2025年2月10日月曜日

22年 中日vs近畿 4回戦

5月29日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 1 0 0 2 0 0 0 1  0  4 中日 16勝6敗 0.727 清水秀雄 服部受弘 
1 0 0 0 0 1 0 2 0 1X 5 近畿 15勝9敗 0.625 別所昭

勝利投手 別所昭     9勝4敗 
敗戦投手 清水秀雄 2勝3敗

二塁打 (中)加藤 2 (近)坂田

勝利打点(近)岡村俊昭 2

猛打賞 (中)杉浦清 2 (近)田川豊(4安打)3


白熱の首位攻防戦

 西宮の第2試合は清水秀雄と別所昭の先発で午後2時55分、金政球審の右手が上がりプレイボール。

 金政卯一審判員は5月16日から関東に出張していたが、杉村正一郎審判員が5月24日の試合中断の件の報告のため関東に出張したので、金政審判員が関西に呼び戻されたのである。

 近畿は初回、一死後河西俊雄が三塁に内野安打、続く田川豊も三塁に内野安打、二死一二塁となってダブルスチール、これがキャッチャー藤原鉄之助の三塁悪送球を誘い、河西が還って1点を先制する。

 中日は2回表、一死後杉浦清監督が三遊間を破るヒット、これをレフト堀井数男が後逸する間に打者走者の杉浦は三塁に進み、加藤正二がライトにタイムリー二塁打を放ち1-1の同点、三村が三塁に内野安打、二死後藤原が四球を選んで満塁とするが、トップに返り岩本章は三振に倒れて追加点はならず。

 中日は4回も一死満塁のチャンスを逃す。

 中日は5回表、先頭の金山次郎が三塁に内野安打、一死後四番小鶴誠に代わる代打大沢清が得意の右位置で右前打、杉浦はストレートの四球で一死満塁、加藤が中越えに2点タイムリー二塁打を放ち3-1とリードする。

 近畿は6回裏、先頭の河西の当りは三ゴロ、これをサード三村がエラー、河西が二盗を決め、田川の遊ゴロもショート杉浦がエラー、田川が二盗を決めて無死二三塁、山本一人監督の右犠飛で2-3と追い上げる。

 近畿は8回裏、先頭の安井亀和が四球を選んで出塁、河西が送りバントを決め、田川が中前に同点タイムリーを放ち3-3、バックホームの間に打者走者の田川は二塁に進み、二死後田川が三盗に成功、飯田徳治が左前に勝越しタイムリーを放ち4-3と試合をひっくり返す。

 中日は9回表、一死後大沢が四球を選んで出塁、杉浦の投ゴロを別所が二塁に送球するがセカンド安井が落球して一死一二塁、二死後三村に代わる代打上林繁次郎が中前に同点タイムリーを放ち4-4と追い付く。

 中日は10回表、先頭の藤原が中前打で出塁、しかしトップに返り岩本の遊ゴロは「6-4-3」と渡ってゲッツー。

 近畿は10回裏、先頭の河西が一塁に内野安打、この時河西が怪我をして代走に筒井敬三を起用、続く田川も一二塁間に内野安打で無死一二塁、中日ベンチはここで先発の清水から服部受弘にスイッチ、山本が送って一死二三塁、飯田は敬遠で歩かされて一死満塁、堀井に代わる代打岡村俊昭がライトにサヨナラ犠飛を放ち激戦に終止符を打つ。

 別所昭は172球の力投で13安打6四球5三振の完投、9勝目をマークする。

 中日は13安打を放ったが別所の粘りの前に13残塁。

 近畿の勝因は、田川豊が4安打4盗塁を記録するなど、チーム合計7盗塁を決めた機動力にあった。

2025年2月9日日曜日

22年 大阪vs東急 4回戦

5月29日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 1 0 1 0 0 0 0 3 大阪 16勝7敗 0.696 梶岡忠義 
0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 東急 9勝13敗 0.409 北川桂太郎

勝利投手 梶岡忠義     5勝2敗 
敗戦投手 北川桂太郎 1勝3敗

二塁打 (大)本堂 (東)一言

勝利打点(大)富樫淳 2


富樫が2本の適時打

 後楽園の第1試合は梶岡忠義と北川桂太郎の先発で午後1時8分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪は初回、先頭の呉昌征が捕前に内野安打、金田正泰の三前バントも内野安打となって無死一二塁、富樫淳の左前タイムリーで1点を先制する。

