2016年3月31日木曜日

18年 名古屋vs巨人 1回戦


4月13日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 2 0 0 0 0 0 0 0 2 名軍 4勝0敗 1.000 西沢道夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 巨人 1勝4敗 0.200 須田博

勝利投手 西沢道夫 2勝0敗
敗戦投手 須田博    0勝2敗

二塁打 (名)石丸藤吉

勝利打点 西沢道夫 1


西沢道夫、独り舞台

 名古屋は2回、先頭の吉田猪佐喜が中前打を放って出塁、芳賀直一は右飛に倒れるが、藤原鉄之助がセンター右にヒットを放ち一死一二塁、金山次郎の二ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、ここで西沢道夫が中前に2点タイムリーを放って2-0とする。試合はこの一打で決した。

 2回までに4安打を放った名古屋打線は、3回以降巨人先発の須田博の前に2安打無得点。

 巨人は初回、先頭の呉昌征がストレートの四球で出塁、坂本茂の三ゴロの間に呉は二進、白石敏男の投ゴロで二走呉が飛び出して二三塁間に挟まれ挟殺プレー、「1-6-5-4-6」と転送されて呉はタッチアウト、青田昇が二ゴロに倒れて無得点。

 名古屋先発の西沢道夫は初回に呉を刺したこと及び2回に自らのタイムリーで2点を先制して気合が乗り、5回まで2安打無失点。

 6回、西沢は一死後白石に左前打を許し、青田の投ゴロで白石を二封するが青田に二盗を許して二死二塁、中島治康の左前打で二走青田がホームを突くが、レフト強肩の吉田のバックホームにタッチアウト。

 7回、西沢は先頭の伊藤健太郎に右中間ヒットを許し、多田文久三は三振に打ち取るが小池繁雄にもセンター右にヒットを許して一死一二塁、しかし須田を遊ゴロ併殺に仕留めて無失点。

 8回も先頭の呉に右中間ヒットを許すが後続を抑えて無失点。

 西沢は9回、先頭の中島にストレートの四球を与えて無死一塁、しかし伊藤を左飛に打ち取り、多田に代わる代打林清光を三振、小池に代わる代打藤本英雄も三振に打ち取りゲームセット。


 西沢道夫は6安打3四球3三振の完封で2勝目をあげる。打っても決勝の2点タイムリーを放ち独り舞台を演じた。


 西沢の2点タイムリーの影に隠れたが、金山次郎の進塁打が効いたことを付記しておく。野球では、こういう一打が重要です。これはスコアカードを読み解かなければ理解できない。




*西沢道夫が決勝の2点タイムリーを放った場面。この時、金山次郎の進塁打が効いたことをスコアカードが証明している。



 

2016年3月27日日曜日

大和vs西鉄 1回戦


4月13日 (火) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 3 0 2 1 6 大和 2勝2敗 0.500 片山栄次
0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 西鉄 1勝4敗 0.200 近藤貞雄

勝利投手 片山栄次 2勝1敗
敗戦投手 近藤貞雄 0勝1敗

二塁打 (和)苅田 (西)野口明

勝利打点 呉新亨 1


呉新亨、先制打

 西鉄は近藤貞雄がプロ入り初先発、大和は片山栄次で応戦する。

 大和は2回、二死後小松原博喜がセンター右にヒット、これをセンター山田秀夫が後逸して小松原は三塁に進み、片山が四球から二盗に成功、鈴木秀雄も四球を選んで二死満塁とするが、杉江文二は二ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。3回も先頭の木村孝平が二遊間に内野安打、苅田久徳が四球を選んで無死一二塁とするが、大塚鶴雄の三ゴロが「5C-3」と渡ってダブルプレー、金子裕の当りもライトライナーに終わり無得点。

 大和は6回、先頭の苅田がレフト線に二塁打、大塚が送って一死三塁、金子が四球から二盗を決めて一死二三塁、呉新亨の三塁内野安打で苅田が還り1点を先制、呉も二盗を決めて一死二三塁、小松原博喜の右犠飛で2-0、二走呉もタッチアップから三塁に進んで二死三塁、ここで呉が単独ホームスチールを決めて3-0とリードする。

