2025年6月23日月曜日

22年 金星vs大阪 9回戦

7月3日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
1 0 0 2 0 0 0 0  0  3 金星 18勝27敗1分 0.400 江田孝
0 1 0 0 0 0 0 0 3X 4 大阪 31勝13敗1分 0.705 渡辺誠太郎 武智修

勝利投手 武智修 2勝2敗 
敗戦投手 江田孝 5勝11敗

二塁打 (大)藤村、呉昌征

勝利打点(大)玉置玉一 3

猛打賞 (金)坪内道則 5 (大)土井垣武 3


大阪が逆転サヨナラ勝ち

 西宮の第2試合は江田孝と渡辺誠太郎の先発で午後3時57分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は初回、一死後大友一明が四球を選んで出塁、坪内道則監督の左前打で一死一三塁、西沢道夫の二ゴロの間に三走大友が還って1点を先制する。

 大阪は2回裏、先頭の藤村富美男が左中間に二塁打、土井垣武の二ゴロが進塁打となって一死三塁、本堂保次の右前タイムリーで1-1の同店に追い付く。

 金星は4回表、先頭の坪内が左前打から二盗に成功、西沢の投ゴロに二走坪内が飛び出して二三塁間に挟まれるが、挟殺プレーでショート長谷川善三の悪送球があり坪内は一気にホームに還って2-1、打者走者の西沢は二塁に進み、西沢が三塁に盗塁を試みタイミングはアウトであったがキャッチャー土井垣からの送球が悪送球となる間に西沢もホームに還り3-1と2点をリードする。

 大阪は7回から武智修が二番手としてマウンドに上がる。

 2点ビハインドで迎えた大阪最終回の攻撃、一死後呉昌征がレフト線に二塁打、富樫淳の左前打で呉は三塁に進み、送球の間に打者走者の富樫も二塁を陥れて一死二三塁、藤村は浅い右飛に倒れて二死二三塁、ここで土井垣が左前に起死回生の同点2点タイムリーを放ち3-3と追い付き、本堂の当りはセカンドフライとなって延長戦に突入かと思われた瞬間、セカンド大友が落球して二死一三塁、本堂が二盗を決めて二死二三塁、玉置玉一が左前にサヨナラタイムリーを放ち大阪が打っ棄る。

 金星は4安打、その内坪内が3安打を記録した。

 大阪はこの試合を落とすと2位中日に0.5ゲーム差に迫られるところであったが、何とか1.5ゲーム差をキープすることとなった。昭和22年のペナントレースは最終的には大阪が大差で優勝することになるが、前半戦は綱渡りの展開が続くのである。

2025年6月22日日曜日

22年 中日vs太陽 7回戦

7月3日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 1 0 0 4 5 11 中日 29勝14敗       0.674 服部受弘 藤本英雄 
0 0 0 2 1 0 1 0 0  4  太陽 17勝27敗1分 0.386 真田重蔵

勝利投手 服部受弘 9勝1敗 
敗戦投手 真田重蔵 7勝10敗 
セーブ     藤本英雄 1 

二塁打 (中)大沢
三塁打 (中)山本
本塁打 (中)服部受弘 1号 (太)荒川昇治 1号、辻井弘 1号、中谷順次 2号

勝利打点(中)加藤正二 2


代役四番の大沢清が同点適時打

 後楽園の第2試合は服部受弘と真田重蔵の先発で午後2時50分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 中日は3回表、先頭の藤原鉄之助が左前打で出塁、服部の右前打で無死一三塁、服部が二盗を決め、キャッチャー伊勢川真澄の二塁送球が悪送球となる間に三走藤原が還って1点を先制する。

 太陽は4回裏、一死後佐竹一雄が四球から二盗に成功、荒川昇治がレフトスタンドに逆転ツーランを叩き込んで2-1とリードする。

 中日は5回表、一死後服部がレフトスタンドに同点ホームランを叩き込んで2-2とする。

 太陽は5回裏、一死後辻井弘がライトスタンドにソロホームランを叩き込んで3-2と勝ち越す。

 中日は6回表、先頭の金山次郎の当りは三前へのボテボテの当り、これをサード中谷順次が素手で掴んで一塁に送球してアウトにした。公式記録員山内以九士は「雑記」欄に「素手好守」」と記している。

 太陽は7回裏、ファインプレーの中谷がレフトポール際にライナーで飛び込むホームランを放ち4-2と突き放す。

 中日は8回表、一死後杉江文二が左前打で出塁、金山が三前にセーフティバントを決めて一死一二塁、古川清蔵の中前打で一死満塁、大沢清がライト線に2点タイムリー二塁打を放ち4-4と追い付き、二死後加藤正二が左前に2点タイムリーを放ち6-4と勝ち越す。

 太陽は8回裏、先頭の森下重好の当りは遊ゴロ、これをショート杉浦清監督がエラー、佐竹は三塁線に内野安打、サード山本尚敏からの二塁送球が悪送球となる間に森下は三塁に進んで無死一三塁、中日ベンチはここで先発の服部から藤本英雄にスイッチ、佐竹が二盗を決めて無死二三塁、伊勢川の二ゴロで三走森下がホームに突っ込むがセカンド金山からの本塁送球にタッチアウト、一死一三塁から伊勢川が二盗を試みるがキャッチャー藤原からの送球に盗塁失敗、二死三塁から荒川は三振に倒れて無得点。

 中日は9回表、先頭の藤本が三塁線にヒット、山本が右中間にタイムリー三塁打を放ち7-4、トップに返り杉江の左前タイムリーで8-4、金山の左前打で無死一三塁、古川の三ゴロの間に三走杉江が還って9-4、一死二塁から大沢の投ゴロに二走金山が飛び出して二三塁間に挟まれるが、サード中谷からの送球が悪送球となって金山は一気にホームに還り10-4、杉浦の遊ゴロをショート平山菊二が二塁に悪送球して一死一三塁、加藤の右犠飛で11-4として試合を決める。

 太陽は3本塁打を放ったが守備の乱れから大敗した。

 中日は6月の月間MVPに輝いた小鶴誠が欠場したが、代役で四番に入った大沢清が2点ビハインドの場面で同点タイムリーを放った。

 山本尚敏は代走で起用されることが多いが、9回に放った追撃のタイムリー三塁打は効果的であった。

2025年6月18日水曜日

22年 巨人vs阪急 7回戦

7月3日 (木)西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 5 3 0 0 0 1 0 10 巨人 21勝23敗1分 0.477 川崎徳次 諏訪裕良 多田文久三 
0 0 0 0 2 7 0 0 0  9  阪急 20勝24敗2分 0.455 天保義夫 森弘太郎 野口二郎

勝利投手 多田文久三 4勝2敗 
敗戦投手 野口二郎     7勝7敗

二塁打 (巨)川上 2、小松原
三塁打 (急)下社
本塁打 (巨)小松原博喜 3号 (急)野口明 2号

勝利打点(巨)川上哲治 4

猛打賞 (巨)小松原博喜 2


激戦を制して巨人が単独4位に浮上

 西宮の第1試合は川崎徳次と天保義夫の先発で午後1時30分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 勝率4割6分5厘で並ぶ4位同士による対戦。

 巨人は初回、二死後千葉茂が左前打で出塁、川上哲治のタイムリー中越え二塁打で1点を先制する。

 巨人は3回表、先頭の川崎が四球で出塁、トップに返り呉新亨の三ゴロでランナーが入れ替わり、山川喜作の三塁線ヒットで一死一三塁、千葉は四球で一死満塁、川上が一塁線を破る2点タイムリー二塁打を放ち3-0、小松原博喜も左中間に2点タイムリー二塁打を放ち5-0、平山菊二の左前打で一死一三塁、内堀保の二ゴロの間に三走小松原が還って6-0とする。

 巨人は4回表、一死後山川が中前打で出塁、二死後川上は四球で歩いて一二塁、ここで小松原が左中間スタンドにスリーランを叩き込んで9-0とする。

 阪急は5回から二番手として森弘太郎をマウンドに送る。前半で巨人が大量リードとなって勝負あったかに見えたのだが・・・。

 阪急は5回裏、先頭の下社邦男が右中間に三塁打、一死後荒木茂の左前タイムリーで1-9、二死後トップに返り田中幸男が右前打を放って一三塁、上田藤夫の右前タイムリーで2-9と反撃開始。

 巨人は6回から先発の川崎に代えて諏訪裕良を二番手としてマウンドに送る。

 阪急は6回裏、先頭の坂元義一がストレートの四球で出塁、下社も四球、日比野武は死球で無死満塁、森への初球でキャッチャー内堀が二塁に牽制球、これが悪送球となる間に三走坂元が還って3-9、森は四球で一死満塁、トップに返り田中幸男が押出し四球を選んで4-9、巨人ベンチはストライクが入らない諏訪から多田文久三にスイッチ、多田も上田に押出し四球を与えて5-9、青田昇は二飛に倒れて二死満塁、ここで野口明がレフトスタンドにライナーで突き刺さる同点グランドスラム、9-9と追い付く。

