2011年4月30日土曜日

13年秋 金鯱vs阪急 3回戦

10月9日 (日) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 金鯱    5勝18敗   0.217 常川助三郎
2 0 0 0 0 0 1 0 X 3 阪急 13勝5敗2分 0.722 石田光彦


勝利投手 石田光彦     4勝3敗
敗戦投手 常川助三郎 4勝4敗


二塁打 (金)五味


石田光彦、5安打完封


 阪急は初回、先頭の西村正夫が三塁内野安打で出塁、フランク山田伝中飛後、黒田健吾の二ゴロをセカンド五味芳夫が二塁ベースカバーのショート瀬井清に送球するが瀬井がこれを落球して一死一二塁、山下実四球で一死満塁、ジミー堀尾文人の左犠飛で1点を先制、上田藤夫の右前タイムリーで黒田が還って2-0とする。

 阪急は7回、一死後西村が三前にセーフティバントを決めると続く山田伝も三前に連続セーフティバントを決めて一死一二塁、黒田が右前にタイムリーを放って3-0とする。

 四番小林茂太を捻挫で欠く金鯱は四番に武笠茂男を据えるが阪急先発の石田光彦の十字架投法の前に得点を奪えずシャットアウト負けを喫する。

 石田光彦は5安打5四球3三振の完封で今季4勝目をあげる。常川助三郎は8回を8安打3四球無三振3失点、自責点1の好投を見せるが打線の援護が無く今季4敗目を喫する。


 阪急では久々に一番に起用された西村正夫が4打数3安打うち内野安打2つ、2得点1盗塁の活躍を見せる。西村正夫のセーフティバントはボールにバックスピンをかけて止めるというものですが昭和13年時点でこの妙技が完成していたかどうかは不明。但しスコアブックに残されている記録からも内野安打が異常に多いのが分かる。





*西村の1回の内野安打と7回のバントヒット。二重線は内野安打、四角で囲ってあるとバントヒットを表します。






*石田光彦の5安打完封を伝えるスコアブック

13年秋 阪急vsタイガース 3回戦

10月9日 (日) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
5 0 0 0 0 6 0 0 0 11 阪急         12勝5敗2分 0.706 宮武三郎
0 1 0 5 0 0 0 0 0  6 タイガース 11勝10敗     0.524 御園生崇男 西村幸生 若林忠志


勝利投手 宮武三郎     4勝0敗
敗戦投手 御園生崇男 5勝4敗


二塁打 (阪)堀尾 (タ)藤村
三塁打 (阪)大原


阪急打線、天敵御園生崇男を攻略


 阪急は初回、先頭の上田藤夫が右前打で出塁、フランク山田伝は中飛に倒れるが黒田健吾の左前打で一死一二塁、山下実の一塁内野安打でファースト松木謙治郎が一塁ベースカバーに入った御園生崇男に悪送球する間に上田に続いて黒田も還って2点を先制する。この手の連係プレーは現在では高校野球のトップクラスであれば滅多にエラーは見られないが当時は結構エラーが多い。なお一死二塁でジミー堀尾文人が左翼線に二塁打を放って3-0、山下好一の二ゴロで堀尾は三進、御園生のワイルドピッチで堀尾が還って4-0、宇野錦次四球、大原敏夫中前打の二死一二塁から宮武三郎が左前にタイムリーを放って5-0、トップに返り上田の左飛でようやく攻撃を終了、この回打者10人の猛攻で天敵御園生崇男から5点を先取する。

 タイガースは御園生崇男を1回で退け2回から西村幸生を注ぎこむ。西村は2回~5回を3安打3四球とランナーを出しながら何とか無失点で切り抜ける。

 タイガースは2回、この回先頭の伊賀上良平が中前打から二盗に成功、奈良友夫の右飛で伊賀上は三進、西村が右前にタイムリーを放って1-5とする。

 タイガースは4回、この回先頭の藤村富美男が右翼線に二塁打、景浦将死球で無死一二塁、伊賀上の送りバントは投飛となって一死一二塁、松木の一ゴロをファースト山下実がエラーして一死満塁、奈良は三振に倒れて二死満塁、西村が左前に二打席連続のタイムリーを放って二者を迎え入れて3-5、皆川定之の左前タイムリーで4-5としてなお二死一三塁、皆川が二盗を決めて二死二三塁、山口政信が中前に2点タイムリーを放って6-5と大逆転に成功する。

 阪急は6回、この回先頭の山田が中前打から二盗に成功、黒田四球、山下実の投前送りバントが西村の野選を誘い無死満塁、堀尾の左前打で二者還り7-6と逆転、5回からライトに入っている西村正夫の送りバントが内野安打となって再度無死満塁、宇野の遊ゴロで三走山下実は本封されて一死満塁、ここで大原が右翼線に三塁打を放って10-6、中継の乱れる間に大原も還って11-6として試合を決める。タイガースは若林忠志をリリーフに送って後続を断つ。

 宮武三郎は後半粘りの投球を見せて結局8安打2四球1死球2三振の完投で今季4勝目をあげる。


 タイガースは阪急キラー御園生崇男が1回でKO、西村幸生も打ち込まれた。6回途中からリリーフに出た若林忠志は和歌山で温泉治療を続けて約1年振りに復帰して本日が第2戦。7回~9回は阪急打線が気を抜いたこともあったかもしれないが一応パーフェクトに抑えた。若林の復活が無いとタイガースはますます苦しい。

13年秋 セネタースvsライオン 3回戦

10月9日 (日) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
1 3 0 0 0 0 0 0 0  0  4 セネタース 9勝12敗1分 0.429 伊藤次郎 金子裕
0 0 0 2 0 0 0 0 2 1X 5 ライオン     9勝11敗      0.450 大友一明 近藤久


勝利投手 近藤久 2勝3敗
敗戦投手 金子裕 4勝5敗


二塁打 (セ)今岡、横沢
三塁打 (ラ)鬼頭


近藤久好リリーフ、ライオン打っ棄る


 セネタースは初回、先頭の苅田久徳が中前打で出塁、森口次郎の三前送りバントで苅田は一気に三塁に走る。ファースト中村三郎はサードに送球するがこれが悪送球となる間に苅田はホームを陥れて1点を先制、正に苅田久徳の真骨頂というところ。

 セネタースは2回、この回先頭の今岡謙次郎が中越えに二塁打、伊藤次郎四球で無死一二塁、次のプレーはスコアブックの記載では「青木幸造が捕邪飛、二走今岡は三進、一走伊藤は『2-4-3』でアウト」となっている。これから類推すると、青木の送りバントは後方への小フライとなってキャッチャー室井豊がダイビングキャッチ。ランナーはハーフウェイから戻ってタッチアップから次の塁を狙い今岡は三塁に進んだが伊藤は一二塁間に挟まれて「2-4-3」のタッチアウトとなったということであろう。但し併殺は記録されていない。ということで二死三塁、横沢七郎が左翼線に二塁打を放って2-0、苅田、森口連続四球で二死満塁、尾茂田叶、遠藤忠二郎が連続押出し四球を選んで4-0、ライオン先発の大友一明は4連続四球で降板し、二番手に近藤久が登板して現在首位打者の佐藤武夫を二ゴロに打ち取る。

 近藤はセネタース打線を3回~6回までパーフェクトに抑えて試合を作る。

 ライオンは4回、中村、中谷順次、近藤が3連続四球を選んで無死満塁、酒沢政夫の遊ゴロをショート今岡がエラーする間に中村が還って1-4、山本尚敏は三飛に倒れて一死満塁、トップに返り坪内道則が左犠飛を打ち上げて2-4と追い上げる。

 近藤は7回、苅田に初ヒットとなる内野安打を許すが森口を遊ゴロ併殺に打ち取る。8回はショート酒沢のエラーと四球で一死一二塁のピンチを迎えるが後続を抑え、9回も一死後横沢に四球を与え苅田に中前打を許すが三塁に走った横沢をセンター坪内が刺してピンチの芽を摘み試合は9回裏へ。

 セネタース伊藤次郎に対して6回~8回を無安打に抑えられてきたライオンは9回裏、この回先頭の二番水谷則一が四球で出塁、鬼頭数雄が右中間に三塁打を放って3-4、四番室井がセンターに犠牲フライを打ち上げて4-4の同点に追い付き延長戦に突入。

 セネタースは10回表、一死後遠藤が左前打で出塁するが佐藤の遊直に飛び出してダブルプレー。セネタースは10回から伊藤次郎に代えて金子裕をマウンドに送る。

 ライオンは10回裏、近藤が金子の代わりばなを中前打、金子のボークで無死二塁、酒沢の三前送りバントが内野安打となって無死一三塁、ここで9回からセカンドに入ってこの日初打席となる中野隆雄が右犠飛を打ち上げてライオンが劇的なサヨナラ勝ちをおさめる。

 勝因は何といっても二番手近藤久の好投に尽きる。近藤は8回3分の1を投げて3安打2四球2三振無失点で今季2勝目をあげる。

 四割を狙う佐藤武夫は4打数無安打に終わり今季通算57打数22安打、打率3割8分6厘と四割を割り込んだが依然二位尾茂田叶に5分以上の差をつけて断トツ首位打者をキープしている。

13年秋 イーグルスvsジャイアンツ 3回戦

10月9日 (日) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 1 0 0 0 2 イーグルス   9勝7敗2分 0.563 亀田忠
0 0 0 3 0 0 0 0 X 3 ジャイアンツ 14勝3敗1分 0.824 水原茂


勝利投手 水原茂 4勝1敗
敗戦投手 亀田忠 3勝4敗


二塁打 (イ)ハリス (ジ)白石
本塁打 (イ)ハリス 2号


水原茂、投打に活躍


 イーグルスはジャイアンツ先発の水原茂に対して1回、2回は三者凡退、3回、山田潔が四球で出塁し、漆原進の三ゴロでランナーが入れ替わり漆原が二盗を試みるも吉原正喜の強肩の前にタッチアウト。4回、寺内一隆三振、中根之二ゴロの二死無走者でバッキー・ハリスが左翼観覧席に第2号ホームランを叩き込んで1点を先制する。

 ジャイアンツはイーグルス先発の亀田忠に対して1回、2回は三者凡退、3回、二死後平山菊二がツースリーから四球を選んで出塁し二盗を試みるもバッキー・ハリスの強肩の前にタッチアウト。4回、先頭の三原脩がストレートの四球、白石敏男右前打、千葉茂四球で無死満塁の大チャンスを迎える。中島治康は見逃し、ファウル、ファウル、ボールからの五球目を見逃し三振で一死満塁、川上哲治が右前にタイムリーを放って1-1の同点、伊藤健太郎はボール、見逃し、空振りから見逃し三振で二死満塁、水原が中前に2点タイムリーを放って3-1と逆転に成功する。

 イーグルスは6回、この回先頭の山田が中前打で出塁、一死後寺内四球、中根の二ゴロで寺内が二封されて二死一三塁、ハリスの三ゴロを水原登板の関係でサードに入っている千葉がはじく間に山田が還って2-3と追い上げる。
 イーグルスは7回、二死から野村
実が右前打を放ち山田四球で二死一二塁とするが、漆原は三振。8回、二死からハリスが左翼線に二塁打を放つが亀田は中飛に倒れる。9回も一死後太田健一が死球で出塁、野村が送って二死二塁、本日3打席1打数1安打2四球とボールがよく見えている山田の一打に賭けるが山田はボール、見逃し、ファウル、ボールから見逃し三振、ストラックアウトとなって試合終了を告げるサイレンが高々と鳴り響く。