 大和は8回、先頭の苅田が四球を選んで出塁、大塚の三ゴロの間に苅田は二進、金子も四球を選んで一死一二塁、呉の中飛を4回の守備からセンターに入っている村瀬秀孝が後逸、この間に二走苅田に続いて一走金子も長駆ホームに還り5-0とダメ押す。

 大和は9回、先頭の鈴木が四球で出塁、杉江に代わる代打渡辺絢吾の中前打で無死一三塁、トップに返り木村が左前にタイムリーを放ち6-0として試合を決める。

 西鉄は9回裏、先頭の濃人渉が三遊間に内野安打、黒沢俊夫は中飛に倒れるが野口明が左中間に二塁打を放って一死二三塁、中村民雄は三ゴロに倒れて二死二三塁、祖父江東一郎が左前に2点タイムリーを放って2-6とするが時すでに遅し。


 片山栄次は7安打を許しながら無四球ピッチング、4三振を奪う完投で2勝目をあげる。


 嘉義農林からやって来たルーキー呉新亨が先制打にホームスチール、中飛エラーで2点を追加するラッキーボーイとなった。


 

2016年3月26日土曜日

45年ぶり



 関東勢唯一の希望の星となった木更津総合が大阪桐蔭を破ってベスト8進出。


 1971年「木更津中央」時代にベスト4に進出して以来45年ぶりの快挙です。1971年にセンバツ初出場した時は、銚子商業か習志野じゃなくて大丈夫かなぁ~と思いながら見ていましたが、予想を覆す快進撃を見せて準決勝に進出しました。


 日ハムで活躍した古谷英夫は1971年に入部しましたのでセンバツには出ていません。何と言っても思い出されるのは1968年に西鉄からドラフト3位指名されて1969年に西鉄入りした宇佐美和雄投手です。入団直後の練習で打撃投手を務め、打球を胸に受けて亡くなりました。打球が打撃投手をガードするネットの上辺の金属部分をかすめたため避けきれなかったという記事を読んだ記憶があります。


 

18年 朝日vs阪神 1回戦


4月11日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
4 0 2 0 1 0 0 0 0 7 朝日 3勝1敗 0.750 真田重蔵
0 0 0 0 0 0 1 2 0 3 阪神 3勝1敗 0.750 御園生崇男 中原宏

勝利投手 真田重蔵     2勝0敗
敗戦投手 御園生崇男 0勝1敗
二塁打 (朝)坪内、浅原 (神)門前2
三塁打 (朝)浅原

勝利打点 浅原直人 2

猛打賞 (朝)浅原直人 1


真田重蔵、プロ入り初完投

 朝日は初回、先頭の坪内道則が中前打で出塁、酒沢政夫の三前送りバントをサード玉置玉一がお手玉、犠打とエラーが記録されて無死一二塁、早川平一の遊ゴロをショート大橋棣が二塁に送球するがセーフ、野戦となって無死満塁、このチャンスに四番・浅原直人がセンター右奥に走者一掃の三塁打を放ち3点を先制、広田修三の三ゴロの間に浅原も還って4-0とする。プロ入り初先発の真田重蔵にはビッグプレゼントとなった。

 朝日は3回、先頭の早川が四球で出塁すると、又も浅原が左中間を破る二塁打で早川を迎え入れて5-0、阪神ベンチは先発の御園生崇男を下げて、ルーキーの中原宏をマウンドに送る。広田の三前バントが内野安打となり、サード玉置からの一塁送球が悪送球となる間に浅原が還り6-0とする。

 朝日は5回、先頭の浅原が四球で出塁、広田の遊ゴロをショート大橋がエラーして無死一三塁、小林章良の左犠飛で7-0、着々と加点する。

 大量リードを背にプロ入り初先発の真田重蔵は快投、2回は先頭の山口政信に四球、カイザー田中義雄に中前打を許して無死一二塁のピンチを迎えるが動じず、門前真佐人のピッチャーライナーをはっしと掴むや一塁に送球し飛び出していた田中を刺してダブルプレー、巧打の御園生を歩かせ、乾国雄を三振に打ち取る味な投球を見せる。5回には先頭の乾に中前打を許すが、大橋を左飛、トップに返り塚本博睦を遊ゴロ併殺に打ち取り、6回まで無失点を続ける。

