2014年8月31日日曜日

17年 阪神vs阪急 1回戦


3月31日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 0 0 0 2 0  0   1   1  4 阪神 3勝0敗 1.000 御園生崇男 若林忠志
1 0 0 0 0 1 0 0 0  0   1   0  3 阪急 2勝1敗 0.667 森弘太郎

勝利投手 若林忠志 2勝0敗
敗戦投手 森弘太郎 0勝1敗

二塁打 (急)黒田、日比野、中村

勝利打点 なし

猛打賞 山下好一 1


歴史の闇に埋もれていた好ゲーム

 阪急は初回、先頭の中島喬が三塁に内野安打、フランク山田伝が送りバントを決めて一死二塁、黒田健吾の三ゴロで二走中島が飛び出し「5-4」と送球されてタッチアウト、日比野武の一塁内野安打で二死一二塁、山下好一がセンター左にタイムリーを放ち二走黒田が還って1点を先制、バックホームの隙を突いて一走日比野も三塁に走るが「8-2-5」と転送されてタッチアウト。

 阪急は6回、一死後山田が四球で出塁、黒田のレフト線二塁打で山田が快足を飛ばしてホームに還り2-0、日比野は歩かされて一死一二塁、山下好一の右前打で二走黒田がホームを突くが「9-4-2」と送球されてタッチアウト、森田定雄は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪急先発の森弘太郎は7回まで阪神打線を2安打1四球無失点に抑えて完封も見えてきたが、8回からドラマはスタートする。


 阪神は8回、先頭の松尾五郎に代えてプロ入り初出場となる大島武を代打に起用、大島ががライト線にプロ入り初打席初ヒットを放って無死一塁、野口昇の三ゴロでランナーが入れ替わり、乾国雄に代わる代打藤村隆男は三振に倒れて二死一塁、阪神ベンチはここで三輪裕章に代えて30日の朝日戦でプロ入り初出場初安打を記録した玉置玉一を代打に起用、玉置は四球を選んで二死一二塁、トップに返り高山泰夫に代わる代打若林忠志が四球を選んで二死満塁、金田正泰が押出し四球を選んで1-2、カイザー田中義雄の遊ゴロをショート中村栄が二塁に送球するがセーフ、野選が記録される間に三走玉置が還って2-2の同点追い付く。田中には打点が記録されているが、記録は内野安打ではなく遊ゴロ野選であった。公式記録員・山内以九士はショート中村が一塁に投げていればアウトであったと判定したものである。続く土井垣武の遊ゴロは中村が二塁に送球、今度は一走田中を二封してスリーアウトチェンジ。

 阪神は8回の守備から代打に出た若林がライトに入り、同じく代打に出た大島がレフトに入る。更に玉置がサードに入り、サードの野口がショートに回り、ショート乾の代打に出た藤村に代わって前川正義が入ってセカンド。バッテリーとセンター金田、ファースト土井垣以外の守備陣が代わった。

 阪急は8回裏、先頭の山田が一塁に内野安打、阪神ベンチはここでセカンドをこの回から入ったばかりの前川から仁科栄三に交代、山田が二盗を決め、黒田が四球を選んで無死一二塁、阪神ベンチはレフトの大島とライトの若林を入れ替える。ここで二走山田がディレードスチールを仕掛けるとピッチャー御園生崇男は三塁に送球するがこれが悪送球となって無死二三塁、日比野は投ゴロに倒れて一死二三塁、ここで三走山田が「2-5-6」で刺されてタッチアウト、状況からするとスクイズをウエストされて三本間に挟まれたと考えられる。二死二塁から山下好一が中前打を放ち一三塁、山下が二盗を決めて二死二三塁とするが森田に代わる代打笠松実は捕邪飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪神は9回表、先頭の御園生が三塁線にセーフティバントを決めて出塁、大島が送って一死二塁、しかし野口は中飛、仁科は二飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪神は9回から若林がマウンドに上がり、先発の御園生がレフトに回る。


 試合は延長戦に入り阪神11回の攻撃、先頭の田中が三塁に内野安打、土井垣は一邪飛に倒れるが御園生が左前打を放って一死一二塁、大島が左前にタイムリーを放ってプロ入り初打点を記録、3-2と勝ち越す。

 阪急は11回裏、先頭の日比野が右中間に二塁打を放つと代走に西村正夫を起用、本日3安打の山下好一は歩かされて無死一二塁、石井武夫の投前バントはピッチャー若林が三塁に送球して二走西村は二封、一死一二塁から中村がレフト線に同点二塁打を放って3-3と追い付く。なお一死二三塁とサヨナラのチャンスが続くが江口行雄は二飛、森は三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪神は12回、二死後二死後金田が右前打で出塁すると二盗に成功、田中の三ゴロをサード黒田が一塁に痛恨の悪送球、金田が快足を飛ばしてホームを駆け抜け4-3と再度勝ち越す。

 阪急は12回裏、二死後黒田が四球を選んで出塁、池田久之が右前打、山下好一が四球を選んで二死満塁、しかし最後は石井の代打に出た井野川利春監督が三ゴロに倒れて熱戦に終止符が打たれる。


 阪神の決勝点は金田正泰の盗塁が効いたが、阪急は序盤から走塁ミスが相次いだ。結局はこの差が勝敗を分けたのである。


 物資欠乏は甚だしく、翌日の読売新聞はこの熱戦を「阪神軍連勝」の小見出しで伝えているのみで、試合内容は当ブログの解読が成されるまで72年間歴史の闇に埋もれていたのである。