 亀田忠は8回を5安打6四球6三振、124球の投球であった。

 水原茂は4安打3四球1死球5三振、117球の完投で今季4勝目をあげる。打っても4回に決勝の逆転タイムリーを放ち投打に大活躍となった。イーグルスは6回に1点差に追い付いた後も7~9回まで毎回スコアリングポジションにランナーを送ったが後1本が出ずホームが遠かった。水原はハリスに2本の長打を浴びたが続く亀田忠、中河美芳を共に4打数無安打に抑えた。

 翌日の読売新聞は「両軍の守備整然として美技を織り込み亀田、水原の好投と相伴って迫力ある熱戦を展開した。」と伝えている。




     *亀田忠、水原茂の投げ合いを伝えるスコアブック

2011年4月29日金曜日

13年秋 南海vs名古屋 3回戦

10月9日 (日) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 0 1 0 0 0 3 南海       6勝13敗2分 0.316 鈴木芳太郎
0 0 0 0 1 0 1 4 X 6 名古屋 10勝7敗2分   0.588 松尾幸造


勝利投手 松尾幸造     5勝4敗
敗戦投手 鈴木芳太郎 0勝4敗


二塁打 (南)中野、上田 (名)三浦2
三塁打 (名)大沢


松尾幸造、完投で5勝目


 南海は4回、この回先頭の中野正雄が左中間に二塁打、高野百介は一邪飛に倒れるが吉川義次が左前にタイムリーを放って1点を先制、上田良夫が右中間に二塁打を放って一死二三塁、海蔵寺弘司の遊ゴロの間に吉川が還って2-0とする。

 名古屋は5回、この回先頭の倉本信護の三ゴロをサード上田が一塁に悪送球、三浦敏一の左中間二塁打で倉本が還って1-2と追い上げる。

 南海は6回、この回先頭の高野の遊ゴロをショート村瀬一三がエラー、吉川が送って上田の二塁内野安打で一死一三塁、海蔵寺の二ゴロの間に高野が還って3-1と突き放す。

 名古屋は7回、この回先頭の大沢清が四球で出塁、倉本の三塁内野安打で無死一二塁、三浦の三ゴロをサード上田が二塁にこの日2個目の悪送球する間に大沢が三塁を蹴ってホームに還り2-3と追い上げる。

 名古屋は8回、この回先頭の桝嘉一が四球で出塁、白木一二は右飛に倒れるが大沢が右中間に三塁打を放って3-3の同点、倉本の左前タイムリーで4-3と逆転、三浦のこの日2本目の二塁打で一死二三塁、松尾幸造の二ゴロで三走倉本がホームを突くとセカンド戒能朶一のバックホームが悪送球となる間に倉本に続いて二走三浦も還って6-3とする。

 松尾幸造は7安打4四球5三振の完投で今季5勝目を飾りスタルヒンに次いで御園生崇男と共にハーラー二位タイに並ぶ。


 プロ入り初スタメンの上田良夫は阪急で活躍している上田藤夫の弟、プロ入り初ヒットが二塁打となり4打数2安打であったが2つの悪送球が共に失点に結び付いた。永田陽一氏著「ベースボールの社会史」によると1937年、マウイ代表としてフィリピン遠征した際に神戸に寄港し、阪急の兄・上田藤夫に「日本で腕試ししたい」と相談して南海入りしたとのこと。南海在籍は38年秋から40年まで、同著によると戦後朝鮮戦争に従軍したとのことなので、兄・藤夫と違ってアメリカ国籍のままにしてハワイに帰国したのかもしれない。

13年秋 ライオンvsタイガース 4回戦

10月8日 (土) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11  計
0 0 0 0 0 0 0 1 0  0   0   1 ライオン       8勝11敗 0.421 菊矢吉男
0 0 0 0 0 0 0 0 1  0  1X  2 タイガース 11勝9敗   0.550 西村幸生 景浦将


勝利投手 景浦将     2勝1敗
敗戦投手 菊矢吉男 4勝5敗


二塁打 (ラ)酒沢
三塁打 (ラ)菊谷


伊賀上良平、9回同点打、11回サヨナラ打


 ライオン先発菊矢吉男、タイガース先発西村幸生。7回まで両軍無得点。翌日の読売新聞は「0-0の均衡を保って稀に見る熱戦を展開した。」と伝えている。

 ライオンは2回、この回先頭の中村三郎が右前打で出塁、菊谷が送って中谷順次三振の二死二塁から酒沢政夫が中前打を放つがセンター山口政信からのバックホームに中村は本塁タッチアウト。

 ライオンは8回、この回先頭の鬼頭数雄が四球で出塁、四番室井豊が送って中村中飛の二死二塁から菊谷が左中間に三塁打を放って遂に均衡破れて1点を先制する。ここで西村がワイルドピッチを犯し三走菊谷がホームを突くがバックネットに跳ね返った白球がキャッチャーカイザー田中義雄の所に戻って菊谷はタッチアウト、当然西村には暴投は記録されない。

 ライオンは9回、一死後酒沢が右中間に二塁打、山本尚敏は三振に倒れるがトップに返り坪内道則が左前打、二走酒沢は三塁ベースを蹴ってホームに向かうがレフト景浦将の強肩に本塁タッチアウト。

 菊矢吉男は8回までタイガース打線を3安打5四球7三振、三塁を踏ませず9回へ。

 タイガースは9回、この回先頭の松木謙治郎が四球で出塁、田中の一ゴロをファースト中村が二塁に悪送球して無死一二塁、ライオンはサードを中谷から柳澤騰市に交代して菊谷に一息入れさせる。岡田の二ゴロで田中が二封されて一死一三塁、西村に代わる代打御園生崇男が四球を選んで一死満塁、トップに返り山口に代わる代打藤井勇は三振、しかし伊賀上良平が左前に起死回生の同点タイムリーを放って1-1、二走岡田の代走塚本博睦も三塁ベースを蹴ってホームを突くがレフト鬼頭のバックホームにタッチアウトとなって延長戦に突入する。

 タイガースは10回から景浦が登板して2イニングを無失点に抑える。


 タイガースは10回裏、藤村富美男、景浦が連続四球を選んで無死一二塁とするが後続無く無得点。
 タイガースは11回裏、一死後御園生崇男が右前打で出塁すると二盗に成功、皆川定之の中前打で一死一三塁、ここで9回に続いて伊賀上が殊勲のサヨナラタイムリーを左前に叩いてタイガースが2A対1でサヨナラ勝ちをおさめる。

 当然勝利投手は景浦将となるが西村幸生がようやく復調してきたのは不振を続けるタイガースにとっては明るい材料となった。11回のサヨナラに結び付けた御園生の盗塁を含めてタイガースは山口、伊賀上、松木、御園生が4盗塁を記録した。伊賀上良平は9回に同点タイムリー、11回にサヨナラタイムリー、本日は5打数3安打2打点であった。






     *伊賀上良平の同点打とサヨナラ打を伝えるスコアブック




13年秋 金鯱vs阪急 2回戦

10月8日 (土) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  計
1 0 0 0 0 0 1 0 0  0   2 金鯱    5勝17敗    0.227 古谷倉之助 中山正嘉
0 0 0 0 1 0 1 0 0 1X  3 阪急 11勝5敗2分 0.688 浅野勝三郎


勝利投手 浅野勝三郎 2勝0敗
敗戦投手 中山正嘉     1勝9敗


二塁打 (金)岡野
三塁打 (阪)大原


小林茂太、無念の捻挫


 金鯱lは初回、一死後岡野八郎が内野安打で出塁すると二盗に成功、瀬井清の遊ゴロで三進し、小林茂太の右前タイムリーで1点を先制、小林茂も二盗に成功するが古谷倉之助は遊ゴロに倒れる。九連敗後二連勝、昨日はタイガースを破って意気上がる金鯱の積極的な走塁が目立つ。

 阪急先発の浅野勝三郎は2回~6回を2安打無失点に抑えて味方の反撃を待つ。

 阪急は5回、一死後島本義文が三塁内野安打で出塁、浅野の一塁線バントも内野安打となって一死一二塁、トップに返り上田藤夫の右前打で一死満塁、フランク山田伝の遊ゴロで上田が二封される間に島本が還って1-1の同点として浅野の好投に報いる。

 金鯱は7回、二死後武笠茂男が四球で出塁、浅井太郎の三ゴロをファースト山下実が落球して二死一二塁、長島進の中前タイムリーで2-1とリードする。

 阪急は7回裏、この回先頭の浅野が中前打で出塁、上田が送って山田の左翼線ヒットで一死一三塁、黒田健吾が左前に同点タイムリーを放って2-2とする。山下実四球で一死満塁、ジミー堀尾文人の中飛に三走山田はタッチアップからホームを狙うがセンター佐々木常助からのダイレクト返球にタッチアウト。

 金鯱は8回一死から先発古谷倉之助に代わって中山正嘉が登板、浅野勝三郎は続投して8回、9回無得点のまま延長戦に突入する。

 金鯱は10回表、この回先頭のここまで4打数4安打の岡野が三振、瀬井も三振に倒れて二死無走者、ここで小林茂の遊ゴロをショート上田がエラーして二死一塁、しかし浅野からの牽制球に刺されてタッチアウト。この際小林茂太が足首を捻挫するがこの日の金鯱はレフトのスタメンに高久保豊三を使い、4回から高久保に代えて武笠茂男を使っていたため外野の交代要員がおらず小林茂太がそのままライトのポジションにつく。

 阪急は10回裏、全員がライトを狙い打ちこの回先頭の山下実は二ゴロ、堀尾が二塁への内野安打で出塁、大原敏夫の当りは狙い通り右前に飛び、ライト小林茂太が突っ込みきれず更にこの打球を大きくファウルグラウンドに弾いて一走堀尾が長駆本塁を駆け抜け、記録は大原のサヨナラ三塁打となってゲームセット。

 浅野勝三郎は10回を投げ抜き8安打3四球5三振の完投で今季2勝目をあげる。


 当時はまだテーピングの技術は確立していなかったのでしょうか。小林茂太の無念の捻挫により金鯱は三連勝を逃すこととなった。阪急の右狙いには賛否両論があるかもしれませんが当然の策でしょう。1984年ロサンゼルスオリンピック柔道無差別級決勝、右脚を引きずる山下泰裕と対戦したエジプトのモハメド・アリ・ラシュワンは山下の痛めた右脚を狙わずに敗れたことからユネスコの国際フェアプレー委員会から、フェアプレー賞を贈られました。但しラシュワンは右からフェイントを見せて左払い腰にいったところを山下がすかして寝技に持ち込んだようです。講道館で柔道を学ぶラシュワン(この時まだ初段だったそうです。現在は七段に昇進している模様)が右脚を狙い続けなかったフェアプレー精神の持ち主であったことは事実でしょうが、それなりの駆け引きがあったことも又事実でありスポーツの場では当然のことでしょう。

 私事で恐縮ではありますが、高校三年最後の夏の大会(神奈川軟式です、念のため)直前の練習中にグラウンドの穴ぼこに右脚をとられて捻挫しました。一応四番キャッチャーだった訳ですが、捻挫くらいであればテーピングで何とかなります。ベストのプレーはできませんでしたが何とかベスト四まで行きました。前年神奈川で優勝した時は五番を打っていましたがこの時は一年先輩にメンバーが揃っていたおかげ、レギュラーが七人抜けたところから始まった三年時のベスト四の方が価値は高かったと思っています。いずれにせよ、怪我が言い訳にならないのも当然のことです。

