敗10分 0.595 三富恒雄

二塁打 (セ)横沢

勝利打点 なし


清水秀雄12奪三振

 秋季シリーズは東西に分かれて1日二試合ずつを行っています。第一試合の試合開始時間は午後1時で行われてきましたが、この試合の開始時間は12時30分となっています。翌日の読売新聞によると「球場の都合で1時間繰り上げ正午からと発表され選手も観衆も開始を待ちうけていたのに時間変更の通告漏れから審判員の遅刻となって30分遅れたのは失態である」とのことです。


 試合は清水秀雄と三富恒雄の投げ合いで0対0のまま決着がつかず、延長12回引き分ける。秋季シリーズから「引分試合を廃止し必ず再試合をする」(3月6日付けブログ「革新綱領」参照)と取り決められましたので、今季は各チーム13回総当りですがこのカードだけ14回戦まで行われることとなります。したがって、他の7球団の今季の試合数は104試合ですが、南海とセネタース(最終的には「翼」になります)の試合数は105試合となります。

 清水秀雄は148球で12回を完投して4安打3四球12三振の力投で零封、三富恒雄は141球で12回を完投して7安打3四球5三振で零封する。

 南海は初回、先頭の国久松一がサード横沢七郎のエラーに生きるが続く岡村俊昭の二ゴロが「4B-3」のダブルプレー。4回、先頭の清水が左前打で出塁するが、一死後木村勉の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー。8回、先頭の加藤喜作が右前打で出塁、国久のバントが内野安打となって無死一二塁とするが、岡村は三振、伊藤経盛の遊ゴロが又も「6-4-3」と渡ってダブルプレー。


 南海は終始押し気味に試合を進めたが、セネタースが苅田を中心とする併殺網でピンチを切り抜け引分けに持ち込んだ。








               *清水秀雄と三富恒雄の力投を伝えるスコアカード。









 

三冠への道 2013 ②



 開幕から1カ月が経過しました。


 ナショナル・リーグ月間MVP・打撃部門はワシントン・ナショナルズのブライス・ハーパーと予想します。4月は3割4分4厘、9本塁打18打点、当ブログが三冠王候補の一角にあげています。△でしたが◎に変更したい。スウィングに凄味を増しています。12本塁打のジャスティン・アプトンを抑えるでしょう。


 ナショナル・リーグ投手部門はニューヨーク・メッツのマット・ハービーでいかがでしょうか。ルーキーシーズンの昨年は59回3分の1を投げてしまっているので新人王の資格はありませんが、とにかくストレートとスライダーで三振が取れるところがいい。4月は4勝0敗、防御率1.56、WHIP0.82、40回3分の1を投げて47奪三振です。被打率も1割5分3厘でリーグトップと安定しています。昨年の実績からも春の椿事とは言えない活躍が期待できます。オーソドックスなピッチングなので乱れないのではないでしょうか。


 アメリカン・リーグ打撃部門はボルチモア・オリオールズのクリス・デービスでしょう。4月は3割4分8厘、9本塁打、28打点。三振が多いと言われますがジョーイ・ボットに似た柔らかいスウィングで乱れそうにはない。但しバッティングは水物です。少しタイミングが狂うと打てなくなるスウィングにも見えます。シーズンを通してこの成績を維持するのは難しいのではないでしょうか。



 最大の注目を集めるアメリカン・リーグ投手部門はダルビッシュ有と予想します。但し確率は5割6分程度ではないでしょうか。5勝でハーラートップではありますが、タンパベイ・レイズのマット・ムーア、ボストン・レッドソックスのクレイ・バックホルツと並んでいます。防御率の2.33は黒田2.25に次いで10位でムーアの1.13(一位)、バックホルツの1.19(二位)とは大きく見劣りします。WHIPはトップの岩隈0.69、マット・ムーア0.88に次いで0.93で三位。結局のところ、ダルビッシュの拠り所は奪三振58個で二位のシャーザー46個以下を大きく引き離しているところだけとなります。マット・ムーアのピッチングは日本では全くと言っていい程報道されませんのでダルビッシュに期待がかかるのは致し方のないところではありますが、ムーアは32イニングスを投げてヒットを13本しか打たれておらず、被打率1割2分1厘と驚異的な数字を叩き出しています。腕が遅れて出てくるので94マイル前後のスピードでもバッターには速く見えているはずです。しかも大きなカーブと85マイル前後のチェンジアップがあります。ダルビッシュも被打率は1割7分ですから58奪三振でなんとかカバーできるのではないかと予想しておりますが、マット・ムーアに持っていかれても不思議ではありません。






 

2013年5月1日水曜日

15年 阪神vs黒鷲 11回戦


10月9日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 1 0 1 0 4 8 阪神 51勝30敗3分 0.630 三輪八郎 若林忠志
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 黒鷲 41勝38敗4分 0.519 亀田忠

勝利投手 三輪八郎 13勝3敗
敗戦投手 亀田忠    22勝16敗
セーブ     若林忠志 6

二塁打 (神)伊賀上
三塁打 (神)田中、松木
本塁打 (神)松木 2号

勝利打点 伊賀上良平 2


伊賀上良平、4打数3安打4打点

 阪神は初回、一死後皆川定之が右前打、本堂保次が左前打で続き、ピッチャー亀田忠の牽制悪送球で一死二三塁、伊賀上良平が中前に先制の2点タイムリーを放って2-0とする。

 阪神は5回、先頭の松木謙治郎が四球で出塁、皆川の左前打で無死一二塁、本堂の投ゴロを亀田は三塁に送球するがサード木下政文が落球して無死満塁、伊賀上が押出し四球を選んで3-0とする。

 阪神は7回、先頭の松木が中越えに三塁打、皆川が四球を選ぶが盗塁に失敗、本堂は投ゴロに倒れて二死三塁、伊賀上がセンター右にタイムリーを放って4-0とする。

 黒鷲は8回、先頭の木下が右前打で出塁、清家忠太郎の二ゴロが「4-3-6」と転送されて木下は二封、清家は一塁に残って一死一塁、宗宮房之助が四球を選んで一死一二塁、トップに返り岡田福吉の投ゴロをピッチャー三輪八郎が三塁に送球するがサード伊賀上が落球して一死満塁、岩垣二郎に代わる代打玉腰忠義は三振に倒れて二死満塁、太田健一が左前にタイムリーを放って1-4、四番亀田忠を迎えたところでタイガースベンチは先発の三輪から若林忠志にスイッチ、亀田は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪神は9回、先頭の松木がライトポール際に第2号ホームランを叩き込んで5-1、皆川は三ゴロに倒れるが、本堂が左前打、伊賀上の右翼線二塁打で一死二三塁、カイザー田中義雄が右中間に三塁打を放って7-1、ジミー堀尾文人は投飛に倒れるが森国五郎の三塁内野安打がタイムリーとなって8-1として試合を決める。


 若林忠志は9回、エラーと四球で一死一二塁とするが谷義夫を投ゴロ併殺に打ち取り当ブログルールによりセーブが記録される。






     *伊賀上良平が4打数3安打4打点を記録した阪神打線。