 

2014年8月30日土曜日

17年 朝日vs名古屋 1回戦


3月31日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 2 2 4 朝日     0勝3敗 0.000 福士勇 山本秀雄
4 1 0 0 0 0 1 0 X 6 名古屋 1勝2敗 0.333 松尾幸造 河村章

勝利投手 松尾幸造 1勝0敗
敗戦投手 福士勇     0勝1敗
セーブ      河村章   1

二塁打 (朝)浅原 (名)木村
三塁打 (名)吉田

勝利打点 本田親喜 1

猛打賞 (名)岩田次男 1、浅原直人 1


朝日、終盤の追撃ならず

 名古屋は初回、先頭の石丸藤吉がセンター前にヒット、桝嘉一のライト線ヒットで無死一三塁、本田親喜監督がライト線に先制タイムリーを放って1-0、吉田猪佐喜がライト線に三塁打を放って二者還り3-0、古川清蔵は三ゴロに倒れるが、芳賀直一の遊ゴロの間に吉田が還って4点を先制する。

 名古屋は2回、先頭の木村進一がレフト線に二塁打、松尾幸造は中飛に倒れるが、トップに返り石丸藤吉の二ゴロで二走木村は三進、桝の右前タイムリーで5-0とする。

 朝日は3回から先発の福士勇に代えて山本秀雄をマウンドに送る。山本は3回から6回まで名古屋打線を無安打に抑え、試合はようやく落ち着いた。

 名古屋は7回、一死後古川清蔵が左中間にヒット、芳賀の三ゴロをサード岩田が一塁に悪送球して古川は三塁に進み一死一三塁、ここでダブルスチールを決めて6-0とダメ押したかに見えた。

 ここまで名古屋先発の松尾幸造に5安打無得点に抑えられてきた朝日は8回、先頭の鬼頭政一がストレートの四球を選んで出塁、伊勢川真澄は中飛に倒れるが岩田が右翼線にヒット、広田修三の左前打で一死満塁、浅原直人は捕邪飛に倒れて二死満塁、室脇正信が左前にタイムリーを放って1-6、山本が押出し四球を選んで2-6、名古屋ベンチはここで松尾に代えて河村章をマウンドに送り、五味芳夫は三ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 朝日は9回、先頭の坪内道則が右前打で出塁、鬼頭の三ゴロでランナーが入れ替わり、伊勢川は左飛に倒れて二死一塁、しかし岩田がレフト線にヒット、広田がライト線にヒットを放ち二死満塁、浅原が左前にタイムリーを放って3-6、室脇が押出し四球を選んで4-6、朝日ベンチはここで山本に代えてルーキー林安夫を代打に送って勝負を賭けるが林は中飛に倒れて追撃もここまで。


 鮮やかな先制攻撃を見せた名古屋が終盤の朝日の猛攻を凌いで何とか逃げ切り今季初勝利を飾った。


 朝日はこれで開幕3連敗となったが、岩田次男と浅原直人が猛打賞を記録するなど終盤見事な粘りを見せた。矢張り今年の朝日は一味違う。






 

2014年8月29日金曜日

17年 名古屋vs阪急 1回戦


3月30日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 名古屋 0勝2敗 0.000 森井茂 河村章
1 0 0 0 0 1 0 0 X 2 阪急    2勝0敗 1.000 中田武夫

勝利投手 中田武夫 1勝0敗
敗戦投手 森井茂     0勝1敗

勝利打点 なし


中田武夫、3安打完封

 物資不足は甚だしく、西宮球場の試合については読売新聞の戦評は記事は無しで得点経過だけ、テーブルスコアも省かれている。

 阪急は初回、先頭の中島喬がレフト線にヒット、フランク山田伝は左飛に倒れ、中島が二盗に成功、黒田健吾が左前打から二盗を決めて一死二三塁、日比野武の三ゴロで三走中島がホームを突くがサード芳賀直一からのバックホームにタッチアウト、二死一三塁からダブルスチールを敢行、キャッチャー古川清蔵からの二塁送球が悪送球となる間に三走黒田が還って1点を先制する。一走日比野には盗塁が記録されたが三走黒田には盗塁は記録されず捕手悪送球の間の進塁であった。

 阪急は6回、先頭の中島が三塁に内野安打、山田が送って一死二塁、古川のパスボールで中島は三進、黒田が中前にタイムリーを放って2-0とする。


 中田武夫は4回まで名古屋打線を無安打に抑える。5回、二死後芳賀に左前打、石丸進一に二遊間への内野安打を許すが森井茂を中飛に打ち取る。6回、7回は三者凡退。8回、一死後石丸進一に四球を与え、森井に代わる代打本田親喜監督の三ゴロでランナーが入れ替わり、トップに返り石丸藤吉の左前打で二死一二塁とされるが桝嘉一を二ゴロに打ち取る。最終回も吉田猪佐喜に四球を与えたものの無失点で切り抜け、3安打3四球2三振の完封で今季初勝利を飾る。


 阪急の2得点には名古屋のキャッチャー古川清蔵のミスが絡んだ。古川は戦後も1959年までプロ野球に在籍するが外野手である。この昭和17年のみ、前年の本塁打王・服部受弘捕手が応召となったため古川がキャッチャーを務めている。「日本プロ野球私的統計研究会」様によると、この年101試合に出場する古川清蔵は98試合でスタメンマスクを被っている。因みに昭和17年のホームラン王は古川清蔵捕手であり、前年の服部に続いて2年連続で名古屋のキャッチャーが本塁打王に輝くこととなる。捕手の2年連続本塁打王は野村克也(8年連続)の事例があるが、同一球団の異なる捕手による2年連続本塁打王は昭和16年服部受弘、17年古川清蔵の事例のみである。