2011年4月27日水曜日

13年秋 名古屋vsジャイアンツ 2回戦

10月8日 (土) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 名古屋      9勝7敗2分 0.563 田中実 松尾幸造 伊藤国雄
1 1 0 4 0 0 1 2 X 9 ジャイアンツ 13勝3敗1分 0.813 スタルヒン


勝利投手 スタルヒン 8勝0敗
敗戦投手 田中実      0勝1敗


本塁打 (ジ)川上 2号、中島 2号


アベックホームラン


 ジャイアンツは初回、先頭の三原脩が四球で出塁するが水原茂の三ゴロで5-4-3のゲッツー。しかし千葉茂四球、中島治康の遊ゴロをショート村瀬一三が一塁に悪送球、伊藤健太郎が左前にタイムリーを放って1点を先制する。ジャイアンツは2回、この回先頭の川上哲治がライトスタンドに第2号ホームランを放って2-0とする。

 ジャイアンツは4回、一死後白石敏男の遊ゴロをショート村瀬がエラー、名古屋は先発の田中実から二番手松尾幸造にスイッチ。川上が中前打を放ち吉原正喜の一塁内野安打で二走白石が還って3-0、スタルヒンの遊ゴロを村瀬がこの日三つ目のエラー、一死満塁から三原が中前に2点タイムリーヒットを放って5-0、水原の投ゴロは1-4-3と転送されるがセカンド戒能朶一の一塁送球が悪送球となる間にスタルヒンが還って6-0とする。

 名古屋は5回から三番手として伊藤国雄が登板する。ジャイアンツは7回、一死後中島が右翼スタンドに第2号ホームランを放って7-0、8回も三原に代わってセカンドに入っている井上康弘の右前打から8球粘った伊藤の四球、白石の2点タイムリー内野安打で9-0とする。

 名古屋のヒットは鈴木秀雄、三浦敏一、石田政良のシングルヒット三本。桝嘉一、大沢清、倉本信護のクリーンナップトリオはノーヒット。好守の村瀬一三が3失策、チームも5失策と良いところが無かった。

 川上哲治と中島治康が初のアベックホームラン。この日七番に下げられた川上は5打数3安打2得点1打点、本塁打1本と意地を見せた。

 スタルヒンは3安打3四球10三振、ボークが一つあったが118球を投げて今季3度目の完封で8連勝を飾る。スタルヒンは9月23日の金鯱2回戦で5回二死から9回まで無失点。25日のイーグルス2回戦を完封、30日のライオン2回戦で前川八郎をリリーフして3回を無失点。10月2日の阪急2回戦と本日二試合連続完封。ここまで34回3分の1連続無失点を継続中である。

13年秋 南海vsイーグルス 3回戦

10月8日 (土) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 南海           6勝12敗2分 0.333 劉瀬章 鈴木芳太郎
0 0 1 2 1 0 0 0 X 4 イーグルス 9勝6敗2分   0.600 中河美芳


勝利投手 中河美芳 4勝1敗
敗戦投手 劉瀬章     0勝2敗


二塁打 (イ)ハリス、中根
三塁打 (イ)太田2、中根
本塁打 (南)鈴木 1号


南海球団史上初ホームラン


 ダブルヘッダーの第二試合。

 初回に二死一二塁のチャンスを逃したイーグルスは2回、この回先頭の太田健一がワンツーからの四球目を右中間に運ぶと二塁、三塁を蹴ってホームに向かうがライト納家米吉-セカンド西端利郎-キャッチャー吉川義次とリレーされてタッチアウト、記録は三塁打であるが一死無走者。二死後、山田潔中前打、漆原進左前打で一二塁とするがトップに返り寺内一隆は右飛に倒れて無得点。イーグルスとしては嫌なムードが漂う。

 しかしその嫌なムードを振り払ったのが中河美芳のピッチングであった。中河は6回まで味方の2エラーのみの無安打ピッチングを続けてそっぽを向きかけた勝利の女神を強引に引き戻した。

 イーグルスは3回、一死後中根之が右中間に三塁打、バッキー・ハリスが左中間に二塁打で続いて1点を先制する。続く4回、又も先頭の太田が右中間を抜いて今度は三塁打、一死後山田が四球から二盗を決めて二三塁、漆原の中犠飛で2-0、寺内が右前にタイムリーを放って3-0とする。更に5回、この回先頭の中根が右翼線に二塁打、一死後中河の右飛をライト納家が落球する間に中根が還って4-0とする。

 中河美芳は7回に中野正雄に右前に初ヒットを許し、8回にも吉川に中前打を打たれるが8回まで無失点。

 南海は9回、この回先頭の西端が右前打で出塁、一死後四番鈴木芳太郎が左翼スタンドにツーランホームラン。二死後代打栗生信夫、代打中田道信が連続ヒットを放ち吉川四球で二死満塁、代打平井猪三郎の当りはピッチャーを強襲するがバックアップしたショート山田潔が一塁に送球してアウトとなって試合終了を告げるサイレンが高々と鳴り響く。 

 中河美芳は6安打3四球9三振の完投で今季4勝目をあげる。太田健一が2回と4回に二打席連続三塁打、中根之の3回の三塁打と合わせて3イニング連続三塁打となった。


 鈴木芳太郎のホームランは記念すべき南海球団史上初本塁打となった。南海球団史上最多本塁打は当然野村となるが、全ては本日の鈴木芳太郎の一発から始まったのである。

2011年4月26日火曜日

木樽と成田

 通常訃報というのは朝刊で知るものですが昨晩はネットに流れていました。昨日付けブログでは「1970年のMVPが25勝の成田ではなく21勝の木樽だったことが不思議な気がした」と書きましたが、当時は本当に不思議な気がしたのですが今では大体の事情は察しています。1970年は黒い霧事件で西鉄の永易、益田、与田、池永が永久追放になった年で、成田氏も黒い交際が報じられたことがMVP投票に影響したのでしょう。今朝はどういう報道がされるのかが気になっていましたが、この件については私の知る限り(と言っても読んだのは日経とスポニチだけですが)触れられてはいないようです。と言うより日本経済新聞は社会面だけでスポーツ面では訃報を掲載しませんでした。


 一番知りたかった木樽正明氏(現在は巨人の編成部にいらっしゃるようです)のコメントがスポニチに掲載されています。スライダーを教えてもらい「僕の恩人」だそうです。1970年は木樽のシュート、成田のスライダー、小山のパームボールでパ・リーグを制したものです。成田に習ったスライダーで、よりシュートの威力が増したのでしょう。


 木樽と成田はどちらがエースだったのか。木樽は腰に持病を抱えており活躍期間は短く、通算175勝の成田に対して112勝で終わっています。優勝時の印象では木樽であったとも言えますが、結論としては日本野球史上有数の「Wエース」であったと思います。


 「Wエース」と言えば「小山・村山」、「村山・バッキー」、「江夏・上田」、「江川・西本」、「ウォーレン・スパーンとジョニー・セイン」、「サンディ・コーファックスとドン・ドライスデール」、「ランディ・ジョンソンとカート・シリング」、今なら「杉内・和田」など。隣県の高校から一年違いで入って長期にわたり「Wエース」を形成した事例は、日本野球史上有数どころか稀有のものであったと言えるでしょう。
 
 スポニチ掲載の有藤(成田と同年齢、有藤は高知高から近畿大学を経てロッテに入団)のコメント「右肘を痛めていた晩年、球団から二軍コーチを打診されても『もう少し現役を続けるよ』と言って日本ハムに移籍していった。」が、成田文男投手の人柄を表している。

13年秋 南海vsイーグルス 2回戦

10月8日 (土) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 南海           6勝11敗2分 0.353 宮口美吉
0 3 0 0 0 0 0 2 X 5 イーグルス 8勝6敗2分   0.571 亀田忠


勝利投手 亀田忠     3勝3敗
敗戦投手 宮口美吉 4勝4敗


二塁打 (イ)亀田


亀田忠、4安打完投


 ダブルヘッダーの第一試合。

 イーグルスは2回、この回先頭の四番ピッチャー亀田忠が初球を右前に叩いて出塁、続く中河がストレートの四球、杉田屋守の二ゴロをセカンド西端利郎が失して無死満塁、野村実の投ゴロで亀田は本封、山田潔の二ゴロを又も西端がエラーする間に中河が還って1点を先制する。山田には打点が記録されていますので正確には「山田の二ゴロで中河が生還して1点を先制、これをセカンド西端がこの回2個目のエラーして山田も一塁に生きる。」となります。更に漆原進がワンスリーから押出し四球を選んで2-0、トップに返り寺内一隆の遊ゴロ併殺崩れの間に野村が還って3-0とする。

 イーグルス先発の亀田忠は1回、2回と2個ずつ四球を与えるがここを無失点で切り抜けると調子に乗り7回まで1安打5四球6三振無失点、今年5度目の1安打ピッチングの可能性もでてきた。

 南海は8回、この回先頭の小林悟楼が左前打で出塁、亀田の1安打ピッチングはなくなる。西端の投ゴロでランナーが入れ替わり、打者鈴木芳太郎のカウントワンスリーのところで西端がディレードスチールを試みるが亀田が落ち着いて二塁に送球し1-4-3と渡ってタッチアウト。しかし鈴木が四球で出塁、ワイルドピッチで二進して中村金次の左翼線タイムリーで生還して1-3と追い上げる。

 イーグルスは8回裏、この回先頭のバッキー・ハリスが左翼線ヒットで出塁、亀田がこの日3安打目となる左前打、中河四球で無死満塁、杉田屋の投ゴロの間にハリスが還って4-1としてなお一死二三塁、野村が四球を選んで一死満塁、山田の二ゴロは4-6-3と渡るが一塁はセーフ、併殺崩れで亀田が生還して5-1、二走中河も三塁を蹴ってホームを狙うが三本間に挟まれて3-2-5-2と渡ってタッチアウト。

 イーグルスは5点をあげたがタイムリーヒットはゼロ。一つの押出し以外は全て内野ゴロの間に三塁ランナーがホームを突いたものであった。

 亀田忠は南海の最終回の攻撃を中田道信の左前打以外三振に打ち取ってゲームセット。亀田は「得意の」1安打ピッチングこそ逃したものの4安打6四球9三振、136球の完投で今季3勝目をあげる。

  MLBでは松坂が二試合連続1安打ピッチングを披露しました。当ブログで二軍で出直してこいと言った途端の快挙です。まさに脱帽ではありますが、通常1安打ピッチングというのは完投して初めて認定されます。昭和13年のここまでの亀田の四度の1安打ピッチングは当然全て完投しています。松坂は最初は7回、二度目は8回で降板していますが、ボストン・レッドソックスの首脳陣はスポニチを読んでいないのでしょうか。2011年4月19日付けスポーツニッポン第二面の鈴木啓示氏のコラム「もの申す」には「記憶に残る、鮮烈なワンシーンがある。・・松坂大輔が西武入団3年目の2001年、春野キャンプで投げ込みを敢行した。A組でピッチングを始めた彼はB組、C組、D組の投球練習が終わっても、ブルペンを離れなかった。『球数ですか?350~360球、・・・後半の方がいいボールがきていました』相手を務めた捕手の証言である。・・・私の目にも『・・・200球を超えてからいい球がいき始めた』と映った」として投げ込みと走り込みの重要性を説いています。松坂のピッチングの特徴が回を追うごとに凄みを増してくることは甲子園以来日本人であれば誰でも知っていることですがボストンの首脳陣には理解できていないようです。

