2017年2月26日日曜日

18年 西鉄vs阪神 8回戦


7月27日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 0 0 0 0 0 0 2 西鉄 15勝28敗4分 0.349 重松通雄 近藤貞雄
0 0 0 0 0 3 0 0 X 3 阪神 24勝19敗4分 0.558 若林忠志


勝利投手 若林忠志 15勝6敗
敗戦投手 重松通雄   6勝14敗

二塁打 (西)中村 (神)玉置、若林
三塁打 (西)野口明

勝利打点 若林忠志 3

猛打賞 (西)北浦三男 1


若林忠志監督、決勝の逆転タイムリー

 西鉄は3回、一死後中村信一が右中間に二塁打、北浦三男の左前打で一死一三塁、黒沢俊夫の当りはライトに抜け三走中村が生還して1点を先制、しかしライト景浦将が二塁に送球して一走北浦は二封、黒沢の記録はライトゴロとなった。二死一塁から、野口明が右越えに三塁打を放って黒沢が還りこの回2点を先制する。

 西鉄の先発重松通雄の下手投げに5回まで無安打に抑えられてきた阪神は6回、一死後玉置玉一が左中間に二塁打を放って反撃開始、景浦が左前打を放って一死一三塁、門前真佐人の左前タイムリーで1-2、二塁に進んだ景浦に代走金田正泰が起用される。田中義雄の三ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、ここで若林忠志が左前に逆転の2点タイムリーを放って3-2と試合をひっくり返す。


 逆転打を放った阪神先発の若林は、7回以降西鉄の反撃を1安打に抑え、7安打2四球3三振で完投、15勝目をあげる。


 西鉄は二番キャッチャーでスタメン出場した北浦三男が5打数3安打で猛打賞を獲得した。


 北浦三男は昭和11年にセネタースに入団し、昭和11年4月29日に行われたセネタースの公式戦初試合に二番キャッチャーでスタメン出場している。昭和14年を最後に戦場に赴き、帰還して今季西鉄に復帰してきた。この間にセネタースのチーム名は翼、金鯱と合併して大洋、更に西鉄と変遷している。昭和18年の西鉄には正捕手の中村民雄と控え捕手として佐藤武夫がいるので北浦の出番は少ないが、7月6日、9日とこの日の7月27日、更に8月3日に二番キャッチャーとしてスタメンマスクを被っている。この日の3安打を含めて、スタメンマスクを被った試合で5安打を記録した。北浦の昭和18年の安打数はこの5本だけで、この年でプロ野球を去ることとなる。



*猛打賞を記録した北浦三男。




2017年2月25日土曜日

ストレート


 本日の「球辞苑」のテーマは「ストレート」。

 未だにストレートの比率が最も高い投手は藤川だそうです。


 その藤川も、ゲストの今中も、スピードガンの数字は関係ないと言っています。


 藤川によると最も球が伸びるのは144キロ~148キロとのことで、敢えてスピードを抑えているとのことです。


 今中も、「いい球が行った」と思ってスピードガンの表示を振り向くと、「142キロ」くらいで「あれっ?」と思ったそうです。納得のいかないボールの方がスピードガンの表示では数字が大きかったとのことです。


 2013年6月28日に豊田さんが日経の「チェンジアップ」というコラムで次のように述べています。「大谷翔平は・・・160キロといっても、体感速度はおそらく140キロ台後半くらいというのは困りもので・・・世の中にはいかにも客観的、科学的でもっともらしいスピードガン的数値があふれている。それにだまされないためには自分の感覚を磨き、信じることだ。」


 本日の「球辞苑」に登場した日本野球史上「最速」と言われる山口高志の現役時代にはスピードガンはありませんでした。山口のフォームは軸足に全体重を乗せ、踏み出す足を突っ張り梃子の原理で快速球を投げるというピッチャーフォーム。「野手投げ」とは対照的な非常に無理のある投げ方で、山口の投手人生は短かったのですが、ご本人が「太く短く」いくと決めていたとのことです。


 ゲストのAKI猪瀬氏も、メジャーの打者によるとチャップマンの165キロや170キロは「速くない」と言われていると述べていますね。


 スピードガンの数字には、騙されないように気を付けないと、大谷の「野手投げ」を見抜くことはできません。


 本日の「球辞苑」でも大谷の160キロ台が何故あんなによく打たれるのかがテーマになっています。ゲストの教授も、「大谷のスリークウォーターは球速は出るが球の出所が見易いので打者に対応されてしまう」と科学的分析を述べています。大谷のストレートは球軸が傾いているのでバッターがホップすると感じないとのことです。教授も、大谷はもっとオーバースローにフォームを改善するべきであると述べていますね。


 大谷の「野手投げ」には、まだまだ改善の余地があるようです。みんな期待していますよ。


 本日の「球辞苑」は、なかなか深い。

18年 名古屋vs阪急 7回戦


7月27日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 1 0 3 2 0 7 名軍 28勝16敗4分 0.636 森井茂 石丸進一 西沢道夫
2 0 0 0 0 0 1 0 0 3 阪急 18勝29敗1分 0.383 中田武夫 高橋敏 笠松実

勝利投手 石丸進一 11勝4敗
敗戦投手 高橋敏      0勝1敗

二塁打 (名)古川、芳賀、金山 (急)下社
本塁打 (名)小鶴 2号 (急)下社 1号

勝利打点 古川清蔵 3

猛打賞 (名)石丸藤吉(4安打) 3、小鶴誠 1 (急)下社邦男 1


名古屋、14安打で首位を死守

 名古屋は初回、二死後小鶴誠がレフトスタンドに先制ホームランを叩き込んで1点を先取する。
 阪急は1回裏、二死後山田伝が一塁線にバントヒット、山田が二盗を決めて二死二塁、下社邦男がライトスタンドに逆転ツーランホームランを叩き込んで2-1とリードする。


