2019年10月18日金曜日

21年 セネタースvs阪急 2回戦


5月16日 (木) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 セ軍 5勝6敗 0.455 白木義一郎 大下弘 
0 0 0 0 4 2 0 0 X 6 阪急 8勝3敗 0.727 前川八郎 

勝利投手 前川八郎     2勝1敗
敗戦投手 白木義一郎 4勝3敗 

二塁打 (セ)白木 (急)尾西

勝利打点 (急)上田藤夫 2

猛打賞 (急)上田藤夫(4安打) 2



セ軍6失策で惨敗

 西宮の第2試合は白木と前川の先発で午後3時5分、金政主審の右手が上がりプレイボール。

 セ軍は1回、2回と三者凡退。3回表二死後、白木がレフトに二塁打を放つが、トップに返り横沢は左飛に倒れて無得点。


 阪急は1回裏、先頭の山田伝のピッチャー返しは白木のグラブをかすめ、ショート鈴木清一がバックアップして一塁に送球してアウト、記録は「1-6-3」。これはまだ、白木が平凡な投ゴロを野手に転がしてアウトにしたのではない。白木のお得意のプレーは、昭和22年になってから行われることになります。基本的にはピッチャーゴロをキャッチャーに転がして「1-2-3」でアウトにするもの。そこからの発展形がいくつかあったようですが、昭和22年になってから詳しく実況する予定です。一死無走者から上田が中前打で出塁、続く青田は打撃妨害で出塁、青田は5月5日の中部戦ではスウィングしたバットがキャッチャー服部のミットに触れながらヒットしたのは当時の実況中継でお伝えしたとおりです。相当引き付けて打っているのが分かりますね。それだけスウィングスピードが速いことを証明しています。一死一二塁となりましたが白木が踏ん張って野口明、髙橋敏は連続三振。


 阪急は3回裏、一死後山田が中前打で出塁、しかし白木の牽制球に引っ掛かりタッチアウト、直後に上田が左前打、しかし青田は左邪飛に倒れて無得点。


 阪急は4回裏、二死後三木が四球から二盗に成功、前川も四球を選んで二死一二塁、しかし日比野は遊ゴロに倒れて無得点。


 セ軍は5回表、一死後大木薫四郎が左前打を放って出塁、石原光男が四球を選んで一死一二塁、白木の当りは中飛、これに二走大木が戻れずセンター山田からの送球でダブルプレー。


 阪急は5回裏、開幕から渋い働きを見せている九番尾西がライト線に二塁打、トップに返り山田が中前打から二盗を決めて無死二三塁、このチャンスに当たっている上田がこの日3本目のヒットを中前にはじき返して二者還り2点を先制、バックホームの隙を突いて打者走者の上田は二塁に進み、青田がセンター左にヒットを放って無死一三塁、青田が二盗を決めて無死二三塁、野口明は投ゴロに倒れて一死二三塁、高橋に代わる代打下社は三振に倒れて二死二三塁、三木の三ゴロで万事休す、と思われたところサード横沢がエラー、三走上田に続いて二走青田も還って4-0とする。


 この横沢の2点タイムリーエラーは痛かった。


 セ軍は6回から白木に代わって大下弘がレフトからマウンドに上がってプロ入り2度目の登板。


 阪急は6回裏、先頭の日比野が右前打で出塁、尾西は左飛に倒れるが、トップに返り山田の遊ゴロをショート鈴木がエラーして一死一二塁、上田の中前打をセンター一言多十がファンブルして二走日比野がホームに還り5-0、日比野の得点は一言のエラーによるもので上田には打点は記録されず、一走山田は三塁に進んで一死一三塁、青田の遊ゴロで三走山田が飛び出したのを見てショート鈴木は三塁に送球、しかしこれをサード横沢が後逸する間に山田が生還して6-0とする。


 セ軍は6回の守備でも横沢のタイムリーエラーを含む3エラー。


 阪急は7回裏、一死後前川が四球で出塁、日比野の右前打で一死一二塁、7回表の守備から尾西に代わってショートの守備に入っている荒木茂の三ゴロをサード横沢が三塁ベースを踏んで二塁に送球、ダブルプレーでスリーアウトチェンジ。ここは横沢が好守備を見せた。


 セ軍は8回表、一死後白木が中前打で出塁、トップに返り横沢に代わる代打長持が中前打を放って一死一二塁、ピッチャー前川からの二塁牽制が悪送球となって一死二三塁、鈴木の遊ゴロの間に三走白木が還って1点返し1-6とするが反撃もここまで。


 前川八郎は5安打2四球2三振1失点、自責点ゼロの完投で2勝目をマークする。


 阪急の無失策に対してセ軍は6失策。これでは勝てない。



2019年10月17日木曜日

21年 中部日本vs巨人 2回戦


5月16日 (木) 後楽園
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 2 0 0 0 0 0 3 中部 4勝6敗2分 0.400 西沢道夫 
0 0 2 4 0 0 0 0 X 6 巨人 6勝5敗 0.545 中尾輝三
勝利投手 中尾輝三 1勝1敗
敗戦投手 西沢道夫 0勝2敗 