 なお、最近の記事を長く引用させていただきました。問題があるようでしたら削除させていただきます。













2011年4月25日月曜日

成田文男

 成田文男氏の訃報が報じられております。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


 1970年の優勝時には25勝をあげてMVPの木樽の21勝を上回り最初の最多勝をとっています。私が木樽のファンであったことは既報のとおり(2011年1月31日付けブログ「木樽と言えば阿天坊」参照)ですが、21勝の木樽が25勝の成田を差し置いてMVPに選ばれたのには不思議な気がしていました。


 現役時代の投球は何度か見ていますが、いかにも成田の代名詞である「切れ味」を感じさせるピッチングでした。スライダーのキレではプロ野球史上伊藤智仁と双壁です。1968年、セントルイス・カージナルス時代に日米野球で来日したスティーブ・カールトンが成田のスライダーを見て開眼し、フィラデルフィア・フィリーズに移籍後サイ・ヤング賞を4回とったのは有名な話です。


 バッティングにも優れており、この点からは権藤博に似たタイプなのかもしれません。引退後は球界から離れていましたが、結構気楽な生活を満喫していたのではないでしょうか。



*成田は近年流行のサインビジネスには興味を示していませんでしたが、「ロッテ40周年」にだけはサインを提供しています。それだけ「ロッテ・オリオンズ」に対する思い入れが強かったのでしょうか。

2011年4月24日日曜日

13年秋 金鯱vsタイガース 4回戦

10月7日 (金) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 4 0 2 0 1 0 1 0 8 金鯱       5勝16敗 0.238 常川助三郎 古谷倉之助
0 2 0 0 1 0 1 0 0 4 タイガース 10勝9敗   0.526 木下勇 若林忠志


勝利投手 常川助三郎 4勝3敗
敗戦投手 若林忠志   0勝1敗
セーブ   古谷倉之助 2


二塁打 (金)五味、瀬井、岡野2 (タ)本堂、御園生、藤村


常川助三郎、二連勝


 前日10連敗を免れた金鯱は常川助三郎が連投で先発、前日久々に猛打爆発のタイガースはプロ入り初登板となる下手投の木下勇が先発。

 金鯱は初回、一死後岡野八郎が中前打で出塁、瀬井清の投ゴロをピッチャー木下は二塁に送るがこれをセカンド奈良友夫がエラー。しかし二走岡野が木下の牽制球に釣り出されてタッチアウト、小林茂太の右前打で二死一三塁、武笠茂男死球で二死満塁とするが長島進が遊ゴロに倒れて無得点。

 金鯱は2回、先頭の五味芳夫が左中間二塁打、浅井太郎中前打、常川助三郎四球で無死満塁とする。タイガースベンチはここで木下をあきらめて何と若林忠志を投入する。若林は肩の治療のため和歌山で温泉療法を続けていた。昭和13年春季リーグ戦は全休しており、昭和12年秋季リーグ戦11月17日(水) 後楽園球場で行われたタイガースvs名古屋6回戦で9勝目をあげて以来の登板となる。トップに返り佐々木常助の三ゴロをサード伊賀上良平がエラーして1点を先制、岡野の一ゴロはファースト本堂保次がバックホームして三走浅井が本封されて一死満塁、ここで瀬井が左中間に走者一掃ののタイムリー二塁打を放って4-0とする。

 タイガースは2回裏、カイザー田中義雄左前打、本堂中越え二塁打で無死二三塁、一死後若林の二ゴロの間に田中が還って1-4、トップに返り塚本博睦が左中間を抜いて2-4とする。

 金鯱は4回、岡野の二塁打と瀬井の四球で二死一二塁、岡野が三盗するとキャッチャー田中の悪送球で生還、小林茂の二ゴロをセカンド奈良がこの日二つ目のエラー、瀬井が還って6-2とする。タイガースは5回、2安打と3四球で1点、金鯱は6回、佐々木の盗塁と岡野の二塁打で1点、タイガースは7回、藤村富美男四球、景浦将左前打、奈良中前打で無死満塁、ここでリリーフに出た古谷倉之助から田中の遊ゴロ併殺の間に1点、金鯱は8回、小林茂太のタイムリーで1点を追加して金鯱が8対4でタイガースを降して二連勝。


 この試合の模様は当ブログの実況よりも翌日の読売新聞における三宅正夫記者による論評の方が当時の状況を的確に理解できると思いますので少し長いですが全文を掲載させていただきます。

 「まさか前日の一勝を以て能事足れりとした訳ではあるまいがとるべき手段を弄さず終始弛緩したプレーを繰返してダイヤモンドを金鯱の独走に委ねたタ軍の敗戦は余りにも醜態であった。タ軍ベンチが沈滞した気分の転換を計るため新人投手を抜擢したのは分かるが、それにしても入団早々で未知数の木下に大切な更生の門出を委ねたのは失敗であり、その球速には稍見るべきものがあったが全然投手としてのフォームに入っておらず、2回2安打、1四球で早くも無死満塁の危機を残して退場した。しかもリリーフにプレートから遠ざかること久しく恢復の程度さえ判然せぬ若林を用いたのは失敗の上塗りというべく、昔日の老巧味を失った若林は瀬井に許した二塁打が因をなして一挙4点の致命傷を受けた。出鼻をくじかれたタ軍はその裏直に2点を返しながらも全軍闘志を喪失して反発の気勢揚らず、常川の飄々として捉えどころなき軟投に制せられて7回無死満塁の逆転機も古谷の救援にかわされたうえ、4、6、8回は或は連失、或は連安打にずるずると献点して脆くも金鯱の膝下にひれ伏した。まさしく当初実力の出し惜しみが無残な最期を招いたのである。」

36打数17安打

 西武ライオンズ・浅村栄斗選手が開幕から10試合連続ヒットを続けて4月23日現在、36打数17安打、打率4割7分2厘と好スタートを切っています。当ブログが最も注目する若手選手であることは既報のとおり(2010年4月30日付けブログ「12年春 イーグルスvs大東京2回戦」参照)です。昨年55打席で終わらせたのは、西武球団としても今年の新人王資格を残しておこうという配慮からでしょう。


 大阪桐蔭高校では日ハムの中田翔の一年後輩、2008年ドラフト三位指名、2009年入団。中田との違いは内角球の捌き方にあります。中田のドアースウィングでは内角球は打てません。高校時代は圧倒的パワーでこなしてきましたが、レベルが上がるにつれてどこかで限界が来ます。年々矯正されてきているのは適切な指導と何より本人の努力の賜物でしょうが、まだ練習では出来ても肝腎なところでは不安が残ります。この点、浅村の特徴は高校時代から内角球の捌きに秀でていることにあり、パワーでは中田に到底及ばないものの安定味では数段上になります。


 イチローがブレイクしたのも入団三年目のことですが、現在の首位打者を春の椿事と笑っていると手痛い目にあうと思います。私の期待するところは次回のWBCでは三番浅村栄斗、七番中田翔で三連覇というところです。

2011年4月23日土曜日

13年秋 セネタースvs阪急 3回戦

10月7日 (金) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 3 0 0 0 0 3 セネタース 9勝11敗1分 0.450 伊藤次郎 金子裕
4 0 1 0 1 2 0 1 X 9 阪急     10勝5敗2分   0.667 重松通雄 宮武三郎


勝利投手 重松通雄 2勝0敗
敗戦投手 伊藤次郎 3勝3敗
セーブ    宮武三郎 1


二塁打 (セ)遠藤、佐藤、磯野 (阪)山下実、宇野、上田
本塁打 (阪)山下実 2号


山下実、貫録の第2号


 阪急は初回、好調伊藤次郎を攻めて先頭の上田藤夫が中前打で出塁、フランク山田伝の一塁線送りバントはファースト遠藤忠二郎から二塁ベースカバーのショート今岡謙次郎に送られてフォースアウト、しかし快足山田が二盗を決めてキャッチャー佐藤武夫の悪送球を誘い山田は三塁に進む。黒田健吾雌雄で一死一三塁、ここで四番山下実監督が右中間を破り二者を迎え入れて2点を先制、ジミー堀尾文人は投飛に倒れるが山下好一の右前打で二死一三塁、宇野錦次が左中間を抜いて二者還り阪急は2本の二塁打で4-0とする。

 阪急は3回、この回先頭の黒田が一塁内野安打で出塁、山下実四球、堀尾左前打の無死満塁から山下好一の左犠飛で5-0とリードを広げる。

 4回まで阪急先発の重松通雄に遠藤の二塁打1本に抑えられていたセネタースは5回、この回先頭の佐藤武夫が「得意の」二塁打を左翼線に放って今岡が右前打で続き無死一三塁、伊藤次郎が四球を選んで無死満塁と反撃のチャンス到来。青木幸造は二飛に倒れるが九番磯野政次が右翼線に二塁打を放って2-5、トップに返り苅田が四球を選んで一死満塁、森口次郎の右飛で三走伊藤がタッチアップからホームに向かいホームイン、この時一走苅田もタッチアップから二塁に向かうがライト山田伝から二塁ベースカバーに入ったショート上田に送られて苅田はタッチアウト。苅田は前日の初回にも一塁ランナーに出てレフトフライで二塁を陥れているのでこういう走塁をやっていたようであるが、ここは打球の深さと山田の肩と伊藤の足からホームは危ないと読んで囮になった可能性もある。苅田のアウトより早く伊藤がホームインしており3-5とする。

 阪急は5回裏、4回から登板した金子裕から山下実がライトスタンドに第2号ホームランを叩き込んで6-3、翌日の読売新聞には「山下実の本塁打で1点」としか書かれていませんが山下のことですから当然オーバーフェンスでしょう。

 阪急は6回、一死後5回から二番手投手として登場している宮武三郎がキャッチャー佐藤武夫の打撃妨害で出塁、トップに返り上田が左前打、山田の送りバントが野選を誘い一死満塁、ここでピッチャー金子が三塁に牽制悪送球して宮武に続いて上田も還って8-3とする。更に8回、上田の左中間二塁打と堀尾のタイムリー内野安打で1点を加えて9-3とし、リリーフ宮武が4回を1安打2四球2三振無失点に抑えて阪急が9A対3で快勝する。

 好調を続けてきたセネタースであるがここにきて4連敗となり借金が2となった。連戦が続くからであろうが昨日は四番ファーストに定着していた遠藤忠二郎を先発ピッチャーに使って失敗、本日は二試合連続自責点ゼロだった伊藤次郎が3回しか持たずに降板と流れが悪くなってきた。

 一方、阪急は一番上田藤夫が5打数3安打2得点、四番山下実が5打席3打数2安打2得点3打点2四球、二塁打1本、本塁打1本と貫録を見せた。

13年秋 セネタースvsタイガース 3回戦

10月6日 (木) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
1 0 0 0 0 1 0 5 0   7 セネタース   9勝10敗1分 0.474 遠藤忠二郎 金子裕 村澤秀雄 塩田猪年男
0 0 1 2 8 1 2 1 X 15 タイガース 10勝8敗         0.556 御園生崇男 青木正一 西村幸生


勝利投手 御園生崇男 5勝3敗
敗戦投手 遠藤忠二郎 0勝1敗


二塁打 (セ)尾茂田、村沢 (タ)本堂、藤村、景浦
三塁打 (セ)磯野 (タ)田中
本塁打 (タ)藤村 1号


タイガース、久々に猛打爆発


 セネタースは初回、先頭の苅田久徳が左前打で出塁、今岡謙次郎の左飛に苅田はタッチアップからスタートを切り二塁を陥れるという苅田らしい走塁を見せる。尾茂田叶の三塁内野安打で一死一三塁、四番ファーストに起用された現在首位打者の佐藤武夫が左犠飛を打ち上げて1点を先制する。

