2014年5月31日土曜日

御礼




 日頃より当ブログをご愛読いただきありがとうございます。


 下の写真は毎日のページビュウの1か月分の推移です。5月13日と14日に跳ね上がっているのは、オリックスの西が開幕7連勝を達成し、この記録が球団としては昭和14年の高橋敏以来の記録であると伝わり、「高橋敏」を調べようとした人達が当ブログにアクセスしたことによるものです。

 特異日を除くと、毎日150件前後で安定推移しています。当ブログは継続的に愛読していただいている方々に支えられております。4年前にブログを開設する際、当ブログが追及するテーマに興味を持つ方は100人前後で、その内半分の50人程度の方に読んでいただければ成功ではないかと考えていました。ページビュウ数=読者数ではないとは思いますが、100人前後の方々に継続的に読んでいただいている模様です。

 当ブログのテーマは、アクセス数が拡大する性格のものではありませんが、野球史研究の分野においては他の追随を許さないレベルであると自負しております。昨今、当ブログに登場する選手の「Wikipedia」には当ブログからの引用により内容が充実しているケースが多く見られます。前述の「高橋敏」の「Wikipedia」など、以前は全く内容のないものでしたが、当ブログからの引用により充実した内容に変貌を遂げております。筆者は「Wikipedia」の編集はしませんが、事実を正確に伝えることを目的とした「Wikipedia」の編集については、当ブログからの引用を推奨させていただきます。










 

16年 南海vs巨人 10回戦


10月6日 (月) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 南海 30勝36敗 0.455 神田武夫
0 0 0 1 0 0 2 0 X 3 巨人 49勝18敗2分 0.731 広瀬習一

勝利投手 広瀬習一   4勝1敗
敗戦投手 神田武夫 19勝12敗

二塁打 (巨)平山

勝利打点 水原茂 5


南海、2安打ながら全員残塁

 巨人は4回、先頭の川上哲治が中前打で出塁、中島治康が四球を選んで無死一二塁、平山菊二は左飛に倒れ、呉波の二ゴロで中島は二封、呉が二盗を決めて二死二三塁、楠安夫の遊撃内野安打で三走川上が還り1点を先制、三塁をオーバーランした二走呉は「6-5」と送球されてタッチアウト。

 南海は6回、先頭の村上一治が四球を選んで出塁、木村勉が送って一死二塁、岡村俊昭の一ゴロをファースト川上がエラー、一死一三塁から前田貞行の打席で同点を狙うスクイズを敢行するがウエストされて三走村上が三本間に挟まれ「2-1-2」と渡ってタッチアウト。前田は四球、神田武夫も四球で二死満塁、柳鶴震が押出し四球を選んで1-1の同点とする。

 巨人は7回、先頭の呉が中前打、楠が送って一死二塁、広瀬習一が右前打を放ち一死一三塁、トップに返り白石敏男が四球を選んで一死満塁、このチャンスに水原茂が決勝の2点タイムリーを放って3-1と勝ち越す。

 巨人先発の広瀬習一は南海打線を2安打に抑えたが11四球を乱発した。8回まで毎回走者を許し三者凡退は9回の1イニングだけ、しかし南海も1点しか奪えず、2安打ながら12残塁、しかも全員残塁であった。


 南海先発の神田武夫は京都商業の出身、巨人先発の広瀬習一は大津商業の出身。当時甲子園には京津代表が出場するので滋賀と京都の代表で京津大会を行い京津代表を決める訳で、上田龍著「戦火に消えた幻のエース 巨人軍・広瀬習一の生涯」では同年代の神田と広瀬は高校時代からライバルであったとされている。


 但し、広瀬がエースになったのは最終学年であり、それまでは内野手であった。また、当時の京都と滋賀のレベルには大きな隔たりがあり、京都球界は滋賀球界など歯牙にもかけていなかったと考えられることから、ライバル関係が成立する要素は見出せない。筆者の小学校から高校時代は千葉県高校野球の黄金時代でした。当時は千葉県と茨城県の代表で東関東大会を行い、甲子園に出場するのは東関東代表としてでした。筆者が応援していた銚子商業が甲子園に出るには、千葉県予選で必ずぶつかる最大の難関にして最強のライバルであった成東高校を降さなければなりません。実際、1972年~75年は千葉県予選で4年連続銚子商業が1点差で成東を降して勝ち上がっています。それでももう一つのライバル習志野に阻まれることもある訳です。74年、75年に2年連続で銚子商業と習志野が全国制覇を成し遂げましたが、「甲子園で優勝するより千葉県代表になる方が難しい」と言われていました。前述のとおり当時は東関東代表の座を茨城勢と争う訳ですが、はっきり言って茨城勢に負けるなどとは微塵も考えていませんでした。それ程レベルが違っていたのです。このような構図の中でライバル関係が成立するのは銚子商業、成東、習志野だけでした。百歩譲っても木更津中央と千葉商業が加わるだけです。


 それでも竜ヶ崎一高や取出一高が東関東大会で千葉勢を破って甲子園に出場することもあり、剛腕・戸田を擁する鉾田一高には勝てる気がしなかったのも事実です。広瀬と神田の時代は筆者が知っている時代の千葉と茨城以上に京都勢と滋賀勢には力の差がありました。当時の雑誌を見ても神田武夫の名前は広く鳴り響いており、プロ入り前には打者転向説がまことしやかに伝わるなどマスコミの注目を集めていましたが、広瀬習一の名前は記録としてしか見ることはできません。したがって、両者にライバル関係が成立する要素は見当たりません。






*広瀬習一は南海打線を2安打に抑えて4勝目をあげる。但し11四球を与えた。












*昭和15年、第17回センバツに出場した京都商業の神田武夫投手。










*昭和14年、第16回センバツに出場した大津商業の広瀬習一遊撃手。(いずれも「選抜高等学校野球大会50年史より)









2014年5月29日木曜日

16年 名古屋vs大洋 10回戦




10月6日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 2 0 0 0 0 0 2 名古屋 31勝36敗 0.463 村松幸雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大洋    38勝28敗1分 0.576 三富恒雄 長尾貞利

勝利投手 村松幸雄  10勝7敗
敗戦投手 三富恒雄 4勝8敗


本塁打 (名)吉田 3号

勝利打点 吉田猪佐喜 6

ファインプレー賞 (大)濃人渉 5


吉田猪佐喜、決勝ツーラン

 名古屋は2回、先頭の大沢清が中前打を放つが服部受弘の三ゴロは「5-4-3」と渡ってダブルプレー。3回、二死後村松幸雄が四球で出塁、トップに返り石丸藤吉がレフト線にヒット、桝嘉一も左前打で続いて二死満塁、しかし古川清蔵は三振に倒れる。

 名古屋は4回、先頭の大沢が四球で出塁、服部受弘の投ゴロで大沢は二封、一死一塁から吉田猪佐喜がレフトスタンドにツーランホームランを叩き込んで2点を先制する。

 名古屋はこの後9回まで無安打に終わる。

 大洋打線は名古屋先発の村松幸雄を打てず、六番濃人渉が2安打を記録したが一番から五番までノーヒットに抑え込まれた。


 村松幸雄は4安打2四球2三振で今季4度目の完封、10勝目をあげる。

 決勝ツーランを放った吉田猪佐喜は強打の割には資料がほとんど残されていない。但し、「小西得郎」でグーグル検索してみると松竹ロビンス時代の画像で吉田和生(吉田猪佐喜)の柔らかいバッティングフォームを見ることができます。昭和25年の松竹水爆打線では、レフトは前半戦は木村勉、後半戦は吉田猪佐喜(吉田和生)が務めています。





*村松幸雄は4安打完封で10勝目をあげる。











*吉田猪佐喜が決勝ツーランを放った名古屋打線。
















 