 阪神は7回、先頭の田中が左前打、門前真佐人が右中間に二塁打を放って田中が還り1点を返す。

 更に阪神は8回、一死後金田正泰が二失に生き、玉置が中前打、山口の投ゴロの間に二者進塁して二死二三塁、田中が四球を選んで二死満塁、門前が押出し四球を選び2-7、中原の一ゴロをファースト広田がエラーする間に三走玉置が還って3-7、乾に代わる代打野口昇は一飛に倒れて反撃もここまで。

 真田重蔵は9回、8回の守備からショートに入っていたプロ入り初出場のルーキー武智修を遊ゴロ、トップに返り塚本を三振に打ち取り、金田に三塁内野安打、玉置にも三塁内野安打を許して二死一二塁とするが、最後は山口を三振に打ち取りプロ入り初完投。


 この試合の打のヒーローは浅原直人であった。初回に満塁走者一掃の三塁打、3回にもタイムリー二塁打を放ち、4打数3安打3得点4打点の活躍を見せた。


 真田は重い剛球と懸河のドロップで9安打5四球6三振3失点、自責点1の完投で2勝目をあげる。終盤の失点は勝負あったと見て手を抜いたのか、既にベテラン並みの投球を見せている。NHK大河ドラマが「真田丸」の年に当ブログに真田が登場、出来過ぎていますね(笑)。


 

2016年3月25日金曜日

異様な光景




 甲子園中継を見ている方はお気付きと思いますが、甲子園のネット裏最前席は少年野球選手に乗っ取られました。


 これまで最前席と言えば「ラガーさん」の独擅場でしたが、今年から「ラガーさん」は三塁側に追いやられました。「8号門クラブ」がネット裏席を独占する状況には批判が殺到していましたので、高野連が「少年野球」をダシに使って「8号門クラブ」の排除に乗り出した訳です。


 「少子化の影響で少年野球選手の数が減っていることから子供たちに間近で高校野球を観戦してもらい、野球振興につなげることが狙い。」とされていますが、ダシに使われた野球少年の方がいい迷惑でしょうね。今後「ドリームシート」の奪い合いに拍車がかかることは目に見えています。こんなことで野球人口が増えると考えているのは一部の「既得権」に乗っかっている人だけでしょう。


 「異様な光景」と言えば、試合結果にも表れています。本日までの15試合で、西が11勝で東は僅か4勝。当ブログでは常々、「近年の高校野球は‟東高西低”が顕著であり、今後もこの傾向が続く」と指摘させていただき的中してきました。ところがぎっちょん、茨城、群馬、東京、埼玉、山梨が1回戦で姿を消し、近年の関東最弱県に零落れていた千葉県の木更津総合だけが勝ち上がっています。


 ネット裏最前席の「異様な光景」にいち早く反応したのが関東勢のようです(笑)。



 

2016年3月24日木曜日

18年 阪急vs南海 2回戦


4月11日 (日) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 阪急 1勝2敗 0.333 天保義夫
0 1 0 1 0 0 0 0 X 2 南海 1勝2敗 0.333 清水秀雄

勝利投手 清水秀雄 1勝1敗
敗戦投手 天保義夫 1勝1敗

二塁打 (急)池田 (南)八木

勝利打点 八木進 1


八木進、決勝二塁打

 阪急は初回、二死後上田藤夫が四球で出塁、池田久之がレフト線に二塁打を放って二死二三塁、しかし笠石徳五郎は右飛に倒れて無得点。

 南海は2回、一死後清水秀雄が四球で出塁、鈴木芳太郎の三ゴロの間に清水は二進、八木進が左中間に二塁打を放って1点を先制する。

 南海は4回、先頭の岡村俊昭が中前打、別所昭が左前打で続いて無死一二塁、清水が送りバントを決めて一死二三塁、鈴木は浅い中飛に倒れて二死二三塁、八木の三ゴロをサード伊藤健一が一塁に悪送球する間に三走岡村が還って2-0とする。

