2019年8月15日木曜日

21年 中部日本vsゴールドスター 1回戦


4月27日 (土) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 1 0 0 0 2 2 0 5 10 中部 1勝0敗 1.000 森井茂 
0 0 0 0 0 0 4 0 0  4  ゴ軍 0勝1敗 0.000 石田光彦 

勝利投手 森井茂    1勝0敗
敗戦投手 石田光彦 0勝1敗 

二塁打 (中)加藤
三塁打 (ゴ)田中

勝利打点 なし


ゴールドスター、6失策で自滅

 昭和21年4月27日午後1時10分、3,725人の観衆が見守る中、西宮に遅れること6分、島秀之助主審の右手が上がりプレイボールのコールが後楽園球場に鳴り響く。審判は島と池田豊の二氏。

 中部日本は初回、先頭の岩本章がワンストライクからの2球目を左前打、金山次郎が送りバントを決めて一死二塁、しかし古川清蔵は三ゴロ、服部受弘も一邪飛に倒れて無得点。


 ゴールドスターは1回裏、先頭の坪内道則は遊飛、続く田中宣顕は左中間を鋭いライナーで破る三塁打、しかし酒沢政夫の遊ゴロで三塁ストップ、菊矢吉男も遊ゴロに倒れて無得点。


 中部は2回、先頭の小鶴誠が左前打で出塁、加藤正二の三ゴロの間に小鶴は二進、藤原鉄之助は四球、森井茂の中前打で一死満塁と先制のチャンス、木下政文の投ゴロは「1-2-3」と転送されるがキャッチャー辻功からの一塁転送が悪送球、この間に二走藤原が還って1点を先制する。


 ゴ軍は4回まで毎回の5安打を放つが無得点。


 中部は6回表、先頭の小鶴が左前打で出塁、加藤が四球を選んで無死一二塁、藤原の遊ゴロをショート酒沢が二塁に送球するがベースカバーに入ったセカンド大友一明が落球、この間に二走小鶴がホームに還って2-0、無死一二塁から森井が一塁線に送りバントを決めて一死二三塁、木下の中犠飛で3-0とする。


 中部は7回表、一死後古川が三塁にヒット、服部はストレートの四球で一二塁、小鶴の遊ゴロで服部は二封、小鶴が二盗を決めて二死二三塁、ここで加藤がレフト線に二塁打を放ち5-0と突き放す。


 ゴ軍は7回裏、先頭の大友は遊ゴロ、続く辻の当りも遊ゴロ、これをショート金山が一塁に悪送球する間に打者走者の辻は二進、坂本勲が四球を選んで一死一二塁、トップに返り坪内の打席で辻が三盗を決めて一死一三塁、坪内が左前にタイムリーを放ち1-5、田中の中前打で一死満塁、酒沢の中前タイムリーで二者還り3-5、一走田中は三塁に進むが、二塁を狙った打者走者の酒沢は「8-1-4」の中継にタッチアウト、この送球の隙を突いて三塁に進んでいた田中が一気にホームに還る好走塁を見せて4-5と1点差に詰め寄る。


 中部日本の中継プレーで確認できるとおり、この時期においても走者二塁での外野からの中継にはピッチャーが入っている。現在のセオリーでは、このプレーではピッチャーはホームベースカバーに回り、ファーストがカットの位置に入るのはご存じのとおり。草野球レベルではピッチャーがカットに入るケースは多々見られるところですが。


 ゴ軍先発の石田光彦は7回まで5失点であるが味方の拙守に足を引っ張られてのものであり自責点は2点、8回以降も続投する。


 中部は9回表、先頭の金山が三塁線にセーフティバントを決めて出塁、古川と服部が連続ストレートの四球で無死満塁、小鶴の三ゴロをサード坂本がバックホームするが悪送球、三走金山に続いて二走古川が還って7-4、無死二三塁から加藤が右前にタイムリーを放って8-4、無死一三塁から藤原は投ゴロ、これを石田が二塁に悪送球する間に三走小鶴が還って9-4、一死後木下が右前にタイムリーを放ち10-4として試合を決める。


 森井茂はスローボールが冴えて9安打5四球1三振で完投、戦後初勝利を飾る。


 石田光彦は10失点であったが自責点は7回の2点のみ。但し、9回は連続ストレートの四球から自らの悪送球で決定的な失点があり責任は免れない。ゴールドスターは6失策を記録して前途多難なスタートとなった。


 中部日本は10安打で10得点と一見効率の良い攻めのようにも見えるが、実際は10残塁と、ゴ軍の自滅に救われたものであった。



2 件のコメント:

  1. 上田藤夫と岩本章、どちらが最初に戦後初安打を打ったのか。
    恐らく投球間隔の短さに差は無いと思いますが、上田が6分早くプレーボールとなったとはいえ、フルカウントかつファウルを3本打っています。
    物資不足で当時はファウルボールを回収していましたから、その分の間隔があります。

    それでも上田が先に打った可能性が高いかもしれませんが(笑)。ちょっと気になったのでコメントさせていただきました。

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  2. 当時のスコアカードには「中断時間」なども細かく記載されており、スコアカードに書かれている試合開始時間は正確であったと考えられます。上田は初球と2球目がファウル、ボール2つの後の5球目もファウル、ボールの後の7球目をレフト線二塁打。岩本はストライクの後の2球目を左前打。秒差を考慮しても最短で4分差となりますので、上田が戦後初ヒットを記録したと考えられます。

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