二塁打 (中)服部、小鶴 (巨)呉新亨
本塁打 (巨)林(満塁) 1号

勝利打点 (巨)林清一 1


林清一、戦後初のグランドスラム

 後楽園の試合は午後3時2分、西沢道夫と中尾輝三の先発で、島球審の右手が上がりプレイボール。

 中部は初回、いきなり岩本、金山が連続四球、相変わらず中尾はコントロールが悪い。古川の三前内野安打で無死満塁、巨人内野陣はここで中間守備、小鶴の遊ゴロでショート山田はゲッツー狙いを選択し二塁に送球、千葉からの一塁転送でダブルプレーが完成、この間に三走岩本が還って1点を先制する。


 巨人は3回裏、一死後山田の当りは遊ゴロ、これをショート金山がエラー、トップに返り呉新亨の三ゴロをサード藤原が一塁に悪送球して一死二三塁、このチャンスに現在首位打者の山川がライト線に2点タイムリーを放ち2-1と逆転、山川は二塁を欲張り「9-3-6」と転送されてタッチアウト。


 中部は走者二塁のケースでの右前打でファースト小鶴がカットに入った。しかしこれは山川の当りがライト線への打球であったことが理由でしょう。戦前からこの時期にかけて、ごく一部の例外を除いてピッチャーがカットに入るのが慣例となっている。


 中部は4回表、一死後小鶴が死球を受けて出塁、加藤はストレートの四球で一二塁、服部が左中間に二塁打を放ち2-2の同点、一死二三塁から藤原の遊ゴロの間に三走加藤が還って3-2と逆転に成功する。


 巨人はその裏、先頭の黒沢が四球を選んで出塁、多田の左前打で一二塁、諏訪が死球を受けて無死満塁、ここで林清一がレフトスタンドに戦後初の満塁本塁打、6-3と逆転に成功する。


 中尾輝三は5回以降中部打線を無得点に抑え、5安打4四球1死球5三振の完投で戦後初勝利をあげる。


 西沢道夫も5回以降は無失点、6回以降は無安打であった。しかし8回を完投して6四球1死球、戦地で肩を痛めたことが原因なのか、コントロールが悪すぎる。林清一に打たれた満塁本塁打も、その前の諏訪に死球をぶつけて思い切った投球ができなかったことが要因として考えられる。ベテラン林はそこを見逃さず、ワンボールからの2球目を積極的に狙っていったのである。


 林の本塁打は昭和11年7月15日、猛暑の山本球場で行われた連盟結成記念全日本選手権名古屋大会以来10年ぶり2本目。林の通算本塁打はこの2本だけである。



*林清一の第1号本塁打。日本職業野球連盟公報第四号(昭和11年7月25日発行)より。


*林清一が放った戦後初のグランドスラム。

21年 パシフィックvsゴールドスター 2回戦


5月16日 (木) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 1 0 1 0 0 0 0 0 2 パ軍 6勝6敗1分 0.500 井筒研一 
0 3 0 0 1 0 0 0 X 4 ゴ軍 5勝6敗1分 0.455 内藤幸三 

勝利投手 内藤幸三 3勝3敗
敗戦投手 井筒研一 2勝3敗 

勝利打点 なし




打撃好調の松井がWエラー

 本日は西宮で2試合と後楽園で1試合。西宮の第1試合は午後1時丁度、杉村主審の右手が上がりプレイボール。三塁塁審は阪急球団職員の片岡勝が務める。

 パ軍は2回表、一死後森下の当りは三ゴロ、これをサード坂本勲がエラー、伊勢川が一二塁間を破ると一走森下は三塁に走り、ライト木崎からのバックサードが悪送球となる間に森下が還って1点を先制する。打者走者の伊勢川は二塁に進み、続く松井信勝が三遊間を破って一死一三塁とチャンスが続くが、平野徳松は浅い右飛、井筒は三ゴロに倒れて追加得点はならず。下位打線とは言えここはもう1点欲しかったところ。


 ゴ軍は2回裏、一死後田中宣顕が左前打で出塁、木崎も左前打で続いて一二塁、内藤が右前に同点タイムリーを放ち1-1、一走木崎は三塁に進んで一死一三塁、辻功の遊ゴロをショート松井がエラーする間に三走木崎が還って2-1と逆転、一走内藤は三塁に進んで再度一死一三塁、続く坂本の打席で三走内藤が「2-5-6」でタッチアウト、この間に一走辻が三塁に進んでいることと坂本の打力を考えると、「雑記」欄には記載は無いものの、ここはスクイズを外されたか内藤のサインミスでホームに走ったところを三本間に挟まれたと見るのが妥当でしょう。ということで二死三塁で試合再開、坂本は四球を選んで二死一三塁、トップに返り酒沢の遊ゴロを又も松井がエラー、この間に三走辻が還って3-1とする。