 タイガースは3回、この回先頭の皆川定之が四球で出塁、本堂保次が捕前に送りバントを決めてトップに返り塚本博睦は右飛に倒れるが二番ピッチャー御園生崇男の一塁内野安打で二死一三塁、藤村富美男が右前にタイムリーを放って1-1とする。更に4回、一死後奈良友夫が左前打で出塁、二死後皆川が四球を選び九番本堂が右中間にタイムリー二塁打を放って二者を迎え入れて3-1とリードする。
 タイガースは5回、この回先頭の藤村の遊ゴロをショート今岡が一塁に悪送球する間に藤村は二塁へ、景浦将の三塁内野安打で無死一二塁、伊賀上良平の一塁線送りバントが犠打エラーとなって無死満塁、奈良の中前タイムリーで4-1、カイザー田中義雄の三ゴロをサード磯野政次が失して5-1、皆川の三打席連続四球は押出しとなって6-1、セネタースは先発ピッチャー遠藤忠次郎をファーストに回して佐藤をキャッチャーに、キャッチャー北浦三男に代わり二番手に金子裕をマウンドに送る。本堂の遊飛に三走奈良がタッチアップからホームインして7-1、本堂に打点が記録されており遊犠飛と認定できる(この場合、ショートの今岡がぼーっとしている隙を突いて奈良がホームインしたのであれば本堂に打点は記録されず、犠牲フライにもならない。)。塚本は左飛に倒れるが御園生が左前にタイムリーを放ってレフト青木幸造がエラーする間に一走皆川も還って9-1とする。更に御園生を二塁に置いて藤村がレフトスタンドに止めのツーランホームランを叩き込んで11-1とする。翌日の読売新聞の記述が「藤村の大本塁打」となっていますのでオーバーフェンスでしょう。

 タイガースは6回から御園生崇男をセンターに回して二番手に青木正一が登板する。セネタースは6回、尾茂田の左中間二塁打と佐藤の左前タイムリーで1点、8回には又も尾茂田、佐藤の連打から村澤秀雄の2点タイムリー二塁打、青木のタイムリー内野安打、磯野のタイムリー三塁打で5点を返すがタイガースは6回、奈良の中前打と田中の三塁打で1点、7回には御園生の四球から藤村、景浦の連続二塁打で2点、8回は二死から本堂四球、山口政信ショート内野安打、御園生中前タイムリーで1点を追加、タイガースが久々に波状攻撃を見せて15A対7で大勝する。

 タイガース16安打、セネタース12安打の試合を翌日の読売新聞は「・・・打撃戦の華々しさを嘆賞すべきか、はた両軍七投手の防御力低下を嘆くべきか評する言葉に苦しむ大乱撃戦で・・・」と伝えている。尤もタイガースの三投手で打たれたのは青木正一だけであり、御園生崇男は5回を3安打2四球1死球無三振で1失点、最終回リリーフに出た西村幸生は2安打されながら無失点で切り抜けていることを付言しておく。

 タイガースでは奈良友夫が5打数4安打3得点1打点、御園生崇男が5打数3安打2得点2打点、藤村富美男が6打数3安打3得点4打点の活躍を見せた。

 一方、セネタースでは尾茂田叶が4打数3安打2得点、佐藤武夫が5打数3安打1得点2打点であった。尾茂田叶は今季通算79打数29安打、3割6分7厘でベストテンの第二位、佐藤武夫は49打数21安打、打率4割2分9厘で堂々の首位打者である。テッド・ウィリアムスが最後の4割打者となる3年前に、佐藤武夫が4割に挑戦していた事実を知る者は少ない(と言うよりほとんど皆無。)。

13年秋 金鯱vs南海 3回戦

10月6日 (木) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 4 1 0 0 0 0 7 金鯱 4勝16敗    0.200 常川助三郎
0 0 0 2 1 0 0 0 0 3 南海 6勝10敗2分 0.375 政野岩夫 劉瀬章


勝利投手 常川助三郎 3勝3敗
敗戦投手 政野岩夫     2勝3敗


二塁打 (金)五味 (南)中村


佐々木常助の本盗で連敗ストップ


 金鯱は初回、先頭の佐々木常助が四球で出塁、岡野八郎が投前に送りバントを決めると瀬井清の中前打で一死一三塁と先制のチャンス、しかし小林茂太は投ゴロ、瀬井は二進して二死二三塁とする。ここでダブルスチールを敢行、これが見事に決まって1点を先制する。明大監督時代、奇策で早慶を悩ませた岡田源三郎監督らしい奇襲戦法。佐々木に本盗が記録されると共に瀬井にも三盗が記録されているので佐々木が隙を突いて本盗を狙ったのではなくサインであろう。更に武笠茂男が中前にタイムリーで続いて2-0、名誉の応召となった松元三彦に代わって六番キャッチャーに起用された長島進の右飛をライト山尾年加寿がエラーして二死一三塁、五味芳夫は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 金鯱先発の常川助三郎は初回、先頭の小林悟楼に右前打を許し西端利郎の二ゴロでランナーが入れ替わり、西端に二盗を許すが鈴木芳太郎の右飛に西端が飛び出しライト小林茂太からの送球で西端は戻れずダブルプレー。2回も先頭の中村金次に中前打、一死後中野正雄に左前打を許すが山尾を投ゴロ、中田道信を遊ゴロに打ち取る。3回も二死後西端に四球を与えると西端が二盗、三盗を決めて二死三塁のピンチを迎えるが鈴木を右飛に打ち取る。 

 金鯱は4回、一死後五味が右中間に二塁打、二死後常川が左前打を放って二死一三塁、佐々木が四球を選んで二死満塁、岡野が左前にタイムリーを放って二者還って4-0、レフト高野百介がもたつく間に佐々木は三塁に、岡野は二塁に進む。南海はここで先発の政野岩夫を下げて劉瀬章をリリーフに送る。瀬井の三ゴロをサード鈴木芳太郎が一塁に悪送球する間に佐々木が還って5-0としてなお一死一三塁、ここで瀬井がディレードスチールを試み二三塁間に挟まれて2-6-3-4と渡るランダンプレーの隙を突いて三走岡野がホームに還り6-0とする。岡野には本盗は記録されていない。

 南海は4回裏、この回先頭の中村が中前打で出塁、高野の投ゴロで中村は二進、中野が左前打から二盗を決めて一死二三塁、山尾に代わる代打海蔵寺弘司の三ゴロで三走中村がホームに走りサード岡野のバックホームが悪送球となって1-6、海蔵寺には打点が記録されてなお一死一三塁、海蔵寺が二盗を決めて一死二三塁、吉川義次の遊ゴロの間に中野が還って2-6、しかし三塁に走った海蔵寺は二三塁間に挟まれてタッチアウト、打者走者の吉川も挟殺プレーーでタッチアウトとなりダブルプレーが記録される。

 金鯱は5回、この回先頭の小林茂の投ゴロをピッチャー劉が一塁に悪送球する間に小林茂は一気に三塁に進む。武笠四球で無死一三塁、続く長島の当りは一塁ファウルグランドへの飛球、セカンドの西端が後ろ向きで捕球すると三走小林茂はタッチアップからホームを突いてホームイン、7-2とする。長島には打点が記録されて二邪犠飛となる(この頃は公式記録では犠牲フライは記録されておりませんので犠飛の認定は当ブログ独自の判断です。2010年3月14日(水)付けブログ「解読」参照。)。

 南海は5回裏、一死後小林悟楼が四球で出塁、西端左前打、鈴木の三打席連続右飛で小林は三進して二死一三塁、ここで西端がディレードスチールを試み2-6-3-4と渡る間に小林がホームを突いてホームイン。金鯱が4回に見せたプレーを南海もやって3-7とする。

 6回以降、金鯱は劉瀬章から追加得点を奪えず、常川助三郎も南海打線を中村金次の二塁打1本に抑えてこのまま逃げ切る。常川は7安打5四球無三振の完投でチームの連敗を9でストップさせて今季3勝目、チームjの勝星の75%を一人で稼ぐ救世主となっている。


 本日の殊勲甲は初回にホームスチールを決めてチームを勢いづかせた佐々木常助の走塁であった。佐々木の本盗は当ブログの推測では岡田源三郎監督のサインではないかと思われるが、もちろん佐々木の判断の可能性もある。両チーム合計8盗塁を記録したこの試合は脚で掻き回す両チームの特徴がよく見られた試合であったが、西端利郎の3盗塁など南海の5盗塁は軍務に就いた松元三彦の代役長島進の弱肩を突いたものであり、長島の肩は金鯱に残された課題ともなった。






*金鯱の初回二死二三塁から佐々木常助本盗、瀬井清三盗のダブルスチールを決める。「O」が盗塁を表し「’」はどの場面で行われたかを表します。
 4回は二死一三塁で一走瀬井清がスタートを切り「2-6-3-4」の挟殺プレーの間に三走岡野八郎が生還しました。岡野の生還は「(C)」となっていますので瀬井清のプレーの間に進塁したことを表し、本盗は記録されていません。なお、佐々木の生還「C’」は瀬井清の三ゴロエラーによる生還を表しています。







*走りまくる西端利郎。初回に二盗、3回には二盗、三盗を決めています。

13年秋 金鯱vsライオン 2回戦 

10月5日 (水) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 0 1 0 0 2 金鯱    3勝16敗 0.158 中山正嘉 古谷倉之助
0 2 0 0 6 0 0 1 X 9 ライオン 8勝10敗 0.444 菊矢吉男


勝利投手 菊矢吉男 4勝4敗
敗戦投手 中山正嘉 1勝8敗


三塁打 (ラ)菊谷
本塁打 (ラ)山本 1号




金鯱九連敗


 ライオンは2回、この回先頭の菊矢吉男が右中間に三塁打、酒沢政夫が右犠飛を打ち上げて1点を先制する。続く柳澤騰市が四球で歩くが二盗に失敗、しかし山本尚敏が左翼観覧席にホームランを叩き込んで2-0とする。

 金鯱は3回、先頭の佐々木常助が左前打で出塁、五味芳夫の遊ゴロをショート山本がエラー、しかし五味はキャッチャー室井豊の牽制に刺されて一死二塁、瀬井清は三振に倒れるが小林茂太が右前にタイムリーを放って1-2とする。

 ライオンは5回、二番水谷則一が四球で出塁、鬼頭数雄左前打、四番に定着してきた室井が中前タイムリーを放ち3-1として無死一三塁、中谷順次に代わる代打中村三郎が中前にタイムリーを放ち4-1としてなお無死一三塁と理想的攻撃を見せる。金鯱は先発の中山正嘉から古谷倉之助にスイッチ。中村がパスボールで二塁に進み菊矢四球で無死満塁、酒沢政夫の投ゴロを古谷が本塁に悪送球する間に室井が還って5-1、柳澤騰市の遊ゴロで酒沢が二封される間に中村が還って6-1として一死一三塁、ここでダブルスチールを決めて菊谷に本盗が記録されて7-1、山本三振後、トップに返り坪内道則が中前タイムリーを放って8-1、坪内は盗塁失敗でスリーアウトとなり残塁はゼロ、打者九人で6点をあげる。

 金鯱は7回、4つの四球で1点を返すがライオンも8回、押出し四球で1点追加して9対2でライオンが快勝する。

 菊矢吉男は5安打7四球6三振の完投で今季4勝目をあげる。 九番山本尚敏が甲子園でオーバーフェンス弾を放った。翌日の読売新聞は「山本の左翼観覧席に叩き込む本塁打」と伝えている。しかしその後は2三振。大振りは程々にしましょう。


