2023年5月7日日曜日

22年 近畿vs大阪 1回戦

4月19日 (土) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 2 0 0 0 0 0 0 0 3 近畿 1勝1敗 丸山二三男 中谷信夫 
0 2 0 0 0 0 0 2 X 4 大阪 1勝1敗 梶岡忠義

勝利投手 梶岡忠義 1勝0敗 
敗戦投手 中谷信夫 0勝1敗

二塁打 (大)梶岡
三塁打 (近)丸山 (大)土井垣

勝利打点(大)土井垣武 1


梶岡忠義、デビュー登板を飾る

 開幕週2日目、甲子園の第2試合は丸山二三男と梶岡忠義の先発で午後3時8分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 近畿は初回、先頭の安井亀和が右前打で出塁、河西俊雄が確実に送りバントを決めて一死二塁、田川豊はツーストライクナッシングと追い込まれながら四球を選んで一死一二塁、昨年打点王の山本一人監督が左前にタイムリーを放ち1点を先制する。

 近畿は2回表、先頭の堀井数男がレフト線にヒット、丸山が左中間にタイムリー三塁打を放ち2-0、一死後朝井昇の遊ゴロをショート長谷川善三がエラー、三走丸山が還って3-0とする。朝井には打点が記録された。

 大阪は2回裏、一死後富樫淳が四球を選んで出塁、プロ入り初打席の梶岡がレフト線にタイムリー二塁打を放ち1-2、長谷川の三ゴロの間に梶岡は三進、トップに返り呉昌征の左前タイムリーで2-3と1点差に追い上げる。

 近畿は4回から丸山に代わって中谷信夫がプロ入り初登板。

 中谷は4回、5回と無安打ピッチング。6回に先頭の本堂保次の三ゴロをサード山本監督がエラーするが、落ち着いて本堂の変則走塁を刺して一死無走者、ここで土井垣武に右中間三塁打を打たれるが、富樫を二飛、梶岡を右飛に打ち取り無失点で切り抜ける。

 梶岡も2回まで3失点であったが3回以降は落ち着きを取り戻し近畿打線を無得点に抑え込む。

 大阪は8回裏、先頭の山口政信がこの日3つ目の四球を選んで出塁、藤村富美男監督は右前打、本堂が送りバントを決めて一死二三塁、土井垣が左中間に2点タイムリーを放ち4-3と逆転する。

 梶岡忠義は9回も味方エラーで走者を出すが併殺で切り抜け、7安打2四球3三振の完投でプロ入り初登板を飾る。名手長谷川善三が3つのエラーを犯したが、2つ目と3つ目は併殺で切り抜ける落ち着いた投球を見せた。ルーキーながら戦争からの帰還者らしい肝の据わった投球である。

 中谷信夫も土井垣に打たれた以外はダイナマイト打線を封じ込める好投であった。

 梶岡は専修大学で活躍してプロ入り候補であったが学徒出陣で応召して26歳でのプロ入りとなった。

 中谷も梶岡と同年代であり、立命館大学から学徒出陣の可能性が高い。

 明治神宮外苑競技場で行われた出陣学徒壮行会の映像が残っていることから学徒出陣は関東の大学だけだったような印象があるが、出陣学徒壮行会は全国的に行われており、占領下の台北、京城、新京等満州各地、上海でも行われた。大阪では昭和18年11月16日に中之島公園で行われたようだ。

 柚木進も梶岡、中谷と同年代であるが、柚木はシベリア抑留のため帰還が遅れており、昭和23年のデビューとなる。

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