 奇跡的に同点に追い付いた阪急は7回から三番手として野口二郎をマウンドに送る。

 巨人は8回表、先頭の山川の当りは遊ゴロ、これをショート田中がエラー、千葉が送って一死二塁、山川が三盗を決めて一死三塁、川上の右犠飛で10-9と勝ち越す。

 多田文久三は7回以降阪急打線を無得点に抑えて4勝目をマークする。

 完全な負け試合を一時追い付いた阪急としては逆転したかったところであるが惜しい星を落とした。

 巨人は何とか凌ぎ切って単独4位に浮上。

2025年6月16日月曜日

22年 南海vs東急 8回戦

7月3日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 23勝21敗1分 0.523 別所昭
0 0 1 0 0 0 0 0 X 1 東急 16勝26敗1分 0.381 黒尾重明 白木義一郎

勝利投手 黒尾重明 4勝7敗 
敗戦投手 別所昭   11勝9敗 
セーブ 白木義一郎 3

勝利打点(東)飯島滋弥 1

東急、完封リレーで4連勝

 第12節初日、後楽園の第1試合は別所昭と黒尾重明の先発で午後1時2分、西垣球審の右手が上がりプレイボール。

 東急は初回、先頭の一言多十が中前打で出塁、一死後飯島滋弥が死球を受けて一二塁、しかし当たってきた大下弘と好調長持栄吉が倒れて無得点。

 東急は3回表、先頭の白木が中前打で出塁、トップに返り一言の送りバントは正直すぎてピッチャー別所から二塁に送球され白木は二封、続く鈴木清一の二ゴロが進塁打となって二死二塁、ここで飯島が右前にタイムリーを放ち1点を先制する。

 南海は6回表、先頭の安井亀和が四球を選んで出塁、河西俊雄の三塁線バントが内野安打となって無死一二塁、東急ベンチはここで先発の黒尾から白木義一郎にスイッチ、白木は岡村俊昭を右飛、山本一人監督を三ゴロ併殺に打ち取る。

 白木は7回以降、南海打線を無安打に抑え、東急が完封リレーで4連勝を飾る。

 この試合のスコアカードには戦後初めて山内以九士がサインしている。山内は昭和21年シーズン初めから連盟記録部の仕事を委嘱されていたが、戦後の混乱期ということで郷里の松江から東京に出てくるには少し時間を要した。

 この試合の「雑記」蘭には山内の文字で「別所はスピードを用いずカーブにたよる」と書かれている。別所は「剛球投手」と言われているが、当時の生の情報では変化球も駆使していたことが分かるのである。フェイクニュースを信じる人が後を絶たない世の中であるが、「真実」を知るには当時の生の情報を掘り下げる以外に道はない。

2025年6月14日土曜日

22年 6月 月間MVP

月間MVP

投手部門  南海 川崎徳次 2
 投手部門は川崎徳次と重松通雄の争いとなった。
 川崎は4勝2敗で4勝は全て完封勝利。防御率1.62、WHIP0.99。
 重松は3勝1敗2完封。防御率1.43、WHIP1.01。

 投球内容では重松と甲乙付け難いが、川崎は3試合連続完封からリリーフを挟んで今月4度目の完封後の6月29日の中日戦で7失点敗戦投手。最終回に3人ランナーを残してリリーフした多田文久三が3つの押出しでサヨナラ負け。この試合までは防御率0.57、WHIP0.86だった点が評価されて、昭和17年6月以来5年ぶりの受賞となった。

 重松は、6月29日の東急戦が唯一の敗戦投手だったが、この試合は金星が0対5から4対5と追い上げムードのところで雨のため5回コールドとなったもの。雨が強くならなければ金星が逆転していた可能性が高く、重松は今月4勝0敗の可能性もあった。重松にとっては無情の雨であった。

打撃部門 中日 小鶴誠 1
 打撃部門は小鶴で決まり。
 小鶴は、5月31日現在では62打数7安打、打率1割1分3厘と極度の不振であった。6月1日の南海戦を休んで、2日以降は67打数25安打、打率3割7分3厘。14得点12打点3本塁打と爆発した。

 大下弘は67打数23安打、打率3割4分3厘。大下も5月31日までは打率2割6分1厘と調子は上がらなかったが今月復活、しかし本塁打0本ではMVPは無理。
 千葉茂は65打数22安打、打率3割3分8厘と健闘、本堂保次も66打数22安打、打率3割3分3厘と頑張ったがワンパンチ足りず。

 むしろ、青田昇が72打数17安打、打率2割3分6厘と打率は低かったものの4本塁打19打点と爆発した。もう少し打率が高ければ小鶴を凌いでMVPに選出されていたであろう。

2025年6月13日金曜日

22年 第11節 週間MVP

週間MVP

投手部門
南海 丸山二三雄 1 2試合連続完封。

打撃部門
太陽 平野徳松  1 29日の阪急戦でサヨナラ二塁打。30日の巨人で本塁打。

殊勲賞
巨人 平山菊二  1 11打数5安打3得点5打。点。
東急 熊耳武彦  2 15打数4安打5打点。
南海 別所昭   1 12打数4安打2得点3打点1本塁打。
東急 白木義一郎 1 2勝1完封。

敢闘賞
巨人 千葉茂   3 13打数6安打3得点。
巨人 小松原博喜 1 13打数5安打3得点3打点。
阪急 坂元義一  2 13打数5安打1得点1打点、1本塁打。
東急 長持栄吉  2 13打数4安打3得点3打点。
中日 古川清蔵  3 11打数4安打2得点2打点。

技能賞
南海 筒井敬三  1 30日の金星戦で坪内の盗塁を2度刺す。
南海 朝井昇   1 30日の金星戦で二死三塁からのタイムリーセーフティバント。

2025年6月12日木曜日

22年 太陽vs巨人 7回戦

6月30日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 2 0 0  2  太陽 17勝26敗1分 0.395 三富恒雄 池田善蔵 湯浅芳彰 
2 5 1 1 0 5 1 0 X 15 巨人 20勝23敗1分 0.465 多田文久三 近藤貞雄

勝利投手 多田文久三 3勝2敗 
敗戦投手 井筒研一     1勝2敗
セーブ     近藤貞雄  1

二塁打 (太)伊勢川 (巨)川上、小松原
三塁打 (巨)小松原、平山
本塁打 (太)平野徳松 1号

勝利打点(巨)川上哲治 3

猛打賞 (巨)小松原博喜 1、平山菊二 2


ワンサイドゲーム

 甲子園の第2試合は井筒研一と多田文久三の先発で午後3時32分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は初回、二死後千葉茂が中前打で出塁、川上哲治がレフト線にタイムリー二塁打を放ち1点を先制、小松原博喜も中越えにタイムリー二塁打、2-0とリードする。

 太陽は2回から先発の井筒に代えて池田善蔵をマウンドに送ったが・・・。

 巨人は2回裏、内堀保、田中資昭、多田が3連続四球、太陽ベンチはここで池田を下げて湯浅芳彰を三番手としてマウンドに送り、トップに返り呉新亨も押出し四球で3-0、山川喜作は中前に2点タイムリー、センター森下重好が打球を後逸する間に一走呉もホームに還って3点追加して6-0、千葉の左前打で無死一三塁、川上の中前タイムリーでこの回一挙5点、7-0と大きくリードする。

 巨人は3回裏、先頭の内堀の三ゴロをサード平野徳松が一塁に悪送球して内堀は二塁に進み、一死後多田の左前タイムリーで8-0とする。

 巨人は4回裏、二死後小松原博喜が左前打、レフト藤井勇が後逸する間に打者走者の小松原は二塁に進み、平山菊二の中前タイムリーで9-0とする。

 巨人は5回裏、田中、多田、4回から呉新亨に代わってセンターに入っている林清光が3連続レフトフライに倒れてこの試合初の無得点。

 巨人は6回裏、先頭の山川喜作が四球で出塁、千葉の遊ゴロをショート松井信勝が二塁に悪送球して無死一二塁、川上は四球で無死満塁、小松原の中犠飛で10-0、平山の中前タイムリーで11-0、内堀の右前打で一死満塁、田中に代わる代打古家武夫の三塁線タイムリーで12-0、多田の右犠飛で13-0、トップに返り林の中前タイムリーで14-0とする。

 大量リードの巨人は7回から二番手として近藤貞雄をマウンドに送る。

 太陽は7回表、先頭の森下が四球で出塁、一死後平野がレフトスタンドにツーランを叩き込んで2点を返す。

 巨人は7回裏、一死後小松原が右中間に三塁打、平山も右中間にタイムリー三塁打を放ち15-2として圧勝。

 巨人は15安打7四球、太陽は4失策でワンサイドゲームとなった。

 近藤貞雄は昨年23勝をマークしたが、オフに進駐軍ジープの乱暴な運転を避けようとした際に右手を怪我して今季はこの日が2度目の登板。巨人はこの年で投げられなくなった近藤に見切りを付けて中日に放出するが、近藤は曲がったままの指でパームボールを習得して復活することになる。近藤が真価を発揮するのは引退後の投手コーチ、監督時代となる。リリーフ投手を重視する継投策の確立は高く評価された。