*3安打完封の中田武夫。
















*古川清蔵はプロ入り初捕逸を記録した。














 

2014年8月27日水曜日

17年 朝日vs阪神 1回戦


3月30日 (月) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 0 0 0 0 0 0 2 朝日 0勝2敗 0.000 林安夫
3 0 0 0 0 0 0 0 X 3 阪神 2勝0敗 1.000 木下勇

勝利投手 木下勇 1勝0敗
敗戦投手 林安夫 0勝1敗

二塁打 (朝)室脇、坪内、内藤 

勝利打点 なし 


野口昇、真の殊勲打

朝日は林安夫がプロ入り初先発、打順は五番である。


 阪神は初回、その林を攻めて先頭の上田正が左前打で出塁、金田正泰が四球を選んで無死一二塁、カイザー田中義雄の三前送りバントをサード岩田次男が一塁に悪送球、犠打エラーが記録されて無死満塁、土井垣武の浅い中飛で三走上田が強引にタッチアップからホームにスタート、センター坪内道則からのバックホームはタイミングはアウトであったがキャッチャー伊勢川真澄が落球する間に上田が生還して1点を先制、土井垣には打点が記録されていないので犠飛とは認定できず、これが決勝点となったが勝利打点も記録されない。二走金田と一走田中も進塁して一死二三塁、プロ入り初出場でいきなり五番に起用された岐阜商業出身の高山泰夫は三振に倒れるが、野口昇が右前に2点タイムリーを放って3-0とする。この一打が真の殊勲打であった。

 朝日は2回、先頭の広田修三が左前打で出塁、室脇正信がレフト線に二塁打を放って無死二三塁、プロ入り初出場の大島渡は三振に倒れて一死二三塁、五味芳夫の遊ゴロをショート乾国雄がエラーする間に三走広田が還って1-3、五味には打点は記録されていない。更に一死三塁から坪内の右犠飛で2-3と詰め寄る。

 3回以降は阪神先発・木下勇と林の投げ合いが続いて両軍無得点。


 木下は毎回のようにヒットを許しながら何とか凌ぎきった。特に7回以降はピンチの連続で、7回は一死後坪内に右中間二塁打を許すが坪内の三盗をキャッチャー田中が刺して失敗。8回も先頭の伊勢川に中前打を許すが続く岩田を三振に打ち取り、スリーストライク目をキャッチャー田中が一塁への牽制球で伊勢川を刺してピンチの芽を摘んだ。9回は二死後、大島渡に代わる代打早川平一が右前にプロ入り初ヒット、五味に代わる代打内藤幸三が左中間に二塁打を放って二死二三塁とするが、最後は坪内が遊飛に倒れて試合終了。結局9安打1四球4三振の完投で今季初勝利をあげる。


 一方の林安夫は2回以降阪神打線を2安打無失点に抑えたが初回の失点が痛かった。林は5安打3四球3三振で8回を完投したがプロ入り初の敗戦投手となった。

2014年8月26日火曜日

弾丸ホームラン




 大和球士が名付けた「弾丸ライナー」が川上哲治の代名詞であることはご存知のところです。2013年10月31日付けブログ「弾丸ライナー」でお伝えしたとおり、「弾丸ライナー」が初めて活字になったのは昭和15年11月18日付け都新聞誌上でのことです。この時は「三塁打」でした。

http://shokuyakyu.blogspot.jp/2013/10/blog-post_31.html


 昨日お伝えしたとおり、昭和17年3月30日に川上が川崎徳次から放った右中間へのホームランは「ライナー」でした。昭和15年11月18日以降に打った川上のホームランは全て「飛球」でしたので、7月30日の本塁打が史上初の「弾丸ホームラン」であった可能性があります。


 スコアカードの記載では、「・」はゴロ、「O」は飛球、「△」はライナーを表します。下の写真のとおり、川上の本塁打は「△」と記載されていますので、「弾丸ライナー」がスタンドに突き刺さったものと考えられます。


 もちろん、「飛球」と「ライナー」が明確に区別できないケースもありますので断定はできませんが、スコアカード上の記載では史上初の「弾丸ホームラン」でした。





*川上の本塁打は6球ファウルで粘った後、ライトスタンドにライナー「△」で突き刺さったものでした。







 

2014年8月25日月曜日

17年 南海vs巨人 1回戦


3月30日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 0 1 0 2 0 0  2  5 南海 2勝1敗 0.667 川崎徳次 神田武夫
0 0 0 0 0 3 0 0 0  0  3 巨人 1勝2敗 0.333 広瀬習一 中尾輝三

勝利投手 神田武夫 1勝1敗
敗戦投手 広瀬習一 1勝1敗

二塁打 (巨)水原
本塁打 (巨)川上 1号

勝利打点 室井豊 1


室井豊、延長10回決勝打

 序盤戦は南海先発・川崎徳次と巨人先発・広瀬習一との投げ合いで4回まで両軍無得点。南海は2安打、巨人が4安打で巨人が押し気味であったが4回の攻撃、川上哲治と中島治康の連続右前打で無死一二塁としながら伊藤健太郎の中飛で二走川上が「8-6-5-4」で刺された凡走が痛かった。