16年 黒鷲vs阪急 10回戦


10月6日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
1 0 0 0 1 2 1 0 0  5 黒鷲 24勝43敗 0.358 石原繁三
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 阪急 40勝26敗1分 0.606 中田武夫 笠松実

勝利投手 石原繁三 4勝7敗
敗戦投手 中田武夫 1勝2敗

二塁打 (黒)谷

勝利打点 玉腰忠義 2

猛打賞 (急)新富卯三郎 2

ファインプレー賞 (黒)中河美芳 12、山田潔 9


連続犠飛

 黒鷲は初回、先頭の山田潔が四球で出塁、宗宮房之助は三振に倒れるが富松信彦の打席で山田が二盗に成功、富松も三振に倒れるが中河美芳が四球を選んで二死一二塁、玉腰忠義が中前にタイムリーを放って1点を先制する。

 黒鷲は5回、先頭の清家忠太郎が四球で出塁、石原繁三は三振に倒れるが谷義夫がライト戦に二塁打を放って一死二三塁、阪急ベンチはここで先発の中田武夫から笠松実にスイッチ、トップに返り山田がスクイズを決めて2-0とする。

 黒鷲は6回、先頭の富松がストレートの四球で出塁、中河が右前打、玉腰がツーワンと追い込まれながらも四球を選んで無死満塁、木下政文の中犠飛で3-0、二走中河と一走玉腰ももタッチアップから進塁して一死二三塁、清家の右犠飛で4-0と突き放す。

 黒鷲は7回、二死後宗宮がストレートの四球で出塁、富松のレフト線ヒットで二死一二塁、中河が三遊間にタイムリーを放って5-0とダメ押す。


 石原繁三は新富卯三郎に3安打を許すが阪急打線を7安打3四球1三振に抑えて今季2度目の完封、4勝目をあげる。


 快調・黒鷲は8安打に足を絡めて5得点を奪って快勝した。得点を奪った回は全て最初の走者が四球で出塁、先制点はフェンス激突の怪我から復帰してきた玉腰忠義のタイムリー、5回にはスクイズで2点目、6回は好走塁と2本の犠牲フライで試合を決める2点をあげた。守っても中河美芳が一塁手部門でトップの12個目となる「ファインプレー賞」、山田潔も遊撃手部門でトップの9個目となる「ファインプレー賞」を獲得した。







*石原繁三は今季2度目の完封で4勝目をマークする。











*快調に白星を重ねる黒鷲打線。




















 

2014年5月28日水曜日

訂正のお知らせ




 今季のスコアカードから「好守」、「好捕」、「一塁手好捕」の記載が認められることから、当ブログでは「ファインプレー賞」としてお伝えしてきております。大半が後楽園球場の試合で記載されていることから広瀬謙三が付けているのではないかと推測されます。山内以九士が正式に公式記録員として採用されて関西の試合を担当するようになったとも推測され、関西の試合でも僅かですが記載されています。


 一塁手では中河美芳が圧倒的に多数の美技を見せているところですが、4月29日の名古屋戦で一試合2個の美技を記録した試合以降、1つずつ少なくお伝えしていました。順次訂正させていただき、10月5日の名古屋戦は「10」→「11」となります。10月6日の阪急戦でも1個記録しますが今季12個目となりますのでご了承ください。


 ご迷惑をおかけいたしますがよろしくお願いいたします。






 

2014年5月27日火曜日

三冠への道 2014 その4



 月間MVPの季節が近づいてきました。数字は全て5月26日(現地時間)現在です。


 ア・リーグ打撃部門はトロントのエドウィン・エンカーナシオンが断トツの13本塁打で一歩リード。エンカーナシオンの26打点を上回る27打点のミゲール・カブレラ(「以下「ミギー」)が復調してきたように見えます。打率はエンカーナシオンの2割7分6厘に対して3割6分7厘、但し本塁打は5本と少ない。まだ復調途上、というより勤続疲労から抜け切れていないと見ます。打撃好調のヴィクター・マルチネスは8本塁打16打点3割7分9厘と数字のバランスがいい。東地区トップを行くブルージェイズを牽引するエドウィン・エンカーナシオンと、中地区トップを行くデトロイト・タイガースのミギー、ヴィクター・マルチネスの争いですがエンカーナシオン優位は動かないでしょう。西地区4位ながら勝率5割と珍しく調子のいいシアトル・マリナーズのロビンソン・カノも18打点3割6分7厘と調子がいいが1本塁打では圏外です。



 ナ・リーグ打撃部門は7本塁打23打点4割1分1厘のヤシエル・プイグと2か月連続を狙う7本塁打14打点3割9分5厘のトロイ・トゥロウィツキーとの一騎打ちです。DL入りで脱落したホセ・アブレイユに代わってヤシエル・プイグがキューバ旋風を引き継ぎます。マイアミのジャンカルロ・スタントンが7本塁打18打点3割7分5厘、サンディエゴのセス・スミスが4本塁打13打点3割6分8厘で続きます。今月ここまで36安打を放って安打数でプイグに次ぐ二位に付けるニューヨーク・メッツのデビット・ライトは打率は3割5分ですが2本塁打12打点では圏外ですね。



 投手部門は両リーグとも混戦です。まだ今月最終登板を控えている有力候補もいますので現時点での軽率な発言は控えます。投手部門は1か月では母数が少なすぎて1試合で様相が激変するので最終結果が出てから予想を公表します。















 

2014年5月26日月曜日

16年 阪神vs巨人 9回戦


10月5日 (日) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 4 0 0 0 0 0 0 0  4 阪神 31勝34敗 0.477 松本貞一
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 巨人 48勝18敗2分 0.727 中尾輝三 泉田喜義

勝利投手 松本貞一   3勝2敗
敗戦投手 中尾輝三 18勝8敗

二塁打 (神)土井垣 (巨)千葉

勝利打点 なし

猛打賞 土井垣武 1、森国五郎 2


松本貞一、巨人打線を翻弄

 阪神は2回、先頭の土井垣武が右前打、上田正が四球を選んで無死一二塁、松本貞一の三前送りバントが内野安打となって無死満塁、野口昇は三振に倒れて一死満塁、続く森国五郎の投ゴロは絶好のゲッツーチャンス、と思われたところこれをピッチャー中尾輝三がホームに悪送球、三走土井垣に続いて二走上田もホームに還って2点を先制、翌日の読売新聞によると「中尾は不覚にも尻餅をつきその崩れた体勢のままで投じた球が悪投となり・・・」とのこと。一走松本は三塁に進み打者走者の森も二塁に進んで一死二三塁、トップに返り宮崎剛の右前タイムリーで3-0、なお一死一三塁から皆川定之がスクイズを決めて4-0とする。

 巨人は初回、二死後千葉茂が右翼線に二塁打、しかし川上哲治は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 巨人は初回の千葉の二塁打で阪神先発の松本貞一を舐めてかかったようだ。2回~5回は全て三者凡退。6回には一死後中尾が中前打、白石敏男の三振後水原茂の右前打で二死一三塁とするが千葉は三ゴロに倒れる。7回も先頭の川上が二遊間に内野安打、中島治康と平山菊二は左飛に倒れるが楠安夫が四球を選んで二死一二塁、呉波の中前打で二走川上がホームを突くがセンター森からのバックホームを中継したピッチャー松本がホームに送球してタッチアウト。8回も二死後水原と千葉が連続四球、しかし川上は中飛に倒れてこの回も無得点。9回は先頭の中島が左飛、平山は右前打を放つが楠は三ゴロ、呉は二飛に倒れて松本貞一の前に完封負けを喫する。


 巨人の攻撃を見て何かお気づきでしょうか?