2025年6月11日水曜日

22年 金星vs南海 6回戦

6月30日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 金星 18勝26敗1分 0.409 三富恒雄 
3 0 0 0 0 0 3 0 X 6 南海 23勝20敗1分 0.535 丸山二三雄

勝利投手 丸山二三雄 7勝3敗 
敗戦投手 三富恒雄     2勝7敗

二塁打 (南)山本
本塁打 (南)別所昭 1号

勝利打点(南)岡村俊昭 4


三番別所がダメ押しスリーラン

 後楽園の第2試合は三富恒雄、丸山二三雄両サウスポーの先発で午後2時58分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は初回、先頭の坪内道則監督が左前打で出塁、一死後坪内の二盗をキャッチャー筒井敬三が刺し、清原初男は四球から二盗に成功、西沢道夫も四球で出塁するが後続なし。

 南海は1回裏、一死後河西俊雄が四球から二盗に成功、二死後山本一人監督も四球を選び、岡村俊昭の右前タイムリーで1点を先制、二死一三塁となって岡村が二盗に成功、この時三走山本のリードが大きくキャッチャー辻勇夫が三塁に送球するが悪送球となって山本が生還し2-0、岡村は三塁に進んで二死三塁、朝井昇がワンボールワンストライクからの3球目で三前にタイムリーセーフティバントを決めて3-0とする。

 二死三塁からの三塁線へのセーフティバントの場合、三塁手は一塁送球よりも三塁ランナーをアウトにしやすいので、バントをするバッターはきちんとボールを殺し、三塁ランナーはきちんとスタートを切らなくてはならない高等戦術である。三走岡村は朝井のバントを知っていないとスタートを切りにくいのでスクイズ並みのスタートを切ったと考えられる。バントエンドランのサインが出ていた可能性もある。

 金星は3回表、一死後坪内が四球で出塁、中村信一の右前打で一死一二塁、清原は三振、二走坪内はスタートを切ったが初回に続いて筒井が俊足坪内を刺して三振ゲッツー。

 南海は7回裏、先頭の小林悟楼が右前打で出塁、トップに返り安井亀和の遊ゴロで小林は二封、安井は一塁に残り二盗に成功、河西のピッチャー強襲ヒットで一死一三塁、ここでこのところ三番ファーストに入っている別所昭がレフトスタンドにスリーランを叩き込んで6-0とダメ押す。

 丸山二三雄は6回以降を無安打に抑え、5安打5四球1三振で2試合連続完封、7勝目をマークする。

 調子を落としていた南海は今節丸山二三雄が2試合連続完封。この試合では筒井敬三が坪内の盗塁を2度刺し、得意の機動力も見られ、朝井昇のタイムリーセーフティバントと岡村俊昭の好走塁も見事であった。

2025年6月9日月曜日

22年 阪急vs中日 7回戦

6月30日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 2 0 1 1 5 阪急 20勝23敗2分 0.465 野口二郎 
1 1 0 0 0 0 0 0 0 2 中日 28勝14敗 0.667 藤本英雄

勝利投手 野口二郎   7勝6敗 
敗戦投手 藤本英雄 12勝7敗

二塁打 (中)杉江
三塁打 (急)野口二郎 (中)小鶴
本塁打 (急)坂元義一 2号

勝利打点 なし

猛打賞 (急)坂元義一 21、野口二郎 1


阪急、坂元義一の快打で快勝

 甲子園の第1試合は野口二郎と藤本英雄の先発で午後1時30分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 中日は昨日途中出場で今季初安打を含む2安打の杉江文二をトップに起用。初回、その杉江がいきなりレフト線に二塁打、金山次郎がお送りバントを決めて一死二塁、二死後小鶴誠がセンター右奥にタイムリー三塁打を放ち1点を先制する。

 中日は2回裏、先頭の加藤正二が中前打で出塁、藤本のライト線ヒットで無死一三塁、一死後藤本が二盗に成功、三村勲がスクイズバントを決めて2-0とする。

 阪急は4回表、五番定着の坂元義一がレフトスタンドに第2号ソロを叩きこんで反撃開始。

 阪急は6回表、先頭の野口明が右中間にヒット、一死後野口二郎が中前打、下社邦男が四球を選んで一死満塁、日比野武の三塁線タイムリーで2-2の同点、一死満塁から荒木茂の投ゴロを藤本が本塁送球、キャッチャー上林繁次郎が一塁に転送してゲッツーかと見られた瞬間、上林の送球が悪送球となって二走下社が生還、3-2と逆転する。

 阪急は8回表、先頭の下社が右前打で出塁、日比野が送って一死二塁、荒木の三塁線タイムリーで4-2とリードを広げる。

 阪急は9回表、先頭の青田昇が中前打で出塁、青田が二盗を決め、野口明の右飛で青田がタッチアップから三塁に進み、坂元の左前タイムリーで5-2と突き放す。

 野口二郎は8安打1四球4三振の完投で7勝目をマークする。

 坂元義一は第7節までは試合出場も少なく53打数10安打で打率も1割台であったが、第8節以降は五番に定着して55打数15安打2本塁打と強打を発揮している。この日も反撃の狼煙を上げる一発と貴重な追加点となるタイムリーを放ち殊勲甲の活躍を見せた。

2025年6月8日日曜日

22年 東急vs大阪 7回戦

6月30日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 3 0 0 0 0 0 3 東急 15勝26敗1分 0.366 白木義一郎 
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 大阪 30勝13敗1分 0.698 野崎泰一

勝利投手 白木義一郎 7勝9敗 
敗戦投手 野崎泰一     0勝2敗

三塁打 (東)大沢 (大)長谷川
本塁打 (大)藤村富美男 1号

勝利打点(東)白木義一郎 3


快調東急3連勝

 第11節最終日、後楽園の第1試合は白木義一郎と野崎泰一の先発で午後1時8分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 東急は4回表、先頭の飯島滋弥が死球を受けて出塁、大下弘は三塁線にヒット、長持栄吉も死球を受けて無死満塁、一死後白木がレフト線に先制の2点タイムリーを放ち2-0、大沢喜好が右中間にタイムリー三塁打を放ち3-0とリードする。

 大阪は8回裏、藤村富美男がライトスタンドに今季第1号ホームランを叩き込んで1点返すが、最終回は三者凡退で敗れる。

 白木義一郎は8安打1四球1三振の完投で7勝目をマークする。決勝の2点タイムリーも放ち投打に活躍を見せた。

 藤村富美男がようやく第1号というのは意外な気がするかもしれないが、初期の「ダイナマイト打線」はヒットを連ねる打撃が特徴で、藤村もホームラン打者ではなかった。藤村がホームラン打者に転身するのは、試験的に「ラビットボール」と呼ばれる飛ぶボールが導入される昭和23年終盤からのことで、本格的な「ホームラン狂時代」が到来する昭和24年に46本塁打でホームラン王に輝く。

 最下位に沈む東急は今節3連勝。長持栄吉と熊耳武彦が当たっているところに大下弘も調子を上げてきた。エース白木も連勝して上位球団も要注意の存在になってきた。

2025年6月7日土曜日

22年 巨人vs中日 7回戦

6月29日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 0 0 5 0 0 0 1  0  6 巨人 19勝23敗1分 0.452 川崎徳次 多田文久三 
0 0 2 0 2 0 0 0 3X 7 中日 28勝13敗      0.683 清水秀雄 服部受弘

勝利投手 服部受弘 8勝1敗 
敗戦投手 川崎徳次 7勝6敗

二塁打 (巨)千葉、平山、田中 (中)加藤、古川、大沢
三塁打 (巨)平山
本塁打 (中)古川清蔵 6号、杉浦清 1号

勝利打点(中)服部受弘 1


中日が逆転サヨナラ勝ち

 甲子園の第2試合は川崎徳次と清水秀雄の先発で午後3時22分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 川崎は直近先発した4試合は全て完封勝利、清水も今月2完封で3連勝と好調同士の先発で投手戦が予想されたのだが・・・。

 中日は3回裏、一死後金山次郎が中前打で出塁、二死後古川清蔵がレフトスタンドにホームランダービー単独トップに立つ第6号ツーランを叩き込んで2点を先制する。

 川崎の連続無失点記録は43回3分の1で途切れた。

 巨人は4回表、先頭の千葉茂がセンター右にヒット、川上哲治も中前打、一死後平山菊二が中越えに同点の2点タイムリー二塁打を放ち2-2、内堀保の左前タイムリーで3-2と逆転、打者走者の内堀はバックホームの間に二塁に進み、田中資昭が左中間にタイムリー二塁打を放ち4-2、川崎の左前打で一死一三塁、トップに返り呉新亨の中前タイムリーで5-2とリードする。中日ベンチはここで清水から服部受弘にスイッチ、服部が後続を抑える。

