昭和21年8月20日、後楽園球場で行われた第2試合セネタースvsタイガース戦、2回表セ軍の攻撃で、タ軍守備陣は7個の補殺を記録した。
この回先頭の白木義一郎が放った左中間を抜く当りをレフト金田正泰が中継に入ったショート長谷川善三に送球、長谷川は二塁ベースカバーのセカンド本堂保次に送球、白木は二塁をオーバーランしてタイミングはアウトであったが、本堂が落球して本堂にエラーが記録された。
無死二塁から続く長持栄吉の放ったショートゴロに二走白木がスタートを切り、二三塁間に挟まれて挟殺プレーとなり、「6-5-4-6」と転送されてタッチアウト、ここでショート、サード、セカンドに1個ずつの補殺が記録された。
更に、打者走者の長持が一塁ベースを大きく回り、それを見たショート長谷川がファーストの渡辺誠太郎に送球、長持が一二塁間に挟まれて挟殺プレーとなり、「6-3-4」と転送されてショートとファーストに1個ずつ補殺が記録された。
この2つの挟殺プレイで合計5個の補殺が記録されたが、その前の本堂のエラーにより白木が二塁セーフとなったプレーで、レフトの金田と中継に入った長谷川にも補殺が記録されるのである。
「公認野球規則」9.10(a)(1)には、「あるプレイでアウトが成立した場合、または失策がなければアウトにできたと思われる場合に、そのアウトが成立するまでに、またはその失策が生じるまでに、送球したり、打球あるいは送球をデフレクトした各野手に補殺を記録する」と規定されている。
私は55年ほど野球を見てきていますが、本堂の二塁エラーで刺殺が無い場合でもレフトとショートに補殺が記録されることを知りませんでした。
多くの方が同様ではないかと思うのですが恥じることはない。2013年4月29日、ヤンキースのライトを守っていたイチローが一死三塁の場面でライトフライを捕球してバックホーム、タッチアップからスタートした三走エンカーナシオンはアウトのタイミングであったが、キャッチャースチュワートが落球してセーフ。
この際に補殺が記録されたと聞かされたイチローは「珍しいですね。初めてだね。ということは、アシスト(補殺)が付いたということですか?」と聞き返したらしい。日刊スポーツのネット記事に書かれているので本当でしょう。
どうやらイチローも、この際に補殺が記録されることを知らなかったようなので、素人の我々が知らなくても恥じることはない(笑)。
なお、2013年の時点では公認野球規則10.10が補殺に関する規程となっていました。現在は改定されて9.10となっています。
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