 名古屋は5回、先頭の金山次郎がファウルで粘って四球で出塁、森井茂の投ゴロをピッチャー中田武夫が二塁に送球するが悪送球となって無死一二塁、トップに返り石丸藤吉が三前にバントヒットを決めて無死満塁、阪急ベンチはここで先発の中田から二番手高橋敏にスイッチ、古川清蔵の中犠飛で2-2の同点に追い付く。


 同点に追い付いた名古屋は5回から先発の森井に代えてエース石丸進一をマウンドに送る。


 名古屋は7回、先頭の石丸藤吉が左前打、レフト下社が逸らす間に石丸は二進、古川がレフト線に二塁打を放って3-2と勝越し、小鶴の中前打で無死一三塁、吉田猪佐喜の投ゴロの間に三走古川が還って4-2、加藤正二は投飛に倒れるが、芳賀直一が左中間に二塁打を放ち小鶴が還り5-2とリードを広げる。


 阪急はその裏、一死後池田久之が四球を選んで出塁、高橋は右飛に倒れて二死一塁、仁木安に代わる代打安田信夫の投ゴロをピッチャー石丸進一が二塁に悪送球、二死一二塁となってトップに返り中村栄がレフト線にタイムリーを放ち3-5とする。


 名古屋は8回、先頭の石丸進一が左前打を放って出塁、トップに返り石丸藤吉の右前打で無死一三塁、阪急ベンチはここで高橋から三番手の笠松実にスイッチ、古川の三ゴロで一走石丸藤吉は二封、三走石丸進一は動かず一死一三塁、古川が二盗を決めて一死二三塁、小鶴が四球を選んで一死満塁、ここで吉田がレフト線に2点タイムリーを放ち7-3と突き放す。


 名古屋は8回から三番手として西沢道夫を投入、西沢が8回、9回を無失点に抑えて逃げ切る。


 石丸藤吉が4安打を記録、小鶴誠が3安打1本塁打、吉田猪佐喜が3打点の活躍を見せた。名古屋は強力打線が14安打を放ち、首位の座を守った。



18年 南海vs巨人 7回戦


7月27日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 17勝30敗1分 0.362 別所昭
0 0 3 0 0 0 0 1 X 4 巨人 29勝17敗2分 0.630 藤本英雄

勝利投手 藤本英雄 17勝6敗
敗戦投手 別所昭     11勝14敗

二塁打 (南)中野、別所

勝利打点 白石敏男 5


藤本英雄、2試合連続無四球完封

 巨人は3回、先頭の小池繁雄の当りは三ゴロ、サード増田敏からの送球をファースト中野正雄がエラーして無死一塁、三好主が送って一死二塁、トップに返り呉昌征が三前にバントヒットを決めて一死一三塁、呉が二盗を決めて一死二三塁、白石敏男が中前にタイムリーを放って1点を先制、白石が二盗を決めて一死二三塁、小暮力三の中犠飛で2-0、青田昇が右前にタイムリーを放ってこの回3点を先制する。

 巨人は8回、先頭の青田がストレートの四球で出塁、林清光に代わる代打伊藤健太郎は遊飛に倒れるが、藤本英雄が二遊間に内野安打、一走伊藤が三塁に走るが「4-6-5」と転送されてタッチアウト、この間に打者走者の藤本は二進して二死二塁、多田文久三が右前にタイムリーを放って4-0とする。


 藤本英雄はこの日も快調なピッチング、初回に中野正雄、9回に別所昭に二塁打を打たれたが危なげない投球で6安打無四球5三振、2試合連続無四球完封で17勝目を飾る。7月に入って4度目の完封となる。シーズン当初はコントロールに苦しみ巨人低迷の戦犯となっていたが、夏になってコントロールが劇的に改善してきた。後楽園の第二試合で名古屋が阪急と対戦するが、この時点で名古屋を抜いて巨人がトップに立った。



18年 第10節 週間MVP


 今節は巨人が4勝1敗、名古屋が3勝1敗1分、阪急が2勝2敗1分、朝日が2勝2敗、阪神が1勝1敗2分、西鉄が1勝2敗1分、大和が1勝2敗1分、南海が1勝4敗であった。


週間MVP

投手部門

 巨人 藤本英雄 3

 3勝1敗1S、2完封。

 阪急 江田孝 1

 2勝0敗、1完封。


打撃部門

 巨人 小暮力三 1

 16打数6安打2得点2打点。

 阪急 上田藤夫 1

 20打数7安打5得点4打点4四球

 南海 鈴木芳太郎 1

 10打数3安打8四球1V打


殊勲賞

 朝日 渡辺時信 1

 7月18日の阪神戦で延長10回決勝打。

 巨人 川畑博 1

 7月24日の阪急戦で勝利投手・本塁打・猛打賞。

 阪急 山田伝 1

 16打数5安打5得点5盗塁5四球。


敢闘賞

 名古屋 金山次郎 1

 18打数5安打2得点3打点。打撃進境著しい。

 大和 木村孝平 2

 20打数7安打。相変わらず好調持続。

 朝日 真田重蔵 1

 9打数4安打。打撃で見せた。

 西鉄 山田秀夫 1

 15打数5安打。渋い活躍。


技能賞

 西鉄 鵜飼勉 1

 7月18日の巨人戦で「5-4-2」のダブルプレー。このゲッツーは苅田久徳が得意としているプレー。

 阪神 御園生崇男 1

 7月15日の巨人戦で代走・二盗・決勝得点。

 西鉄 濃人渉 1

 7月16日の阪神戦で三塁に二走者となり併殺を決める頭脳プレー。
 
 阪急 笠石徳五郎 1

 7月16日名古屋戦でのバント処理を評価。
 


2017年2月19日日曜日

18年 巨人vs名古屋 8回戦


7月25日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 1 2 巨人 28勝17敗2分 0.622 藤本英雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 名軍 27勝16敗4分 0.628 石丸進一