 パ軍は3回表、先頭の富松の当りは二ゴロ、これをセカンド大友がエラー、木暮の遊ゴロの間に富松は二進、辻井が四球を選んで一死一二塁と、出塁率の高い上位打線でチャンスを作り、第3節終了時点で打点ランキング二位と一位の四、五番を迎えるが、小島は三ゴロ、森下は一ゴロに倒れて無得点。


 パ軍は4回表、先頭の伊勢川が四球を選んで出塁、打撃好調の松井がレフトに2打席連続ヒット、平野の二ゴロを大友がこの日2つ目のエラーして無死満塁、井筒が中前にタイムリーを放ち2-3と1点差にしてなお無死満塁で上位につなぐが、トップの富松は捕邪飛、木暮は遊飛、辻井は三振に倒れて追加得点はならず。


 ゴ軍は5回裏、先頭の大友が右前打で出塁、坪内の投ゴロの間に大友は二進、菊矢がセンター左にタイムリーを放ち4-2と突き放す。続く田中が中前打を放って一死一二塁、末崎のカウントスリーボールツーストライクで走者一斉にスタート、しかし三振ゲッツーでスリーアウトチェンジ。


 パ軍先発の井筒研一は6回以降無安打ピッチング。


 パ軍は8回表、一死後伊勢川が四球を選んで出塁、二死後平野の中前打で伊勢川は三塁を狙うが、「8-6-5」の中継プレーにタッチアウト、センター坪内からの三塁送球にショート酒沢がカットに入っているので、坪内がジャッグルしたのを見て伊勢川が三塁に走ったのではないか。普通に捕球していれば坪内ならダイレクトで三塁に送球しているはず。


 パ軍は9回表、一死後富松が一二塁間にヒット、しかし木暮は三飛、辻井は三振に倒れてゲームセット。


 内藤幸三は6安打4四球5三振の完投で3勝目をマークする。


 パ軍3つ、ゴ軍4つと両軍合わせて7失策。中でも打撃好調の松井信勝が2回にWエラー、これが何れもタイムリーエラーであったことがパ軍の敗因となった。




2019年10月15日火曜日

21年 第3節終了時点 打撃成績


   名前  球団 打数 安打 塁打 打率 四死 出塁率 長打率 OPS 得点 打点 盗塁
山川喜作 (巨) 36 14 16 0.389   5  0.463  0.444  0.908   4   5   3
土井垣武 (タ) 39 15 17 0.385   4  0.442  0.436  0.878   6   6   1
藤村冨美男 (タ) 27 10 14 0.370   6  0.485  0.519  1.003   5   5   3
森下重好 (パ) 49 18 25 0.367   7  0.446  0.510  0.957   4  12   3
青田昇 (急) 40 14 16 0.350   4  0.409  0.400  0.809   5   2   5
山本一人 (グ) 32 11 12 0.344   4  0.417  0.375  0.792   5   7   0
松井信勝 (パ) 35 12 13 0.343   6  0.439  0.371  0.810   5   1   2
千葉茂 (巨) 37 12 15 0.324   7  0.432  0.405  0.837   5   3   3
加藤正二 (中) 41 13 21 0.317   8  0.429  0.512  0.941  10   7   2
黒沢俊夫 (巨) 36 11 11 0.306   8  0.432  0.306  0.737   5   2   5
富松信彦 (パ) 44 4 7 0.091  15  0.322  0.159  0.481   9   2   2
木暮力三 (パ) 52 11 13 0.212   8  0.317  0.250  0.567   7   5   2
辻井弘 (パ) 49 13 15 0.265  10  0.390  0.306  0.696   9   5   2
小島利男 (パ) 47 9 15 0.191  11  0.345  0.319  0.664   5  10   1
森下重好 (パ) 49 18 25 0.367   7  0.446  0.510  0.957   4  12   3

 第3節終了時点の首位打者は山川喜作。山川は開幕から10試合でノーヒットは1度だけという安定感が光ります。

 藤村冨美男は長打もあって四球も選んでおりOPS(出塁率+長打率)は唯一人1.000超え。


 青田昇は打率上位ですが、10試合でノーヒットが5回、ヒットを打った5試合は4度の猛打賞を含めて全てマルチヒットという波の荒さ、じゃじゃ馬ぶりを如何なく発揮しています。意外なことに現在盗塁王。


 勝負強さが光る森下重好は現在打点王。2本塁打の加藤正二は打率は低いながらもOPSは0.941。OPSは打率が二重に掛かりますので価値が高い。


 打撃10傑以外に、好調なパシフィック打線をスタッツから分析してみましょう。トップの富松信彦は打率は0割9分1厘ながら四球が断トツの15個で出塁率は3割2分2厘、Isod(出塁率-打率)は驚異の0.231、したがって9得点をあげています。二番小暮力三と三番辻井弘も出塁率が高く7得点と9得点。そして四番小島利男は打率こそ1割9分1厘と低いながら10打点、勝負強い森下重好が12打点と打点ランキング1位と2位(小島は加藤と同数)を占めています。