 阪急は7回、先頭の下社邦男の当りは一ゴロ、ファースト笠石がベースカバーのピッチャー清水にトスするが清水が落球、伊藤が三塁に内野安打、天保のバントが内野安打となって無死満塁、トップに返り仁木安の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレーとなる間に三走下社が還って1-2とする。

 清水秀雄は8回、9回の阪急の攻撃を無安打に抑える。9回一死後は、伊藤に代わる代打高橋常治と天保連続三振に切って捨てて締めくくり、6安打4四球5三振1失点、自責点ゼロの完投で今季初勝利を飾る。


 八木進が2回に決勝二塁打を放って勝利打点を記録した。ポナペ島出身の八木は、神奈川の関東学院中学時代、浅野綜合中学の飯田徳治、横浜商業の小松原博喜と共に、「横浜中等球界の三羽烏 」と謳われた名選手であった。

 ところが、ネット上では八木進が「関西学院中学出身」と誤って伝わっているケースが多く見られる。「関学中」と略して書かれると「関東学院中学」であるか「関西学院中学」であるか判別できないことに起因していると考えられる。


 八木進は昭和19年にフル出場した後に応召し、戦死することとなる。野球殿堂博物館発行「野球殿堂オフィシャルガイド」に掲載されている「鎮魂の碑」には戦没したプロ野球選手のリストが掲載されており、八木進は「関東学院中」出身であると正しく書かれている。ところが、同博物館のホームページに掲載されている「鎮魂の碑に祭られた選手一覧」では、八木進が「関西学院中」出身であると誤って掲載されている(2016年3月24日現在)。


 NPBに自浄能力が欠如していることは多くの事象が証明しているが、「野球殿堂博物館では、戦没されたプロ野球選手の情報を、収集しております。」より先に、足許を見つめ直すべきではないでしょうか。


 

2016年3月22日火曜日

18年 西鉄vs巨人 1回戦


4月11日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 西鉄 1勝3敗 0.250 野口二郎 重松通雄
4 0 1 0 0 0 1 0 X 6 巨人 1勝3敗 0.250 藤本英雄

勝利投手 藤本英雄 1勝1敗
敗戦投手 野口二郎 1勝1敗

二塁打 (西)中村民雄 (巨)青田、呉
本塁打 (巨)中島 1号、伊藤 1号

勝利打点 坂本茂 1

打賞 (巨)呉昌征 2、坂本茂 1


藤本英雄、141球の熱投

 巨人は初回、先頭の呉昌征が中前打で出塁、坂本茂の2球目に呉が二盗に成功、直後の3球目を坂本がライトにタイムリー、1点を先制する。白石敏男は二飛に倒れるが、四番・青田昇がライト線に二塁打を放って一死二三塁、中島治康の遊ゴロをショート濃人渉がエラー、二人の走者は動かず一死満塁、伊藤健太郎は遊飛に倒れて二死満塁、ここで多田文久三が右前に2点タイムリーを放って3-0、なお二死一三塁からダブルスチールを決めて4-0とする。

 巨人は3回、先頭の中島がレフトポール際にホームラン、5-0とする。

 巨人は7回、二死後伊藤がレフトスタンドにホームラン、6-0とする。

 西鉄は9回、一死後山田秀夫が四球を選んで出塁、重松は中飛に倒れるが、山田が二盗を決めて二死二塁、富松信彦の中飛をセンター呉が落球、1-6と1点返すがここまで。


 藤本英雄は西鉄打線を2安打に抑えて完投したが8四球、しかし奪三振は11個であった。投球数は141球、2年目を迎えてピッチングスタイルを変えてきたか。


 呉波から呉昌征に改名した呉が早くも今季2度目の猛打賞、二番に起用された坂本茂も猛打賞を獲得して勝利打点を記録した。


 中島治康は本塁打と本盗を記録した。一試合で本塁打と本盗を記録したケースが過去にあったのかは調べていないので不明。昭和11年以降の本塁打と昭和12年以降の本盗の記録は全て把握していますので、昭和12年以降に限定すれば調べるのは可能です。