 試合が動いたのは5回南海の攻撃、先頭の川崎が右前打で出塁、柳鶴震も四球を選んで無死一二塁、トップに返り国久松一は右飛、猪子利男は遊飛に倒れるが、北原昇が中前にタイムリーを放って1点を先制する。

 巨人は6回、先頭の水原茂が四球を選んで出塁、楠安夫の遊ゴロが野選を誘い無死一二塁、ここで川上がライトスタンドに突き刺さる弾丸ライナーを放って3-1と逆転する。4回の凡走を帳消しにする快打であった。この後、中島が右前打、伊藤も左前打を放って川崎をKO、マウンドは神田武夫に代わり呉波が送りバントを決めて一死二三塁と追加点のチャンス、しかし小池繁雄は三振、広瀬も投ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。ここで神田に抑えられたのが敗因となった。

 南海は7回、先頭の柳がライト線にヒット、トップに返り国久の三ゴロをサード水原が二塁に悪送球、猪子が送って一死二三塁、北原が中前に同点の2点タイムリーを放って3-3と追い付く。

 試合は神田と広瀬の投げ合いで延長戦に突入。

 南海は10回、一死後岩本義行が左前打から二盗に成功、更に広瀬がボークを犯して無死三塁、村上一治も四球から二盗を決めて無死二三塁、巨人ベンチはここで広瀬に代えて中尾輝三をマウンドに送る。岡村俊昭に代わる代打徳島忠彦が死球を受けて無死満塁、室井豊が左前に決勝タイムリーを放って4-3と勝越し、神田の三ゴロの間に三走村上も還って5-3とする。

 巨人は10回裏、先頭の水原がストレートの四球で出塁、楠の投ゴロを神田が二塁に悪送球して無死一三塁、しかし川上は二飛に倒れ、中島の遊ゴロをショート猪子が二塁ベースを踏んで一塁に送球、ダブルプレーが完成してゲームセット。

 リリーフの神田武夫は5イニングを2安打1四球2三振無失点に抑えて今季初勝利をあげる。


 勝利打点は延長10回に決勝打を放った室井豊に記録されたが、先制打と同点打で3打点をあげた北原昇の活躍が光った。神田が投げると北原はよく打つ。まぁ、神田がしょっちゅう投げて北原がしょっちゅう快打を飛ばしている訳ですから確率的に当たり前と言えばそうですが、矢張り同じく胸の病を抱える二人には他人には分からない何か共通する感情があるのではないでしょうか。







 

17年 黒鷲vs大洋 1回戦


3月30日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 3 0 0 2 0 0 6 黒鷲 1勝2敗 0.333 松本操 石原繁三
0 2 0 2 0 0 0 0 0 4 大洋 2勝1敗 0.667 浅岡三郎 古谷倉之助

勝利投手 石原繁三     1勝1敗
敗戦投手 古谷倉之助 0勝1敗

二塁打 (黒)石原、木下 (大)野口明
三塁打 (黒)小松原

勝利打点 木下政文 1


木下政文、決勝二塁打

 黒鷲は初回、先頭の山田潔が中前打で出塁、富松信彦もセンター左にヒットを放ち無死一二塁、玉腰忠義の三前送りバントをサード山川喜作が一塁に悪送球、犠打エラーが記録されて無死満塁、木下政文の左犠飛で1点を先制、続く谷義夫の二ゴロはセカンド苅田久徳が二塁ベースを踏んで一塁に送球、「4B-3」のダブルプレーが完成してスリーアウトチェンジ。

 大洋は2回、一死後村松長太郎が中前打、山川の遊ゴロをショート濃人渉がエラー、祖父江東一郎の投前バントはピッチャー松本操が巧く処理して二走村松は三封、織辺由三がストレートの四球を選んで一死満塁、トップに返り中村信一が押出し四球を選んで1-1の同点、続く苅田も押出し四球を選んで2-1と逆転する。

 黒鷲は3回から先発の松本に代えて石原繁三をマウンドに送る。

 黒鷲は4回、先頭の玉腰が中前打、木下の三ゴロでランナーが入れ替わり、谷の四球で一死一二塁、ここで小松原博喜が右中間に三塁打を放って3-2と逆転、鈴木秀雄の中犠飛で4-2とリードを広げる。

 大洋は4回裏、先頭の山川が打撃妨害で出塁、祖父江に代わる代打古谷倉之助は右飛に倒れるが、織辺が四球を選んで一死一二塁、トップに返り中村が中前にタイムリーを放って3-4、苅田は二飛に倒れて二死一二塁、濃人が中前に同点タイムリーを放って4-4と追い付く。

 大洋は代打に出た古谷がマウンドに上がり、先発の浅岡三郎は祖父江に代わってファーストに入る。

 黒鷲は7回、先頭の木村孝平が三塁に内野安打、トップに返り山田がストレートの四球を選んで無死一二塁、富松の投前バントは古谷がダッシュよく処理して二走木村は三封、しかし玉腰が四球を選んで一死満塁、ここで木下が右中間に決勝二塁打を放ち6-4として激戦にけりを付けた。


 昨日は南海の石田光彦に8回までノーヒットに抑えられた黒鷲も本日は11安打を放って大洋に打ち勝った。一方、大洋は昨日決勝スリーランを放った佐藤武夫を下げて四番キャッチャーに野口明を起用、開幕当初は野口明と佐藤が交互にマスクを被ることになる。