勝利投手 藤本英雄 16勝6敗
敗戦投手 石丸進一 10勝4敗

二塁打 (巨)呉

勝利打点 白石敏男 4


藤本英雄、無四球完封

 巨人と名古屋の決戦の日を迎えた。名古屋はここで勝てば優勝に向けて大きく前進する。先発は藤本英雄と石丸進一の両エース。

 巨人は初回、先頭の呉昌征が右中間に二塁打、調子が上がってきた白石敏男が中前に先制タイムリーを放って1点をリードする。


 石丸進一は2回以降力投を続けて6回まで無安打ピッチング。


 巨人は9回、先頭の青田昇が右前打で出塁、中島治康の遊ゴロをショート金山次郎がエラーして無死一二塁、青田は単独三盗に失敗、直後に中島が二盗に成功、藤本は三振に倒れて二死二塁、多田文久三が右前に貴重なタイムリーを放って2-0とする。


 藤本英雄は5安打無四球3三振で今季5度目の完封、16勝目をあげる。シーズン前半はコントロールに苦しんできたが、別人のようなピッチングを見せた。


 巨人は勝率で2位に甘んじてはいるものの、首位名古屋にゲーム差なしと迫ってきた。



18年 阪急vs南海 8回戦


7月25日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 5 2 0 0 1 0 9 阪急 18勝28敗1分 0.391 江田孝
0 1 0 0 1 0 0 0 0 2 南海 17勝29敗1分 0.370 長沼要男 丸山二三雄

勝利投手 江田孝        4勝1敗
敗戦投手 丸山二三雄 1勝10敗

二塁打 (急)上田、池田 (南)増田

勝利打点 中村栄 1

猛打賞 (急)上田藤夫 1、池田久之 1 (南)中野正雄 2


上田、池田が猛打賞

 阪急は初回、一死後上田藤夫が四球から二盗に成功、山田伝は左飛に倒れて二死二塁、下社邦男が左前にタイムリーを放って1点を先制する。

 南海は2回、先頭の鈴木芳太郎が四球で出塁、八木進の投ゴロは「1-6-3」と転送されるが二塁セーフで一塁アウト、パスボールで二走鈴木は三進、長谷川善三の投ゴロをピッチャー江田孝が一塁に悪送球する間に鈴木が還って1-1の同点とする。


 阪急は4回、先頭の笠石徳五郎がストレートの四球で出塁、南海ベンチはここで先発の長沼要男から丸山二三雄にスイッチ、江田も四球、池田久之の三前バントが内野安打となって無死満塁、松本泰三は浅い中飛に倒れて一死満塁、トップに返り中村栄の一塁線バントが内野安打となって2-1と勝越し、上田がレフト線に二塁打を放って4-1、山田が四球を選んで再度一死満塁、下社の左犠飛で5-1、三木久一が四球を選んで二死満塁、笠石が選んだこの回2個目の四球が押出しとなって6-1とリードを広げる。


 阪急は5回、先頭の池田がレフト線に二塁打、松本は左飛に倒れるが、トップに返り中村は四球、上田の左前タイムリーで二走池田が還って7-1、上田は二盗に失敗して二死三塁、山田が四球を選んで二死一三塁、三走中村が本盗を決めて8-1とする。


 南海は5回裏、先頭の加藤喜作が遊失に生き、トップに返り猪子利男の遊ゴロもショート中村が連続エラーして無死一二塁、岡村俊昭の右飛で二走加藤がタッチアップから三進、中野正雄が左前にタイムリーを放って2-8とする。


 阪急は8回、先頭の山田が二遊間に内野安打を放つと二盗に成功、下社は右飛に倒れるが、三木が左前打を放って一死一三塁、笠石の右犠飛で9-2として快勝する。


 江田孝は5安打2四球無三振2失点、自責点ゼロの完投で4勝目をあげる。




2017年2月16日木曜日

18年 朝日vs西鉄 6回戦


7月24日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 朝日 26勝18敗2分 0.591 真田重蔵
5 0 0 0 1 0 0 0 X 6 西鉄 15勝27敗4分 0.357 野口二郎

勝利投手 野口二郎 9勝10敗
敗戦投手 真田重蔵 7勝6敗

二塁打 (西)黒沢
三塁打 (西)野口明、黒沢

勝利打点 野口明 4

猛打賞 (西)野口二郎 2(4安打)、山田秀夫 1



野口二郎、完封と4安打

 西鉄は初回、先頭の中村信一の当りは一ゴロ、これをファースト広田修三がエラー、富松信彦は左前打、野口二郎も中前打を放って無死満塁、ここで野口明が右中間に走者一掃の三塁打を放って3点を先制、黒沢俊夫が左中間に二塁打を放って4-0、濃人渉は捕飛、中村民雄は捕邪飛に倒れて二死二塁、鵜飼勉の三塁内野安打で二死一三塁、山田秀夫が左前にタイムリーを放って5-0と大量リードする。

 西鉄は4回、一死後野口二郎が三前に内野安打、野口明の投ゴロの間に野口二郎は二進、黒沢が左中間に三塁打を放って6-0とする。


 野口二郎は7安打1四球3三振で今季5度目の完封、9勝目をあげる。打っては5打数4安打の活躍であった。


 野口明が初回に放った満塁走者一掃の三塁打が試合を決めた。黒沢俊夫も二塁打と三塁打、完全復調してきた。



2017年2月15日水曜日

18年 大和vs阪神 7回戦


7月24日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 1 0 0 1 0 0 0  0   0   1  3 大和 22勝22敗2分 0.500 石田光彦
0 0 0 0 0 1 0 0 1  0   0   1  3 阪神 23勝19敗4分 0.548 若林忠志