 巨人は9盗塁、西鉄は3盗塁で合計12盗塁が乱れ飛んだ。呉昌征が3盗塁、坂本茂、多田文久三、西鉄でも山田秀夫が2盗塁を記録した。



 

2016年3月21日月曜日

18年 名古屋vs大和 2回戦


4月11日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 名軍 3勝0敗 1.000 石丸進一
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 大和 1勝2敗 0.333 畑福俊英

石丸進一 1勝0敗
畑福俊英 0勝1敗

本塁打 (名)岩本 1

勝利打点 岩本章 1

猛打賞 (名)岩本章 1


岩本章の独り舞台

 名古屋は伸び盛りの石丸進一、大和はベテラン畑福俊英が先発。

 名古屋は1回、2回と三者凡退。三振と捕邪飛以外は遊ゴロ2個と三ゴロ1個に左飛と、畑福のナックルを引っ掛けているようだ。3回は二死後石丸進一が左前に初ヒットを放つがトップに返り石丸藤吉は右飛に倒れる。

 名古屋は4回、先頭の岩本章が左前打で出塁、古川清蔵が四球を選び、重盗を決めて無死二三塁と絶好のチャンス到来、しかし小鶴誠は浅い左飛、吉田猪佐喜も浅い中飛、芳賀直一は遊飛に倒れて無得点。このピンチに畑福は力のあるストレート主体に切り替え凡飛に打ち取った。

 石丸進一は5回まで大和打線に4安打を許すが要所を締めて無失点。

 畑福は5回は三者凡退。6回、一死後岩本に右前打を許し、古川の遊ゴロをショート木村孝平がエラーして一死一二塁、しかしここも小鶴を左飛、吉田を投ゴロに打ち取り無失点。7回は三者凡退に抑えた。

 畑福のベテランらしい巧投に抑えられてきた名古屋は8回、二死後岩本がレフトスタンドに決勝ホームランを叩き込んで1-0とリードする。岩本は猛打賞に決勝ホーマーで勝利打点を記録、独り舞台であった。

 石丸進一は7回二死後、畑福に中前打を許すが杉江文二を三ゴロに打ち取り無失点。8回、先頭の木村にストレートの四球、しかし続く苅田久徳を二ゴロ併殺に打ち取る。金子裕に右前打を許して二死一塁、小松原博喜を三ゴロに打ち取りここまで無失点。

 石丸進一は9回も三者凡退に抑え、6安打3四球3三振で今季初勝利を完封で飾る。

 畑福俊英は5安打1四球3三振で完投したが、岩本の一発に泣いた。


 当ブログでは、石丸進一は名声ほどの力がある投手ではないことをお伝えしてきています。但し、昭和17年最終節で週間MVPに選出しているように、昨年終盤から力を付けてきました。16年秋季の神田武夫ほどではありませんが、石丸進一も「化けた」と言えるかもしれません。今季の石丸には期待できるのではないでしょうか。当ブログは、「虚飾に彩られた石丸進一」ではなく、「真実の石丸進一」をお伝えしていきます。


 

18年 阪急vs朝日 1回戦


4月10日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 阪急 1勝1敗 0.500 中田武夫
1 0 0 1 0 0 0 0 X 2 朝日 2勝1敗 0.667 林安夫

勝利投手 林安夫     1勝1敗
敗戦投手 中田武夫 0勝1敗

二塁打 (急)仁木、山田 (朝)早川、原

本塁打 (朝)浅原 1号

勝利打点 浅原直人 1


浅原直人、決勝ホーマー

 阪急は初回、先頭の仁木安が中越えに二塁打、フランク山田伝がセオリー通り三前に送りバントを決めて一死三塁、上田藤夫が左前にタイムリーを放って1点を先制する。

 朝日は1回裏、先頭の坪内道則がセーフティバントを決めて出塁、酒沢政夫の二ゴロの間に坪内は二進、早川平一がレフト線に同点二塁打を放ち1-1と追い付く。

 朝日は4回、一死後浅原直人がレフトスタンドに決勝ホームランを叩き込んで2-1とする。


 林安夫は97球で7安打1四球3三振の完投、今季初勝利を飾る。


 中田武夫は98球を投げて4安打無四球2三振の完投、試合時間は1時間5分であった。





*林安夫は完投で今季初勝利。中田武夫は無四球ピッチングであった。






 