 ロングリリーフとなった石原繁三は7イニングを4安打3四球2三振2失点に抑えて今季初勝利をあげる。


 黒鷲は昨年後半、中河美芳が四番に座っていた。その中河は志願入隊し、中河の後の四番は開幕から木下政文が務めている。中河と木下は鳥取一中の同期で共に関西大学に進んだが中河が昭和12年秋に関大を中退してイーグルス(現・黒鷲)に入団すると、後を追うように木下も13年イーグルスに入団した。中河美芳は戦死することになるが、この日殊勲の決勝打を放った木下政文は生き延びて戦後もプロ野球でプレーすることになる。








 

2014年8月24日日曜日

17年 大洋vs 巨人 1回戦


3月29日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 3 0 0 3 大洋 2勝0敗 1.000 三富恒雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 巨人 1勝1敗 0.500 中尾輝三

勝利投手 三富恒雄 1勝0敗
敗戦投手 中尾輝三 0勝1敗

二塁打 (巨)伊藤
本塁打 (大)佐藤 1号

勝利打点 佐藤武夫 1


佐藤武夫、決勝スリーラン

 大洋は6回まで巨人先発の中尾輝三から2安打を奪ったのみで三塁も踏めず無得点。一方、巨人も大洋先発の三富恒雄を打てず6回まで4安打を放ったもののこちらも三塁を踏めず無得点。

 大洋は7回、この日プロ入り初の四番に抜擢された村松長太郎が左前打で出塁、山川喜作の投ゴロでランナーが入れ替わり、祖父江東一郎は左飛に倒れるが三富が四球を選んで二死一二塁、ここで佐藤武夫がレフトスタンドにスリーランホームランを叩き込んで3点を先制する。

 三富は7回以降も巨人打線を無得点に封じ込め、5安打3四球8三振で完封、今季初勝利を飾る。


 翌日の読売新聞に掲載された鈴木惣太郎の論評によると、佐藤武夫の本塁打はと中尾の低目ストレートを掬い上げたものでレフトスタンドに放物線を描いた。戦場から帰還した野口明が開幕戦で四番キャッチャーに起用されてことから佐藤武夫には出番がなかった。この日は八番キャッチャーで起用されて殊勲の一打を放ったのである。


 また、鈴木惣太郎の論評にはセンター織辺由三が水原茂の大飛球を背走好捕したとも書かれているがスコアカードには「好捕」は記録されていない。この日水原は3回と7回に中飛を打っている。3回は一死無走者、7回は二死一塁の場面で、物資不足から紙面の論評も限られたスペースになっており、無駄なことまで書くだけの字数がない状況を考えると、より緊迫した場面であった7回に織辺がファインプレーを演じたと推測できる。







*三富恒雄は巨人打線を5安打に封じ込めて完封。










 

2014年8月23日土曜日

黒鷲vs南海 1回戦


3月29日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 0 0 0 0 0 0 0  2  2 黒鷲 0勝2敗 0.000 畑福俊英
0 0 0 0 2 0 0 0 1X 3 南海 1勝1敗 0.500 石田光彦

勝利投手 石田光彦 1勝0敗
敗戦投手 畑福俊英 0勝1敗

二塁打 (南)村上、猪子
三塁打 (黒)富松

勝利打点 猪子利男 1


石田光彦、8回まで無安打無得点

 南海先発の石田光彦が快投を見せた。3回まで三者凡退のパーフェクトピッチング。4回二死後玉腰忠義に四球を与え、木下政文の遊ゴロをショート猪子利男がエラーする間に玉腰が三塁に進んで二死一三塁、木下のディレードスチールで一二塁間に挟まれる間に三走玉腰がホームを突くが、「2-4-3-2」と転送されてタッチアウト。

 5回から7回も三者凡退。8回、一死後鈴木秀雄の遊ゴロを又も猪子がエラー、しかし杉山東洋生に代わる代打松本操を三振、畑福俊英を中飛に打ち取りここまで無安打無得点。


 南海は1回、2回と三者凡退。3回は3つの四球を選びながら無得点。4回も村上一治が初ヒットを放つが無得点。

 南海は5回、先頭の石田が中前打で出塁、柳鶴震が送って一死二塁、トップに返り国久松一の遊ゴロをショート山田潔が一塁に悪送球して国久はセーフ、しかし三塁に走った石田がファースト杉山からの送球に刺されてタッチアウト、国久が二盗を決めて二死二塁、猪子の三ゴロをサード木下が一塁に大暴投する間に二走国久が還って1点を先制、打者走者の猪子は三塁に達し、北原昇の左前タイムリーで2-0とする。

 石田光彦の快記録達成かと見られた黒鷲9回の攻撃は、先頭の木村孝平に代わる代打小松原博喜が右翼線に初安打、石田の3度目のノーヒットノーランを阻んだ。トップに返り山田の打席で小松原が二盗に成功、山田も四球を選んで無死一二塁、ここで富松信彦が右中間に三塁打を放って2-2の同点に追い付く。

 南海は9回裏、先頭の室井豊がレフト線にヒット、石田が送って一死二塁、柳は中飛に倒れて二死二塁、トップに返り国久は歩かされて二死一二塁、ここで本日2エラーの猪子が右中間にサヨナラ二塁打を放って南海が打っ棄る。


 石田光彦は2安打2四球2三振2失点の完投で今季初勝利。自身通算3度目のノーヒットノーランは成らなかったが快投を見せてファンを沸かせた。






*石田光彦は8回まで無安打無得点の快投を見せた。













*石田光彦に抑え込まれた黒鷲打線。















 