二塁打 (和)木村2、高橋、石田

勝利打点 なし

猛打賞 (和)石田光彦 1 (神)塚本博睦 3


石田-若林の投げ合いで引き分く

 大和は3回、好調木村孝平がレフト線に二塁打、岡田福吉は四球、小島利男はストレートの四球を選んで無死満塁、鈴木秀雄の二ゴロの間に三走木村が還って1点を先制する。

 大和は6回、一死後高橋吉雄がライト線に二塁打、金子裕の三塁内野安打で一死一三塁、石田光彦の中犠飛で三走高橋が還り2-0とリードを広げる。


 阪神は6回裏、先頭の武智修に代わる代打山口政信が右前にヒット、トップに返り塚本博睦の投ゴロで山口は二封、金田正泰のライト線ヒットで一死一三塁、ここで大和はセカンドのン高橋を下げて苅田久徳監督が二塁に守備に入る。苅田は7月9日の西鉄戦以来の出場となる。金田が二盗を決めて一死二三塁、玉置玉一の遊ゴロの間に三走塚本が還り1-2と追い上げる。


 阪神は9回裏、先頭の景浦将が四球を選んで出塁、門前真佐人が送って一死二塁、田中義雄に代わる代打御園生崇男の遊ゴロの間に二走景浦は三進、若林忠志が右前に同点タイムリーを放って土壇場で2-2と追い付く。


 大和は12回表、一死後木村が今日2本目の二塁打をレフト線に放ち一死二塁、岡田の遊ゴロをショート野口昇が一塁に低投、悪送球が記録されて一死一三塁、小島が四球を選んで一死満塁、鈴木の当りは左前に抜けて三走木村が生還し3-2と勝越し、レフト山口からサード玉置に送球されて二走岡田は三封されたため、鈴木の記録は「レフトゴロ」。左前に落ちるかどうかという当りだったのでしょう。山口が前進守備であったのは状況から当然です。


 阪神は12回裏、一死後山口が四球を選んで出塁、トップに返り塚本が左前打、野口はストレートの四球で一死満塁、玉置の中犠飛で3-3の同点に追い付く。続く景浦は中飛に倒れて規定により引分け。


 石田光彦は12回を完投して9安打6四球1死球6三振3失点。打っては猛打賞の活躍を見せた。


 若林忠志は12回を完投して8安打5四球3三振3失点。


 両チームの得点は、タイムリーは若林の1本だけで、内野ゴロで2点、外野ゴロで1点、犠飛が2つ記録された。当時は公式記録では「犠飛」は記録されず、当ブログがスコアカードから「犠飛」と認定できる場合「犠飛」としてお伝えしています。公式記録では「凡打」の扱いになりますのでご注意ください。


 両チーム「3」の倍数イニングだけ得点した。


18年 巨人vs阪急 7回戦


7月24日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
5 0 0 0 1 0 0 0 0 6 巨人 27勝17敗2分 0.614 川畑博 藤本英雄
1 0 0 0 0 0 0 0 3 4 阪急 17勝28敗1分 0.378 天保義夫 高橋敏 江田孝


勝利投手 川畑博     5勝2敗
敗戦投手 天保義夫 5勝11敗
セーブ      藤本英雄 1

二塁打 (巨)多田 (急)安田
三塁打 (巨)呉
本塁打 (巨)川畑 2号

勝利打点 青田昇 4

猛打賞 (巨)川畑博 1


川畑博、スリーランホームラン

 巨人は初回、一死後白石敏男が三塁に内野安打、サード三木久一の一塁悪送球が加わり白石は二進、小暮力三が中前打を放って一死一三塁、青田昇が左前にタイムリーを放ち1点を先制、伊藤健太郎が四球を選んで一死満塁、阪急ベンチは早くも先発の天保義夫に代えて二番手として高橋敏を投入、多田文久三の三ゴロをサード三木は三塁ベースを踏んでから一塁に送球するが、これが再び悪送球、ゲッツーならずで三走小暮が生還し2-0、二死二三塁から川畑博がレフトスタンドにスリーランホームランを叩き込んで5-0と大量リードする。

 阪急は1回裏、一死後上田藤夫が二遊間に内野安打、山田伝が四球を選んで一死一二塁、下社邦男の二ゴロで山田は二封されて二死一三塁、三木の三ゴロをファースト小暮が落球する間に三走上田が還って1-5とする。


 巨人は5回、先頭の呉昌征が右中間に三塁打、一死後小暮が中前にタイムリーを放って6-0とダメ押す。


 阪急は7回から三番手として江田孝が登板。


 初回に不運な失点があったが、巨人先発の川畑博は自らのスリーランによる大量リードに気を良くして2回以降8回まで阪急打線を3安打無得点に抑える。


 阪急は9回裏、先頭の山田がストレートの四球で出塁、下社が中前打を放ち、ダブルスチールを決めて無死二三塁、三木が四球を選んで無死満塁、笠石徳五郎が二遊間に2点タイムリーを放って3-6、安田信夫がレフト線に二塁打を放って4-6と2点差に迫りなお無死二三塁、慌てた巨人ベンチはここで川畑からエース藤本英雄にスイッチ、江田が四球を選んで再度無死満塁、松本泰三は三振に倒れて一死満塁、トップに返り中村栄の投ゴロが「1-2-3」と渡ってダブルプレー、巨人が辛くも逃げ切る。