 中日は5回裏、一死後古川がライト線に二塁打、二死後杉浦清監督がレフトスタンドにツーランを叩き込んで4-5と1点差に追い上げる。

 巨人は8回表、一死後平山が中越えに三塁打、ショート杉浦からの三塁送球が悪送球となる間に平山がホームに還って6-4とする。

 中日は最終回、先頭の大沢清が得意の右打ちで右越えに二塁打、代走に山本尚敏を起用、トップに返り金山に代わる代打藤本英雄の右前打で無死一三塁、杉江の右前タイムリーで5-6としてなお無死一三塁、巨人ベンチはここで川崎に代えてリリーフに多田文久三をマウンドに送り、杉江が二盗を決めて無死二三塁、古川は四球で無死満塁、小鶴誠は三振に倒れて一死満塁、杉浦が押出し四球を選んで6-6の同点、加藤正二は二飛に倒れて二死満塁、服部が押出し四球を選んで中日が逆転サヨナラ勝ち。

 強竜打線はホームラン攻勢で追い上げ、最終回は的確な右打ちで逆転サヨナラに結び付けた。

 首位争いは大阪が抜け出しかかっているが、中日は1.5ゲーム差としぶとく食い下がっている。

2025年6月6日金曜日

22年 阪急vs太陽 6回戦

6月29日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
1 0 0 1 0 0 0 0  0  2 阪急 19勝23敗2分 0.452 今西錬太郎 
0 0 0 0 0 0 1 0 2X 3 太陽 17勝25敗1分 0.405 真田重蔵

勝利投手 真田重蔵     7勝9敗 
敗戦投手 今西錬太郎 9勝5敗

二塁打 (急)田中 (太)辻井、森下、平野
本塁打 (急)田中幸男 1号 (太)森下重好 3号

勝利打点(太)平野徳松 1


平野徳松がサヨナラ二塁打

 甲子園の第1試合は今西錬太郎と真田重蔵の先発で午後1時32分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は初回、先頭の田中幸男がワンボールからの2球目をレフトスタンドに叩き込む先頭打者ホームラン、1点を先制する。

 阪急は4回表、先頭の下社邦男が中前打で出塁、日比野武も左前打を放って無死一二塁、荒木茂の二遊間寄りの二ゴロはセカンド荒川昇治がベースを踏んで一塁に転送して「4B-3」のゲッツー、二死三塁となったが今西が中前にタイムリーを放ち2-0とする。

 太陽は7回裏、一死後森下重好がセンター右奥に二塁打、伊勢川真澄の中前打で無死一三塁、平野徳松の右犠飛で1-2と1点差に迫る。

 太陽は9回裏、二死後森下がレフトスタンドに起死回生の同点ホームラン、更に伊勢川が左前打で出塁、平野が中越えにサヨナラ二塁打を放ち劇的な逆転サヨナラ勝ち。

 真田重蔵は7安打3四球2三振の完投で7勝目をマークする。

 平野徳松がサヨナラ二塁打でプロ入り初の勝利打点を記録した。

 今季の平野は開幕当初はショートで起用されてきたが徐々に出番は少なくなり、第9節までの36試合で出場は16試合に過ぎなかった。しかし前節の第10節では5試合の内3試合に起用されて7打数4安打と当たっていた。

 平野はルーキーシーズンの昭和21年は全て内野手として主にサードで出場。今季もサードとショートで起用されているが徐々に外野も守るようになる。打順は下位のバイプレイヤーでほぼ無名であるが、ユーティリティプレイヤーとして11年間の長きに亘りプロ野球で活躍していくことになる。

 孫の平野真一は卓球のトップアマとしてプレーした後、自転車競技のロードレースに転向してプロ選手として活躍し、スポーツ界を引退後は音響エンジニアに転じるという多才ぶりを見せている。脚力はプロ野球で長く活躍した祖父譲りのものであろう。多才な面もユーティリティプレイヤーだった祖父に似ている。

*登録名を平野謙二に変更後の平野徳松の直筆サイン入り写真。出身が「海草中学」になっているが、これは「海南中学」の間違い。当時の野球雑誌にはこういうミスプリントは多いので注意が必要。平野の直筆サインが当ブログ所有のもの以外に残されているかは不明。


 

2025年6月5日木曜日

22年 東急vs金星 6回戦

6月29日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 計
3 0 2 0 0 5 東急 14勝26敗1分 0.350 黒尾重明 
0 0 0 2 2 4 金星 18勝25敗1分 0.419 重松通雄

勝利投手 黒尾重明 3勝7敗 
敗戦投手 重松通雄 7勝3敗

三塁打 (東)飯島

勝利打点(東)熊耳武彦 1 


今日も熊耳と長持が活躍

 6月28日(土)は雨のため東西とも中止。6月29日(日)は関西は曇り空であったが関東は小雨模様。

 このところ日曜日は3万人越えも珍しくなくなったが、この日は雨模様とあって後楽園の観客は8,858人。この天気でも8千人が集まったほど野球人気は高まりを見せている。

 第11節2日目、後楽園は小雨の中、試合を強行。第1試合は黒尾重明と重松通雄の先発で午後1時5分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 東急は初回、先頭の一言多十が三塁線にヒット、鈴木清一も左前打を放って無死一二塁、飯島滋弥、大下弘は倒れたが、長持栄吉の三ゴロをサード清原初男がエラー、二死満塁から絶好調の熊耳武彦がライト線に2点タイムリー、熊耳は一塁ベースを大きく回り一二塁間に挟まれたが、挟殺プレーの間に一走長持もホームに還る好走塁を見せて3点を先制する。

 雨の中の試合では先制点が必須である。

 東急は3回表、先頭の鈴木清一が右前打で出塁、飯島が中越えにタイムリー三塁打を放ち4-0、一死後好調長持が中前にタイムリーを放ち5-0とリードを広げる。

 金星は4回裏、二死後大友一明が四球で出塁、重松も四球で二死一二塁、辻勇夫が中前にタイムリーを放ち1-5、坂本勲は四球を選んで二死満塁、トップに返り坪内道則監督が右前にタイムリーを放ち2-5、二走辻も三塁ベースを回るがライト長持からの返球をピッチャー黒尾が中継してタッチアウト。

 3点差に追い上げた金星は5回裏、先頭の中村信一の当りは遊ゴロ、これを雨でぬかるむグラウンドに足を取られたショート鈴木清一がエラー、清原の遊ゴロも鈴木が連続エラー、西沢道夫の中前タイムリーで3-5と2点差、小前博文の送りバントは三塁への小飛球となって一死一二塁、大友は四球を選んで一死満塁、重松が3球ファウルで粘って押出し四球を選び4-5と1点差に迫り、坂本の代打内藤幸三の三塁ファウルフライをサード大沢喜好は雨が目に入ったか落球、しかし黒尾は粘って内藤を三振に打ち取る。

 ここで雨が強くなって試合続行不可能となり降雨コールドとなった。試合を成立させるため無理やり5回まで引っ張った感が強い。最終回の鈴木清一の2つと大沢喜好の失策は可哀そうであった。

 東急はこの日も絶好調の熊耳武彦と長持栄吉の活躍で連勝、最下位に沈んではいるが徐々にチームは上向いてきている。

 当然、第2試合は中止となった。

2025年6月4日水曜日

22年 大阪vs金星 8回戦

6月27日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 1 0 2 1 0 4 大阪 30勝12敗1分 0.714 若林忠志 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 金星 18勝24敗1分 0.429 内藤幸三

勝利投手 若林忠志 9勝5敗 
敗戦投手 内藤幸三 4勝5敗

二塁打 (大)藤村 (金)中村
三塁打 (大)長谷川、塚本

勝利打点 なし


若林忠志、今季3度目の完封

 後楽園の第2試合は若林忠志と内藤幸三、プロ野球初年度から投げ続けてきた両ベテランの先発で午後2時43分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は5回表、二死後長谷川善三が左中間を破り三塁へ、レフト小前博文からの返球が逸れる間に長谷川は一気にホームに還って1点を先制する。

 大阪は7回表、先頭の土井垣武が左前打で出塁、本堂保次も左前打で続いて無死一二塁、玉置玉一のレフト線タイムリーで2-0、無死一三塁となって長谷川の右犠飛で3-0とリードを広げる。

 大阪は8回表、先頭の塚本博睦が右中間に三塁打、富樫淳は四球を選び、藤村富美男の遊ゴロの間に三走塚本が還って4-0とダメ押す。

 若林忠志はベテランらしい老獪なピッチングで5安打1四球1三振、今季3度目の完封で9勝目をマークする。御園生崇男、梶岡忠義と並んでチーム最多勝利となった。

 大阪は2位中日との差を徐々に広げて2ゲーム差とした。

2025年6月2日月曜日

22年 東急vs南海 7回戦

6月27日 (金) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 東急 13勝26敗1分 0.333 白木義一郎 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 22勝20敗1分 0.524 中谷信夫