2014年8月22日金曜日

走りまくった健大高崎



 当ブログが「優勝する!」と絶叫していた本命・健大高崎の名前も知らなかった人が多かったことでしょう。


 三番・脇本の名前も全国に知られることとなりました。


 当ブログもここまで走りまくるとは思っていませんでした。脚でここまで話題になったチームは1931年の嘉義農林以来でしょう。


 当ブログが期待した群馬県二連覇はなりませんでしたが、二連覇以上のインパクトを残して健大高崎が甲子園を去りました。



 東日本の時代は単なる偶然ではありません。地元に密着した少年野球からの地道な努力が結実してきた結果です。西の人たちも、心してかからないと東日本の時代は終わりまんよ。因みに筆者は、本籍が大阪で生まれは神戸、親戚は全員が関西人という環境です。千葉県市川市で育ちましたので、親戚中で唯一関西弁を話しませんが(笑)。したがって、関西のDNAと関東のアイデンティティーを有しています。関西野球の強さは骨の髄まで理解していますが、現在の流れが続く限り、東日本の時代を主張し続けます。




 

2014年8月21日木曜日

17年 名古屋vs阪神 1回戦


3月28日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 1 0 0 0 0 0 3 名古屋 0勝1敗 0.000 河村章
0 1 3 0 0 0 0 0 X 4 阪神    1勝0敗 1.000 若林忠志

勝利投手 若林忠志 1勝0敗
敗戦投手 河村章     0勝1敗

二塁打 (神)若林

勝利打点 なし


ルーキーたち

 阪神は2回、先頭の御園生崇男が四球で出塁、若林忠志が送って一死二塁、野口昇の三ゴロの間に御園生は三進、プロ入り初出場となる乾国雄の打席で三走御園生が単独ホームスチールを成功させて1点を先制、乾はセンター左にプロ入り初打席初安打、御園生のお陰で初打点は逃した。こちらもプロ入り初出場の三輪裕章は中飛に倒れて1点止まり。

 名古屋は3回、一死後河村章が四球で出塁、トップに返り石丸藤吉の遊ゴロでランナーが入れ替わり石丸が二盗に成功、桝嘉一の右前タイムリーで1-1の同点、山下実が四球を選んで二死一二塁、吉田猪佐喜の右前タイムリーで2-1と逆転に成功する。一走山下が三塁に走るがライト上田正からの返球にタッチアウト。

 阪神は3回裏、先頭の上田が四球で出塁、プロ入り初出場となる金田正泰が送りバントを決めて一死二塁、カイザー田中義雄の内野安打で二走上田は動かず一死一二塁、土井垣武の右前タイムリーで上田が還り、ライト本田親喜監督が打球を逸らす間に一走田中も還って3-2と逆転に成功、打者走者の土井垣も一気に三塁に進み、御園生の中犠飛で4-2とする。

 名古屋は4回、一死後古川清蔵が一塁に内野安打、芳賀直一が左前打を放って一死一二塁、石丸進一の遊ゴロをショート乾がプロ入り初エラーして一死満塁、河村が押出し四球を選んで3-4、しかしトップに返り石丸藤吉のサードライナーに三走芳賀が飛び出しサード野口が三塁ベースを踏んでダブルプレー。

 序盤戦は点の取り合いであったが5回以降は両軍無得点、阪神が逃げ切った。

 若林忠志は6安打4四球無三振の完投で今季初勝利をあげる。


 阪神は11人が兵役等で抜けた。したがってスタメンにはルーキーが3人名前を連ねている。宮崎剛-皆川定之の二遊間コンビに代わってセカンドは三輪裕章、ショートは乾国雄が入り、レフトには金田正泰が入った。


 名古屋には阪急から山下実が移ってきて三番に入る。ライトには途中出場で飯塚誠が出てきた。飯塚が小鶴誠の偽名であることはご存知のとおりで、8月10日までは偽名の飯塚誠で出場するが、9月12日からは本名の小鶴誠で出場することになりますのでお楽しみに。2013年3月8日付けブログ「謎の入団」で、飯塚商業の小鶴誠が本名の小鶴誠名義で金鯱に登録されたが出場しなかったことをお伝えいたしました。この日は本当に出場しましたのでご安心ください。

http://shokuyakyu.blogspot.jp/2013/03/blog-post_8.html






*若林忠志は6安打完投で今季初勝利。











*ルーキーが3人名前を連ねた阪神打線。












*本田親喜監督に代わっ試合途中から小鶴誠が飯塚誠の偽名で出場する。













 

2014年8月20日水曜日

第二の浜名翔




 東海大四高の西嶋のスローボールを非難して炎上したアナウンサーがいましたとさ。


 どのような内容の批判であったかは知りませんが、少なくとも1回戦で試合を通して見た西嶋はスローボールを有効に使っていました。但し、スポーツニュースやワイドショーはスローボールの場面しか放映しませんので、それしか見ていない人が批判したくなる気持ちは分かります。


 野球には試合の流れというのものがあります。168センチと非力な西嶋は、自らが生き延びるためにスローボールを選択しました。問題の本質は、それを有効な場面で使っていたかどうかだと思います。筆者が1回戦の試合を通して見た限りにおいては、チェンジアップ同様の効果的な使い方をしていましたので批判される言われはありません。


 西嶋には、第二の浜名翔(2000年夏の甲子園で準優勝した東海大浦安の背番号4のエース)になれるのではないかと期待していましたので、2回戦で姿を消したのは残念です。恐らく大学では投手としては通用しないと思われますので、センスを活かして野手として活躍してもらいたい。