2016年3月20日日曜日

18年 南海vs阪神 1回戦


4月10日 (土) 西宮

0 1 0 0 0 0 1 0 0 2 南海 0勝2敗 0.000 別所昭
0 2 0 0 1 0 0 1 X 4 阪神 3勝0敗 1.000 三輪八郎

三輪八郎 2勝0敗
別所昭     0勝1敗

二塁打 (神)塚本、乾

勝利打点 塚本博睦 1


阪神、開幕3連勝

 南海は2回、一死後別所昭が四球を選んで出塁、岡村俊昭の二ゴロをセカンド乾国雄がエラーして一死一二塁、八木進の遊ゴロで一走岡村は二封されて二死一三塁、中野正雄が右前にタイムリーを放って1点を先制する。

 阪神は2回裏、先頭の大島武が四球で出塁、乾の一塁線バントが内野安打となって無死一二塁、三輪八郎は左直に倒れて一死一二塁、大橋棣の二ゴロをセカンド加藤喜作が二塁に送球するが悪送球、この間に二走大島が還って1-1の同点、なお一死二三塁からトップに返り塚本博睦の投ゴロの間に三走乾が還って2-1と逆転に成功する。

 阪神は5回、先頭の塚本がライト線に二塁打、金田正泰が送って一死三塁、玉置玉一の遊ゴロの間に三走塚本が還って3-1とする。

 南海は7回、先頭の別所が中前打、岡村の三塁内野安打で無死一二塁、八木のカウントがワンボールとなったところで阪神ベンチはファーストを大島から高山泰夫に交代、八木の三ゴロの間に二者進塁して一死二三塁、中野の左邪犠飛で2-3と追い上げる。

 阪神は8回、一死後高山が一塁に内野安打、代走に野口昇を起用、乾がレフト線に二塁打を放って一死二三塁、三輪八郎の中犠飛で4-2とする。

 三輪八郎は南海最終回の反撃を無得点に抑え、3安打5四球6三振の完投でハーラートップとなる2勝目をあげる。


 阪神は7回表の守備で無死一二塁、カウントワンボールの場面でファーストを大島武から高山泰夫に交代し、その高山が8回裏の攻撃で貴重な内野安打を放ち4点目に結びつけた。高山の起用は、阪神ベンチの隠れたファインプレーであった。



 

18年 名古屋vs西鉄 1回戦


4月10日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 4 0 0 0 0 0 0 5   名軍 2勝0敗 1.000 西沢道夫
2 0 0 0 0 0 0 0 0 2   西鉄 1勝2敗 0.333 重松通雄 野口二郎 近藤貞雄

勝利投手 西沢道夫 1勝0敗
敗戦投手 野口二郎 1勝1敗

勝利打点 吉田猪佐喜 1

猛打賞 (西)濃人渉 1


芳賀直一が殊勲の一打

 名古屋は初回、先頭の石丸藤吉がツーナッシングから粘って四球、岩本章は一邪飛に倒れるが石丸が二盗に成功、古川清蔵が四球を選んで一死一二塁、小鶴誠の三ゴロをサード中村信一が二塁に送球するがセーフ、野選が記録されて一死満塁、吉田猪佐喜が押出し四球を選んで1点を先制、芳賀直一の投ゴロは「1-2-3」と渡ってダブルプレー、この回は1点に終わる。