 川畑博は藤本のリリーフを仰いだものの8回3分の0を投げて7安打3四球1死球2三振、5勝目をあげる。打っては第2号スリーランを放ち猛打賞を記録する活躍であった。



2017年2月13日月曜日

18年 南海vs名古屋 8回戦


7月24日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
2 0 0 0 0 0 0 0 1  0   0   0  3 南海 17勝28敗1分 0.378 別所昭
0 0 0 0 0 2 0 0 1  0   0  1X 4 名軍 27勝15敗4分 0.643 西沢道夫 石丸進一

勝利投手 石丸進一 10勝3敗
敗戦投手 別所昭     11勝13敗

二塁打 (名)小鶴2

勝利打点 吉田猪佐喜 7


小鶴誠、二塁打2本

 名古屋は打撃好調の金山次郎を一番に起用。金山はプロ入り初のスタメン一番となり、昭和18年の名古屋はこの試合以外は全てスタメン一番は石丸藤吉であり、唯一の例外がこの試合となる。

 南海は初回、先頭の猪子利男の遊ゴロをショート金山がエラー、続く岡村俊昭が左前打、レフト吉田猪佐喜が打球を弾く間に二塁に達していた猪子は三塁に進み、岡村も二盗を決めて無死二三塁、中野正雄は三振に倒れ、堀井数男はストレートの四球で一死満塁、別所昭が右前に2点タイムリーを放ち2-0とする。


 先制打を放った別所は投げても絶好調で5回まで無安打2四球無失点のピッチング。


 名古屋は6回、一死後金山が三前にチーム初ヒットとなるセーフティバントを決めて出塁、ワイルドピッチで金山が二進、古川清蔵は右飛に倒れるが、小鶴誠が左中間に二塁打を放って1-2、吉田の中飛をセンター猪子が落球する間に二走小鶴が還って2-2の同点に追い付く。


 名古屋先発の西沢道夫は3回まで5安打を許したが、4回~8回は無安打ピッチング。


 南海は9回表、一死後増田敏の当りは遊ゴロ、これをショート金山が一塁に悪送球して増田は二塁に進み、トップに返り猪子の打席で増田が三盗に成功、猪子が中前にタイムリーを放って3-2と勝ち越す。


 名古屋は9回裏、芳賀直一、藤原鉄之助が連続四球、野口正明に代わる代打桝嘉一が送りバントを決めて一死二三塁、西沢の三ゴロで三走芳賀が本塁突入を敢行するが、サード鈴木芳太郎からのバックホームにタッチアウト、二死二三塁となってトップに返り金山がサードに同点タイムリー内野安打を放ち3-3として延長戦に突入する。


 名古屋は10回から二番手としてエース石丸進一を投入。石丸は期待に応えて12回まで南海を無安打に抑える。


 名古屋は12回裏、一死後古川が四球を選んで出塁、小鶴が三塁線を破る二塁打を放って一死二三塁、吉田の二ゴロの間に三走古川が生還、名古屋がサヨナラ勝ち。


 石丸進一は3イニングを無安打2四球2三振無失点に抑え、10勝目をマークする。


 試合途中、避難訓練のため8分間試合が中断した。




2017年2月11日土曜日

18年 南海vs阪急 7回戦


7月18日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 17勝27敗1分 0.386 長沼要男
3 0 0 0 2 0 0 0 X 5 阪急 17勝27敗1分 0.386 江田孝

勝利投手 江田孝     3勝1敗
敗戦投手 長沼要男 3勝5敗

二塁打 (急)三木
三塁打 (急)下社

勝利打点 下社邦男 6


下社邦男、4打点

 阪急は初回、一死後上田藤夫が死球を受けて出塁、山田伝の右前打で一死一三塁、山田が二盗を決めて一死二三塁、下社邦男の二遊間ヒットで2者還り2点を先制、三木久一のレフト線二塁打で下社が還り3-0とする。

 阪急は5回、上田、山田が連続四球を選んで無死一二塁、下社の右越え三塁打で2者還り5-0とダメ押す。


 南海は初回、二死後中野正雄、堀井数男の連打が出るが、鈴木芳太郎は一ゴロに倒れる。


 南海は2回、5回、8回とダブルプレーでチャンスを潰し零敗。


 江田孝は4安打3四球1三振で今季2度目の完封、3勝目をあげる。


 享栄商業出身のルーキー下社邦男が4打点を記録する活躍を見せた。



2017年2月10日金曜日

18年 大和vs名古屋 7回戦


7月18日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 大和 22勝22敗1分 0.500 畑福俊英 石田光彦 片山栄次
0 0 0 0 0 0 0 4 X 4 名軍 26勝15敗4分 0.634 石丸進一


勝利投手 石丸進一 9勝3敗
敗戦投手 石田光彦 7勝4敗

二塁打 (和)渡辺 (名)石丸藤吉、金山

勝利打点 金山次郎 1


金山次郎、決勝二塁打

 名古屋は6・7月(6月19日~7月13日)の投手部門月間MVPに輝いた石丸進一が先発、同月の打撃部門月間MVP鈴木秀雄、木村孝平2名を輩出した好調大和と対戦する。

 両軍とも前半戦は走者を出しながら得点無しで試合は進んでいく。


 大和は初回、先頭の木村孝平が三遊間に内野安打、しかし岡田福吉は送りバント失敗から強攻策に出て投ゴロ、これが「1-6-3」と渡ってダブルプレー。2回、3回とヒットが出るが無得点。


 名古屋は1回裏、先頭の石丸藤吉が左前打で出塁、5月30日の巨人戦以来の出場となる桝嘉一が四球を選んで無死一二塁、しかし小鶴誠は捕邪飛に倒れて一死一二塁、吉田猪佐喜の当りはライトライナー、一走桝が飛び出しておりライト杉江からの送球でダブルプレー。試合から遠ざかっていたベテラン桝は試合勘が戻っていないようだ。