 なお、打率については「日本野球年鑑」と照合していますが、四死球や長打は当ブログが独自に手入力していますので、シーズン終了時点でないと照合できません。入力作業は慎重を期していますが、間違っている可能性は否定できませんので悪しからず。しかしながら、途中経過を分析していくという試みは全宇宙の歴史で初めてのこととなります。今後は投手成績も掲載していきますのでお楽しみに。


21年 第3節 週間MVP


週間MVP
投手部門
 巨人 藤本英雄 1
 2試合連続完封。

打撃部門
 タイガース 藤村冨美男 1
 15打数8安打4得点3打点。

殊勲賞
 ゴールドスター 石田光彦 1
 11日のタ軍戦で完封勝利&勝利打点。

 巨人 多田文久三 1
 12日の阪急戦でサヨナラ打。この一打で不振脱出なるか。

 阪急 上田藤夫 2
 11日のグ軍戦で11回表に決勝の満塁走者一掃二塁打(今季2本目)。

敢闘賞
 パシフィック 真田重蔵 1
 11日の中部戦で戦後初のセーブを記録。12日のゴ軍戦では延長12回を完封など、今節4連投。

 中部日本 加藤正二 1
 15打数6安打4得点2打点、二塁打1本、本塁打1本。現在本塁打王。

 巨人 山川喜作 1
 12打数6安打1得点。現在首位打者。

技能賞
 中部日本 森井茂 1
 12日にタ軍「ダイナマイト打線」を3安打完封。スローカーブが冴え渡る。

 グレートリング 木村勉 1
 走攻守に活躍が目立つ。



2019年10月14日月曜日

土井垣武、謎の欠場


 土井垣は開幕以来、5月12日の中部戦まで10試合を捕手としてフル出場して39打数15安打、打率3割8分5厘と好調をキープしてきたが、13日のゴ軍戦から27日のセ軍戦までの6試合を欠場、5月30日のグ軍戦から捕手として復帰することになる。

 キャッチャーであるため怪我による欠場とも考えられるが、当ブログが指摘するように「荒っぽい走塁」が目立っており、これが藤村監督の逆鱗に触れた可能性も否定できない。


 土井垣は今季99試合に出場することになるので、欠場はこの間の6試合だけである。



21年 第3節 トピックス


 第3節は合計13試合。阪急は今節1勝2敗で勢いは止まったが依然として7勝3敗で首位を独走。パ軍が6勝5敗1分で2位。

 藤本の2試合連続のほか、白木、石田、真田、森井と6試合が完封試合。真田は延長12回を3安打完封。森井も3安打完封。石田は5安打完封及び勝利打点。


 加藤正二が12日のタ軍戦で第2号を放って現在「本塁打王」。ここまで中部の加藤が2本、岩本と服部が1本で他球団ではまだ本塁打は出ていない。


 飯島滋弥が11日の巨人戦で今季3個目の勝利打点。森下重好も11日の中部戦で今季3個目の勝利打点。現在この2人が「勝利打点王」。


 上田藤夫が11日のグ軍戦で延長11回表に今季2本目の「満塁走者一掃二塁打」。


 グ軍守備陣は12日のセ軍戦で5併殺を記録。パ軍も13日の中部戦で延長12回ながら5併殺。


 12日のゴ軍vsパ軍1回戦で両軍全員刺殺を記録。「日本野球年鑑」によると昭和21年の全試合でこの試合のみの記録とのこと。


 パ軍は11日の中部戦で重盗により辻井弘が本盗を記録。更に13日の中部戦でも重盗により富松信彦が本盗を記録。


 タ軍の本堂保次は13日のゴ軍戦で決勝犠飛。本堂は今季3個目の犠飛で現在断トツの「犠飛王」。


 グ軍の堀井数男は12日のセ軍戦で一言と黒尾から2個の死球を受ける。


 タ軍は10日のパ軍戦で藤村、本堂、土井垣、小俣の4人が猛打賞を記録、「ダイナマイト打線」が爆発した。


 小俣秀夫は10日に3安打、11日のゴ軍戦で1安打。小俣は今季通算4安打、その全てを今節に放った。小俣は今季で一旦プロ野球を離れて昭和22年に全京都、昭和24年に星野組で都市対抗野球に出場し、昭和25年に毎日オリオンズでプロに復帰して4年ぶりにヒットを記録することとなる。



*小俣秀夫は昭和22年「全京都」に所属して都市対抗野球に出場。


*昭和24年には「星野組」に所属して都市対抗野球に優勝。全京都-星野組-毎日オリオンズを通じて西本幸雄と行動を共にする。(参照:「都市対抗野球60年史」)