 西鉄は1回裏、先頭の中村がストレートの四球で出塁、濃人渉の投前バントは内野安打、更にピッチャー西沢道夫の一塁送球が悪送球となって無死二三塁、黒沢俊夫の遊ゴロの間に三走中村が還って1-1の同点、この時二走濃人が飛び出したのを見てショート金山次郎が二塁に送球するが、濃人が素早く帰塁してセーフ、野選が記録されてなお無死一二塁、野口明の三ゴロをサード芳賀がエラーして無死満塁、中村民雄は三振に倒れて一死満塁、祖父江東一郎の三ゴロで三走濃人が本封されて二死満塁、富松信彦が押出し四球を選んで2-1と逆転、石本秀一監督は続く貞池広喜に早くも代打野口二郎を起用するが、野口は遊ゴロに倒れてスリーアウトチェンジ。

 西鉄は2回の守備から代打に出た野口二郎がマウンドに上がる。

 名古屋は3回、先頭の石丸藤吉がストレートの四球で出塁、岩本の右前打で無死一二塁、古川の投前バントをピッチャー野口二郎が一塁に悪送球する間に二走石丸が還って2-2の同点としてなお無死二三塁、小鶴は三振に倒れて一死二三塁、吉田の三ゴロで三走岩本がホームに突っ込み、サード中村がバックホームするがセーフ、野選が記録されて3-2と逆転に成功、一死一三塁から吉田が二盗を決めて一死二三塁、ここで芳賀が中前に2点タイムリーを放ち5-2と突き放す。

 この試合の勝利打点は吉田猪佐喜に記録されるが、「真の殊勲者」は芳賀直一となる。初回の第一打席は満塁のチャンスに投ゴロ併殺打、その裏の守備でもエラーを犯して逆転を許すきっかけを作ったが、気魄の一打で試合を決めた。

 西鉄は6回の守備から三番手としてプロ入り初登板となる近藤貞雄がマウンドに上がる。

 初回に2点を失った名古屋先発の西沢道夫は、2回以降立ち直り8回まで2安打無失点、9回、先頭の近藤にプロ入り初ヒットとなる左前打を許し、村瀬秀孝に代わる代打山田秀夫は左飛に打ち取るが、トップに返り中村信一の遊ゴロをショート金山がエラーして一二塁、濃人の二遊間内野安打で一死満塁のピンチを迎えるが、黒沢俊夫を二ゴロ併殺に仕留めて試合終了。


 西沢道夫は5安打4四球6三振2失点、自責点ゼロの完投で今季初勝利を飾る。


 近藤貞雄がプロ入り初登板のデビュー、初ヒットも放った。近藤は戦前から戦後近年にかけて様々な形でプロ野球に関わることとなり、特に「投手分業制」の分野では球界に革命を起こすこととなる。


 

2016年3月19日土曜日

18年 大和vs巨人 1回戦


4月10日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 2 0 3 0 0 0 0 5 大和 1勝1敗 0.500 片山栄次
0 0 0 0 0 1 0 3 0 4 巨人 0勝3敗 0.000 沢村栄治 中村政美

勝利投手 片山栄次 1勝1敗
敗戦投手 沢村栄治 0勝1敗

二塁打 (和)苅田2 (巨)中島
三塁打 (巨)伊藤

勝利打点 苅田久徳 1


苅田久徳、決勝二塁打

 大和は片山栄次、巨人は沢村栄治 が先発、共に帰還兵となる。

 大和は2回、一死後杉江文二のスウィングがキャッチャー多田文久三のミットに触れて打撃妨害で出塁、トップに返り木村孝平の三ゴロをサード三好主がエラーして一死一二塁、沢村を得意とする苅田久徳が左中間を抜く二塁打、二者還って2点を先制する。

 大和は5回、先頭の杉江の当りはピッチャーライナー、トップに返り木村がレフト線にヒット、苅田もレフト線に二塁打を放って一死二三塁、小松原博喜の左前タイムリーで二者還り4-0、レフト青田昇からの返球を捕球しようとしたピッチャー沢村がエラーする間に小松原は二塁に進み、大塚鶴雄がレフト線にタイムリーを放って5-0とする。復帰後初登板の沢村はここでKO、ピッチャーは中村政美に代わり、呉新亨は投飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 許したヒットは全て引っ張られており、2度の応召で沢村の球威は落ちているようだ。