 大阪は3回表、先頭の梶岡が右前打で出塁、トップに返り呉の三ゴロの間に梶岡は二進、二死後富樫がライト線に2打席連続タイムリーを放ち2-0とする。

 大阪は5回表、一死後金田がストレートの四球で出塁、二死後金田が二盗を決め、藤村富美男の三ゴロをサード横沢七郎がエラーして二死一三塁、ここで北川がボークを犯して三走金田がホームに還り3-0とする。

 東急は6回裏、先頭の一言多十がライト線に二塁打、一死後飯島滋弥がレフトスタンドにツーランを叩き込んで2-3と1点差に迫る。

 東急は8回裏、先頭の苅田久徳監督がレフト線にヒット、トップに返り一言が送りバントを決めて一死二塁、大阪ベンチはここでライトを富樫から塚本博睦に交代、東急も横沢に変えて代打に打撃の良い白木義一郎を送るが中飛に倒れ、飯島は四球を選んで二死一二塁、しかし期待の大下弘は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 東急は最終回、長持栄吉、鈴木圭一郎が連続三振、鈴木清一の当りは遊ゴロで万事休す、と思われたがショート長谷川善三が一塁に悪送球して二死一塁、北川に代わる代打黒尾重明の三遊間へのゴロをショート長谷川がエラー、しかし一走鈴木が二塁をオーバーランして二三塁間に挟まれ長谷川はセカンド本堂に送球、鈴木が三塁に逃げると本堂はサード藤村に送球、鈴木は再び二塁方向に逃げるが二塁ベースはがら空き、と思われたところセンターの呉昌征が機転を利かせて二塁ベースカバーに入っており「6-4-5-8」の挟殺プレーで鈴木はタッチアウト、試合終了となった。

 梶岡忠義は4安打4四球10三振の力投で完投、5勝目をマークする。

 富樫淳が2本のタイムリーを放つ活躍を見せた。

 東急も不振の飯島滋弥に一発が出て今後の巻き返しが期待できる。

 センターの呉昌征が挟殺プレーに加わるナイスカバーを見せた。外野手が挟殺プレーに加わった事例は、昭和12年春の阪急vs大東京3回戦で、阪急のレフトを守っていたジミー堀尾が「6-5-4-7C」で三塁ベースカバーに入ったことがあり、史上2度目となる。

*センター呉昌征が挟殺プレーに加わったシーン。 


2025年2月8日土曜日

22年 阪急vs金星 5回戦

5月29日 (木) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 10勝15敗 0.400 溝部武夫 森弘太郎 
1 0 0 0 0 0 0 0 X 1 金星 10勝14敗 0.417 内藤幸三

勝利投手 内藤幸三 2勝3敗 
敗戦投手 溝部武夫 0勝1敗

二塁打 (急)青田

勝利打点(金)西沢道夫 2

猛打賞 (金)坪内道則 2


内藤幸三、無四球完封

 第7節初日、西宮の第1試合は溝部武夫と内藤幸三の先発で午後1時丁度、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 金星は初回、先頭の坪内道則監督が一塁線にヒット、酒沢政夫の遊ゴロが野選を誘い、清原初男はストレートの四球で無死満塁、西沢道夫の中犠飛で1点を先制する。

 坪内-西沢の子弟コンビによる得点であった。西沢は戦争中に肩を痛めて中部日本では投手を断念したが、坪内が西沢を金星に誘って打者に転向させ、長距離砲に育て上げた。昭和24年に西沢が中日に呼び戻された際には、坪内も中日に移籍することを条件にしたと言われている。

 内藤幸三はスミ一を守り切った。初回、二死後青田昇に二塁打を許すが野口明を投ゴロに打ち取る。3回は山田伝と上田藤夫のヒットで一死一二塁のピンチを迎えるが後続を抑える。