 昭和13年10月6日付け読売新聞は「金鯱 松元捕手応召」を伝えている。一時は四番に定着したこともある松元三彦が名誉の応召、これで九連敗となった金鯱は泥沼にはまってきた。1896年3月生まれの岡田源三郎監督はこの時42歳、厄年である。

2011年4月21日木曜日

13年秋 セネタースvs南海 2回戦

10月5日 (水) 甲子園


1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 0 0 0 0 0 0 1  1  2 セネタース 9勝9敗1分 0.500 浅岡三郎 金子裕
0 0 0 1 0 0 0 0 2X 3 南海          6勝9敗2分 0.400 宮口美吉


勝利投手 宮口美吉 4勝3敗
敗戦投手 浅岡三郎 2勝2敗


二塁打 (セ)青木 (南)宮口


鈴木芳太郎、逆転サヨナラタイムリー


 セネタースは初回、苅田久徳、今岡謙次郎が連続四球、一死後遠藤忠二郎四球で満塁、しかし北浦三男は二飛、家村相太郎は遊飛と連続内野フライに倒れて無得点。南海は1回裏、二死後鈴木芳太郎、中村金次が連続四球、高野百介の左前打で二死満塁、しかし中野正雄が三ゴロに倒れて無得点、両チーム同じような展開で0-0。

 セネタースは2回、3回と三者凡退。南海は2回、二死から宮口美吉が二失に生きるが小林悟楼が遊ゴロに倒れる。南海は3回、この回先頭の西端利郎が左前打で出塁、鈴木が送って中村の中前打で一死一三塁、しかし高野、中野が連続三ゴロに倒れて無得点。

 南海は4回、この回先頭の山尾年加寿が中前打で出塁、中田道信が送って宮口が右翼線に先制二塁打を放って1-0とする。

 宮口は投げてもセネタース打線を5回まで家村の中前打1本に抑える好投を見せる。セネタースは三巡目に入った6回、今岡、尾茂田叶が連続左前打、遠藤が送って一死二三塁、しかし北浦、家村が連続二ゴロに倒れる。7回も二死後磯野政次が左前打から二盗を決めるが苅田は二ゴロに倒れる。

 セネタースは8回、一死後尾茂田の左飛をレフト高野がエラーする間に尾茂田叶打は二塁に進み、二死後北浦に代わる現在首位打者の佐藤武夫が左前にタイムリーを放って1-1の同点に追い付く。その裏南海は高野捕邪飛、中野捕邪飛、山尾右飛と浅岡三郎の気魄のピッチングが続く。

 セネタースは9回、この回先頭の家村が右前打で出塁、浅岡が送って一死二塁、青木幸造がタイムリー二塁打を放って2-1と勝ち越す。

 南海は9回裏、この回先頭の中田に代わる代打栗生信夫が四球で出塁、宮口がこの日3本目のヒットを右前に放ち無死一二塁、トップに返り小林の投ゴロで栗生の代走海蔵寺弘司は三封、西端が右前打を放って一死満塁、ここで三番鈴木芳太郎が左前に2点タイムリーを放って南海が逆転サヨナラ勝ち。

 宮口美吉は8安打3四球2三振の完投で今季4勝目をあげる。宮口は打っても4打数3安打1打点と投打に大活躍、本来であればワンマンショーであったが一番美味しいところを鈴木芳太郎に持って行かれた。


 先制のホームを踏んだ山尾年加寿は日新商業(現・東大阪市立日新高等学校)の出身。当時は大阪では甲子園の常連でタイガースの山口政信、本堂保次、名古屋の田中実など当ブログでお馴染みの選手の後輩となる。その後も何名かのプロ野球選手を輩出しており、有名選手としては南海の後輩となる堀井数男がいる。堀井の息子・堀井和人も南海で活躍し、プロ野球初の「親子共に日本シリーズに出場」を達成することとなる。

2011年4月20日水曜日

13年秋 第5節 週間MVP

 今節はジャイアンツが3勝0敗、セネタースが3勝1敗、名古屋が2勝1敗、イーグルスが2勝1敗、南海が1勝1敗、阪急が1勝1敗、ライオンが1勝2敗、タイガースが0勝2敗、金鯱が0勝4敗であった。



週間MVP

投手部門

 ジャイアンツ スタルヒン 2

 今節1勝1セーブ1完封で文句なしの二週連続受賞。

 セネタース

 伊藤次郎 1

 今節17回を投げて防御率0.00。1勝1敗1完封、イーグルス戦の敗戦も中河美芳との歴史的投げ合いで自責点はゼロであった。


打撃部門

 ジャイアンツ

 川上哲治 1

 今節10打数4安打2得点5打点4四球、三塁打1本、本塁打1本。ジャイアンツの三連勝に貢献度No1。




殊勲賞

 セネタース 森口次郎 1

 今節13打数5安打3得点2打点。

 イーグルス 中根之 1

 セネタースとの歴史的好試合で決勝タイムリー。



敢闘賞

 南海 宮口美吉 1

 タイガース戦で粘りのピッチングを見せて味方の逆転サヨナラに結びつける。

 名古屋 桝嘉一 2

 今節10打数5安打3四球。好調名古屋を引っ張る。




技能賞

 イーグルス 山田潔 1

 今節7打数2安打2四球2犠打。八番ながら4得点を記録する貴重なつなぎ役。

 ジャイアンツ 水原茂 2

 南海戦に3安打完投。スタルヒンを助ける巧投を見せる。

13年秋 ジャイアンツvs阪急 3回戦

10月2日 (日) 西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 ジャイアンツ 12勝3敗1分 0.800 スタルヒン
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急               9勝5敗2分 0.643 石田光彦


勝利投手 スタルヒン 7勝0敗
敗戦投手 石田光彦  3勝3敗


二塁打 (ジ)千葉、中島 (阪)堀尾
三塁打 (ジ)三原


スタルヒン、今季二度目の完封


 前半はジャイアンツ・スタルヒン、阪急・石田光彦の投げ合いが続く。石田は初回、千葉茂に右翼線二塁打を許してからは5回まで川上哲治に与えた2四球だけの無安打ピッチング。一方スタルヒンも2回にジミー堀尾文人に右翼線二塁打、4回に黒田健吾に中前打を許しただけで5回まで0-0。

 ジャイアンツは6回、この回先頭の三原脩が左中間に三塁打、水原茂は右飛、千葉は三振に倒れるが中島治康が左中間に二塁打を放ち1点を先制、川上が左前タイムリーで続いて2-0とする。

 今のスタルヒンは先取点をもらえば負ける気がしない。6回、二死からフランク山田伝にピッチャー強襲ヒットを許すが続く黒田を遊ゴロに抑える。7回、8回は三者凡退。9回、一死後山田に四球、黒田が左前打で続いて一死一二塁、藤本定義監督はここでセンターを千葉から平山菊二に代えて一息入れるともう立ち直り、山下実は二飛、堀尾も捕邪飛に打ち取り今季二度目の完封勝利。

 スタルヒンは4安打2四球4三振の完封で無傷の7連勝。石田光彦も9回を5安打5四球3三振に抑えるが相手が悪かった。

 翌日の読売新聞は中島治康の先制打の場面を「比較的ムラの多い中島と一気に雌雄を決せんとした心情も汲めるが・・・」と伝えている。今春首位打者を取っており、今季三冠王となる中島治康であるが、まだこの時点では「ムラの多い打者」という評価であったようで興味深い。

 川上哲治は4打席1打数1安打1打点3四球、こちらは中島と違ってボールをじっくりと見ている。


 この試合で第5節を終了。首位打者はセネタースの佐藤武夫で43打数17安打で3割9分5厘。二位はセネタースの尾茂田叶で71打数25安打、3割5分2厘。三位は名古屋の白木一二で64打数16安打、3割2分8厘。中島治康は69打数23安打、3割1分9厘で第五位。川上哲治はベストテンにも入っていない。





          *スタルヒン、今季二度目の完封勝利

2011年4月19日火曜日

13年秋 タイガースvsライオン 3回戦

10月2日 (日) 西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 タイガース 9勝8敗   0.529 西村幸生
0 3 0 0 0 0 0 0 X 3 ライオン    7勝10敗 0.412 大友一明


勝利投手 大友一明 3勝3敗
敗戦投手 西村幸生 3勝2敗


二塁打 (ラ)中村


大友一明、5安打完投勝利


 タイガース・西村幸生、ライオン・大友一明の対決。1年前であれば試合をやる前から西村が勝つことは分かっていたが、調子の上がらない今季の西村と好調大友では結果はやってみないと分からない。ライオンは坪内道則、水谷則一、鬼頭数雄の外野三銃士を一番~三番に起用する新打線。

 ライオンは2回、この回先頭の四番キャッチャー室井豊が四球で出塁、五番サードではプロ入り初スタメンとなる中谷順次が左前打を放ち無死一二塁、中村三郎が左翼線に二塁打を放って1点を先制、山本尚敏三振後、酒沢政夫の遊ゴロをショート岡田宗芳がエラーする間に三走中谷が還って2-0、大友一明の中前タイムリーで3-0とする。

 タイガースは4回、この回先頭の景浦将の遊ゴロをショート山本尚敏が一塁に悪送球、カイザー田中義雄の二ゴロでランナーが入れ替わり、本堂保次の左前打で一死一二塁、奈良友夫の左翼線ヒットで田中が還って1-3とする。

 西村幸生は3回以降ライオン打線を1安打に抑える好投を見せる。一方、大友一明も5回以降タイガース打線を2安打に抑え、結局5安打4四球5三振の完投で今季3勝目をあげる。西村も8回を4安打2四球3三振と寧ろ大友を上回るピッチングを見せて復調をアピールする。

 翌日の読売新聞は大友のピッチングについて「ラ軍大友が打者の膝元に沈める直曲球を操ってタ軍打者を散々悩ませつつ、内外野の重なる凡失にも気を落とさず最後まで悪びれぬ投球を続けた意気は賞されるべきである。」と伝えている。

 タイガース打線が放った5安打は六番本堂保次が2本、七番奈良友夫が2本、八番西村幸生が1安打で、一番~五番の上位打線は無安打であった。ライオンは当ブログの勧告を受け入れたかショート中野隆雄を下げて山本尚敏をショートに回してセカンドには酒沢政夫を起用する。しかしその山本が2失策、鬼頭数雄が2失策、中村三郎が1失策であったが大友がよく粘った。

 タイガースはセネタースと並んで同率五位となり、Bクラスに転落した。読売新聞は「凋落の秋を思はしむること切である。」と伝えている。

2011年4月18日月曜日

13年秋 セネタースvsイーグルス 3回戦

10月2日 (日) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 セネタース  9勝8敗1分 0.529 伊藤次郎
0 0 1 0 0 0 0 1 X 2 イーグルス 7勝6敗2分 0.538 中河美芳


勝利投手 中河美芳 3勝1敗
敗戦投手 伊藤次郎 3勝2敗


稀にみる力の入った試合


 イーグルス・中河美芳、セネタース・伊藤次郎、左右の技巧派による対決。但し伊藤次郎は甲子園での実績を見ると10年前はかなりの速球派であったことがうかがえる。

 セネタースは初回、先頭の苅田久徳は遊ゴロに倒れるが森口次郎が右前打で出塁、三番尾茂田叶は初球から4球連続ファウル、5球目がボールとなってカウントはワンスリー、ここで中河の牽制に一走森口はタッチアウト、尾茂田は更に2球ファウルで粘るが最後は見逃し三振。2回、先頭の遠藤忠二郎が三塁に内野安打、北浦三男が送って一死二塁とするが今岡謙次郎は左飛、伊藤次郎は捕邪飛に終わる。3回、二死後苅田が三塁への内野安打で出塁し二盗を試みるがハリスの強肩の前に敢え無くタッチアウト。苅田が「俺はハリスからもよく盗塁したもんだ」というようなことを言っているのをどこかで読んだ覚えがありますがここは盗塁失敗。まあ苅田は「澤村もカモにしていた」と言っていますので話半分に聞いておいた方が無難ですが。