 ヒットは全てセンターから反対方向へのものですが凡打は引っ張りばかり。実際、4打数無安打の中島治康は第一打席の投ゴロの後は三打席連続左飛に倒れる。右打ちの千葉茂も2度の凡退は遊ゴロと三ゴロ。4打数無安打2三振の白石敏男は残る2つの凡退が左飛と遊ゴロ。好打の呉波までが中前打以外は一邪飛、二ゴロ、二飛とほぼ全員が引っ張っての凡打を繰り返すばかりであった。

 翌日の読売新聞は「巨人打線は選球の余裕を失って悪球を振回し松本の超緩球に名をなさしめてしまった」と伝えている。巨人打線が松本貞一の緩球を引き付けてセンターから逆方向に打つバッティングに徹していればこの試合の結果も逆方向に行っていたかもしれません。







*松本貞一は巨人打線を6安打に抑えて今季2度目の完封、3勝目をあげる。















*巨人打線は松本貞一の超緩球を引っ張り回して零封された。凡退時の打球方向にご注目ください。投ゴロと中飛を除き、流し打った凡打は泉田喜義の三邪飛だけです。











 

2014年5月25日日曜日

対決! その6



 筆者が兄弟ブログ「ルーミンのたてがみ」に書いた「ハープスターの負け方」を転載します。


 当ブログは昨日、

 「負けるとしたら距離の壁、600メートルを全速で走る能力はNo1ですが、1600mのレースでは600m走るまでに1000mで済むところ、2400mを走るには1800mかかります。果たして桜花賞と同じ脚が使えるのか。
 筆者はどうしても1991年のオークスを思い起こしてしまいます。あの時も桜花賞を快勝したシスタートウショウが断然の人気となりましたが、勝ったのはイソノルーブルでシスタートウショウは直線怒涛の追い込みを見せましたが届かず2着でした。イソノルーブルの再現を期待できる馬はバウンスシャッセであると考えています。ハープスターと追い比べになれば勝てる馬はいませんが、早めに抜け出して末脚が確りしているタイプが追い込み馬を封じ込むと見ます。「逃げて差す」イソノルーブルがそんなタイプだったのです。」

と書かせていただきました。

 結果は、早目に抜け出したのが三着のバウンスシャッセではなくヌーヴォレコルトであったというだけで、ハープスターの負け方を的確にお伝えすることができました。

 陣営はハープスターが負ける覚悟があったと思います。「負けるとしたら距離」、「体型はマイラータイプ」という松田博調教師のコメントは何回も各種マスコミを通じて伝わっていました。しかし、ハープスターが勝つという結論を前提とした各種マスコミは松田博調教師の苦渋のコメントを無視して「ハープスターが勝つんだぁ~」と絶叫していました。

 それに輪をかけたのが“競馬評論家”と称する輩です。スポニチ本紙予想は「初の芝2400でも力が違う」、「匠の視点」は「『どんな勝ち方をするか』この一点」と煽っていましたが、哀れなのはこのような競馬評論家どもの予想を信じた罪もない善意のファンの方々です。

 馬券歴38年「さすらいの馬券師」筆者にとって本日のオークスは39回目のオークスです。現在“競馬評論家”と称する輩の中で、筆者程のキャリアを持っている人は果たして何%を占めるのでしょうか。筆者の良く当たる予想では、10%に満たないと読んでいます。ハープスターの負け方をこれ程までに的確に事前予想した競馬評論家と称する方はいらっしゃいましたでしょうか?

 馬券はハズしましたが、こういうハズレ方は気分がいいので今夜の酒は旨い。「もう呑んでいるのか~」と突っ込まれそうですが、オークスの前に近所を5キロほどジョギングしてきましたので免責されます(笑)。=更新時刻18:00(筆者注)

*以上、転載終わり

http://luminn.blogspot.jp/2014/05/blog-post_2345.html


 池江泰郎元調教師「匠の視点」の予想は書くまでもなく本命は一番人気のハープスター、対抗が二番人気のヌーヴォレコルトでした。予想を馬連にしておけば当たっていたものを敢えて馬単にしてハズしています(笑)。しかもご丁寧に見出しには臆面もなく「『どんな勝ち方をするか』この一点」として買い煽っていました。これだけの人気を背負えば馬単と馬連のオッズはそう変わりません。馬単にするメリットは人気薄が勝った時にあるので、人気馬から買うときは馬連にするのが常識です。この程度の常識は理解してから「匠の視点」を名乗ってくださいね。




 上記筆者の前日予想の通り、松田博調教師の苦渋のコメントからも分かるように、陣営は負けを覚悟していました。しかし、ハープスターが出走しなければ馬券が売れないのは必定であり、距離不向きを承知の上で出走させざるをえなかったのです。それに輪をかける“競馬評論家”を標榜する日和見どもの罪は重いと断罪できます。


 三連複を少し的中させましたがこんなものは的中とは認定しませんので本日の勝負は引分けとします。「ハープスターの負け方」を的確に示唆した筆者と、「『どんな勝ち方をするか』この一点」と買い煽るだけの「匠の視点」と、どちらが正しい予想であったかの判断は、読者の方々に委ねます。


*対戦成績 「さすらいの馬券師」2勝vs「匠の視点」0勝 3分け









 

16年 朝日vs南海 9回戦


10月5日 (日) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 朝日 22勝44敗 0.333 山本秀雄
0 0 2 0 0 0 0 0 X  2 南海 30勝35敗 0.462 川崎徳次

勝利投手 川崎徳次 7勝14敗
敗戦投手 山本秀雄 5勝15敗

二塁打 (南)木村、柳

勝利打点 村上一治 9


柳鶴震、攻守に活躍

 南海は初回、先頭の国久松一が四球で出塁するが安井鍵太郎の二直に戻れずゲッツー。2回は一死後木村勉がレフト線に二塁打、二死後前田貞行の左前打で一三塁とするが川崎は遊ゴロに倒れる。

 南海は3回、先頭の柳鶴震が左中間に二塁打、トップに返り国久は中飛、安井は三振に倒れるが岩本義行が四球を選んで二死一二塁、ピッチャー山本秀雄からの一塁牽制球をファースト広田修三が後逸する間に二者進塁して二死二三塁、この拾い物のチャンスに村上一治が左前打、二者を迎え入れて2-0とする。

 朝日は4回から4イニング連続併殺を喫して無得点のまま試合を終える。

 川崎徳次は5安打2四球4三振で今季2度目の完封、7勝目をあげる。


 南海守備陣が記録した4併殺は全てセカンド柳鶴震を基軸にしたものであった。4回は「1-4-3」、5回は「4-6-3」、6回は「6-4-3」、7回は二直を二塁に送って「L4-6B」。投ゴロ併殺の場合は、ファーストに投げやすいショートが二塁ベースカバーに入るケースが多いが、4回の投ゴロではセカンドの柳鶴震が二塁に入っている。大洋(旧セネタース)でもセカンドの苅田久徳が入るケースが多いがこれは苅田が巧いからであることは誰にでも理解できるでしょう。柳鶴震は年間最多失策記録の保持者であるが、一方で球界では国久松一に次ぐ強肩の持主であることから投ゴロ併殺の場合の二塁ベースカバーを任されているようだ。大洋ホエールズ時代のシピンが強肩を生かすために投ゴロ併殺の際、二塁ベースカバーに入っていたのと同じことです。


 柳鶴震は打っても2打数2安打二塁打1本で決勝のホームを踏む活躍を見せた。快調南海はこれで4連勝。川崎の完封で神田武夫を休ませることができたのが大きい。


 南海の四番に定着している村上一治が9個目の勝利打点を記録した。現在勝利打点トップは川上哲治の13個であるが、巨人の49勝に占める比率は2割6分5厘に過ぎない。第二位の村上は南海の30勝のうち3割に相当する9試合で勝利打点を記録しており、当代随一の勝負強さと言っていいでしょう。村上一治は東邦商業時代、昭和9年センバツ決勝の浪華商業戦で延長10回サヨナラ打を放って母校の初優勝に貢献している。勝負強さは天性のものでしょう。











