0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 巨人 0勝1敗 川崎徳次
2 0 0 0 0 0 0 0 X 2 中日 1勝0敗 松尾幸造 服部受弘
敗戦投手 川崎徳次 0勝1敗
本塁打 (巨)川上哲治 1号
勝利打点(中)小鶴誠 1
川上、手向けの一発
開幕週初日、後楽園の第2試合は川崎徳次と松尾幸造の先発で午後3時5分、島球審の右手が上がりプレイボール。
中日はチーム呼称が変わっただけで先発メンバーに変動はないが、巨人は大きく変わった。
先発の川崎は戦場から復帰したばかりの昨年シーズン最終戦に戦後初登板し、5か月置いての2試合連続登板が開幕投手となった。本来であればエースの藤本英雄が開幕投手を務めるところであるが、藤本はこの日の対戦相手中日に移籍したのである。監督を降ろされて1か月サボタージュを続けた藤本の移籍など、戦前の最強チーム巨人は戦後数年に亘りゴタゴタが続き低迷することとなる。
5番ライトの平山菊二は昭和16年以来6年ぶりの出場。後の「塀際の魔術師」はこの試合ではライトゴロを記録する。
8番キャッチャー武宮敏明と九番ショート田中資昭は共に熊本工業で吉原と川上の後輩という関係で共にルーキーとして開幕スタメン。田中は、山田潔が国民リーグの大塚アスレチックスに移籍したため急遽補強された。武宮がキャッチャーとして使えたので、多田文久三が藤本の穴を埋めるため投手にコンバートされることとなる。
中日は初回、先頭の岩本章が四球で出塁、金山次郎は中前打を放ち、一死後小鶴誠の左前タイムリーで1点を先制、二死後加藤正二の右前タイムリーで2-0とする。
巨人は4回表、川上哲治がレフトスタンドに第1号ホームランを叩き込んで1-2とする。
川崎徳次は2回から完璧な投球を見せ、8回まで7イニング連続三者凡退のパーフェクトピッチングながら敗戦投手。
巨人打線は5回から松尾をリリーフした服部受弘を打てず、2対1で中日に軍配が上がった。
デビュー戦となった武宮敏明は1打数無安打2四球、1打数も敵失で3度出塁した。後に「鬼寮長」として多摩川で巨人軍若手を鍛え上げることとなる。
昭和11年センバツでは川上、吉原、田中は先発メンバーで、武宮は吉原の控え捕手としてベンチ入りした。昭和12年夏は決勝で野口二郎の中京に敗れたが、一番ショート田中、三番ピッチャー川上、四番キャッチャー吉原であった。武宮が吉原の控えでベンチ入りしていたかは不明(センバツ50年史ではベンチ入りメンバーが紹介されているが、夏の50年史では出場選手しか分からないため)。
川上としては、還って来られなかった吉原のためにもこの日は後輩の前で下手なプレーはできない。それが第1号本塁打につながった。
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