2012年9月9日日曜日

15年 阪急vsジャイアンツ 3回戦



5月16日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 0 0 0 0 0 1  1  2 阪急            16勝10敗3分 0.615 森弘太郎 石田光彦
0 0 0 0 0 0 1 0 0  0  1 ジャイアンツ 17勝9敗 0.654 スタルヒン

勝利投手 石田光彦  5勝4敗
敗戦投手 スタルヒン 9勝3敗

二塁打 (阪)黒田 (ジ)平山

勝利打点 森田定雄 2


森田定雄延長決勝打

 阪急は初回、先頭の西村正夫が二遊間の内野安打で出塁し浅野勝三郎の二ゴロの間に二塁に進むが無得点。2回も先頭の黒田健吾が右翼線に二塁打を放ち井野川利春の三ゴロの間に黒田は三塁に進むが森田定雄は投ゴロ、下村豊は二ゴロに倒れる。3回は先頭の森弘太郎が四球を選び、西村が送ってチャンスを作るが後続なし。4回は三者凡退。5回、先頭の下村の右飛をライト中島治康が落球、森が送って西村の中前打で一死一三塁とするが西村の二盗を吉原正喜が刺し、フランク山田伝は二飛に倒れて得点なし。6回も先頭の浅野が四球で歩き上田藤夫の送りバントで一死二塁とするが黒田は三振、井野川は左飛に倒れる。

 ジャイアンツは初回、一死後水原茂が左前打を放つが千葉茂の投ゴロが「1-6-3」と渡ってゲッツー。2回は二死後平山菊二、林清一が連続内野安打で一二塁とするが吉原は左飛に倒れる。3回も二死後水原の四球と千葉の右前打で一二塁とするが中島は二ゴロに倒れる。4回は先頭の川上哲治が四球で出塁するが盗塁失敗。5回は一死後スタルヒンが左翼線にヒットを放つが後続なく、6回は三者凡退。

 6回まで両軍ランナーを出しながら森弘太郎、スタルヒンが踏ん張り無得点。

 阪急は7回、先頭の森田が中前打で出塁、下村が右前打で続いて無死一二塁、森の一塁線送りバントはファースト川上がダッシュよく捌いて二走森田を三封、トップに返り西村が三遊間を破り一死満塁、次のプレーは翌日の読売新聞によると「山田のスクイズは巨人バッテリーの炯眼で下村をまんまと袋の鼠とし更に西村、森も二塁上に重なって併殺された」とのことで、フランク山田伝のスクイズを外した吉原は三走下村を三本間に挟んでタッチ、更に二走西村も二三塁間に挟んで二塁に送球してセカンド千葉がタッチしたようだ。この時一走森は二塁ベースに達していたのでしょう。

 ジャイアンツは7回裏、先頭の平山が左中間に二塁打、林が送って一死三塁、吉原は四球を選んで一死一三塁、スタルヒンの中犠飛で1点を先制するが一走吉原が飛び出しており「8-6-3」と転送されてスリーアウトチェンジ。センターフライなので三走平山はタッグアップしていたと考えられ、先日の甲子園で起きた済々黌高校の得点とは違うでしょう。

 阪急は9回、一死後下村が三前にセーフティバントを決めて出塁、森に代わる代打山下好一の二ゴロの間に下村は二進、トップに返り西村の三ゴロを名手水原が痛恨のエラー、山田が右前に同点タイムリーを放って土壇場で1-1に追い付く。

 阪急は森弘太郎に代打を送ったので9回から二番手として石田光彦が登板する。ジャイアンツは9回、先頭の川上の当りはピッチャー石田を強襲するがバックアップのショート下村から一塁に送球されてアウト、平山は右飛、9回途中からセンターに入っている呉波は一ゴロに倒れて延長戦に突入する。

 阪急は10回、先頭の上田が四球を選んで出塁、黒田が送って一死二塁、井野川が四球を選んで一死一二塁、ここで森田が中前に殊勲の決勝タイムリーを放って2-1と勝ち越す。

 石田は10回裏のジャイアンツの反撃を三者凡退に抑えて2イニングをパーフェクトリリーフ、5勝目をあげる。


 5月9日のライオン戦でも決勝二塁打を放った森田定雄は岐阜商業の出身。5月5日のデビュー戦でいきなり初打席初ヒットを放ちここまで8試合に出場して21打数9安打4割2分9厘をマークしている。岐阜商業時代には甲子園に春夏合わせて6回出場しており、甲子園での通算打撃成績は84打数26安打で通算打率は3割9厘5毛を記録した強打者である(注:この記録は筆者が各種資料から集めてきた手計算によるものですので間違っている可能性があります。)。昭和15年のプロ野球は鬼頭数雄と川上哲治が熾烈な首位打者争いを行うこととなり、規定打席に達した打者で3割をマークするのは鬼頭の3割2分1厘と川上の3割1分1厘の二人だけに終わりますが、森田定雄は規定打席には達していないものの110打数34安打で3割9厘1毛を記録することとなる。甲子園でもプロ野球でもほぼ同じ記録を残すという極めて安定した打撃を誇る歴史に残るスラッガーである。








     *力投を続けた森弘太郎の後を受けた石田光彦は2イニングをパーフェクトリリーフ。















     *延長10回、森田定雄が決勝打を放って苦手スタルヒンを攻略した阪急打線。

















 

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