*川崎徳次は今季2度目の完封で7勝目をあげる。











 

16年 大洋vs阪急 10回戦


10月5日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 大洋 38勝27敗1分 0.585 野口二郎
0 0 0 0 1 0 0 0 0  1 阪急 40勝25敗1分 0.615 森弘太郎

勝利投手 森弘太郎 22勝6敗
敗戦投手 野口二郎 20勝9敗

二塁打 (急)日比野、新富
三塁打 (急)山田

勝利打点 フランク山田伝 5


森弘太郎、今季8度目の完封

 大洋はここまで20勝の野口二郎、阪急はここまで21勝の森弘太郎と両エースが先発するが野口は肩に不安、森は肘に故障を抱えている。

 大洋は一番に苅田久徳が入る。苅田の一番セカンドは9月20日の南海戦以来のこと。

 その苅田が第一打席でいきなり中前打、中村信一の二ゴロでランナーが入れ替わり、森田実の遊ゴロで再度ランナーが入れ替わり、石井豊の右前打で二死一二塁とするが野口二郎は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 阪急は2回、二死後日比野武が右翼線に二塁打、森田定雄が四球を選んで二死一二塁、しかし江口行男は遊ゴロに倒れる。3回は先頭の森が中前打、トップに返り黒田健吾の送りバントは森が二封されて失敗、フランク山田伝の中前打で一死一二塁とするが上田藤夫の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー。4回も先頭の新富卯三郎が左中間に二塁打を放つが中島喬、日比野が連続三振、森田定雄が四球を選ぶが江口は右飛に倒れてこの回も無得点。

 阪急は5回、一死後黒田が四球を選んで出塁、山田がカウントワンワンからの3球目をセンター左奥に三塁打、1点を先制する。これが決勝点となった。


 森弘太郎は安定した投球で4安打1四球3三振、今季8度目の完封でエース対決を制し22勝目をあげる。








*森弘太郎は4安打完封で野口二郎に投げ勝つ。
















*森田定雄と江口行男が並ぶ阪急打線。この二人は当ブログが歴史の闇から引きずり出してきた選手ですが、スタメンに並んだのはこの試合が初めてのこととなります。8月11日の名古屋戦でも同時にスタメン出場していますがこの時は森田が六番、江口が八番でした。









 

2014年5月24日土曜日

16年 黒鷲vs名古屋 11回戦


10月5日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
1 1 2 0 1 0 0 0 0  5 黒鷲     23勝43敗 0.348 金子裕 石原繁三
0 0 0 0 0 0 0 0 1  1 名古屋 30勝36敗 0.455 河村章 村松幸雄 松尾幸造 岡本敏男

勝利投手 石原繁三 3勝7敗
敗戦投手 河村章   13勝8敗

勝利打点 中河美芳 6

ファインプレー賞 (名)服部受弘 1 (黒)中河美芳 11


黒鷲、効率の良い攻めで快勝

 黒鷲は初回、二死後富松信彦がストレートの四球で出塁すると二盗に成功、中河美芳が中前に先制タイムリーを放って1-0、中河は盗塁失敗。

 黒鷲は2回、一死後木下政文が中前打で出塁するとパスボールで二進、清家忠太郎の遊ゴロの間に三進、キャッチャー服部受弘からの三塁牽制球をサード芳賀直一が後逸する間に木下が還って2-0とする。

 黒鷲は3回、先頭の谷義夫が右前打で出塁、トップに返り山田潔の遊ゴロをショート石丸藤吉がエラー、宗宮房之助はストレートの四球で無死満塁、名古屋ベンチはここで先発の河村章から村松幸雄にスイッチ、富松の一ゴロはファースト大沢清からバックホームされて三走谷は本封、中河の二ゴロ併殺崩れの間に三走山田が還って3-0、二死一三塁からダブルスチールを決めて三走宗宮がホームイン、4-0とリードを広げる。

 黒鷲は5回、先頭の谷が左前打で出塁、トップに返り山田は遊飛に倒れるが宗宮の右前打で一死一三塁、富松の中犠飛で5-0、着々と加点する。

 黒鷲先発の金子裕は3回に3四球を出すが無失点で切り抜ける。4回、先頭の大沢に右前打を許すとリリーフの石原繁三に交代、石原が後続を3人で片付ける。

 名古屋は6回、桝嘉一、古川清蔵の連打で無死一二塁とするが大沢は右飛、服部の投ゴロは「1-4-3」と渡ってダブルプレー。7回も一死後芳賀に代わる代打本田親喜、木村進一が連続四球を選ぶが松尾幸造は三振、石丸藤吉は遊ゴロに倒れる。

 名古屋は最終回、先頭の服部が左前打、吉田猪佐喜に代わる代打岩本章の右翼線ヒットで無死一三塁、本田が左前にタイムリーを放って1点を返す。更に木村進一が右前打を放ち4連打で無死満塁、一発出れば同点の場面を迎えるが、岡本敏男に代わる代打三浦敏一は一飛、トップに返り石丸藤吉の三ゴロで三走岩本は本封、最後は桝が二ゴロに倒れて試合終了となった。


 名古屋は終盤、三番手に松尾幸造、四番手に岡本敏男をマウンドに送る小刻みな継投で黒鷲の勢いを止め、最終回あわやという場面まで迫ったが10残塁を記録して敗れ去った。


 一方、黒鷲は5回まで5安打で5得点、結局6安打2残塁の効率の良い攻撃を見せて8安打の名古屋に快勝した。



















 

2014年5月23日金曜日

16年 朝日vs巨人 11回戦


10月4日 (土) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 1 0 0 2 0 1 0 4 朝日 22勝43敗 0.338 野村高義 福士勇
1 0 0 1 0 0 0 0 0 2 巨人 48勝17敗2分 0.738 広瀬習一

勝利投手 福士勇   17勝20敗
敗戦投手 広瀬習一 3勝1敗

二塁打 (朝)伊勢川、戸川 (巨)川上

勝利打点 戸川信夫 1


伊勢川真澄、戸川信夫連続適時二塁打

 巨人は初回、一死後水原茂が四球を選んで出塁、千葉茂の投ゴロをピッチャー野村高義が二塁に送球するが併殺を焦ったショート五味芳夫が落球、川上哲治は左飛に倒れて二死一二塁、中島治康がレフト線にタイムリーを放って1点を先制する。

 朝日は3回、先頭の野村が右前打で出塁、室脇正信が送って一死二塁、トップに返り坪内道則の左前打で一死一三塁、五味が汚名挽回の中犠飛を打ち上げて1-1の同点に追い付く。

 巨人は4回、一死後楠安夫、平山菊二が連続四球、呉波の右前打で一死満塁、朝日ベンチはここで先発の野村から福士勇にスイッチ、広瀬習一がセンター右にタイムリーを放って2-1と勝ち越す。しかしこの一打で打者走者の広瀬は前のランナーが進んでいないにもかかわらず一塁をオーバーランして「8-1-3」と送球されて憤死、続く白石敏男は中飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 朝日は6回、二死後岩田次男が四球を選んで出塁、伊勢川真澄が左中間に同点二塁打を放って2-2、戸川信夫が右翼線に逆転二塁打を放って3-2とリードする。

 朝日は8回、一死後五味が四球を選んで出塁、岩田の左前打で一死一二塁、伊勢川は中飛に倒れるが、戸川信夫が右前にタイムリーを放って4-2と突き放す。

 朝日二番手の福士勇は8回、一死後川上に左翼線二塁打を許し、中島を歩かせて一死一二塁、楠を一邪飛に打ち取り二死一二塁、平山の一打はスコアカードには「1.4-6B」と記録されているので、ピッチャー福士を襲った痛烈な当たりを福士がグラブに当て、バックアップしたセカンド戸川信夫が二塁ベースカバーのショート五味に送球して一走中島を封殺したようだ。9回も先頭の呉に四球を与え、広瀬の遊ゴロでランナーが入れ替わりトップに返って白石に左前打を浴び一死一二塁、しかし水原の遊ゴロで一走白石を二封、最後は千葉をセカンドフライに打ち取り17勝目をあげる。