 イーグルスは初回、寺内一隆が3球目を右飛、中根之が初球を左飛、バッキー・ハリスは空振りから3球ファウルを続けて遊ゴロに終わる。カウントが記録されるようになってから分かったことであるが、ハリスは初球からどんどん振ってくる。2回、四番サード亀田忠が初球を左飛、中河美芳三振、大貫賢が右前打で出塁するが杉田屋守は初球を投ゴロでチェンジ。

 イーグルスは3回、この回先頭の山田潔が捕前にセーフティバントを決めキャッチャー北浦の一塁悪送球が重なり山田は二塁に進む。野村実が投前に送りバントを決めて一死三塁、トップに返り寺内一隆が左前にタイムリーを放って1点を先制する。

 セネタースは4回、森口三球三振、尾茂田が三塁内野安打で出塁するが遠藤の三ゴロは5-4-3のゲッツー。5回、北浦の遊ゴロをショート山田がエラー、今岡の送りバントをセカンド野村がエラーして無死一二塁。今岡のセカンド前プッシュバントの可能性もあるが、何度か指摘しているようにセカンド野村が前進するバントシフトだった可能性もある。このチャンスに伊藤が三塁線を破って北浦が還り1-1の同点とする。なおも無死一二塁のチャンスが続くが青木幸造の遊ゴロは6-4-3と2イニング連続のダブルプレー、磯野政次も遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 イーグルスは4回、5回と三者凡退。セネタースは6回、二死後尾茂田がこの日2本目の三塁内野安打で出塁するが遠藤は三振。イーグルスは6回、先頭の寺内が左前打で出塁すると二盗を試みるが北浦の送球にタッチアウト。中根、ハリスも倒れて無得点。セネタースは7回、北浦三振後、今岡が二失に生きるが伊藤の捕ゴロはハリス、野村、大貫と転送されて2-4-3のダブルプレー。又してもハリスの強肩にしてやられる。イーグルスは7回、この回先頭の亀田が三塁内野安打、代走に松本操を起用、中河が一塁線にドラッグバントを決めて無死一二塁しかし大貫の送りバントは捕邪飛となって失敗、杉田屋に代わる代打太田健一は右飛、山田は投ゴロに倒れる。

 セネタースは8回、青木中飛後、磯野の遊ゴロをショート山田がエラー、苅田は中飛に倒れるが森口はセーフティバントを決め、尾茂田が8球粘って四球を選んで二死満塁、しかし四番遠藤は三ゴロに倒れて無得点。

 イーグルスは8回裏、この回先頭の野村の三ゴロをサード磯野がエラー、寺内の投ゴロは1-6-3と渡るがセカンドセーフで一塁はアウト、恐らくエンドランが掛かっていたのであろう。この一死二塁のチャンスに中根が中前にタイムリーを放ち土壇場で2-1と勝越しに成功する。 

 セネタースは最終回、北浦、今岡が連続三ゴロに倒れるが伊藤がストレートの四球を選んで二死一塁、ここで青木に代えて代打浅岡三郎を送るがツーワンからの4球目はファーストライナーとなり大貫ががっちりとつかんで試合終了を告げるサイレンが高々と鳴り響く。

 中河美芳は7安打2四球4三振の完投で今季3勝目、143球の熱投であった。伊藤次郎は8回を7安打無四球1三振、僅か78球の投球であった。両投手共に自責点はゼロ、両チームの7安打は全てシングルヒットであった。


 イーグルスの二遊間セカンド野村実とショート山田潔が共に2失策を記録したが随所に好プレーを見せた。セネタースは1失策であったが磯野の一つのエラーが高価なものとなってしまった。実況していても疲れる好ゲーム、ということで全イニングバージョンでお届け致しました。翌日の読売新聞は「稀にみる力の入った試合であった」と伝えている。





*中河美芳、伊藤次郎による投げ合いを伝えるスコアブック

13年秋 名古屋vs金鯱 3回戦

10月2日 (日) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
4 0 2 0 0 1 0 0 0 7 名古屋 9勝6敗2分 0.600 松尾幸造 田中実
0 1 0 0 0 3 0 0 0 4 金鯱     3勝15敗    0.167 中山正嘉 常川助三郎


勝利投手 松尾幸造 4勝4敗
敗戦投手 中山正嘉 1勝7敗
セーブ   田中実 2


二塁打 (名)倉本、戒能 (金)松元、小林茂


金鯱に明日はあるか


 後楽園で行われる名古屋ダービー第三戦、と言いたいところであるが好調名古屋と絶不調金鯱の争いとあれば金鯱に勝ち目は無いか。当ブログの指摘が効いたのか、金鯱は佐々木常助をセンターに戻して先日入団したばかりの永井正尚を九番セカンドに起用。

 名古屋は初回、先頭の戒能朶一の三ゴロをサード岡野八郎がいきなりエラー、鈴木秀雄がファウル二球で粘って四球を選び、桝嘉一はストレートの四球で無死満塁、四番白木一二が空振り、空振り、ファウル、ボール、ファウルからの六球目を中前に弾き返して二者還り一走桝も三塁に走り、センター佐々木常助からのバックホームをキャチャー松元三彦が後逸する間に桝も還って結果的に満塁走者一掃となり3点を先制して白木も二塁に進む。白木の積極的なバッティングが効を奏す。続く大沢清の二ゴロで白木が三進して一死三塁。ここで金鯱ベンチに動きがあった。サード岡野に代わって五味芳夫が登場する。果たして怪我が癒えたのかは分からない。チームの惨状にいてもたってもいられないという気持ちだったのであろう。怪我が癒えているのであれば先発出場していたはずである。恐らくベンチで岡田源三郎監督と眼が合ってゴーサインが出たのではないか。倉本信護の遊ゴロの間に三走白木が還って4-0、三浦敏一は投飛に倒れてようやく初回の攻撃が終了する。

 金鯱は2回、この回先頭の中山正嘉が死球で出塁、初回のエラーを挽回すべく松元が左翼線に二塁打を放って無死二三塁、八番レフト高久保豊三の二ゴロの間に中山が還って1-4とする。

 名古屋は3回、この回先頭の鈴木が二塁に内野安打、桝が送って白木の遊ゴロの間に鈴木は三進、大沢四球で一死一三塁、ここでダブルスチールを決めて5-1、積極的な走塁が最近の好調名古屋の特徴である。更に倉本が右中間に二塁打を放って6-1とリードを広げる。金鯱は4回から先発中山を下げて常川助三郎を投入する。

 名古屋は6回、この回先頭の三浦が四球で出塁、松尾が送って村瀬一三の遊ゴロの間に三浦は三進、トップに返り戒能が右中間にタイムリー二塁打を放って7-1とする。

 金鯱は6回裏、この回先頭の五味芳夫がツースリーから四球を選んで出塁、瀬井清の遊ゴロをショート村瀬が二塁に悪送球して無死一三塁、ここで四番小林茂太が左翼線に二塁打を放ち二者が還って3-7とする。小林茂太のクラッチヒッターぶりは当ブログが平成の世に甦らせたと言っても過言ではないが、それにしてもよく打つ。名古屋は先発松尾から田中実にスイッチ、古谷倉之助は中飛に倒れるが常川、松元連続四球で一死満塁、高久保が右犠飛を打ち上げて4-7とする。8回、9回と田中実が抑えて名古屋が順当に勝利をおさめる。


 五味芳夫の強行出場によって金鯱は動きが変わった。2回の中山は普通であれば避けるであろうが松尾の剛球にぶつかっていった。当たってでも出てやるというのは口で言うのは簡単であるが実際はなかなかできるものでは無い。筆者の七年間の経験では、避けきれずに当ったことはありますが自ら当たりにいく勇気はありませんでした。中山が自ら当たりにいったかどうかはスコアブックの記載だけでは分かりませんが、五味の強行出場が何かを変えた可能性は否定できないと思います。エラー直後の松元三彦の二塁打が得点に結び付き、新入団の高久保豊三が4打数無安打ながら2打点(6回の犠飛は当時の公式記録では凡打となります)、普段は三振をとることがない常川助三郎が6イニングで4奪三振というのも明らかにいつもと違います。本日で八連敗となった金鯱に夜明けの兆しが見えてきたと言えるでしょう。

2011年4月17日日曜日

13年秋 ジャイアンツvs南海 3回戦

10月1日 (土) 西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 2 0 3 0 0 1 0 7 ジャイアンツ 11勝3敗1分 0.786 水原茂
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 南海               5勝9敗2分 0.357 政野岩夫 劉瀬章


勝利投手 水原茂     3勝1敗
敗戦投手 政野岩夫 2勝3敗


二塁打 (ジ)中島
三塁打 (ジ)三原
本塁打 (ジ)川上 1号


川上哲治、プロ入り初ホームラン


 ジャイアンツは明日の阪急戦にスタルヒンを温存し、水原茂が先発。南海は政野岩夫で応戦。

 ジャイアンツは初回、一死後三原脩が左中間に三塁打、千葉茂が四球から盗塁、中島治康の左犠飛で1点を先制する。

 南海は2回、一死後高野百介が二塁に内野安打、セカンド三原の一塁悪送球が加わり高野は二塁に進む。中野正雄の遊ゴロの間に高野は三進、吉川義次が左前にタイムリーを放って1-1の同点に追い付く。

 ジャイアンツは3回、二死から千葉が右前打で出塁、中島が右翼線に二塁打で続き二死二三塁、川上哲治の一二塁間への内野安打で千葉に続き中島も生還、クリーンナップ三連打で3-1とリードする。

 ジャイアンツは5回、この回先頭の白石敏男の遊ゴロをショート小林悟楼がエラー、三原の二ゴロでランナーが入れ替わり三原はすかさず盗塁に成功、千葉は中飛に倒れて二死二塁、中島が右前にタイムリーを放って4-1、ここで川上が右翼スタンドにプロ入り初ホームランを放ち6-1とする。翌日の読売新聞には「大本塁打」と表現されている。8回にも水原、平山菊二の連打と吉原正喜の四球で満塁から白石の内野ゴロで1点を追加して8-1とする。

 水原茂は3回~7回までパーフェクトピッチング、この間5三振を奪う力投。結局3安打2四球7三振1失点、自責点ゼロの完投で今季3勝目をあげる。

 本日の「大本塁打」が川上哲治の通算181本塁打の第1号となった。まだ「弾丸ライナー」とは呼ばれていない。

 スタルヒンが本格化した上に水原茂が安定したピッチングを見せており、クリーンナップトリオの強打、上位下位ムラなく打てる打線に好守の内野陣と、呉波を怪我で欠いていることだけがネガティブ材料のジャイアンツの強さには隙が見られない。



*川上哲治の第三打席、プロ入り初ホームランを伝えるスコアブック

13年秋 ライオンvs阪急 3回戦

10月1日 (土) 西宮


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ライオン 6勝10敗   0.375 近藤久
1 0 1 0 0 1 0 0 X 3 阪急      9勝4敗2分 0.692 浅野勝三郎