勝利投手 白木義一郎 6勝9敗 
敗戦投手 中谷信夫     4勝7敗

三塁打 (東)大下

勝利打点(東)大下弘 5


白木が投げて大下が打つ

 第11節2日目。関西地方はこの梅雨最大の本降りとなり25ミリの降雨のため甲子園の試合は中止。東京は明日は天気が崩れそうだが本日は晴れている。

 後楽園の第1試合は白木義一郎と中谷信夫の先発で午後1時丁度、西垣球審の右手が上がりプレイボール。

 両投手立ち上がりから快調なピッチングで0対0のまま試合は進む。

 白木は5回まで無安打ピッチング。6回二死から安井亀和に初ヒットとなる中前打を打たれ二盗を許すが後続を抑える。7回も一死後山本一人監督に左前打を打たれるが、岡村俊昭のエンドランがセンターライナーとなって一走山本が戻れず併殺で切り抜ける。

 中谷は3回以降毎回走者を出しながら粘りのピッチングで7回まで無失点。

 東急は8回表、先頭の一言多十が右前打で出塁、鈴木清一が送りバントを決めて一死二塁、飯島滋弥は遊ゴロに倒れて二死二塁、ここで大下弘の当りは右前に抜け、ライト朝井昇の前でイレギュラーバウンドして外野フェンスに達するタイムリー三塁打となって1点を先制する。

 中谷には大下を敬遠するという選択肢もあったが、これまでの実況でも分かる通り、続く長持栄吉と熊耳武彦が絶好調で現在の東急ではポイントゲッターとなっているため、敢えて大下との勝負に出たのだろう。

 白木義一郎は8回、9回も無安打に抑え、2安打2四球5三振で今季初完封、6勝目をマークする。白木も初完封であるが、東急投手陣全体でもこれが今季初完封であった。

 因みに、ここまでのチーム完封勝利数は、金星が11回で断トツトップ。以下、巨人が7回、中日が7回、近畿・南海が6回、阪急が4回、大阪が4回、太陽が2回、東急が1回と続く。

 大下弘がようやく調子を上げてきた。第9節終了時では打率が2割5分であったが、前節は19打数11安打の活躍を見せ、この日の2安打で3割に乗せてきた。

 白木が投げて大下が打つ。東急は久々の快勝であった。


2025年6月1日日曜日

22年 巨人vs太陽 6回戦

6月26日 (木) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 2 3 巨人 19勝22敗1分 0.463 中尾輝三 
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 太陽 16勝25敗1分 0.390 真田重蔵

勝利投手 中尾輝三 5勝6敗 
敗戦投手 真田重蔵 6勝9敗

勝利打点(巨)内堀保 4


内堀保が9回決勝打

 甲子園の第2試合は中尾輝三と真田重蔵の先発で午後3時20分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 太陽は4回裏、先頭の藤井勇が中前打で出塁、中谷順次が四球を選んで一二塁、二死後当たっている伊勢川真澄が中前にタイムリーを放ち1点を先制する。

 6回までに放った2安打を何れも併殺で無駄にしてきた巨人は7回表、山川喜作と千葉茂の連打で無死一二塁、川上哲治の遊ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、小松原博喜の二ゴロが野選を誘って1-1の同点に追い付く。

 三塁ランナーがホームに突っ込み、セカンドからの本塁送球がセーフとなって野選になった場合は、スコアカードには「4FC-2」と記載されるが、この野選は「4FC」としか記載されていないので、セカンド荒川からの本塁送球がセーフになったのではなく、例えば二塁ベース寄りへの緩い当たりで二塁に送球するしか手がなく二塁セーフになって野選が記録されたとか、本塁送球以外によるプレーに野選が記録されたもののようである。

 巨人は9回表、先頭の山川が四球を選んで出塁、千葉の一二塁間ヒットで無死一二塁、二死後平山菊二が四球を選んで満塁、内堀保の右前2点タイムリーで3-1と勝ち越す。

 太陽は9回裏、一死後森下が四球を選んで出塁、伊勢川の遊ゴロをショート田中資昭が失して一死一二塁と反撃機を作るが、松井信勝に代わる代打藤村隆男の投ゴロは「1-5-4-3」と渡るダブルプレーで試合終了。

 最後の「1-5-4-3」の併殺とはどういうプレーであったのか。伊勢川の鋭いピッチャー返しにサウスポー中尾が右手を出したがグラブを弾いて偶然サード山川の所に飛び、山川が二塁に送球し、セカンド千葉からファースト川上に転送されて併殺が完成したか。

 あるいは、藤村の投ゴロを中尾が三封を狙って三塁に送球したが、サード山川が三塁に送球されるとは思っておらずベースに入っていなかったので、二塁に送球して千葉から川上に転送されて併殺となったのか。千葉の併殺プレーは捕ってから送球までが早いので、これでも間に合ったのかもしれない。

 もう一つの可能性は、東急の白木義一郎が投ゴロをキャッチャーの熊耳武彦や鈴木圭一郎に転がしてから一塁アウトにするプレーが話題を呼んで他球団でも真似する動きが見られているので、中尾が投ゴロを二塁に送球せずサード山川に送球してから併殺を取るというプレーを意図的に見せたとも考えられる。このような大事な場面で一塁セーフの可能性があることをやるか疑問ではあるが、プロ野球人気が盛り上がりを見せる中で「見せるプレー」が礼賛されていた時代であったことも事実である。山川喜作と千葉茂であればそれが可能であったとも考えられる。

 中尾輝三は4安打5四球1三振の完投で5勝目をマークする。

 投手陣が好調の巨人は、阪急と並んで4位タイに浮上してきた。

 一方の太陽は、エース真田で勝てないと苦しい。

2025年5月30日金曜日

22年 金星vs南海 5回戦

6月26日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 金星 18勝23敗1分 0.439 江田孝 門馬祐 
0 1 0 0 0 3 3 0 X 7 南海 22勝19敗1分 0.537 丸山二三雄

勝利投手 丸山二三雄 6勝3敗 
敗戦投手 江田孝        5勝10敗

二塁打 (南)朝井、別所

勝利打点(南)丸山二三雄 3

猛打賞 (南)別所昭 3


丸山二三雄、1安打完封に3打点

 後楽園の第2試合は江田孝と丸山二三雄の先発で午後3時6分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は初回、一死後酒沢政夫が死球を受けて出塁、清原初男はストレートの四球で一死一二塁、ここで酒沢がディレードスチールを仕掛けるが丸山がサード山本一人監督に送球して酒沢は二三塁間に挟まれ、最後は三塁ベースカバーに入った丸山に送球されて「1-5-4-1C」でタッチアウト、酒沢には盗塁失敗が記録されて先制のチャンスを潰す。

 南海は2回裏、一死後岡村俊昭が右前打で出塁、朝井昇がライト線に二塁打を放って一死二三塁、丸山の中前タイムリーで1点を先制する。

 金星は4回表、先頭の清原の一塁ファウルフライを別所が落球、別所には失策が記録され、生き返った清原は10球ファウルで粘って四球で出塁、一死後小前博文が中前打を放って一二塁と同点のチャンスを迎えるが、ここは丸山が粘って無得点。

 南海は6回裏、先頭の山本が四球で出塁、岡村の右前打で無死一三塁、朝井の遊ゴロをショート酒沢が失して無死満塁、丸山が中前に2点タイムリーを放ち3-0、一走朝井は三塁に進み、打者走者の丸山も送球の間に二塁に進んで無死二三塁、坂田清春がスクイズバントを決めて4-0とする。

 南海は7回裏、先頭の河西俊雄の当りは遊ゴロ、これを酒沢が一塁に悪送球、別所は左前打、ダブルスチールを決めて無死二三塁、山本の左前タイムリーで5-0、無死一三塁から岡村の二ゴロで山本が二封される間に三走別所が還って6-0、朝井が左前打、二死後坂田が中前にタイムリーを放ち7-0として試合を決める。

 丸山二三雄は後半素晴らしい投球で5回以降を無安打に抑え、1安打6四球1死球6三振で今季初完封、6勝目をマークする。

 このところ低迷していた南海は久しぶりに“らしさ”を見せて快勝。

 丸山は4回、別所のファウルフライ落球で息を吹き返した清原を歩かせて小前に初ヒットを許す嫌な流れを自ら断ち切って1安打完封につなげた。得意の打撃でも先制打に続く追加点となる2点タイムリーも放ち3打点の活躍であった。

 なお、5月以降の実況中継で丸山二三雄の名前が一部「丸山二三男」の表記になっていましたが、気付いた限りで「丸山二三雄」に訂正しましたのでご報告します。

2025年5月29日木曜日

22年 中日vs阪急 6回戦

6月26日 (木) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 0 0 1 0 0 0 3 中日 27勝13敗       0.675 藤本英雄
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 阪急 19勝22敗2分 0.463 溝部武夫 野口二郎