 名古屋は2回、大和先発の畑福俊英から2つの四球を得るが無得点。3回、先頭の石丸藤吉がレフト線に二塁打、大和ベンチはここで畑福から石田光彦にスイッチ、桝は二飛に倒れるが、小鶴が四球を選んで一死一二塁、吉田の当りはセカンドライナー、これも一走小鶴が戻れず「L4-3」と渡ってダブルプレー。吉田は2打席連続「ライナーによる併殺打」を記録した。


 大和は4回、二死後高橋吉雄、杉江文二が連続四球を選ぶが、石田が左飛に倒れて無得点。
 名古屋は4回裏、先頭の加藤正二が中前打、芳賀が送って一死二塁、しかし藤原鉄之助は中飛、金山次郎は遊飛に倒れて無得点。


 両チーム4回まで5残塁ずつを記録して無得点。


 大和は7回、一死後渡辺絢吾がレフト線に二塁打、トップに返り木村が左前打を放って一死一三塁、岡田の三ゴロの間に三走渡辺が還って1点を先制する。


 名古屋は8回裏、先頭の小鶴の遊ゴロをショート木村がエラー、吉田が四球を選び、加藤が送りバントを決めて一死二三塁、芳賀に代わる代打西沢道夫が四球を選んで一死満塁、藤原が押出し四球を選んで1-1の同点、大和ベンチはここで石田から三番手の片山栄次にスイッチするがこれが裏目に出た。金山がレフトに決勝の二塁打を放って3-1、石丸進一もライト線にタイムリーを放って4-1と逆転に成功する。


 石丸進一は7安打4四球7三振の力投で9勝目をあげる。これで5連勝と、エースの座を不動のものにしている。


 決勝の二塁打を放った金山次郎は今季豊国商業(現・豊国学園高等学校)から入団したルーキー。開幕からショートのレギュラーとして使われ、春季は守備だけの選手であったがここにきて打撃面での心境は著しい。


 豊国商業からは阪急に天保義夫と笠石徳五郎も入団しており、戦後は広島の「代打の切り札」宮川孝雄を輩出することとなる。金山の10年先輩が大岡虎雄で、大岡は戦前はプロ入りしないが、景浦将、宮武三郎と並んで、「戦前の昭和の三大打者」であると考えられる。昭和6年の日米野球では、日本人選手としては唯一のホームランを放った選手です。それも1試合の出場だけで2本。大岡の活躍をお伝えするのは、37歳で大映スターズに入団する昭和24年までお待ちください。




*夏季リーグ戦に入って打撃好調の金山次郎。松竹ロビンスでは豊国商業の10年先輩となる大岡虎雄と共に水爆打線の一員となる。



2017年2月9日木曜日

18年 朝日vs阪神 7回戦


7月18日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 0 0 0 2 0 0  1  3 朝日 26勝17敗2分 0.605 真田重蔵 林安夫
0 0 0 0 0 0 0 2 0  0  2 阪神 23勝19敗3分 0.548 若林忠志


勝利投手 林安夫     14勝8敗
敗戦投手 若林忠志 14勝6敗

二塁打 (神)玉置2

勝利打点 渡辺時信 1


延長10回、渡辺時信が決勝打

 前半戦は朝日先発の真田重蔵と阪神先発の若林忠志との投げ合いで両軍無得点が続く。

 朝日は3回まで無安打。4回、一死後中谷順次が左前に初ヒット、浅原直人もレフト線にヒットを放ち一死一二塁、しかし、二走中谷が若林からの牽制球に刺されてチャンスを潰す。5回は一死後広田修三が中前打を放つが後続なし。6回、四球で出た坪内道則を酒沢政夫がバントで送り、中谷の中前打で一死一三塁とするが、浅原は三振、早川平一も中飛に倒れて無得点。


 阪神は1回と2回に二死後ヒットが出たが得点なく、3回以降は6回まで無安打に抑えられる。


 試合が動いたたのは7回。朝日は二死後野本良雄が左前打を放ち、真田の右前打で二死一三塁、真田が二盗を決めて二死二三塁、坪内道則の遊ゴロをショート野口昇がエラーする間に三走野本が還って1点を先制、酒沢が右前にタイムリーを放って2-0とする。


 阪神は8回裏、先頭の野口に代わる代打御園生崇男がストレートの四球で出塁、乾国雄に代わる代打金田正泰が右前打を放って無死一二塁、トップに返り塚本博睦に代わる代打平林栄治の投前バントを真田が三塁に送球して二走御園生は三封、山口政信の二ゴロで平林が二封されて二死一三塁、玉置玉一がストレートの四球を選んで二死満塁、景浦将がワンスリーから押出し四球を選んで1-2、門前真佐人もツースリーから押出し四球を選んで2-2の同点、朝日の竹内愛一監督はここで真田から秘蔵っ子林安夫にスイッチ、林は田中義雄を遊ゴロに打ち取りスリーアウトチェンジ。


 阪神は9回裏、先頭の若林が中前打で出塁、しかし御園生の遊ゴロをショート酒沢が二塁ベースを踏んでから一塁に送球して「6B-3」のダブルプレー、直後の武智修の遊ゴロを今度は酒沢が一塁に悪送球、しかし平林は右飛に倒れて延長戦に突入する。


 朝日は10回表、先頭の浅原が中前打で出塁すると二盗に成功、早川に代わる代打内藤幸三の一塁線バントが内野安打となって無死一三塁、内藤の代走に大友一明を起用、小林章良の三ゴロで大友は二封、三走浅原は動かず一死一三塁、ここで広田に代わる代打渡辺時信が三塁線に決勝のタイムリー内野安打を放って3-2と勝ち越す。