 内藤は、4回以降9回まで阪急打線を6イニング連続三者凡退に抑え込み、4安打無四球3三振で5月19日の太陽戦に続いて今季2度目の完封、2勝目をマークする。

 無四球完封は、5月16日にスタルヒンが記録して以来、リーグ全体でも2度目となる。内藤のピッチングは円熟味を増してきた。

 この試合の三塁塁審は山口茂次審判員が務めた。山口は第2試合でも一塁塁審を務めるが、この日を最後に連盟の審判員を退き、国民リーグに移る。

 第7節から、関西を主戦場にしていた杉村正一郎審判員が関東地区に出張した。5月24日に甲子園球場で行われた、山口審判員が三塁塁審を務めていた大阪vs巨人戦で、呉昌征のレフト線二塁打の判定を巡って25分間試合が中断した件について、報告を求められたのであろう。協議の結果、山口茂次審判員が責任を取らされたと見るのが妥当のようだ。

2025年2月7日金曜日

22年 第6節 週間MVP

 

週刊MVP
投手部門 中日 星田次郎 1 フラナガン神父に捧げる2安打完封勝利。 
打撃部門 阪急 日比野武 1 15打数6安打3得点4打点。甲子園での戦後初ホームラン。 

殊勲賞
 大阪 長谷川善三 1 26日の巨人戦で延長10回サヨナラ打。 
 太陽 藤井勇 1  12打数4安打2本塁打。 
 巨人 山川喜作 1 17打数7安打。前節から4試合連続猛打賞。 
 阪急 山田伝 1  11打数4安打4打点 。

敢闘賞
 巨人 内堀保 1  14打数7安打1得点2打点。 
 阪急 野口明 1  19打数7安打2得点2打点。 
 中日 藤本英雄 1 23日の太陽戦で完封と決勝本塁打。 

技能賞
 大阪 武智修 1  7打数4安打に1セーブと投打で活躍。 
 近畿 飯田徳治 1 24日の阪急戦で坂田清春の一飛でタッチアップからホームイン。 
 大阪 若林忠志 1 別所に投げ勝ち延長10回完封勝利。

2025年2月6日木曜日

22年 近畿vs大阪 4回戦

5月26日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  0 近畿 14勝9敗 0.609 別所昭 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 1X 1 大阪 15勝7敗 0.682 若林忠志

勝利投手 若林忠志 4勝3敗 
敗戦投手 別所昭    8勝4敗

二塁打 (近)堀井 (大)富樫、長谷川

勝利打点(大)長谷川善三 1


長谷川善三、サヨナラ打

 甲子園の第2試合は別所昭と若林忠志の先発で午後3時20分、二出川球審の右手が上がりプレイボール。

 大阪を0.5ゲーム差で追う近畿としては先制点が欲しいところであったが、若林の軟投の前に無得点を重ねていった。

 別所も剛球でダイナマイト打線を封じて大阪も無得点。

 0対0のまま試合は延長戦に突入した。

 近畿は10回表、先頭の堀井数男が中越えに二塁打を放ってチャンス到来、しかし続く別所の遊ゴロで堀井がスタートを切ってしまい、二三塁間に挟まれてタッチアウト、一死一塁から坂田清春の遊ゴロは「4-6-3」と渡ってダブルプレー。

 大阪は10回裏、一死後玉置玉一が三塁線にヒット、若林の三ゴロで玉置は二進、ここで長谷川善三が右前に劇的なサヨナラ打を放ち玉置を迎え入れて大阪が接戦をものにする。

 若林忠志は10回を4安打2四球2三振に抑えて今季初完封、4勝目をマークする。

 雨に祟られた第6節は13試合が行われただけであったが、その内5試合がシャットアウトゲームであった。週間MVP投手部門の争いは、2安打完封と最も内容の良かった星田次郎と、別所に投げ勝った若林忠志との一騎打ちになるのではないかと見られている。

2025年2月5日水曜日

22年 阪急vs巨人 5回戦

5月26日 (月) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 2 1 0 2 2 7 阪急 10勝14敗 0.417 野口二郎 今西錬太郎 
0 0 0 0 1 3 1 0 0 5 巨人   8勝16敗 0.333 中尾輝三 川崎徳次