 この日の4試合は後楽園では黒鷲が大洋を、名古屋が阪急を破り、中百舌では南海が阪神を、朝日が巨人を破り、全試合で下位チームが上位チームを破ったのである。翌日の読売新聞の見出しは「東西で番狂わせ」。


 広瀬習一はプロ入り初の敗戦投手となった。直節的原因は伊勢川真澄、戸川信夫に連続二塁打を浴びて逆転され、戸川には追撃のタイムリーも許したことにあるが、6回と8回の失点は共に得点を許した走者を四球で歩かせているのである。当ブログは、ここに広瀬の敗因を求める。また、上田龍著「戦火に消えた幻のエース 巨人軍・広瀬習一の生涯」によると、広瀬のボールは「小さな腕の振りから、リストの強さを生かしたスナップスローで、スライダーやシュート、シンカーを投げ分けていた」、「投げる球はほとんど変化する」ということであるが、翌日の読売新聞によると「伊勢川、戸川(信)が何れも広瀬の直球を狙って長打を連らね」、「直球を狙われた巨人バッテリーの若さ・・・」とのことで、この日の広瀬のボールは変化していなかったようだ。

 更に、4回に一時はリードを奪うタイムリーをセンター右に放った広瀬は一塁をオーバランしてアウトとなり、追撃のチャンスを自ら潰している。「戦火に消えた幻のエース」によると広瀬は陸上短距離走でも名を成した可能性がある程の健脚を誇り、一説によると「暁の超特急」と云われた吉岡隆徳に指導を受けたそうである。このオーバーランは自らの脚を過信したのであろうか。矢張りこの試合は広瀬の若さが露呈されたと評価するべきでしょう。


 なお、読売新聞に「戸川(信)」と表記されているのは、この時点では朝日に戸川信夫と戸川須賀男が在籍しているためです。







*4回、センター右にタイムリーを放った広瀬習一は前にランナーが詰まっているにもかかわらずオーバーランして「8-1-3」で刺された。














 

16年 南海vs阪神 10回戦


10月4日 (土) 中百舌鳥

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 1 0 0 0 0 2 南海 29勝35敗 0.453 神田武夫
0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 阪神 30勝34敗 0.469 藤村隆男 三輪八郎

勝利投手 神田武夫 19勝11敗
敗戦投手 藤村隆男   8勝9敗

勝利打点 神田武夫 2


神田武夫、投打に奮闘

 南海は地元中百舌鳥球場での開催とあってエース神田武夫が三連投のマウンドに上がる。

 南海は2回、一死後木村勉が中前打、岡村俊昭が左前打で続き、前田貞行が四球を選んで一死満塁、このチャンスに神田武夫が右前にタイムリーを放って1点を先制する。

 阪神は3回、先頭の藤村隆男が左前打で出塁、皆川定之が送って一死二塁、トップに返り宮崎剛は三塁線にヒット、二走藤村は動けず一死一二塁、森国五郎が二遊間に内野安打して一死満塁、しかし三番・カイザー田中義雄は浅い中飛、四番・松下繁二は三ゴロに倒れて同点機を逸す。

 南海は5回、先頭の岩本義行が中前打、村上一治が右前打を放って無死一三塁、阪神ベンチは先発の藤村から三輪八郎にスイッチ、木村は三振に倒れるが岡村は四球で一死満塁、前田が押出し四球を選んで2-0とする。

 阪神は6回、先頭の田中が左前打で出塁、松下は遊飛に倒れるが松木謙治郎は四球、上田正の左前打で一死満塁、村瀬一三に代わる代打土井垣武の中犠飛で1-2と詰め寄る。


 神田武夫は7回以降の阪神の反撃を抑え、7安打2四球2三振の完投で19勝目をあげる。神田はこれで4連勝、2試合連続完封に続く3試合連続完投勝利でハーラートップの森弘太郎に2勝差、二位の野口二郎に1勝差に迫ってきた。森が肘に故障、野口が肩に不安を抱えているだけに、ハーラー争いは混沌としてきた。


 決勝打を放って勝利打点も記録した神田の活躍で南海は3連勝、阪神に1ゲーム差に迫る。9月28日、10月2日、そして地元中百舌鳥球場での本日と、南海の3連勝は全て神田武夫の完投勝利である。神田が完全にエースに脱皮したのがこの3連勝であるが、同時に神田の体を蝕んでいったのである。





*神田武夫は3試合連続完投で19勝目をあげる。








*神田武夫は打っても4打数2安打で勝利打点を記録した。






 

2014年5月22日木曜日

16年 阪急vs大洋 9回戦


9月28日 (日) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 39勝23敗1分 0.629 浅野勝三郎 橋本正吾
2 2 0 0 0 0 0 0 X 4 大洋 38勝24敗1分 0.613 野口二郎

勝利投手 野口二郎   20勝7敗
敗戦投手 浅野勝三郎 2勝6敗

二塁打 (急)森田
三塁打 (大)野口

勝利打点 野口二郎 5


野口二郎20勝!

 翌日の読売新聞によると森弘太郎が肘を痛めて投げられないということで阪急は浅野勝三郎が先発する。

 大洋は初回、先頭の中村信一が四球を選んで出塁、濃人渉がレフト線にヒット、森田実の捕前送りバントをキャチャー日比野武が一塁に悪送球、犠打エラーが記録されて無死満塁、野口二郎が先制の中犠飛を打ち上げて1-0、石井豊の遊ゴロで森田が二封されて二死一三塁、石井がスタートを切って二盗に成功、キャッチャー日比野はこの時三走濃人のリードを見て三塁に送球するがこれが悪送球となる間に濃人が還って2-0とする。浅野には自責点1が記録された。中村の三塁進塁は森田の犠打によるもので日比野の1個目のエラーは自責点には影響していない。

 大洋は2回、一死後佐藤武夫が四球で出塁、織辺由三の中前打で無死一二塁、トップに返り中村の右前打で一死満塁、濃人の中犠飛で3-0、森田の右前タイムリーで4-0と突き放す。

 大洋先発の野口二郎は序盤のリードを背景に快調なピッチングを続け、3安打2四球3三振で今季9度目の完封、20勝目をあげる。野口は肘を痛めたハーラートップの森弘太郎に1勝差に迫ったが、野口二郎も肩に不安を抱えているだけにまだ最多勝のタイトル争いは予断を許さない。


 大洋は2本の犠飛で序盤にリードを奪い野口の好投で逃げ切った。試合巧者らしいゲーム運びであった。


 当ブログではスコアカードから「犠牲フライ」であると読み取れるケースは犠飛としてお伝えしていますが、公式式記録では今季から「犠牲フライ」は記録されていませんのでご注意ください。ルール改正があった訳ではなく、当ブログは、軍部の顔色をうかがいながら生き残りを図る聯盟の苦肉の策が真相ではないかと睨んでいます。軍部の見解は、外野フライで走者が進塁するのは当然のことで、打数から除外することは敢闘精神に反するという解釈であったと推測されます。


 Wikipediaによると「日本プロ野球では、1942年に軍部命令で犠牲フライが打数にカウントされるように規則が改正され、戦後1953年までこの状態が続いた。」とのことです。昭和16年シーズン終了後、正式にルール改正が行われた可能性がありますが、昭和16年からは既に犠牲フライは記録されていません。犠牲フライは昭和14年シーズン途中から公式記録となりましたが、昭和16年~28年まで公式記録から姿を消すこととなります。当ブログでは、昭和12年以降全ての「犠牲フライ」を犠飛としてお伝えしており、この方針は昭和24年まで継続する予定ですのでご注意ください。