勝利投手 藤本英雄 12勝6敗 
敗戦投手 溝部武夫   0勝2敗

二塁打 (中)藤本、古川
本塁打 (中)小鶴誠 4号

勝利打点(中)藤原鉄之助 1


藤本英雄、ハーラー単独トップ

 甲子園の第1試合は藤本英雄と溝部武夫の先発で午後1時34分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は初回、先頭の田中幸男が四球を選ぶと二盗に成功、上田藤夫が三塁線を破るタイムリーを放ち1点を先制する。

 中日は2回表、先頭の小鶴誠が四球を選んで出塁、杉浦清監督が送りバントを決めて一死二塁、加藤正二は死球を受け、藤本が三塁線を破るタイムリー二塁打を放ち1-1の同点、一死二三塁から藤原鉄之助の放った飛球はライト線に飛び、ライト坂元義一はファウルグラウンドでキャッチ、三走加藤がタッチアップからホームイン、右邪犠飛となって2-1と勝ち越す。

 中日は6回表、二死後小鶴がレフトスタンドにホームラン、貴重な追加点となって3-1とリードを広げる。

 藤本英雄は6安打3四球3三振の完投で12勝目をマーク、ハーラー単独トップに立つ。

 2回の右邪犠飛については、二三塁なのでアウトカウントを増やすことを優先するのは正解。走者が三塁に一人なら坂元はラインを超えたところで捕球を見送るという手もあったか。まだ2回なのでアウトカウントを増やすことを優先するのは判断ミスではないだろう。

2025年5月27日火曜日

22年 東急vs大阪 6回戦

6月26日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 0 0 0 2 0 4 東急 12勝26敗1分 0.316 黒尾重明
1 2 0 1 0 0 1 0 X 5 大阪 29勝12敗1分 0.707 御園生崇男 武智修

勝利投手 御園生崇男 9勝0敗 
敗戦投手 黒尾重明     2勝7敗 
セーブ     武智修      3

二塁打 (東)長持2、熊耳

勝利打点(大)土井垣武 5


大阪、御園生-武智の継投で首位キープ

 第11節初日、後楽園の第1試合は黒尾重明と御園生崇男の先発で午後1時5分、西垣球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、二死後金田正泰が死球を受けて出塁、藤村富美男の遊ゴロをショート鈴木清一がエラー、土井垣武の一塁線タイムリーで1点を先制する。

 大阪は2回裏、先頭の本堂保次がピッチャー強襲ヒット、山口政信の三ゴロでランナーが入れ替わり、長谷川善三は四球を選んで一死一二塁、御園生崇男の右前タイムリーで2-0、二死後塚本博睦の中前タイムリーで3-0とする。

 東急は4回表、先頭の大下弘が四球で出塁、長持栄吉のレフト線二塁打で無死二三塁、熊耳武彦が中前に2点タイムリーを放ち2-3と1点差に追い上げる。

 大阪は4回裏、先頭の呉昌征の当りは三ゴロ、これをサード大沢喜好がエラー、一死後呉が二盗を決め、二死後藤村が中前にタイムリーを放ち4-2と突き放す。

 大阪は5回から先発の御園生に代わって武智修がリリーフのマウンドに上がる。

 大阪は7回裏、先頭の金田がピッチャーへの内野安打で出塁、一死後土井垣の三ゴロを大沢がエラー、本堂の左前タイムリーで5-2とリードを広げる。

 東急は8回表、先頭の飯島滋弥はセカンドライナー、続く大下が右前打で出塁、長持が左中間にタイムリー二塁打を放ち3-5、更に熊耳も左中間タイムリー二塁打で続いて4-5と1点差に詰め寄るが、黒尾の痛烈なライナーがセカンド本堂のグラブに収まり二走熊耳が還れずゲッツー、反撃もここまでであった。

 大阪は御園生-武智の継投で辛くも逃げ切った。

 黒尾重明は3つのエラーに足を引っ張られて好投も空しく7敗目。

 東急は長持栄吉と熊耳武彦が好調でこの日も二人で4点をあげた。

 大阪は9本のヒットが全てシングル。ダイナマイト打線の特徴は連打にある。この日も敵失に絡めて効果的な適時打で加点した。

 一般に、「ダイナマイト打線」は藤村、別当、土井垣などの長打攻勢のイメージが強いが、それはライブリーボール時代になってからの話であり、「ダイナマイト打線」と名付けられた当時の打線は連打で加点するのが特徴である。

 今季ここまでリーグ全体で76本の本塁打が飛び出しているが、大阪は僅か6本であり、中日の「強竜打線」が15本と断然トップである。

 以下東急が12本、金星が10本、阪急が10本、太陽が8本、巨人が8本、近畿・南海が7本と続く。「ダイナマイト打線」は本塁打数ではリーグ最少なのである。

 大阪は打線のつながりで勝利を重ね、徐々に二位中日との差を開きつつある。

2025年5月26日月曜日

波乱の第10節

 各チーム5試合、合計20試合の長丁場となった第10節は、大阪が2勝3敗、中日が1勝4敗、南海が2勝3敗と上位チームが負け越し。

 打線が好調の阪急が4勝1敗、太陽が3勝2敗、投手陣が好調の巨人が4勝1敗、金星が3勝2敗、東急は1勝4敗ではあったが阪急に唯一の黒星を付けた試合では長持栄吉が5安打で熊耳武彦が6打点と爆発。

 個人表彰部門も下位球団が独占した。

 各チームの陣容が整ってきて上位下位の力差が縮小している。

 球場に詰めかける観客も増加しており、平日でも1万人を超え、日曜だと3万人越えも珍しくなくなった。

 中日が低迷しているのは岩本章の欠場が響いている。岩本は第9節で2本塁打を放ち週間MVPを獲得する活躍であったが、6月19日から欠場が続き、結局今季の出場は第9節で終了となり今後の出場はない。

 中日はシーズン終了後に赤嶺旋風が吹き荒れることになるが、岩本も赤嶺と行動を共にする。その予兆が既に現れているのかもしれない。


2025年5月24日土曜日

22年 第10節 週間MVP

週間MVP

投手部門
 金星 重松通雄 2 2勝2完封。 投球内容で川崎徳次を上回った。
打撃部門
 阪急 青田昇 1  22打数9安打5得点12打点、3本塁打。 

殊勲賞 
 太陽 藤井勇 2  21日の南海戦で決勝本塁打、23日の南海戦で逆転サヨナラ打。 
 巨人 川崎徳次 1 2勝2完封。 投球内容で僅かに重松通雄に譲った。
 阪急 野口明 1  21打数8安打2得点4打点、V打3個。 
 東急 熊耳武彦 1 21日の阪急戦で6打点。 
 東急 長持栄吉 1 21日の阪急戦で5安打。

敢闘賞 
 東急 大下弘 1   19打数11安打3得点2打点。 
 太陽 伊勢川真澄 1 21打数10安打1得点4打点。 
 阪急 田中幸男 1  23打数9安打7得点。 
 阪急 上田藤夫 1  23打数9安打6得点3打点。 
 巨人 千葉茂 2   20打数9安打2得点1打点。 

技能賞 
 南海 筒井敬三 1 20日の東急戦で3つの盗塁を刺す。
 金星 坪内道則 1 23打数11安打、オールシングルヒット。
 金星 酒沢政夫 1 22日の巨人戦で決勝スクイズ。

2025年5月23日金曜日

22年 南海vs太陽 8回戦

6月23日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 2 0 0 0 0 0 0  0   1  3 南海 21勝19敗1分 0.525 丸山二三雄 中谷信夫 
0 0 0 0 0 0 0 2 0  0  2X 4 太陽 16勝24敗1分 0.400 藤村隆男

勝利投手 藤村隆男 1勝1敗 
敗戦投手 中谷信夫 4勝6敗

三塁打 (南)山本、中谷
本塁打 (太)伊勢川真澄 1号

勝利打点(太)藤井勇 3

猛打賞 (南)別所昭 2 (太)辻井弘 1、藤井勇 4


伊勢川が同点本塁打、藤井が逆転サヨナラ打

 甲子園の第2試合は丸山二三雄と藤村隆男の先発で午後3時18分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 5日間20試合の長丁場となった第10節フィナーレを飾る激闘となった。

 南海は3回表、先頭の朝井昇の当りは遊ゴロ、これをショート平野徳松がエラー、トップに返り安井亀和が送りバントを決め、二死後三番ファーストの別所昭はストレートの四球で二死一二塁、ここで山本一人監督が右中間に2点タイムリー三塁打を放ち2-0とリードする。

 南海先発の丸山は初回に一死満塁のピンチを無失点に抑え、2回以降も5回まで毎回安打を許しながら何とか無失点で切り抜ける粘りのピッチングを見せた。

 太陽は6回裏、先頭の森下重好が四球で出塁、南海ベンチはここで丸山から中谷信夫にスイッチ、伊勢川真澄は中前打を放って無死一二塁、平野が送りバントを決めて一死二三塁と一打同点のチャンス、藤村の遊ゴロで三走森下がホームを突くがショート小林悟楼からの本塁送球にタッチアウト、トップに返り荒川昇治も中飛に倒れて無得点。