 

2014年8月19日火曜日

17年 朝日vs阪急 1回戦


3月28日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 2 0 0 0 0 2 朝日 0勝1敗 0.000 内藤幸三 林安夫
3 0 0 0 3 0 0 0 X 6 阪急 1勝0敗 1.000 橋本正吾 笠松実

勝利投手 笠松実     1勝0敗
敗戦投手 内藤幸三 0勝1敗

二塁打 (急)森田
三塁打 (急)中村

勝利打点 山下好一 1


中村栄、デビュー戦で3打点

 阪急は初回、先頭の西村正夫が四球から二盗に成功、フランク山田伝も四球を選び、黒田健吾も二ゴロで山田は二封、黒田も二盗を決めて、日比野武も四球で一死満塁、山下好一がツーナッシングから粘って押出し四球を選び1点を先制、森田定雄の三ゴロで三走黒田は本封されて二死満塁、この試合がデビュー戦となる中村栄が押出し四球を選んで2-0、江口行雄の第1球目がボールとなったところで先発の内藤幸三は降板、プロ入り初登板となる林安夫が登板するが江口も押出し四球で3-0、橋本正吾は投ゴロに倒れて阪急はノーヒットで3点を先制する。

 朝日先発の内藤は1回もたず5四球を出して降板したが、阪急先発の橋本もピリッとせず、初回は無失点ながら2四球、3回も先頭の広田修三に四球を出したところで二番手笠松実と交代した。笠松が後続を抑えて朝日は無得点。

 朝日は4回、先頭の鬼頭政一が三塁に内野安打、トップに返り坪内道則が右前打、五味芳夫は三振に倒れ、伊勢川真澄の一ゴロで坪内が二封されて二死一三塁、四番・岩田次男の右翼線タイムリーで1-3、伊勢川は三塁に進み岩田が二盗に成功、林が四球を選んで二死満塁、広田の遊ゴロをショート中村がプロ入り初エラーする間に三走伊勢川が還って2-3として2回以降無失点のピッチングを続けるルーキー林を援護する。

 しかしその林が5回に捕まった。

 阪急は5回、先頭の山下好一が右前打で出塁、森田が右中間に二塁打を放って無死二三塁、ここで中村が左中間に三塁打を放って2点を追加、江口の二ゴロの間に中村が還って6-2と突き放す。

 笠松実は8回のロングリリーフとなったが7安打2四球4三振2失点で今季初勝利をあげる。


 この日がデビュー戦となった中村栄が3打点をあげる活躍を見せた。中村は戦前は昭和17年、18年の2年だけで応召するが、戦後は1950年から新球団国鉄の主力として長く活躍することとなる。その片鱗を早くも見せたのである。


 朝日二番手の林安夫はプロ入り初登板が1回途中からの緊急登板となった。7回3分の1を投げて4安打7四球3三振3失点、そこそこのデビューと言えるでしょう。


 朝日打線は坪内、五味、伊勢川、岩田、内藤、広田、浅原、室脇、鬼頭政一と並び、五味以外はクリーンナップ経験がある強力打線となった。昨年四番を務めた鬼頭政一が九番に入っているのである。戦場から復帰して昨年終盤に2度打席に入った浅原直人が加わっただけであるが、強打の内藤幸三を五番に入れて強力打線を形成した。元々強打ライオンの流れを汲む強力打線が持ち味であるが、今年の朝日はちょっと違うと言える。竹内愛一監督も采配のしがいがあるのではないでしょうか。







*笠松実はロングリリーフで今季初勝利。林安夫もロングリリーフでプロ入り初登板を飾った。













*中村栄がデビュー戦で3打点を記録した阪急打線。














*強力打線を形成する朝日打線。














 

2014年8月18日月曜日

機動破壊




 当ブログの本命・健大高崎が11盗塁を記録して10得点、ベスト16に進出しました。1953年に土佐高校が記録した13盗塁には及びませんでしたが。


 健脚で甲子園を沸かしたチームと言えば1931年初出場で決勝に進出した嘉義農林があります。その嘉義農林を描いた台湾映画「KANO」は年明けに日本でも公開される予定です。記念すべき年に健大高崎が快記録を達成しました。


 4盗塁を記録した脇本は当ブログが経営する貧乏球団「shokuyakyu球団」が今年のドラフトで指名する予定です(笑)。既報のとおり、横浜高校の浅間をドラフト4位で指名する予定でしたが、巨人が1位指名するとか言い出しましたので当球団は浅間を3位指名候補に引き上げます。こちらは1年生の時から狙っていたので邪魔しないでください(笑)。脇本を4位指名して「イチロー二世」として売り込む目論見です。


 言うまでもありませんが、お遊びのドラフトごっこですから大目に見てください(笑)。





 

17年 南海vs大洋 1回戦


3月28日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 計
0 0 0 0 0 0 0 1 0  0   0  1 南海 0勝1敗 0.00 神田武夫
0 0 1 0 0 0 0 0 0  0  1X 2 大洋 1勝0敗 1.00 野口二郎