2019年10月13日日曜日

慶應式スコア


 ご存じのとおりプロ野球の公式スコアは現在でも「慶應式」が使われています。当然、当ブログが解読している一リーグ時代のスコアカードも「慶應式」です。

 慣れれば「早稲田式」と大きく変わるわけではありませんが、「走塁」に関しては「慶應式」の方が解読し甲斐があるかもしれません。


 さて、お伝えしたとおり「中部日本vsパシフィック 3回戦」は見応えのある好ゲームとなりましたが、その中で2つの「走塁」について、実際の「スコアカード」を見ながら「深掘り」してみましょう。




 実況でもお伝えした中部2回の攻撃です。記録だけ見ると加藤正二の盗塁と相手一塁手辻井弘のエラー(テイクツーベース)なのですが、これは解読し甲斐のあるプレーです。
 このプレーは服部の初球に起こった一連のプレーでした。「(1)」とあるのでピッチャー井筒の一塁送球から始まっているのが分かります。ということは「一塁牽制球」か「ディレードスチールで飛び出した一走加藤に対する一塁送球」のどちらかでしょう。辻井の二塁送球が悪送球でありながら加藤に盗塁が記録されていることから、「ディレードスチール」である可能性が高い。となると、井筒は加藤を追いかけるべきであって、一塁に送球されたファースト辻井が慌てて二塁に送球したが間に合わず、しかも悪送球となってテイクツーベースで本塁生還を許してしまったと考えるのが妥当でしょう。




 次はパ軍7回の攻撃です。実況でお伝えしたとおり二死一三塁からのダブルスチールで三走富松が本盗により生還しました。問題は次のプレーで、「重盗」で二塁に進んだ一走木暮は「(2)6’」で三塁に進んでいます。これはキャッチャー服部からの二塁送球をショート藤原がエラーする間に三塁に進んだことを意味します。更に本塁方向に矢印が書かれているようにホームに向かって走りますが、「2-3」でタッチアウト。これは、藤原のエラーとは落球ではなく本塁送球が悪送球となったもので、白球を追ったキャッチャー服部がホームベースカバーに走ってきたファースト辻井に送球して木暮を本塁でタッチアウトしたことを意味します。

 辻井は4月30日のタイガース戦でも三本間の挟殺プレーにファーストからホームベースカバーに参加して刺殺を記録して第1節「技能賞」に輝いています。非常に判断力に優れた一塁守備を見せていることが分かりますね。2回の守備でタイムリーエラーをしているのだから守備が下手だなどと考えているようでは、まだまだ修行が足りませんよ(笑)。

21年 中部日本vsパシフィック 3回戦


5月13日 (月) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計 
0 1 0 0 0 0 0 0 1  0   0   0  2 中部 4勝5敗2分 0.444 西沢道夫 森井茂 
0 1 0 0 0 0 1 0 0  0   0   0  2 パ軍 6勝5敗1分 0.545 井筒研一 真田重蔵 

二塁打 (パ)森下

本盗    (パ)富松信彦 1  


見応えのある好ゲーム

 第2試合は午後3時7分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。

 中部は初回、先頭の岩本が中前打で出塁、金山は三振、岩本が二盗を試みるがキャッチャー伊勢川からの送球にタッチアウト、古川は左飛に倒れて無得点。

 パ軍は1回裏、富松、木暮は外野飛球に倒れ、辻井が三塁にヒットすると二盗を試みるがキャッチャー服部からの送球にタッチアウト。


 中部は2回表、一死後加藤正二が四球を選んで出塁、次の先制点の場面は解読が難しい。スコアカードの記載は「加藤に盗塁が記録されて「(1)-3”-6」で得点」。すなわち、一走加藤がディレードスチールを試みたか牽制球に釣り出されたかスタートを切り、ピッチャー井筒からファースト辻井に送球されて辻井が二塁ベースカバーのショート松井信勝に転送するが悪送球、これがテイクツーベースとなって加藤が一気にホームに生還し、加藤の二塁進塁に対して盗塁が記録されたことになる。盗塁が記録されていることから推察するとディレードスチールだったか。少なくとも二塁がセーフのタイミングであったことから盗塁が記録されたことになる。とすると、ピッチャー井筒の一塁送球がミスであったと見るのが妥当か。走者を追うか、少し追い詰めて二塁に送球するべきであった。ファースト辻井は間に合わないタイミングで井筒から送球されてきて二塁への送球を慌てざるを得なかったというのが真相である可能性が高い。しかし当然ながら辻井に失策が記録された。ということで中部が1点を先制。


 パ軍は2回裏、先頭の小島の当りは遊ゴロ、これをショート金山が一塁に悪送球する間に打者走者の小島は二塁に進み、森下の左前打で無死一三塁、伊勢川の右犠飛で1-1の同点に追い付く。その後2つの四球があったが追加得点はならず。


 パ軍は4回裏、先頭の森下がレフト線に二塁打を放ってチャンスを作るが後続なく無得点。


 中部は5回表、一死後西沢が右前打で出塁、代走に笠石徳五郎を起用、鈴木秀雄の右前打で一死一二塁、しかしトップに返り岩本の三ゴロをサード平野徳松が三塁ベースを踏んで一塁に送球、「5C-3」の併殺が決まってスリーアウトチェンジ。