 南海は8回表、一死後中谷信夫の当りはセンター頭上を越え、三塁に達した中谷はランニングホームランを狙ってホームに向かうが、太陽の中継プレーにタッチアウト。

 太陽は8回裏、先頭の森下の当りは三ゴロ、これをサード山本がエラー、一死後伊勢川がレフトスタンドに起死回生の同点ツーラン、試合を振り出しに戻す。

 南海は10回表、先頭の山本の当りは三ゴロ、これをサード中谷順次が一塁に悪送球、岡村俊昭の中前打で無死一二塁、小林が送りバントを決めて一死二三塁、しかし中谷信夫の打席で三走山本がキャッチャー伊勢川からの送球にタッチアウト、ここはサインの手違いがあったか、中谷は左飛に倒れて無得点。

 南海は11回表、二死後安井が二遊間にヒット、安井が二盗を決め、河西俊雄は四球を選んで二死一二塁、別所の打席でキャッチャー伊勢川が一塁に牽制悪送球して二走安井は三進、別所が左前にタイムリーを放ち3-2と勝ち越す。

 太陽は11回裏、先頭の平野が四球を選んで出塁、代走に松井信勝を起用、藤村の捕前のゴロをキャッチャー坂田清春が二塁に送球して松井は二封、記録は捕ゴロ、トップに返り荒川の遊ゴロをショート小林がエラー、一死一二塁から辻井弘の投ゴロで二者進塁して二死二三塁、ここで藤井勇が中前に逆転サヨナラ2点タイムリーを放ち激闘に終止符を打つ。

 藤村隆男は11回を13安打6四球無三振完投して今季初勝利をあげる。165球の熱投であった。

2025年5月22日木曜日

22年 巨人vs中日 6回戦

6月23日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 0 0 0 0 0 2 巨人 18勝22敗1分 0.450 川崎徳次 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 中日 26勝13敗 0.667 藤本英雄

勝利投手 川崎徳次   7勝5敗 
敗戦投手 藤本英雄 11勝6敗

二塁打 (巨)内堀、小松川、川上 (中)小鶴
本塁打 (巨)平山菊二 2号

勝利打点(巨)平山菊二 5


平山菊二、決勝ツーラン

 後楽園の第2試合は川崎徳次と藤本英雄の先発で午後2時50分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 巨人は4回表、千葉茂と川上哲治が倒れて二死後小松原博喜が右中間に二塁打、平山菊二がレフトスタンドに第2号ツーランを叩き込んで2-0とリードする。

 試合はこの一発で決まった。

 巨人先発の川崎は終盤ピンチの連続。7回は先頭の小鶴誠がピッチャー強襲ヒット、大沢清の中前打で無死一三塁のピンチを迎えるが後続を抑えて無失点。8回は先頭の代打藤原鉄之助に右前打を許すが杉浦清監督を投ゴロ併殺に打ち取る。最終回は先頭の小鶴誠に右越え二塁打を打たれるが最後は連続三振で凌いで無失点。

 川崎徳次は7安打1四球6三振で今季4度目の完封、7勝目をマークする。

 川崎は6月8日の南海戦で5年ぶり戦後初完封を飾ると、12日の中日戦、19日の大阪戦と3試合連続完封。22日の金星戦はリリーフで2回3分の2を無失点、この日で先発した試合では4試合連続完封となり、現在40と3分の2イニング連続無失点を継続中である。

 首位争いを繰り広げる大阪と中日の調子が落ちてきて、現状では阪急、金星、巨人が3強である。阪急は今節上位打線が全員4割前後の打率、金星は重松、内藤、江田、三富の4人が完封勝利を連発、巨人も川崎に加えて今節は中尾と多田も完封と投手陣が好調である。

 中でも、重松通雄と川崎徳次は今節共に大阪と中日を完封、週間MVP投手部門は熾烈な争いが予想される。

2025年5月20日火曜日

22年 阪急vs東急 7回戦

6月23日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 阪急 19勝21敗2分 0.475 野口二郎 
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 東急 12勝25敗1分 0.324 白木義一郎

勝利投手 野口二郎     6勝6敗 
敗戦投手 白木義一郎 5勝9敗

二塁打 (急)田中、荒木 (東)一言
三塁打 (急)坂元 (東)長持
本塁打 (東)飯島滋弥 4号

勝利打点(急)野口明 7


好調阪急が快勝

 甲子園の第1試合は野口二郎と白木義一郎の先発で午後1時40分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は初回、好調の田中幸男が三塁線を破る二塁打、二死後野口明の中前タイムリーで1点を先制、坂元義一が中越えにタイムリー三塁打を放ち2点をりーどする。

 野口二郎は5回まで6安打を打たれたが、初回、2回のピンチを「5-4-3」のゲッツーで凌いで無失点。

 東急は8回裏、先頭の大沢喜好が四球を選んで出塁、一言多十の右越え二塁打で無死二三塁、トップに返り清水喜一郎に代わる代打黒尾重明の右飛で二走大沢はタッチアップから三塁に向かい、ライト坂元からの返球をピッチャー野口二郎が中継して「9-1-5」のダブルプレー。

 東急は9回裏、先頭の飯島滋弥がレフトスタンドに第4号ホームランを叩き込んで1-2と1点差に迫るが後続が倒れて惜敗。

 野口二郎は8安打1四球無三振の完投で6勝目をあげる。野口次郎は自伝「私の昭和激動の日々」で、戦後のピッチングについて「いい状態で投げていた時に比べたら、スピードもなにもかも、かなり落ちる。力で勝負ということは、とてもできない。やはりコントロール主体のピッチングで行くよりない。いってみれば、技巧派への転身である。」と述べている。この日の1四球無三振の完投は、その記述を裏付けている。

 阪急は6月初めの放棄試合の時点では11勝19敗で最下位に低迷していたが、そこから8勝2敗と好調で借金2つまで盛り返してきた。田中と上田の一二番コンビが好調で今節5試合で何れも9安打を放った。青田は今節3本塁打12打点と爆発、野口明も今節勝利打点3個と勝負強さを発揮している。放棄試合で相当反省したようだ。

2025年5月19日月曜日

22年 金星vs大阪 7回戦

6月23日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 3 3 金星 18勝22敗1分 0.450 重松通雄 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大阪 28勝12敗1分 0.700 梶岡忠義

勝利投手 重松通雄 7勝2敗 
敗戦投手 梶岡忠義 9勝3敗

勝利打点(金)重松通雄 1


重松通雄、2安打完封

 第10節最終日、後楽園の第1試合は重松通雄と梶岡忠義の先発で午後1時2分、西垣球審の右手が上がりプレイボール。

 西垣徳雄は今節から審判員デビュー、この試合が初の球審となった。昭和25年には国鉄スワローズの監督に就任し、金田正一を育てることになる。

 金星は初回、先頭の坪内道則監督が3球目を左前打、西垣球審の初コールは梶岡が投じた初球「ボール」であった。酒沢政夫も左前打で無死一二塁、しかし清原初男のショートライナーに二走坪内が戻れずダブルプレー、先制のチャンスを逃す。

 大阪は2回に本堂保次が、4回に土井垣武が何れも二死から中前打を放つが無得点。

 金星先発の重松は5回以降大阪打線をノーヒットに抑える。

 大阪先発の梶岡も5回まで6安打を許すが6回から8回までは三者凡退に抑える好投を続け、0対0のまま試合は最終回へ。

 金星は9回表、先頭の西沢道夫の当りは二ゴロ、これをセカンド本堂がエラー、小前博文の右前打で無死一三塁と先制のチャンス到来、大友一明の投ゴロで小前は二塁に進んで一死二三塁、重松の一ゴロで三走西沢がホームに突っ込み、ファースト玉置玉一がバックホームするがセーフ、野選が記録されて1点を先制、一死一三塁から辻勇夫がスクイズバントを決めて2点目、坂本勲が右前タイムリーで続き3-0とリードする。

 重松通雄は最終回も三者凡退に抑え、2安打3四球1三振でダイナマイト打線を完封、7勝目をマークする。重松は今節、中日戦に続いての完封勝利となった。この試合では野選による打点で勝利打点も記録と、乗りに乗っている。

2025年5月18日日曜日

22年 阪急vs太陽 5回戦

6月22日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 3 0 0 0 0 0  2  5 阪急 18勝21敗2分 0.462 今西錬太郎 
1 0 0 0 1 0 0 0 1  0  3 太陽 15勝24敗1分 0.385 真田重蔵