*野口二郎は今季9度目の完封で20勝目をあげる。













 

チョンボと訂正のお知らせ



 9月28日に甲子園球場で行われた第二試合「阪急vs大洋9回戦」のアップが抜けていました。改めて実況中継させていただきますのでよろしくお願い申し上げます。また、この試合で野口二郎が2試合連続完封を記録しましたが、週間MVPの選定作業に反映されていませんでした。改めて選考作業を行った結果、第13節投手部門週間MVPに野口二郎を加えることに決定しましたので訂正させていただきます。


 なお、10月2日の「阪急vs南海10回戦」における神田武夫のピッチングに関する解説も変更しておりますのでご確認ください。




 

2014年5月20日火曜日

16年 名古屋vs阪急 9回戦


10月4日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 1 0 0 0 1 0 0 3 名古屋 30勝35敗 0.462 西沢道夫 森井茂
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 阪急     39勝25敗1分 0.609 江田孝 笠松実

勝利投手 森井茂 4勝4敗
敗戦投手 笠松実 9勝9敗

二塁打 (名)古川 (急)森田
三塁打 (急)新富
本塁打 (急)黒田健吾 3号

勝利打点 桝嘉一 3

ファインプレー賞 (急)上田藤夫 2、西村正夫 3


森井茂、変幻自在

 名古屋は初回、一死後桝嘉一が四球を選んで出塁、古川清蔵もストレートの四球で一死一二塁、大沢清の二ゴロをセカンド伊東甚吉は二塁ベースを踏んで一塁に転送するがこれが悪送球となる間に二走桝がホームに還り1点を先制する。

 阪急は1回裏、先頭の黒田健吾がレフトスタンドに同点ホームランを叩き込んで1-1、フランク山田伝は遊ゴロに倒れるが上田藤夫の遊ゴロをショート石丸藤吉がエラー、上田が二盗に失敗して二死無走者、ここで新富卯三郎が左中間を深々と破り三塁に向かい、レフト古川からの返球を中継したショート石丸藤吉の三塁送球が悪送球となる間に新富が一気にホームに還り2-1と逆転、記録は三塁打とエラーであった。

 阪急は2回、先頭の森田定雄が右中間に二塁打、名古屋ベンチはここで先発の西沢道夫から森井茂にスイッチ、伊東と江田孝は森井のスローカーブにタイミングが合わず連続三振、トップに返り黒田も二ゴロに倒れて無得点。ここが功名が辻であった。

 名古屋は3回、一死後石丸藤吉がストレートの四球を選んで出塁、桝も四球で一死一二塁、古川がレフト線に二塁打を放って2-2の同点に追い付く。阪急ベンチは先発の江田孝を下げて笠松実をリリーフに投入、笠松が後続を抑える。

 名古屋は7回、先頭の石丸進一がストレートの四球を選んで出塁、代走に木村進一を起用、トップに返り石丸藤吉は左飛に倒れ、桝の打席でワイルドピッチにより二走木村は三進、桝が左前に殊勲の決勝タイムリーを放って3-2と勝ち越す。


 2回からリリーフのマウンドに上がった森井茂は8イニングを2安打4四球無失点、6三振を奪う快投で4勝目をあげる。翌日の読売新聞は「救援に立った森井の緩急巧妙の使い分けとスロー、アウドロの的中」と伝えている。


 決勝打を放って勝利打点を記録した桝嘉一は3四球を選ぶ活躍、森井茂は2回からのロングリリーフで快投を見せた。投打のベテラン二人の健闘により名古屋は3連勝、借金を5に減らしてきた。










 

2014年5月19日月曜日

16年 黒鷲vs大洋 9回戦


10月4日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 1 1 0 0 2 黒鷲 22勝43敗 0.338 畑福俊英
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 大洋 38勝26敗1分 0.594 長尾貞利 野口二郎 三富恒雄

勝利投手 畑福俊英 7勝10敗
敗戦投手 三富恒雄 4勝7敗

三塁打 (黒)富松
本塁打 (大)山川 1号

勝利打点 富松信彦 3


畑福俊英、6イニング連続三者凡退

 大洋は初回、二死後森田実が中前打、四番・石井豊が右前打、山川喜作がストレートの四球を選んで二死満塁、しかし西岡義晴は中飛に倒れる。更に2回、先頭の佐藤武夫が四球で出塁、織辺由三は一飛に倒れるがトップに返り中村信一が四球を選んで二死一二塁、しかし濃人渉は一邪飛に倒れる。

 大洋は3回、二死後山川喜作がレフトスタンドに先制ホームランを叩き込んで1-0とする。

 黒鷲は5回まで5安打を放ちながら要所を大洋先発の長尾貞利に抑えられて無得点。

 黒鷲は6回、一死後中河美芳が一塁への内野安打で出塁すると二盗に成功、玉腰忠義が左前打を放って一死一三塁、大洋はここで先発の長尾から野口二郎にスイッチ、木下政文の三ゴロで三走中河はセオリー通り三本間に挟まれ「5-2-6-1」と時間を稼いでタッチアウト、この間に走者は三塁と二塁に進んで二死二三塁、清家忠太郎が中前に同点タイムリーを放って1-1と追い付く。

 大洋は7回から野口をライトに回して三富恒雄を三番手のマウンドに上げる。

 黒鷲は7回、二死後宗宮房之助が中前打で出塁、富松信彦が左中間に決勝の三塁打をは放って2-1と逆転する。


 畑福俊英は3回に山川喜作に一発を食らって目が覚めたようだ。4回以降は6イニング連続で三者凡退に抑え、3安打3四球4三振の完投で7勝目をあげる。実際のところは二日酔いで、3回まで投げて汗をかいたところで本調子を取り戻したということだったかもしれません(笑)。畑福俊英は西村幸生以上の酒豪だったとの噂があります。東北出身であの巨体ですからさもありなんという感じですね。


 畑福俊英は戦後、専大松戸の監督となって後進を指導することとなる。2014年のパ・リーグ新人王候補筆頭に名乗りをあげた北海道日本ハムファイターズの上沢直之は専大松戸出身の3年目、2011年ドラフト六位で今季から一軍に登場しました。上沢には、大先輩の畑福が作った“6イニング連続三者凡退”の記録に是非挑戦してもらいたい。因みに上沢は松戸一中の出身、小保方晴子は松戸六中の出身です(笑)。










*畑福俊英は大洋打線を3安打に抑える。















*畑福俊英に3安打に抑え込まれた大洋打線。4回以降6イニング連続三者凡退であるところにご注目ください。











 

2014年5月18日日曜日

1958年



 1958年2月24日生まれの飛鳥涼が覚せい剤取締法違反(使用)の容疑で警視庁組織犯罪対策第五課に逮捕され、1958年8月23日生まれのフリオ・フランコが現役復帰と伝えられています(生年月日はいずれもWikipediaより)。ASUKAは早生まれで一学年上となり、フランコは公称(自称かも)なので真偽の程は分かりませんが、筆者と同じ1958年生まれ(自称を含む)が世の中を騒がせていますので1958年特集といきましょう(笑)。当ブログは野球ブログですから同年代野球選手ネタとなります。


 1958年生まれのNo1野球選手は久保寺雄二であったと確信しています。原辰徳の間違いでは?とお考えの諸兄も多いかと思いますが、高校時代の評価は総合力では久保寺が上でした。神奈川県の軟式球界で活躍(?)していた筆者は、東海遠征で静岡商業軟式野球部と静岡商業グラウンドで練習試合をやったことがあります。静岡商業の野球部グラウンドは硬式用と軟式用が二面取ってあって、軟式グラウンドからはるか向こうに硬式の練習風景を見ることができます。あの中に久保寺も大石もいたはずです。便利な時代になったもので、ヤフー地図等で航空写真を見ることができます。静岡県静岡市葵区田町の静岡商業野球部グラウンドをご覧ください。当然広くて立派な方が硬式のグラウンドです。しかも校舎から近い。明らかに差別待遇ですね(笑)。今も30数年前と変わらないようです。