勝利投手 野口二郎 1勝0敗
敗戦投手 神田武夫 0勝1敗

二塁打 (南)村上、国久 (大)中村

勝利打点 織辺由三 1

猛打賞 (南)村上一治(4安打) 1


兄弟バッテリー

 大洋は戦場から戻ってきた野口明が四番キャチャーとして登場、先発はエース野口二郎、ここにプロ野球史上初めての兄弟バッテリーが誕生したのである。

 大洋は初回、一死後苅田久徳が左前打、濃人渉が中前打を放って一二塁、しかし四番野口明は右飛、五番野口二郎も仲良く右飛に倒れて先制のチャンスを逃す。

 大洋は3回、一死後中村信一が右翼線に二塁打、苅田が四球を選び、濃人も四球を選んで一死満塁、野口明の右犠飛で1点を先制する。

 南海は2回、3回と一死二塁のチャンスを逃し、4回、二死後村上一治が三塁に内野安打、徳島忠彦が中前打、柳鶴震も三塁内野安打で二死満塁、しかし荒木正は一ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 南海は8回、先頭の国久松一が左中間に二塁打、猪子利男の投前送りバントが野選を誘い無死一三塁、猪子が二盗を決めて無死二三塁、北原昇の当りは中前に落ちるがランナーは動けず無死満塁、北原の記録は中前打、岩本義行は三振に倒れるが、村上が中前に同点タイムリーを放って1-1とする。

 延長に入って大洋は11回裏、先頭の野口二郎が二塁に内野安打、村松幸雄が送って一死二塁、山川喜作は捕邪飛に倒れて二死二塁、浅岡三郎は四球を選んで二死一二塁、織辺由三が左前にサヨナラタイムリーを放って大洋が打っ棄る。

 南海は村上一治が4安打を放つなど10安打したが11残塁で惜敗。


 
 野口二郎は兄野口明のリードで11回を10安打1四球2三振1失点の完投で今季初勝利を飾る。





*野口二郎は神田武夫との投げ合いを制して今季初勝利をあげる。















*野口明と野口二郎の兄弟バッテリーが名前を連ねる大洋打線。













*村上一治が4安打を記録した南海打線。















 

東日本の時代





 4911243県で北海道と東京が2校)代表が登場しました。顕著な傾向は東日本の強さです。日本列島を中部地方を境に真っ二つに折ってみると、西日本は24校中勝ち残ったのは8校、東日本は25校中15校が勝ち残っています。高校野球は西が強いと言われたのも今は昔ですね(笑)。

 1980年前後の高校野球全盛期、西が強かったのは明らかですが、これは箕島とPL学園のイメージが強烈であったことに起因します。次いで智弁と天理、四国四商にもまだ力がありました。あれから30年が経過して、近年頓に東日本の強さが目立ちます。

 2004年、5年の駒大苫小牧の二連覇当たりからこの傾向が目立ち始めました。駒苫の三連覇を阻止したのも早稲田実業です。光星学院(現・八戸学院光星高等学校)の三期連続準優勝もありますし。少し前だと智弁和歌山には敵いそうな気がしませんでしたが今ではそれほど脅威も感じなくなりました。

 今でも大阪の子の力を借りている傾向は見られますが地元重視が顕著に見られるようになってきたのも事実です。地元の少年野球からの地道な強化が着実に実ってきています。昨年のセンバツは浦和学院が埼玉県としては1968年の大宮工業以来となる優勝を果たしました。夏は前橋育英が優勝したのも記憶に新しいところです。今年のセンバツは平安が優勝したじゃないか~と突っ込みを入れられそうですがそれはさて置き、西は沖縄と大阪桐蔭以外振るわないのは事実です。

 

 

 下の表は21世紀に入ってからの関東・東京地区のセンバツ出場校数を表しています。

 
 

 

栃木

群馬

茨城

山梨

埼玉

千葉

神奈川

東京

2014

2

1

 

1

 

 

1

1

2013

1

 

1

 

2

 

 

2

2012

1

2

 

 

1

 

1

1

2011

 

1

1

 

1

 

2

1

小計

4

4

2

1

4

0

4

5

2010

 

1

 

 

1

1

1

2

2009

 

2

 

 

 

1

1

2

2008

 

 

1

 

1

1

2

1

2007

1

1


 


2

1

1

2006

 

1

 

 

 

1

2

2

2005

 

 

1

1

1

 

2

1

2004

1

1

1

1

 

1

 

1

2003

 

 

1

 

2

 

2

1

2002

1

1

1

 

1

 

 

2

2001

 

 

3

1

 

 

1

2

合計

7

11

10

4

10

7

16

20


 
 
 近年4年を見ると、代表校を出していない千葉の没落ぶりは顕著です。東京、神奈川、埼玉は安定しており、注目しなければならないのは群馬と栃木が急激に力を付けてきている点です。
 
 関東地方の県別人口比較を見てみましょう。東京は別格の1300万人、神奈川は900万人、埼玉は700万人、千葉は620万人。それに比べて茨城は290万人、栃木は200万人、群馬は200万人に過ぎません。
 
 この人口比較から見て、群馬と栃木の健闘ぶりは群を抜いています。群馬と栃木から東京に通う人も多少はいますが、地理的に地元密着型とならざるを得ない。筆者も以前在籍していた会社で前橋支店に勤務しており、営業で群馬から栃木の一部までを走り回っていましたので多少の土地勘はあります。この地元密着型が現在の高校野球事情にマッチしているというのが筆者の見立てです。
 
 
 景気に回復傾向が見られ、かと言ってかつてのバブル期のような馬鹿げた行動をとる人もいなくなりました。となれば、足元を見つめて、地元密着の度合いが深まっていくのは自然の摂理でしょう。この微妙な時代環境が群馬と栃木にマッチしているのです。
 
 ということで、今年の当ブログの本命は健大高崎ですのでよろしく(笑)。但しトトカルチョには絶対に利用しないでください。