勝利投手 今西錬太郎 9勝4敗 
敗戦投手 真田重蔵     6勝8敗

二塁打 (急)上田、野口二郎 (太)辻井、中谷
三塁打 (急)田中、上田 (太)伊勢川

勝利打点(急)野口二郎 2 


野口二郎、代打決勝打

 甲子園の第2試合は今西錬太郎と真田重蔵の先発で午後3時23分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 太陽は初回、先頭の荒川昇治が四球を選んで出塁、辻井弘が中前打を放って無死一二塁、藤井勇の一ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、中谷順次の三ゴロをサード荒木茂がエラー、1点を先制する。

 3回まで三者凡退が続いた阪急は4回表、先頭の田中幸男が右中間に三塁打、上田藤夫の遊ゴロで三走田中はホームに突っ込み、ショート松井信勝がバックホームするがセーフ、野選が記録されて1-1の同点、ここで青田昇がレフトスタンドに勝越しのツーランを放ち3-1とリードする。

 太陽は5回裏、一死後中谷順次が三塁線を破る二塁打、佐竹一雄の右前タイムリーで2-3と1点差に迫る。

 太陽は9回裏、先頭の荒川が四球で歩くと一死後ワイルドピッチで二進、藤井中前に同点タイムリーを放ち土壇場で追い付く。

 阪急は10回表、二死後上田がレフトに二塁打、青田の三塁線ヒットで二死一三塁、野口明は四球を選んで二死満塁、ここで坂元義一に代わる代打野口二郎が左越えに2点タイムリー二塁打を放ち5-3と勝ち越す。

 今西錬太郎は10回裏無死一二塁のピンチも抑えて12安打3四球1三振の完投で9勝目をマークする。

2025年5月17日土曜日

22年 中日vs大阪 7回戦

6月22日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 3 0 1 0 0 2 0 8 中日 26勝12敗    0.684 清水秀雄 
0 0 1 0 1 0 0 0 1 3 大阪 28勝11敗1分 0.718 若林忠志

勝利投手 清水秀雄 6勝3敗 
敗戦投手 若林忠志 8勝5敗

二塁打 (中)大沢 (大)藤村、玉置
三塁打 (中)加藤、小鶴 2
本塁打 (大)玉置玉一 2号

勝利打点(中)小鶴誠 6


強竜がダイナマイトを喰う

 後楽園の第2試合は首位攻防戦。清水秀雄と若林忠志の先発で午後2時52分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 中日は岩本章の欠場が続いており杉浦清監督が一番に入る新打線。

 中日は初回、二死後古川清蔵が左前打で出塁、小鶴誠が左中間深くにタイムリー三塁打を放ち1点を先制、大沢清も左中間にタイムリー二塁打で続き2-0として試合の主導権を握る。

 中日は3回表、先頭の杉浦が三遊間を破るヒットで出塁、金山次郎が三前に送りバントを決めて一死二塁、古川も三前にバント、サード藤村富美男からの送球をファースト玉置玉一が落球、犠打とエラーが記録されて一死一三塁、小鶴の打席で古川がディレードスチール、キャッチャー土井垣武が二塁送球、これを見た三走杉浦がスタートを切るがホームベースカバーにピッチャー若林が入ってタッチアウト、スコアカードの記載は「2-4-5-1H」となって杉浦には盗塁失敗が記録された。この間に一走古川は三塁に進み、小鶴が四球を選んで二死一三塁、大沢が得意の右打ちでライトにタイムリーを放ち3-0、加藤正二が右中間に2点タイムリー三塁打を放ち5-0とリードを広げる。

 大阪は3回裏、先頭の玉置が四球で出塁、一死後長谷川善三の三ゴロをサード小鶴が一塁に悪送球して一死一三塁、トップに返り呉昌征の中犠飛で1点を返す。

 中日は5回表、一死後小鶴が左中間にこの日2本目となる三塁打、大沢の左犠飛で6-1と突き放す。

 大阪は5回裏、先頭の玉置が第2号ホームランを放ち2-6とする。スコアカードの記載ではセンターへのライナーの本塁打となっているが、柵越えではなくインフィールドの印になっているのでランニングホームランであった。

 中日は8回表、先頭の加藤が中前打で出塁、笠石徳五郎も右前打、一死後藤原鉄之助が右前にタイムリーを放ち7-2、トップに返り杉浦はストレートの四球で一死満塁、金山次郎が左前にタイムリーを放ち8-2と突き放す。

 大阪は9回裏、一死後本堂保次が左前打で出塁、玉置がレフト戦に二塁打を放って一死二三塁、二死後長谷川に代わる代打塚本博睦が中前にタイムリーを放ち1点を返すが焼け石に水。

 清水秀雄は8安打2四球3三振の完投で6勝目をマークする。

 強竜打線の破壊力は抜群で、ダイナマイト打線に打ち勝った。

2025年5月16日金曜日

22年 南海vs東急 6回戦

6月22日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 4 0 0 0 0 3 7 南海 21勝18敗1分 0.538 別所昭 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 東急 12勝24敗1分 0.333 北川桂太郎

勝利投手 別所昭       11勝8敗 
敗戦投手 北川桂太郎 2勝6敗

二塁打 (南)飯田
本塁打 (南)山本一人 2号

勝利打点(南)筒井敬三 1


別所が5度目の完封で11勝

 甲子園の第1試合は別所昭と北川桂太郎の先発で午後1時30分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 東急は初回、一死後鈴木清一が左前打で出塁、飯島滋弥は死球を受けて一死一二塁、大下弘の右前打で二走鈴木清一は三塁ベースを蹴ってホームに突っ込むがライト田川豊からの好返球にタッチアウト、先制のチャンスを逸す。

 2回、3回と二三塁のチャンスを逃した南海は4回表、先頭の岡村俊昭が右前打で出塁、飯田徳治の二ゴロでランナーが入れ替わり、別所の右前打で一死一三塁、筒井敬三の中前タイムリーで1点を先制、センター一言多十が打球を逸らして一死二三塁、二死後トップに返り安井亀和が三遊間にタイムリーを放ち2-0、河西俊雄の二ゴロをセカンド清水喜一郎はアウトカウントを間違えたのかホームに送球するが三走筒井が還って3-0、記録は野選、丸山二三男の中前タイムリーで4-0とする。

 清水の野選について、ホームへの野選で三走が還った場合は打者に打点が記録されるのだが、治村宗三公式記録員は「一塁へ投ずれば当然アウトとなり得点を許さずとすむものを無用の投球をなしたため得点を許したから得点打(打点=筆者注)を与えず。」として河西に打点は記録されなかった。

 南海は9回表、二死後河西が中前打から二盗に成功、丸山は四球、河西が三盗を決めて二死一三塁、ここで山本一人監督がレフトスタンドにスリーランを叩き込んで7-0として試合を決める。

 別所昭は8安打2四球1死球3三振で今季5度目の完封、11勝目をマークして藤本英雄と並びハーラートップタイに立つ。

 田川豊が第2打席で死球を受けてベンチに下がった。田川の怪我は重かったようで、しばらく欠場が続く。調子の上がらない南海としては痛いところ。

2025年5月15日木曜日

22年 金星vs巨人 6回戦

6月22日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 金星 17勝22敗1分 0.436 内藤幸三
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 巨人 17勝22敗1分 0.436 諏訪裕良 川崎徳次

勝利投手 内藤幸三 4勝4敗 
敗戦投手 諏訪裕良 1勝3敗

勝利打点(金)酒沢政夫 4


酒沢政夫、決勝スクイズ

 第10節4日目、連日1万人を超える観客を集める後楽園球場は日曜日とあって32,088人の観衆が押し寄せた。今季最多だった6月1日に次いで2番目の観客数である。

 第1試合は内藤幸三と諏訪裕良の先発で午後零時55分、国友球審の右手が上がりプレイボール。

 諏訪は走者を出しながらも粘りのピッチングを見せて6回まで無失点。

 内藤も6回まで6安打を許しながら要所を締めて無失点。

 金星は7回表、一死後坂本勲が中前打で出塁、トップに返り坪内道則監督の右前打で坂本は三塁に進み、送球の間に打者走者の坪内も二塁を陥れて一死二三塁、ここで巨人ベンチは先発の諏訪に代えて二番手として川崎徳次をマウンドに送るが、酒沢政夫がワンボールからの2球目にスクイズバントを決めて1点を先制する。

 巨人は最終回、小松原博喜、平山菊二が連続四球で無死一二塁のチャンス到来、金星はファースト西沢道夫がバントシフトで前進守備、これを見て内堀保は三前に送りバント、一塁ベースカバーにはセカンド大友一明が入って「5-4A」で送りバントが決まって一死二三塁、田中資昭に代わる代打中島治康の三ゴロで三走小松原がホームを突くが、サード清原初男からの本塁送球にタッチアウト、最後は川崎が二飛に倒れて金星が僅差で逃げ切る。

 内藤幸三は6安打3四球4三振、今季4勝目を3度目の完封で飾る。

 坪内は第2打席から4打席連続ヒット。酒沢が決勝のスクイズを決めた。

 金星守備陣は最終回のピンチも落ち着いて防ぎ、巨人と同率5位に並んだ。