 中部は先発の西沢に代走を出したので、5回裏から森井茂が二番手のマウンドに上がる。


 中部は6回表、先頭の木下政文が中前打で出塁、古川の捕前のゴロをキャッチャー伊勢川が二塁に送球して木下は二封、ここで古川がディレードスチール、今度は井筒が走者を追いかけセカンド小島に送球、挟殺プレーとなって「1-4-3-4」でタッチアウト、ここは井筒の好判断であった。続く小鶴は中飛に倒れてスリーアウトチェンジ。


 両軍走者を出しながら無得点が続いたが、膠着状態を破ったのは意外なプレーであった。


 パ軍は7回裏、二死後富松が四球を選んで出塁、木暮が一二塁間を抜いて富松は三塁に進み二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて2-1と勝ち越す。パ軍は11日の対中部2回戦でも三走辻井、一走森下の場面で重盗を決めている。藤本采配がズバリ的中。


 1点を追う中部は8回表、森井の当りは投ゴロ、これを井筒がエラー、鈴木が四球を選んで無死一二塁、トップに返り岩本は左飛に倒れるが、木下が左前打を放って一死満塁、古川の左飛で三走森井がタッチアップからホームを狙うがレフト森下からの返球にタッチアウト。森井は通算556打席で3盗塁、しかもそのうち2つは昭和11年と12年の若い時のもの、とするとここは代走を起用して井上嘉弘を三番手で起用する手はあったか。


 中部は9回表、一死後当たっている加藤が中前打で出塁、服部の投ゴロの間に加藤は二進、ここで藤原鉄之助が左前に同点タイムリーを放ち2-2と追い付く。


 中部は12回表、先頭の藤原が中前打で出塁、森井が送りバントを決め、鈴木が四球を選んで一死一二塁、ここでダブルスチールを試みるがキャッチャー伊勢川からの送球に二走藤原は三塁タッチアウト、トップに返り岩本が四球を選んで二死一二塁、バッターは途中出場ながらこの日2安打の木下、しかし捕邪飛に倒れて無得点。


 パ軍は12回裏、代打攻勢をかけるが平野徳松に代わる喜瀬正顕は遊ゴロ、真田に代わる湯浅芳彰は三振、トップに返り富松が中前打を放ち、最後の望みをつないで二塁にスタートを切るが、キャッチャー服部からの送球にタッチアウト、ゲームセット。


 中部は先発の西沢が4イニング、二番手の森井がイニングの継投、パ軍は先発の井筒が10イニング、二番手の真田が2イニングの継投であった。前日延長12回を完封した真田は4日間連投。


 パ軍守備陣は5併殺を記録。伊勢川、服部の両キャッチャーが共に3捕殺を記録。両軍守備と走塁に見応えのある好ゲームであった。


*9回表に起死回生の同点タイムリーを放った藤原鉄之助の直筆サイン入りカード。藤原は赤嶺旋風で中日を退団するが、その後は他の選手とは同調せず昭和24年に巨人に移籍する。


2019年10月12日土曜日

21年 タイガースvsゴールドスター 3回戦


5月13日 (月) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 3 2 0 0 0 2 7 タ軍 5勝6敗 0.455 藤村冨美男 野崎泰一 
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 ゴ軍 4勝6敗1分 0.400 石田光彦 江田孝 

勝利投手 藤村冨美男 2勝0敗
敗戦投手 石田光彦     2勝3敗 

二塁打 (タ)富樫 (ゴ)末崎
三塁打 (タ)藤村

勝利打点 (タ)本堂保次 1

猛打賞 (タ)藤村冨美男(4安打) 2


藤村冨美男、4安打2打点

 本日は西宮の2試合のみ。第1試合はタ軍藤村冨美男監督、ゴ軍石田光彦の先発で午後1時5分、金政主審の右手が上がりプレイボール。

 タ軍は初回、先頭の金田が左前打を放つと二盗に成功、呉昌征が四球を選んで無死一二塁、しかし御園生の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってダブルプレー、本堂も遊ゴロに倒れて無得点。


 ゴ軍は1回裏、先頭の酒沢がセンター右にヒットを放って出塁、しかし大友のライトライナーに酒沢が飛び出しておりライト小俣からファースト御園生に送球されてダブルプレー、ここはエンドランの可能性も考えられる。続く坪内は三振に倒れて無得点。


 タ軍は4回表、先頭の呉が四球を選んで出塁すると二盗に成功、御園生が三遊間を破って無死一三塁、本堂の左犠飛で1点を先制、一走御園生もタッチアップから二塁に進む好走塁を見せて一死二塁、藤村の中前タイムリーで2-0、バックホームの隙を突いて打者走者の藤村は二進、二死後池端忠夫が左前にタイムリーを放ち3-0とする。