勝利投手 今西錬太郎 5勝3敗 
敗戦投手 中尾輝三    2勝4敗

二塁打 (急)野口明、坂元 (巨)山川 2、平山
三塁打 (急)山田 (巨)小松原 2
本塁打 (急)日比野武 1号

勝利打点(急)野口明 3

猛打賞 (急)野口明 1


日比野武、甲子園での戦後初ホームラン

 5月25日(日)は東西とも雨のため中止。東京は26日も雨が続き、雨に祟られた第6節最終日は甲子園の2試合が行われた。

 昨日、雨の中で突貫工事が行われ、この日から甲子園球場にラッキーゾーンが設置された。これにより、これまで左中間、右中間の最深部は119mであったが105mに短縮された。レフトポール際までは91mが公式発表であるが、実測は87mであったとも言われている。

 甲子園の第1試合は野口二郎と中尾輝三の先発で午後1時3分、杉村球審の右手が上がりプレイボール。

 阪急は5回表、先頭の日比野武が四球を選んで出塁、山田伝が右中間にタイムリー三塁打を放ち1点を先制、トップに返り田中幸男の左前タイムリーで2-0とする。

 巨人は5回裏、先頭の小松原博喜が左中間に三塁打、一死後内堀保の三ゴロの間に三走小松原が還って1-2と追い上げる。

 阪急は6回表、一死後坂元義一が中前打出塁、野口二郎の三ゴロをサード山川喜作がエラーして一死一二塁、日比野の投ゴロは「1-4-3」と転送されるが二塁はセーフで一塁アウト、二死二三塁から中尾の二塁牽制が悪送球となる間に三走坂元が還って3-1とする。

 巨人は6回裏、先頭の山川が左中間に二塁打、千葉茂の右飛で山川はタッチアップから三塁に進み、川上哲治の中前タイムリーで2-3、平山菊二の左中間二塁打で一死二三塁、阪急ベンチはここで野口二郎から今西錬太郎にスイッチ、しかし小松原が右中間に逆転の2点タイムリー三塁打を放ち4-3と試合をひっくり返す。

 巨人は7回裏、当たっている山川が右中間に2打席連続の二塁打、千葉の左飛で山川はタッチアップから三塁に進み、川上が四球から盗塁を決めて二死二三塁、平山の中前タイムリーで5-3と突き放す。

 阪急は8回表、先頭の坂元が右越えに二塁打、一死後日比野が左中間にホームランを叩き込んで5-5の同点とする。

 甲子園球場は、昭和21年は進駐軍に接収されていてプロ野球では使用させてもらえず、昭和22年に使用許可が下りて開幕からラッキーゾーンが設置されるまでは本塁打0本だったので、日比野の一発は甲子園での戦後初ホームランであった。これがスタンドインしたのかラッキーゾーンに吸い込まれたのかは、スコアカードからは不明である。当時の野球雑誌を調べれば判明するでしょう。

 阪急は9回表、先頭の上田藤夫が四球を選んで出塁、青田昇の右前打で無死一三塁、巨人ベンチはここで中尾から川崎徳次にスイッチ、野口明が右前にタイムリーを放ち6-5と逆転、坂元の遊ゴロで三走青田がホームに突っ込み、ショート田中資昭がバックホームするがセーフ、野選が記録されて7-5と突き放す。

 今西錬太郎は9回裏の巨人の反撃を抑えて5勝目をマーク、その内巨人からは4勝目となった。

2025年2月4日火曜日

ラッキーゾーン開設秘話

 昭和22年5月26日から、甲子園球場にラッキーゾーンが設置された。

 この年の第6節は5月22日から25日に行われる予定であったが、25日(日)は雨天により中止となり、26日(月)に順延されたため、雨の日曜日にラッキーゾーンが設置され、初試合が5月26日になったのである。

 第7節は5月29日から西宮球場で組まれていたので、当初の予定では6月5日から始まる第8節が初お目見えであったはずである。中途半端に第6節の最終日からになった事情は推測しかできない。

 工事の予定が本来であれば第6節終了翌日の5月26日から第8節が始まる前日の6月4日までに組まれていたはずであるが、5月25日に設置工事が行われたということは、元々26日(月)に工事が予定されていて、27日以降は施工業者の予定が詰まっていたところ、25日(日)が雨で試合中止となってしまって26日にも順延試合を行わなければならなくなったため、設置工事を1日早めて雨の中、25日(日)に工事を行い、26日が初試合になったとしか考えられない。

 戦後の復興期だったので、施行業者のスケジュールもギリギリ一杯だったのだろう。当然、施工に従事した方々には休日出勤手当てが支払われたはずである。