2012年9月4日火曜日

15年 イーグルスvsジャイアンツ 4回戦



5月14日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 4 0 0 1 0 0 1 0 6 イーグルス   13勝12敗1分 0.520 中河美芳
2 0 0 0 0 0 3 2 X 7 ジャイアンツ 16勝8敗 0.667 楠安夫 中尾輝三 スタルヒン

勝利投手 スタルヒン 9勝2敗
敗戦投手 中河美芳  2勝4敗

二塁打 (イ)岡田、寺内
三塁打 (ジ)鈴木田

勝利打点 千葉茂 4


川上に代打永澤

 ジャイアンツは初回、先頭の白石敏男が死球を受けて出塁、水原茂の右前打で無死一三塁、千葉茂が右前に先制タイムリーを放って1-0としてなお無死一三塁、中島治康の遊ゴロで千葉が二封される間に水原が還って2-0とする。中島は盗塁失敗、川上哲治は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 イーグルスは2回、先頭の谷義夫の遊ゴロをショート白石がエラー、寺内一隆の一ゴロで谷は二進、太田健一は四球、竹内功も四球を選んで一死満塁、ジャイアンツベンチは先発の楠安夫を下げて中尾輝三をリリーフに送る。中尾のリリーフはコントロールが心配されるところであるが案の定清家忠太郎が押出し四球を選んで1-2、山田潔が右前に逆転の2点タイムリーを放って3-2、トップに返り岡田福吉も右前にタイムリーを放って4-2とする。菅利雄は右飛に倒れるが中河美芳が左翼線にヒット、二走山田は三塁ベースを蹴ってホームに突っ込むがレフト鈴木田登満留からのバックホームにタッチアウト。

  イーグルスは5回、先頭の谷の遊ゴロを白石が今度は一塁に悪送球、谷は二塁に進む。寺内の二ゴロで谷は三進、太田健一に代わる代打杉田屋守の二ゴロの間に谷が生還、渋い追加点をあげて5-2とリードを広げる。

 ジャイアンツは7回、先頭の白石が中前打で出塁、水原は四球、千葉の右前打で無死満塁、中島の中犠飛で3-5、川上に代わる代打永澤富士雄は四球を選んで一死満塁、平山菊二の遊ゴロの間に三走水原に続いて二走千葉もホームに還って5-5の同点とする。

 イーグルスは8回、先頭の清家が中前打からワイルドピッチで二進、山田が四球を選んで無死一二塁、ジャイアンツベンチはここで中尾を下げてスタルヒンを注ぎ込む。トップに返り岡田は右飛に倒れて一死一二塁、菅に代わる代打亀田忠は四球を選んで一死満塁、中河の一ゴロの間に三走清家が還って6-5とする。

 ジャイアンツは8回裏、先頭の吉原正喜が四球で出塁して二盗に成功、スタルヒンは三振に倒れて一死二塁、トップに返り白石の遊ゴロをショート山田が三塁に悪送球する間に吉原が生還して6-6の同点、水原が四球を選んで一死一二塁、ダブルスチールを決めて一死二三塁、千葉が右前に決勝タイムリーを放って7-6、スタルヒンが9回のイーグルスを三者凡退に抑えてジャイアンツが接戦を制す。


 川上哲治はこの日3打数無安打で今季通算91打数28安打3割8厘、序盤戦の好調子はどこへやら、1ヵ月半で打率を1割落としてきた。7回の第四打席では永澤富士雄を代打に送られて引っ込められた。この年の11月には大和球士が川上の三塁打を都新聞に「弾丸ライナー」の見出しで伝えることとなるが、その半年前にはスランプのため代打を送られているのが歴史的事実である。


 昭和42年5月27日、晩年にさしかかっていた長嶋茂雄に代打森永勝也が送られて川上監督の非常な采配に中日球場は騒然となった。小学3年生の筆者はこのシーンをラジオで聞いていたが、すでにアンチ巨人だったので広島から移籍してきた森永が出てきたのを喜んだことを覚えている。この日川上監督は「どんな優れた選手でもスランプはある。長嶋には余裕を取り戻してもらいたいと思って代えた。」とインタビューに答えたと伝えられている。この時川上の脳裏には、昭和15年5月14日に藤本定義監督がスランプの自分に代えて代打に永澤富士雄を起用したシーンが浮かんだのであろう。










       *7回の第四打席で川上哲治に代打永澤富士雄が起用されたシーン。











*「f」で川上と永澤が交代した。「備考欄」には「f  7回の代打より」と書かれている。7回の第四打席で川上の代打に出た永澤がそのままファーストの守備についたことを意味する。











 

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