 阪神は10回裏、一死後玉置玉一がレフトに二塁打、続く景浦は敬遠で歩かされて代走に中原宏を起用、しかし最後は林が踏ん張り、門前は二飛、田中は遊ゴロに倒れて朝日が接戦を制す。


 朝日は後楽園の第一試合に勝った巨人と同率で並び首位を行く名古屋を追う。




2017年2月8日水曜日

18年 西鉄vs巨人 7回戦


7月18日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計
0 0 0 0 0 0 0 0  2  2 西鉄 14勝27敗4分 0.341 重松通雄 近藤貞雄
0 0 0 0 0 0 0 0 3X 3 巨人 26勝17敗2分 0.605 藤本英雄


勝利投手 藤本英雄 15勝6敗
敗戦投手 近藤貞雄   0勝2敗

二塁打 (巨)青田

勝利打点 白石敏男 3


巨人、逆転サヨナラ勝ち

 巨人は7月16日の朝日戦で4安打完封した藤本英雄が中一日で先発、西鉄は下手投げ速球派の重松通雄で応戦する。

 藤本は8回まで5四球を出しながら無安打無失点ピッチング。


 一方、重松は毎回のように走者を出しながら巨人の拙攻にも助けられて8回まで無失点。初回は先頭の呉昌征を四球で出し、盗塁とキャッチャー悪送球でいきなり無死三塁のピンチを迎えるが、白石敏男の三ゴロに呉が飛び出して三本間に挟まれタッチアウト。2回も先頭の小暮力三に四球から二盗を決められるが後続なし。4回も先頭の青田昇に中前打から二盗を許し、一死後藤本に四球を与えて一死一二塁、多田文久三の三ゴロをサード中村信一は二塁に送球、この時三塁に達していた二走青田が本塁に突っ込むと、セカンド鵜飼勉はホームに送球して青田を刺し、「5-4-2」のダブルプレーを完成させる。苅田久徳以外にこれをやった二塁手は記憶にありません。6回も先頭の白石を四球で歩かせるがキャッチャー佐藤武夫が白石の二盗を刺す。


 西鉄は9回表、先頭の野口明が四球で出塁、佐藤の投ゴロをピッチャー藤本が二塁に悪送球して無死一三塁、野口二郎は歩かせて無死満塁、山田秀夫に代わる代打北浦三男は浅い左飛に倒れて一死満塁、重松が左前に先制タイムリーを放って1-0と均衡を破り、鵜飼は遊飛に倒れて二死満塁、トップに返り中村が三前にタイムリーバントヒットを決めて2-0とする。


 巨人は9回裏、先頭の青田が右中間に二塁打、小暮力三が右前にタイムリーを放って1-2、代走に林清光を起用、藤本が四球を選んで無死一二塁、西鉄ベンチはここで重松から近藤貞雄にスイッチ、多田が送りバントを決めて一死二三塁、小池繁雄に代わる代打伊藤健太郎の三ゴロをサード中村がエラーする間に三走林が還って2-2の同点、坂本茂に代わる代打沢村栄治 が流し打った三ゴロをサード中村が本塁に送球して三走藤本は本封、トップに返り呉の三塁内野安打で二死満塁、白石がサヨナラの押出し四球を選んで巨人が逆転サヨナラ勝ち。


 8回までノーヒットノーランを続けていた藤本英雄は2安打7四球4三振の完投で15勝目をあげる。




2017年2月6日月曜日

18年 阪急vs名古屋 6回戦


7月16日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  0 阪急 16勝27敗1分 0.372 笠松実 高橋敏
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0   0   0  0 名軍 25勝15敗4分 0.625 森井茂

二塁打 (名)金山

勝利打点 なし

森井茂、延長12回を零封

 阪急と名古屋による死闘は延長12回、0対0で引き分けた。

 名古屋は2回、一死後加藤正二がレフト線にヒットを放つが、二塁を欲張りレフト仁木安からの送球にタッチアウト。


 名古屋は3回、2本のヒットで二死一三塁のチャンスを作るが無得点。


 名古屋は4回、先頭の小鶴誠が左前打で出塁、吉田猪佐喜がストレートの四球を選んで無死一二塁とするが、加藤は中飛、芳賀直一は投ゴロ、藤原鉄之助は一ゴロに倒れて無得点。


 名古屋は5回、先頭の金山次郎がレフト線に二塁打、阪急ベンチは先発の笠松実を不調と見て高橋敏にスイッチ、森井茂の一塁線送りバントをファースト笠石徳五郎がダッシュよく飛び出して二走金山を三塁に刺し一死一塁、トップに返り石丸藤吉の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー。笠石のバント処理が光った。今節の「技能賞」候補ですね。


 名古屋先発の森井茂はスローカーブが冴え渡り、延長12回を7安打2四球3三振無失点に抑え切る。とにかく森井はコントロールが劇的に改善し、今がキャリアハイの状態にあります。


 阪急の二番手高橋敏は8回3分の0を2安打3四球3三振無失点とこちらも快心のピッチングを見せた。高橋敏は昭和14年から長く兵役に就き今季復帰してきたが、昭和14年4月、5月に連続して月間MVPに輝いた切れ味鋭いピッチングは色褪せていない。高橋は戦後はアマチュア球界に打者として復帰し、都市対抗では驚異的な活躍を見せることとなる。当ブログ開設以前は「Wikipedia」にすら取り上げられていなかったが、現在では「Wikipedia」の記載内容も充実している。その内容は、大半が当ブログからのパクリですが(笑)。