 ゴ軍は4回裏、先頭の大友が四球を選んで出塁、しかし坪内の一邪飛に大友が帰れずファースト御園生が一塁ベースを踏んでダブルプレー。エンドランが小飛球になったのか。


 タ軍は5回表、先頭の長谷川善三が四球を選んで出塁、ゴ軍坪内監督はここで先発の石田から江田孝にスイッチ、トップに返り金田は左飛に倒れるが、呉はストレートの四球、御園生の右前打で一死満塁、本堂が右中間に2点タイムリーを放ち5-0とリードを広げる。


 藤村監督は6回までゴ軍打線を無得点に抑えて7回からサードの守備に入り、サード本堂がセカンドに回り、セカンド小林に代わって野崎泰一が入ってリリーフのマウンドに上がる。


 ゴ軍は7回裏、先頭の大友がレフト線にヒット、坪内は三振に倒れるが、そのスリーストライク目に大友が二盗に成功、菊矢の左前打で一死一三塁、しかし江田は浅い中飛、田中宣顕は左飛に倒れて無得点。


 ゴ軍は8回裏、先頭の辻功の当りは三ゴロ、これをサード藤村が一塁に悪送球、末崎が右中間に二塁打を放って無死二三塁、坂本勲に代わる代打内藤幸三の一ゴロで走者は動けず一死二三塁、トップに返り酒沢の遊ゴロの間に三走辻が還って1点を返す。


 タ軍は9回表、先頭の御園生の当りは三ゴロ、これをサード大崎欣一がエラー、一死後藤村が中越えに三塁打を放ち6-1、富樫も右中間に二塁打を放ち7-1として試合を決める。


 ゴ軍は9回裏、先頭の坪内が右前打で出塁するが二盗に失敗、二死後江田がストレートの四球で歩くが、田中が一ゴロに倒れてゲームセット。


 ゴ軍では珍しく坪内が冴えなかった。


 2勝目をマークした藤村冨美男監督は本職の打撃では5打数4安打2打点。この時点で既に「物干し竿」を使っていたかは不明であるが、本領を発揮してきた。


 2試合連続完封負けからこの日は「ダイナマイト打線」が12安打。5月に入ってからタ軍の得点は1点、9点、1点、10点、0点、0点、7点。波が荒過ぎる。



*4安打を放った藤村冨美男。タテ25㎝の大版ブロマイドです。このユニフォームは昭和23~24年のもの。



2019年10月11日金曜日

21年 阪急vs巨人 2回戦


5月12日 (日) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計 
0 0 0 0 0 0 0 0  0  0 阪急 7勝3敗 0.700 笠松実 
0 0 0 0 0 0 0 0 1X 1 巨人 5勝5敗 0.500 藤本英雄 

勝利投手 藤本英雄 2勝1敗
敗戦投手 笠松実     2勝1敗 

二塁打 (急)三木

勝利打点 (巨)多田文久三 1


不振の多田がサヨナラ打

 後楽園の第2試合は阪急が巨人キラーの笠松実、巨人が戦後になって投球内容に変化の兆しがうかがえる藤本英雄の先発で午後1時11分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 藤本は快調なピッチングを見せ、4回まで阪急打線をパーフェクトに抑える。


 阪急は5回表、二死後三木久一がチーム初ヒットとなるライト線二塁打、坂田は四球、笠松もストレートの四球を選んで二死満塁、しかし尾西はニゴロに倒れて無得点。


 巨人は1回裏、先頭の呉新亨が四球を選んで出塁するが、山川の投ゴロが「1-4-3」と渡ってダブルプレー。3回二死後、山田が左前打で出塁するが盗塁失敗。4回二死後、千葉がファースト野口明のエラーで生きるが、ピッチャー牽制に釣り出されて「1-3-6」でタッチアウト、「盗塁死」は記録されていないのでディレードスチールではない。


 前半戦は走塁ミスなどでチャンスの芽を自ら摘み取ってきた巨人は、中盤戦は毎回スコアリングポジションに走者を送りながらあと1本が出ず無得点が続く。


 巨人は5回、一死後ヒットで出た多田が二盗を決めるが後続なく、6回は一死後四球で出た山田を送ってチャンスを作るが当たっている山川は遊ゴロ。7回は先頭の千葉が四球から二盗、タイミングはアウトであったがキャッチャー坂田の送球ミスに助けられて無死二塁、しかし黒沢は右飛、多田は三振、諏訪は捕邪飛に倒れて無得点。8回も一死後四球で歩いた藤本が山田の三ゴロの間に三塁に進む好走塁を見せるが、トップに返り呉は三振に倒れて無得点。


 藤本は中盤以降も快調なピッチングを続け、9回まで無失点。


 巨人は9回裏、先頭の山川が中前打で出塁、千葉はストレートの四球で無死一二塁、黒沢の三前バントが内野安打となって無死満塁、ここで女房役の多田がセンターにサヨナラヒットを放ち、藤本の好投に報いる。