 No1チームは黒田真二、山崎隆造、小川達明、應武篤良を擁する崇徳高校でした。我々が高校3年の1976年センバツは圧勝しました。夏も連覇すると言われていましたがエース黒田の体調が優れず酒井圭一の長崎海星との“世紀の一戦”に敗れました。ピッチャーでは酒井と黒田が双璧ですが、矢張りサッシーに軍配が上がりますね。但し、プロでの実績では柳川商業の久保康生が上でした。豊見城高校の赤嶺賢勇も黒田、酒井同様プロではダメでしたね。甲子園で見せた送りバントをダイビングキャッチしたシーンは鮮明に覚えていますが、ピッチャーとしては「たいしたことねぇな~」などと生意気にも思っていたものです。


 我々の高校時代、甲子園に4回出場した東海大相模はリアルに目の前で見ていました。筆者が1年の夏、母校が神奈川準決勝で、永川栄植を擁して前年のセンバツに優勝した横浜高校に敗れました。当然横浜が甲子園に行くものだとばかり思っていたら、何と決勝で東海大相模が横浜高校を破るという大番狂わせを演じたのです。一般には原、津末、村中の1年生トリオを擁する東海大相模が順当に甲子園に出場したと思われるかもしれませんが、神奈川県高校野球界に衝撃が走ったのは紛れもない事実です。


 筆者が高校時代で最も不思議に思った出来事は東海大相模が甲子園に5回出場していなかったことです。実際、つい最近まで5回出たとばかり思っていたのですが、3年春だけ出ていなかったのです。それ程突出した存在でした。


 筆者の母校が準決勝で永川の横浜高校とぶつかると言っても、勝つとはとても思えませんでした。こちらも軟式の練習がありますのでもちろん応援に行っているようなヒマもありません。まだ1年生ですから知っている奴が出ている訳でもありませんし他人事でしたね。当時の横浜高校は史上最強チームであったと思っていますが、その横浜を相模が決勝で破ったという話を聞いた時の衝撃は鮮明に覚えています。原や村中を見て、ニューウェーブが来てるなぁ~と感じたものです。音楽界もちょうどニューミュージックの時代に移ろうとしていた時でした。ニューミュージックの起源には諸説がありますが、筆者は尾崎亜美の「冥想」を起源とする説をとっています。何か新しい時代の到来を感じさせてくれる名曲でした。


 甲子園で見た同期では東洋大姫路の弓岡のフィールディングが印象的でした。ショートでは西の弓岡、東の久保寺が定番でしたね。筆者は銚子商業のファンだったので宇野が3年夏の甲子園に出てくる前から知っていましたが。宇野が甲子園で見せた抜けたらサヨナラ負けという場面での三遊間奥深くの当りを逆シングルで捕えてワンモーションで一塁に刺したプレーは鮮明に覚えています。このプレーが中日のスカウトの目にとまりドラフトされたものでした。


 高木豊は高校時代は全く知らず、中央大学時代も印象になく、同期である事を知ったのもつい先日のことです。辻発彦も高校時代は全く知らず、同期である事を知ったのは色々調べていた今日のことです(笑)。高校時代の印象が最優先されるという事実を確認できました。











 

対決! その5



 最早度し難い状況に陥っています。素人からプロまで、誰しもが「混戦」を主張するヴィクトリアマイルにおける池江泰郎元調教師による「匠の視点」の予想は敢然と一番人気のスマートレイアーに二重丸を打ち、例によって撃沈しました。それだけでは飽き足らず、対抗は二番人気のホエールキャプチャ、三番手評価が三番人気のメイショウマンボと、臆面もなく人気順に印を打っていったのです。


 筆者が三連複の軸に考えたデニムアンドルビーは三着ストレイトガールから0.3秒差の七着に敗れましたので当ブログも撃沈しましたが、筆者はこのような混戦で一番人気を本命に推す人間の気が知れません。


 筆者が前日「ルーミンのたてがみ」に書いた予想は

「出走馬18頭中ディープインパクト産駒が7頭、ディープ祭りになりそうです。
 三連複ディープ7頭ボックスも考えましたがそれだとここで終わってしまうのでもう少し頭をひねりましょう(笑)。
 三連複の軸をデニムアンドルビーにします。全馬に印が付く混戦ですから一筋は総流しを入れたい。となれば、三連複3番デニムアンドルビー、残るディープ6頭+このレースに相性の良い中山牝馬ステークスの勝馬フールブライト、総流しのフォーメーション70点を本線とします(実際は91点=筆者注)。
 もう少しまともな予想としてデニムアンドルビーとウリウリの三連複二頭軸総流しも加えましょうか。
 このレースで本命印などを打っていては素人丸出しですね。そう言う筆者もデニムアンドルビーが来なければドボチンスキーですが。
 不吉な予感があります。井上オークスとウィニング競馬のキャプテンがデニムアンドルビーを本命にしています。この時点でほぼあきらめた方がいいのですが、井上オークスも10年に1回くらいは当たりますので初志貫徹といきます(笑)。」


でした。


 「匠の視点」のファンの方々におかれましては、人気順に決まるレースを待ち望まれていることとご察し申し上げます。筆者も人気順に決まるレースを否定するものではありません。筆者が人気順で決まると判断したレースにおいては筆者も人気順に印を打っていきます。但し、すべてのレースにおいて人気順に印を打っていく行為は「逃げ」であってリスクを取る「予想」とは認められず、単なる「オッズ」に過ぎないと断言できます。


 「匠の視点」様におかれましては、このような競馬ファンの真の声に聞く耳を持ち、精進されていくことを切に願っております。





*対戦成績 「さすらいの馬券師」2勝vs「匠の視点」0勝 2分け


 
 
 














 

16年 阪急vs南海 10回戦


10月2日 (木) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 阪急 39勝24敗1分 0.619 笠松実
1 0 0 0 0 0 0 0 X  1 南海 28勝35敗 0.444 神田武夫

勝利投手 神田武夫 18勝11敗
敗戦投手 笠松実       9勝8敗

二塁打 (南)岩本

勝利打点 村上一治 8


神田武夫、価値ある完封

 南海は初回、先頭の国久松一が二遊間に内野安打、安井鍵太郎は四球を選び、岩本義行のバントヒットで無死満塁、村上一治の左犠飛で1点を先制する。これ以降この試合で得点は生まれなかった。

 南海先発の神田武夫はこの“スミ一”を守り抜いた。3回までは一人の走者も出さずパーフェクトピッチング。4回二死後ファースト村上の落球で初の走者を出すが黒田健吾を一ゴロに抑える。5回は二死後この日唯一の四球を森田定雄に与えるがここも伊東甚吉を中飛に抑えて無失点。6回は先頭の笠松実に初安打を中前に運ばれるが西村正夫を遊飛、フランク山田伝を投ゴロ、上田藤夫を三ゴロに退ける。7回は二死後日比野武に中前打を許すが森田を三振に打ち取り無失点。

 阪急は8回、一死後笠松がショートに内野安打、西村に代わる代打新富卯三郎は一邪飛に倒れるが、山田が左前打を放って二死一二塁とこの日初めてチャンスらしいチャンスを迎えるが、二走笠松がキャッチャー木村勉からの送球に三塁で刺されてタッチアウト。これがダブルスチールであれば無謀というもの、キャッチャー木村が弾いたのを見て笠松が三塁を狙ったのであれば致し方のないところでしょうか。スコアカードの記載だけでは笠松が木村からの送球に三塁でタッチアウトとなり、笠松に“盗塁失敗”が記録されている事実が分かるだけです。木村が弾いたのを見て笠松が三塁を狙い刺されたケースでも“盗塁失敗”が記録されることはあり得ますので“重盗失敗”とは断定できない。