勝利投手 浅野勝三郎 1勝0敗
敗戦投手 近藤久        1勝3敗


浅野勝三郎、今季初登板初完封


 ライオン・近藤久、阪急は今季初登板となる浅野勝三郎両左腕投手による対決。

 阪急は初回、上田藤夫、フランク山田伝が連続四球で出塁して無死一二塁、ここでキャッチャー室井豊が二塁に牽制悪送球して無死二三塁、黒田健吾の遊ゴロに二走山田が飛び出し6-4と渡ってタッチアウトとなり一死一三塁、黒田の二盗に再度室井が二塁悪に送球を犯して上田が還って1点を先制する。

 阪急は3回、山田の遊ゴロをファースト中村三郎がエラー、山田二盗、黒田四球、山下実中前打で一死満塁、ジミー堀尾文人が左犠飛を打ち上げて2-0とする。山下実のヒットはスコアブックにはライナーによる中前打と記録されているが翌日の読売新聞には「中堅坪内の不用意な動作」によるものと書かれており、名手坪内が目測を誤ったのかもしれない。シングルヒットで止まっているので突っ込んでいれば捕れたと記者席から見えたのかもしれない。

 阪急は6回、この回先頭の山下実が中前打で出塁、堀尾の右前打で無死一三塁、山下好一の三ゴロで一死二三塁、宇野錦次の二ゴロで山下実がホームに走りセカンド酒沢政夫がバックホームするもセーフ、野選となって3-0とする。

 今季初登板の浅野勝三郎に対してライオン打線は初回のダブルエラーに奮起した室井の2安打と最終回の代打大友一明、坪内の連続ヒットの4安打のみ。浅野は4安打3四球2三振の完封で今季1勝目を飾る。近藤久も3安打5四球1三振の好投を見せたがバックの援護が無く今季3敗目を喫す。

13年秋 名古屋vsイーグルス 3回戦

10月1日 (土) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 0 0 0 0 1 0 0 1 4 名古屋    8勝6敗2分 0.571 松尾幸造
0 0 0 0 0 0 0 3 0 3 イーグルス 6勝6敗2分 0.500 亀田忠


勝利投手 松尾幸造 3勝4敗
敗戦投手 亀田忠     2勝3敗


二塁打 (名)松尾、桝、大沢
本塁打 (名)鈴木 2号


名古屋、ハリスから4盗塁


 名古屋・松尾幸造、イーグルス・亀田忠の両剛腕エース対決。

 名古屋は初回、先頭の戒能朶一がストレートの四球、二番鈴木秀雄がワンワンからの三球目をレフトスタンドに叩き込んで2点を先制する。更に桝嘉一がストレートの四球、白木一二の二ゴロでランナーが入れ替わり、大沢清の三塁内野安打で一死一二塁、倉本信護がストレートの四球を選んで一死満塁、続く三浦敏一のカウントもノースリーとなって亀田忠は絶対絶命の大ピンチ。ところがここからストライクが三つ続いて見逃し三振、更のバッキー・ハリスが一塁に牽制球を投げて一走がタッチアウトとなってダブルプレー。ところがスコアブックに残された記録は何故か三塁ランナー白木に「2-3」(キャッチャーハリスからファースト中河に送球)でスリーアウト目が記録されている。「併殺数」の欄には「ハリス、中河」と記録されているので本来であれば一塁ランナーの倉本にスリーアウト目が記録されるはずでこれは誤記載であろう。

 名古屋は6回、この回先頭の大沢が珍しく引っ張って左中間に二塁打、倉本の右飛で大沢が三進、三浦四球で一死一三塁、続く松尾のカウントワンワンからの三球目にダブルスチールを敢行、白球はハリスからショート山田潔、山田からハリスに2-6-2と転送されて大沢はタッチアウト。大沢には盗塁失敗が記録され、二塁に進んだ三浦は重盗失敗の片割れで盗塁は記録されない。更にカウントツースリーからの六球目に三浦が三塁にスチール、虚を突かれたハリスの送球が悪送球となって三浦が生還して3-0とする。二死二塁のカウントツースリーなのでもしかしたら三浦が塁が詰まっていると勘違いしてスタートを切ったとも考えられなくはないが、これがサインであれば根本行都監督のファインプレー、三浦の判断であれば大ファインプレーである。

 松尾幸造は3回まで1安打1四球。4回、5回は三者凡退、ここまで2三振と打たせて取るピッチングが板に付いてきた。6回に先頭の山田に右前打を許し漆原進四球で無死一二塁のピンチを迎えるが寺内一隆を三ゴロに打ち取り5C-3のダブルプレーに仕留める。7回も亀田に中前打を打たれるが後続を抑えてここまで3安打2四球2三振無失点。

 イーグルスは8回、杉田屋守遊飛後、山田が四球を選んで出塁、漆原は右飛に倒れて二死一塁、トップに返り寺内四球で二死一二塁、ここで中根之が中前にタイムリーを放って1-3、センターからの返球をキャッチャー三浦が後逸する間にランナーそれぞれ進塁して二死二三塁、続くハリスの遊ゴロをショート村瀬一三がトンネルして二者還って3-3の同点に追い付く。ここまで打たせて取ってきた松尾もさすがに力が入ったか続く四番亀田は三振に打ち取る。

 名古屋は9回、手痛いエラーを犯した村瀬が粘って四球で出塁、戒能の投ゴロでランナーが入れ替わり、鈴木の一塁内野安打で一死一二塁、ここで桝嘉一がワンワンからの三球目をセンター前に弾き返して戒能を迎え入れて4-3とする。

 松尾幸造は最終回のイーグルスの攻撃も落ち着いたピッチングで中河を遊ゴロ、野村実を三ゴロ、杉田屋を三ゴロに抑えて完投勝利。4安打4四球3三振3失点、自責点1の見事なピッチングであった。

 亀田忠は7安打10四球10三振4失点、自責点3と相変わらずの「三振か四球」。打たせて取るピッチングに改造中の松尾と共に両エースが持ち味を発揮した好ゲームであった。

 名古屋の勝因はバッキー・ハリス何するものぞの積極的な走塁にあった。本盗失敗の大沢清も8回四球で出ると二盗に成功、5回には鈴木秀雄が二盗、9回には桝嘉一が三盗を決めており、6回の三浦の三盗と合わせて4盗塁を記録、失敗は大沢の本盗失敗だけであった。



*ここまではっきりした誤記載は珍しい。下の写真のとおりこの日のイーグルスの併殺は「ハリス、中河」による一度だけ、中河はもちろんファーストを守っている。
 1回、三浦の打席で三振ゲッツー。ハリスの送球は一塁ランナー倉本に対するもであったが、白木にアウトが記録されている。公式記録への影響は白木の残塁数が1増えて倉本の残塁数が1減じられるだけなのでほとんど影響は無い。









*松尾幸造と亀田忠の投げ合いを伝えるスコアブック

2011年4月15日金曜日

13年秋 金鯱vsセネタース 4回戦

10月1日 (土) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
2 1 0 0 0 0 0 0 0 3 金鯱      3勝14敗    0.176 古谷倉之助 中山正嘉
2 0 0 0 2 0 0 1 X 5 セネタース 9勝7敗1分 0.563 金子裕


勝利投手 金子裕        4勝4敗
敗戦投手 古谷倉之助 0勝5敗


二塁打 (セ)苅田、尾茂田、遠藤
三塁打 (セ)青木


金鯱七連敗


 ダブルヘッダーの第二試合。

 金鯱は初回、先頭の佐々木常助が四球で出塁、岡野八郎の左前打で無死一二塁、瀬井清の右飛で二者進塁して一死二三塁、小林茂太の遊ゴロをショート今岡謙次郎が失する間に佐々木が還って1点を先制してなお一三塁、古谷倉之助は浅い右飛に倒れて二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて岡野が還り2-0とする。しかし金子裕の二塁牽制に小林茂が釣り出されて1-5-4と渡りスリーアウトチェンジ。

 セネタースはその裏、先頭の苅田久徳が左翼線に二塁打、森口次郎の三前送りバントが内野安打となって無死一三塁、尾茂田叶の左中間二塁打で苅田が還って1-2、遠藤忠二郎は三ゴロに倒れるが佐藤武夫の中犠飛で2-2の同点とする。この頃は公式記録では犠牲フライは記録されておらず凡打として記録されており、現在首位打者の佐藤としては痛いところ。

 金鯱は3回、松元三彦が右前打で出塁、高久保豊三が右前にヒットを放ちこれをライト森口がエラーする間に松元が一挙ホームに還り3-2とする。

 セネタースは5回、一死後金子裕の二ゴロをセカンド佐々木がエラー、青木幸造が右中間に三塁打を放って3-3の同点、磯野政次四球で一死一三塁、苅田の二ゴロが併殺崩れとなる間に青木が還って4-3と玉点に成功。更に8回、苅田四球、森口送りバント、尾茂田四球、ダブルスチール、遠藤右犠飛とノーヒットで1点を追加して5-3、金子がそのまま逃げ切りセネタースがダブルヘッダーに連勝する。

 金子裕は7安打5四球2死球5三振の完投で今季4勝目。

 これで7連敗の金鯱としては勝つとしたら今日しかなかった。古谷倉之助、中山正嘉を注ぎ込み序盤戦は押し気味に進めながら逆転負け。今の金鯱は昭和12年春季リーグ戦のイーグルスよりも弱い。あの頃のイーグルスは確かに負け続けてはいたが終盤に粘りを見せるなど、明日につながる試合をしており12年秋の三位躍進に結び付けた訳であるが、今の金鯱には明日への展望が見いだせない。佐々木常助をセカンドに起用するのは致し方ない面もあるが、二試合ほどは何とかこなしていたが本日は手痛いエラーがきっかけとなって逆転された。手薄な内野陣を強化しなければ明日は来ない。

2011年4月14日木曜日

13年秋 金鯱vsセネタース 3回戦

10月1日 (土) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 金鯱      3勝13敗     0.188 常川助三郎
1 0 2 0 0 1 0 4 X 8 セネタース 8勝7敗1分 0.533 浅岡三郎


勝利投手 浅岡三郎     2勝1敗
敗戦投手 常川助三郎 2勝3敗


二塁打 (セ)青木
三塁打 (セ)苅田
本塁打 (セ)今岡 2号


浅岡三郎、3安打完投


 金鯱vsセネタースのダブルヘッダー第一試合。

 セネタースは初回、先頭の苅田が初球を二塁に内野安打、森口の投ゴロで苅田は二封、森口が二盗を決めて尾茂田叶三ゴロで二死二塁、遠藤忠次郎、北浦三男が連続ストレートの四球で二死満塁、今岡は2球ファウルの後4球連続ボールとなり押出し四球、1点を先制する。

 セネタースは3回、二死から北浦が二打席連続四球、今岡が左翼スタンドにツーランホームランを叩き込んで3-1とする。

 金鯱は一番セカンドに佐々木常助を入れて八番センターに高久保豊三を起用する。金鯱は5回、一死後武笠茂男が四球で出塁、二死後高久保の右前打で武笠は三塁へ、ライト森口の返球が高く逸れる間に武笠還って1-3とする。

 セネタースは6回、一死後今岡が左翼線にヒット、今岡が二盗に成功すると浅岡が左翼線にタイムリーを4-1とする。更に8回、二死から浅岡四球、青木幸造が左中間を破り5-1、磯野政次四球、苅田四球で二死満塁、森口の2点タイムリーで7-1としてなお二三塁、キャッチャー松元三彦の二塁牽制が悪送球となる間に苅田が還って8-1とする。

 浅岡三郎は元気の無い金鯱打線を3安打に抑え2四球4三振失点1、自責点ゼロで完投勝利をおさめる。常川助三郎も完投するが7安打11四球1三振。浅岡の106球に対して常川は151球であった。