 藤本英雄は2安打3四球1三振で2試合連続完封、付け入る隙のないピッチングであった。


 多田文久三はここまで33打数5安打、打率1割5分2厘と低迷、守備でも決勝のタイムリーエラーや決勝パスボールがあったりと散々だったが、一気にうっ憤を晴らす一打であった。



*多田文久三の直筆サイン入りカード。多田が本格的にピッチャーとして活躍するのは昭和22年からとなる。



訂正のお知らせ


 2019年8月24日付け「21年 ゴールドスターvs巨人 1回戦」において、ゴールドスター初回の攻撃で先制点をあげた場面について、

「五番に入った石田がセンターにクリーンヒットを放ち二走坪内を迎え入れて1点を先制」とお伝えしていましたが、これは間違いで、正しくは


「五番に入った石田がセンターにクリーンヒットを放ち二走坪内は三塁ストップ、しかしセンター呉新亨からの本塁送球をキャッチャー多田が後逸、この間に坪内がホームに還って1点を先制」でした。


 ゴ軍の先制点はキャッチャー多田のタイムリーエラーによるもので、石田には打点は記録されていません。単純な解読ミスが原因であり、見直し作業の際に間違いに気が付きました。ご迷惑をおかけしますが、訂正の上謝罪させていただきます。本文は訂正済みです。


2019年10月10日木曜日

21年 中部日本vsタイガース 1回戦


5月12日 (日) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
1 1 0 0 0 2 0 3 0 7 中部 4勝5敗1分 0.444 森井茂 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 タ軍 4勝6敗 0.400 渡辺誠太郎 野崎泰一 

勝利投手 森井茂        4勝2敗
敗戦投手 渡辺誠太郎 0勝4敗 

二塁打 (中)小鶴2、金山 (タ)金田
本塁打 (中)加藤 2号

勝利打点 (中)小鶴誠 1


森井茂、絶妙のピッチング

 西宮の第2試合は午後3時7分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。

 中部は初回、二死後古川が左前打から二盗に成功、小鶴がセンター左奥に二塁打を放ち1点を先制する。


 タ軍は1回裏、一死後金田が中越えに二塁打、藤村は四球を選んで一死一二塁、ここはスリーボールツーストライクからの四球なので敬遠ではない。しかし土井垣は中飛、本堂も二ゴロに倒れて無得点。


 中部は2回表、先頭の加藤がレフトスタンドに第2号ホームランを叩き込んで2-0とする。

 この後タ軍先発の渡辺誠太郎は3回から5回まで無安打ピッチング。

 タ軍は4回裏、先頭の藤村が二遊間にヒット、ところが二塁を狙ってタッチアウト、見ているわけでなないので状況は分からないが、強引な走塁であった可能性は否定できない。
続く土井垣の遊ゴロをショート金山がエラー、ところが土井垣が二盗に失敗、本堂は中飛に倒れて結果として3人で攻撃を終える。

 中部は6回表、一死後金山の三ゴロをサード藤村が一塁に悪送球、打者走者の金山は二塁に進み、古川が右前にタイムリーを放ち3-0、古川が二盗を決め、土井垣の悪送球が加わって古川は三塁に進み、小鶴の中犠飛で4-0リードを広げる。


 タ軍の粗い走塁に比べて中部はソツのない攻め。


 中部は8回表、先頭の岩本が中前打で出塁、金山のレフト線二塁打で無死二三塁、古川が中前にタイムリーを放ち5-0、無死一三塁から土井垣の三塁牽制悪送球で三走金山が還って6-0、小鶴が右中間を破り古川を迎え入れて7-0、小鶴は二塁ベースをオーバーランして「8-6-4」の中継でタッチアウトとなるが記録は二塁打。


 中部先発の森井茂は絶妙のピッチング。8回まで、初回の1安打1四球と4回の1安打以外は全て三者凡退。9回一死後呉昌征に3本目のヒットを許すが後続を抑えて、3安打1四球無三振で戦後初完封、「ダイナマイト打線」を封じ込んでハーラートップに並ぶ4勝目をマークする。アウトの内容は飛球14個、ゴロアウト11個、タ軍の走塁ミス2個。14の飛球のうち内野フライが6個と、タ軍打線は森井の術中にはまり全くタイミングが合っていなかった。


 この試合のポイントは4回裏タ軍の走塁。藤村が強引に二塁を狙って憤死すると土井垣も二盗に失敗。土井垣は前の試合でも不可解な三盗失敗があった。土井垣の盗塁失敗はこの2試合だけの話ではなく、通算成績でも盗塁成功87個に対して盗塁失敗は67個、盗塁失敗の方が成功よりも多い年が5度ある。「ダイナマイト打線」時代のタイガースは1度しか優勝しておらず、その理由として一般には「投手力が弱かった」と説明されることが多いが、この日のような「粗い走塁」も原因の一つではないか。



*昭和25年広島チームサイン色紙に残された森井茂の直筆サイン。隣は坂田清春、辻井弘。