 神田武夫は最終回も三者凡退に抑えて、4安打1四球3三振で今季5度目の完封、18勝目をあげる。早くもエースの風格が出てきた。


 阪急は7月26日に朝日の福士勇に完封され、翌27日に阪神の三輪八郎-若林忠志のリレーに零封されて以来シャットアウト負けがなかったが、9月28日の野口二郎に続いて2試合連続完封負け、この日の神田武夫のピッチングの前にはなす術もなかった。神田はこれで9月28日の阪神戦に続いて2試合連続完封、神田が真のエースへと脱皮して行く分水嶺となるこの日のピッチングには価値がある訳で、ストレートとドロップが冴えわたっていたのである。「神田武夫研究」には欠かせない試合となりました。


 なお、翌日の読売新聞は阪急のヒットを3本と伝えており、日比野武が3打数0安打となっていますが、事実は日比野は3打数1安打で阪急は4安打でした。スコアカードは各紙記者が独自に付けますので公式記録の失策が内野安打になったりするケースはありますが、日比野の中前打はスコアカードではセンターへのライナーの当りなので単純に読売新聞のミスではないかと考えられます。








*神田武夫は阪急打線を4安打完封、18勝目をあげる。













*神田武夫に4安打に封じ込められた阪急打線。
















 

16年 阪神vs大洋 10回戦


10月2日 (木) 甲子園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 4 0 1 0 0 0 5 阪神 30勝33敗 0.476 若林忠志
0 1 1 0 0 0 0 0 0 2 大洋 38勝25敗1分 0.603 野口二郎 三富恒雄

勝利投手 若林忠志 13勝13敗
敗戦投手 野口二郎 20勝8敗

二塁打 (神)松下、皆川

勝利打点 村瀬一三 1


若林忠志、4回以降無安打ピッチング

 大洋は2回、先頭の野口二郎が三塁に内野安打、石井豊が送り、山川喜作は四球を選んで一死一二塁、村松長太郎の投ゴロを若林忠志は三塁に送球して二走野口二郎は三封、二死一二塁から佐藤武夫が中前に先制タイムリーを放って1-0とする。 

 大洋は2回、一死後濃人渉がバントヒット、森田実の右前打で一死一三塁、野口二郎の右犠飛で2-0とする。

 大洋先発の野口二郎に3回まで一人の走者も出せなかった阪神は4回、先頭の宮崎剛が左前にチーム初ヒット、森国五郎の遊ゴロで宮崎は二封、カイザー田中義雄の右前打で一死一二塁、松下繁二のレフト線二塁打で1-2、松木謙治郎は浅い右飛に倒れて二死二三塁、若林忠志が四球を選んで二死満塁、上田正が中前に同点タイムリーを放って2-2、村瀬一三が押出し四球を選んで3-2と逆転、皆川定之の三塁内野安打で1点追加して4-2とする。

 阪神は6回、一死後上田の遊ゴロをショート濃人がエラー、村瀬は遊飛に倒れるが皆川の右翼線二塁打で一走上田がホームに還り5-2とリードを広げる。

 大洋は7回の守りから野口二郎を下げて二番手として三富恒雄をマウンドに送り、三富は9回まで無失点で切り抜ける。


 阪神先発の若林忠志は2回、3回と2安打ずつを許して2失点であったが、4回以降は四球と遊失の二走者を出したのみで無安打ピッチング。結局、4安打2四球5三振の完投で13勝目をあげる。

 野口二郎は3回まで三者凡退を続けた。しかも9個のアウトのうちフライアウトが8個でその内内野フライが3個と阪神打線を寄せ付けなかったが4回に突然崩れた。大洋はこの日も苅田久徳現場監督が出場しておらず、チーム内の不協和音が徐々に成績の低下につながってきている。野口二郎も少しやる気をなくしてきているのでしょうか。


 村瀬一三が阪神に移籍後初打点を記録してこれが勝利打点となった。昭和16年9月25日付け読売新聞は「村瀬、阪神軍へ」の小見出しと共に「前名古屋軍内野手村瀬一三選手(二四)は24日阪神軍に移籍、聯盟へ登録された(背番号は2)」と伝えている。村瀬は9月27日の朝日戦に七番サードでスタメン出場、28日の南海戦、この日の大洋戦は八番サードで出場し、3試合とも三塁手としてフル出場している。阪神内野陣はセカンドの宮崎剛とショートの皆川定之は盤石であるがサードの野口昇がウィークポイントであった。名古屋ではシーズン途中に小西得郎監督が退団し、村瀬一三も行動を共にして燻ぶっていたところ、サードの弱点を補強しなければならない阪神と利害が一致したのである。したがって、「Wikipedia」に書かれている「遊撃手に皆川定之がいたため控えに回った」という記述(2014年5月18日現在)は誤りである。松木謙治郎著「タイガースの生いたち」に「遊撃に皆川がいたため三塁にまわった」と書かれているので誤解があるようですが、事実は当ブログ記載のとおりです。











 

2014年5月17日土曜日

ボヘミアン



 当ブログで時々書いているミュージックネタです。


 飛鳥涼の作詞と井上大輔の作曲による「ボヘミアン」は1982年に大友裕子に提供された楽曲ですが、一般的には83年の葛城ユキによるバージョンが有名です。飛鳥涼は“作曲家”とされていますがこの名曲では“作詞家”でした。


 飛鳥涼が「覚せい剤取締法違反(使用)の容疑で警視庁組織犯罪対策第五課に逮捕された」と伝えられています。筆者は飛鳥涼と同年生まれですが、人生の前半で栄華を極めてしまうと後半生など意味を持たなくなってしまうのしょうか。



 傷心を癒すため、今夜は「MY Mr.LONELY HEART」や「はじまりはいつも雨」を聞き返してみましょうか。


 犯罪者ネタはこれくらいにして、大友裕子の“傷心”は名曲ですね(笑)。













 

16年 朝日vs巨人 10回戦


10月2日 (木) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9  
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0 朝日 21勝43敗 0.328 山本秀雄
0 0 0 0 0 3 0 2 X  5 巨人 48勝16敗2分 0.750 中尾輝三

勝利投手 中尾輝三 18勝7敗
敗戦投手 山本秀雄   5勝14敗

二塁打 (巨)楠、呉

勝利打点 楠安夫 1


中尾輝三、1安打完封

 5回まで朝日は岩田次男の右前打1本、巨人は川上哲治の左前打2本で両軍無得点。朝日先発の山本秀雄、巨人先発の中尾輝三が流し打たれたヒットだけに抑える好投を続ける。

 巨人は6回、先頭の水原茂が四球を選んで出塁、千葉茂は三振に倒れるが川上が四球で一死一二塁、中島治康の遊ゴロで川上が二封されて二死一三塁、楠安夫が右中間に走者一掃の二塁打を放って2点を先制、平山菊二は四球、呉波が左前にタイムリーを放って3-0とする。

 巨人は8回、一死後平山が中前打から二盗に成功、呉が右中間に二塁打を放って4-0、中尾もピッチャー強襲ヒット、バックアップのセカンド戸川信夫がエラーする隙に三塁に達していた二走呉がホームに還って5-0とする。


 中尾輝三は3回以降を無安打ピッチング、結局1安打5四球10三振で今季6度目の完封、18勝目をあげる。


 中尾はこれまで2回ノーヒットノーランをやっているが、1回目の昭和14年11月3日セネタース12回戦は10四球6三振、2回目の昭和16年7月16日名古屋6回戦は7四球1死球5三振。本日は1安打を打たれたものの5四球10三振ということで、中尾輝三の投手人生では最高の投球内容であったかもしれない。









*中尾輝三はプロ野球生活最高の投球内容で1安打完封、今季18勝目をあげる。














*中尾に1安打に抑え込まれた朝日打線。