2017年2月5日日曜日

沢村栄治 生誕100周年


 2017年2月1日、沢村栄治 生誕100周年を迎えました。三重県伊勢市の明倫商店街では沢村の言葉を刻んだ石碑「全力石」の除幕式が行われています。

 当ブログが職業野球公式スコアカードを入手した際、沢村のピッチング内容を検証してみようと思い立って解読作業を始めたことが、当ブログを開設するきっかけとなりました。


 偶然、沢村の生誕100周年時に昭和18年の解読を進めており、沢村の最後の姿をお伝えできるのも何かの縁でしょうか。


 昭和12年秋の成績が、「9勝5敗」ではなく誤って「9勝6敗」と伝わってしまっている現状を、是正したいと考えています。




*昭和9年に読売新聞が制作した「日米野球アルバム」に残された沢村の直筆サイン。右は中島治康で左は青柴憲一です。沢村のサインは、京都商業時代に憧れの存在であった地元立命館大学の快速球投手・青柴憲一の隣に書かれていることが多いですね。




18年 南海vs大和 5回戦


7月16日 (金) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 3 0 0 4 南海 17勝26敗1分 0.395 別所昭 長沼要男
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 大和 22勝21敗1分 0.512 片山栄次 石田光彦


勝利投手 長沼要男 3勝4敗
敗戦投手 片山栄次 8勝13敗

二塁打 (南)長谷川 (和)木村

勝利打点 鈴木芳太郎 2


鈴木芳太郎、代打決勝タイムリー

 南海は初回、一死後岡村俊昭が四球を選んで出塁、ピッチャー片山栄次からの牽制球をファースト金子裕が逸らす間に岡村は二進、中野正雄の三ゴロの間に岡村は三進、堀井数男がレフト線にタイムリーを放って1点を先制する。

 大和は3回、先頭の渡辺絢吾が四球で出塁、トップに返り木村孝平の三塁線バントが内野安打となって無死一二塁、岡田福吉が四球を選んで無死満塁、鈴木秀雄の二ゴロの間に三走渡辺が還って1-1の同点、しかし小松原博喜は投ゴロ、金子も二ゴロに倒れて逆転はならず。


 大和は4回、先頭の小島利男が四球で出塁、高橋吉雄の右前打で無死一二塁、しかし二走小島がキャッチャー八木進からの牽制にタッチアウト、打者片山の初球ファウルは送りバント失敗の可能性が高く、二走小島のリードが大きくなったのを八木が見逃さなかった。片山は一ゴロ、渡辺は二ゴロに倒れて無得点。


 南海は5回から先発の別所昭をライトに回して二番手として長沼要男を投入。別所は4回まで2安打6四球と乱れていた。


 大和は5回、一死後岡田、鈴木が連続四球、しかし小松原、金子が連続中飛に倒れてこの回も無得点。


 大和は6回、先頭の小島が中前打で出塁するが、高橋の遊ゴロは「6B-3」と渡ってダブルプレー。
 2回以降音無しだった南海は7回、先頭の長谷川善三がレフト線に二塁打を放って口火を切ると、八木の投前送りバントが野選を誘って無死一三塁、増田敏はストレートの四球で無死満塁、このチャンスに加藤喜作に代わる代打鈴木芳太郎が左前に2点タイムリーを放って3-1と勝越し、一走増田はバックホームjの隙を突いて三塁に進み一死一三塁、トップに返り長沼の左犠飛で4-1と突き放す。


 大和は7回裏、一死後木村がライト線に二塁打、岡田の二遊間のヒットは二走木村が進塁できずに一死一二塁、しかし鈴木は二飛、小松原は遊飛に『倒れて無得点。


 大和は8回、先頭の金子が左前打で出塁するが無得点、9回も先頭の渡辺が四球で出塁するが後続なく、南海が快勝。


 大和は再三のチャンスを得点に結びつけることができず11残塁を記録したが打線は依然好調。
 リリーフに出た長沼要男は5イニングを4安打3四球1三振、粘りのピッチングで好調大和打線を無失点に抑えて3勝目をあげる。先発の別所を不調と見て交代させたベンチワークの勝利でもあった。


 長老加藤喜作の代打に出たベテラン鈴木芳太郎が決勝打を放った。鈴木は静岡中学時代7回甲子園に出場、戦後は母校静岡高校の監督を務めることとなる。



2017年2月2日木曜日

18年 朝日vs巨人 7回戦


7月16日 (金) 後楽園


1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 朝日 25勝17敗2分 0.595 林安夫
0 0 0 1 2 0 0 0 X 3 巨人 25勝17敗2分 0.595 藤本英雄

二塁打 (巨)中島、藤本
三塁打 (朝)林 (巨)小暮
本塁打 (巨)呉 2号

勝利打点 藤本英雄 2


巨人、朝日に追い付き同率2位浮上

 朝日はここまで13勝7敗の林安夫、巨人はここまで13勝6敗の藤本英雄が先発。

 初回に中島治康が二塁打、2回には小暮力三が三塁打を放ちながら無得点の巨人は4回、二死後小暮が左前打で出塁、藤本英雄が左中間を破る二塁打を放って小暮を向け入れて1点を先制する。


 巨人は5回、一死後坂本茂が四球を選んで出塁、トップに返り呉昌征がライトスタンドにツーランホームランを叩き込んで3-0とする。


 藤本英雄は4安打無四球4三振で今季4度目の完封、14勝目をあげる。打っては決勝二塁打を放つ活躍であった。


 朝日を1ゲーム差で追っていた巨人は、朝日に追い付き2位タイに浮上した。


 今季の藤本英雄は春先からコントロールに苦しみ、よううやく夏ごろから調子を上げてきましたが、この試合は藤本が「真の大投手」にステップアップするきっかけとなったゲームであったと思います。


 昭和17年のルーキーイヤーは10勝0敗ではありましたがエース須田博の陰に隠れて下位チーム相手に勝ち星を稼いだものでした。ついに「化けた」と言えるピッチングでしたね。