甲子園の第2試合は櫛田由美彦と真田重蔵の先発で午後2時45分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。
10連勝中のグ軍は初回、先頭の河西俊雄がツーストライクナッシングと追い込まれながら粘りに粘って四球を選んで出塁、安井亀和は中飛に倒れるが、河西が二盗を決めて一死二塁、田川豊が右前にタイムリーを放ち1点を先制、山本一人監督はストレートの四球で一死一二塁、堀井の左越え2点タイムリー二塁打で3-0と試合の主導権を握る。
パ軍は1回裏、先頭の白石敏男が四球で出塁、富松信彦の一ゴロはファースト山本が二塁ベースカバーに入ったショート宮崎仁郎に送球して二封、藤井勇のニゴロもセカンド安井が二塁ベースカバーの宮崎に送球して二封、森下重好が左中間に二塁打を放ち二死二三塁、しかし木暮力三は遊飛に倒れて無得点。
グ軍のショート宮崎仁郎は初回に3刺殺を記録した。ショートの1イニング3刺殺は間違いなく世界記録であり、他に何人いるかが問題。恐らく世界タイ記録であると考えられるが、単独世界記録の可能性も否定できない。
パ軍は2回裏、二死後平野徳松に代わる代打中谷順次が四球を選んで出塁、しかし真田の二塁ベース寄りのゴロをセカンド安井が二塁ベースカバーに入ったショート宮崎にトスしてスリーアウトチェンジ。
グ軍のショート宮崎仁郎は2回で4刺殺を記録した。これは世界記録である可能性が高いのではないか。
グ軍は4回表、一死後岡村俊昭が四球で出塁、筒井敬三の投前送りバントを真田がファンブル、犠打とエラーが記録されて一死一二塁、櫛田の右前タイムリーで4-0とする。一走筒井は三塁に進んで一死一三塁、宮崎の捕ゴロでキャッチャー伊勢川真澄がファースト藤井に送球して一塁アウト、この時三走筒井がスタートを切り、ファースト藤井が折り返しバックホームしてタッチアウト。
アウトにはなったもののグ軍の機動力野球はキャッチャー筒井にも浸透している。
パ軍は4回裏、木暮は中飛、伊勢川は二飛、松井信勝の遊ゴロがショート宮崎からファースト山本に送球されてスリーアウトチェンジ。
パ軍は4回まで4本の内野ゴロを打って4個のアウトを記録したが、グ軍のファースト山本一人が刺殺を記録したのは4回の遊ゴロが初めてであった。
パ軍は5回裏、先頭の中谷が三遊間にヒット、ここでディレードスチールを試みるが「1-3-6」と送球されてタッチアウトで盗塁失敗が記録された。
グ軍のショート宮崎仁郎は5回で5個の刺殺を記録した。2回で4個よりは達成可能性は高いが、これも世界記録ではないか。
グ軍は6回表、先頭の山本が左前打で出塁、堀井は右前打、岡村が四球を選んで無死満塁、ここで筒井の代打に起用された木村勉が右越えに走者一掃の三塁打を放ち7-0、宮崎に代わる代打丸山二三雄のニゴロの間に三走木村が還って8-0とする。
グ軍の6回の守備でショートには代打の丸山に代わり桶川隆が入る。
パ軍は6回裏、松井、藤井の連打で無死一二塁のチャンスを作るが、森下のライナーが格言どおり代わったばかりのショートに飛んで桶川がキャッチ、木暮は中飛、伊勢川の三ゴロをサード河西が三塁ベースを踏んでスリーアウトチェンジ。
パ軍は最終回、先頭の木暮は右飛、伊勢川が中前打を放つが、松井の遊ゴロをショート桶川が二塁ベースカバーのセカンド安井に送球して二封、最後は中谷が中飛に倒れて零封。
櫛田由美彦は7安打2四球4三振でプロ入り初完封、2勝目をあげる。この年1年でプロ野球を去る櫛田にとって、キャリアで唯一の完封勝利である。
パ軍は6個の内野ゴロを打ったが、グ軍のファースト山本一人監督のゴロアウトによる刺殺は1個だけであった。一飛が1個あったので山本の刺殺は2個。
グ軍守備陣の刺殺の内容はセンター田川が6個、5回までショートを守った宮崎が5個、6回からショートに入った桶川が1個、レフト堀井が4個、キャッチャーの筒井が3個と木村が1個(これは当然三振によるもの)、セカンド安井が3個、ファースト山本は2個のみ(内野ゴロによる刺殺は1個だけ)、サード河西が1個、ライト岡村が1個、櫛田が0個の合計27個であった。
グ軍はこれで11連勝、勝率6割5分6厘3毛となって、タ軍の勝率6割5分5厘7毛を上回って今季初の首位に立った。この日も機動力野球による勝利であった。
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