 巨人は6回、二死後中島治康が左中間に二塁打、伊藤健太郎が右中間にタイムリーを放って1-5とする。

 巨人は8回、二死後白石敏男の左飛をレフト呉新亨が落球して白石は二進、青田の右前タイムリーで2-5、中島が左前打を放って二死一二塁、伊藤が左中間に三塁打を放って4-5と1点差に詰め寄るが、小池繁雄は左飛に倒れて反撃もここまで。

 巨人打線は何とか沢村の負け投手を消そうと必死の反撃を試みたが及ばなかった。


 片山栄次は7安打2四球2三振の完投で今季初勝利を飾る。


 2度目の応召から帰還した沢村栄治は4回3分の2を投げて5安打2四球1三振5失点、味方に足を引っ張られて自責点は2であった。


 

2016年3月16日水曜日

18年 朝日vs巨人 1回戦


4月4日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 3 0 0 0 3 朝日 1勝1敗 0.500 内藤幸三 真田重蔵
0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 巨人 0勝2敗 0.000 川畑博 藤本英雄

勝利投手 真田重蔵 1勝0敗
敗戦投手 藤本英雄 0勝1敗

二塁打 (巨)呉

勝利打点 なし


真田重蔵、初陣を飾る

 朝日は初回、一死後酒沢政夫が四球を選ぶと盗塁を試みるがキャッチャー多田文久三が刺し、早川平一は三振に倒れてスリーアウトチェンジ。

 巨人はその裏、一死後青田昇が右翼線にヒット、こちらは二盗を決めて一死二塁、白石敏男は四球を選んで一死一二塁とするが、伊藤健太郎は三振、中島治康も遊ゴロに倒れて無得点。

 朝日は3回から先発の内藤幸三に代えて、大物ルーキー真田重蔵をマウンドに上げる。

 巨人は3回、プロ入り初登板の真田を攻めて、一死後呉昌征が左中間にゴロで達する二塁打、青田は中飛に倒れるが、白石が右前にタイムリーを放って1点を先制する。

 1点取られて気が楽になったのか、真田は4回の巨人攻撃を中島三ゴロ、坂本茂左飛、多田三ゴロと三者凡退に抑える。4回は先頭の小池繁雄三を中飛に打ち取り、藤本英雄の遊ゴロをショート酒沢が一塁に悪送球して一死一塁、トップに返り呉の投ゴロを落ち着いて捌き二塁に送球して藤本を二封、青田も投ゴロに打ち取り無失点。

 朝日は4回の守備からキャッチャーの広田修三をファーストに回して、ファーストの渡辺時信に代えてルーキー小林章良キャッチャーに起用する。この采配が効くこととなる。

 朝日は6回、先頭の真田のプロ入り初打席は三振、トップに返り坪内が中前打、酒沢も中前打で続いて一死一二塁、続く早川も中前にタイムリー、一走酒沢が三塁に走り、強肩のセンター呉が三塁に送球するが低く逸れて悪送球となる間に酒沢がホームに還って2-1と逆転に成功、打者走者の早川は三塁に進む好走塁を見せて一死三塁、四番・浅原直人が投前にスクイズを決めて3-1とする。ルーキー真田に黒星を付けまいとする朝日打線が奮起した場面である。

 真田は6回、先頭の白石に四球を与え、伊藤の遊ゴロをショート酒沢がエラーして無死一二塁、続く中島に4球ファウルで粘られたところで重盗を決められて無死二三塁、ここで三走白石のリードが大きくキャッチャー小林が三塁に送球して白石を釣り出し三本間でタッチアウト、この間に二塁に進んでいた一走伊藤は三塁に進んで一死三塁、このプレーで奮い立った真田は渾身の投球で中島を三進に打ち取り、坂本も捕邪飛に仕留めて無失点で切り抜ける。キャッチャー小林の起用が効いた場面である。

 真田は7回を三者凡退に抑え、8回、一死後青田に中前打を許すが、白石のピッチャーライナーをはっしと掴むや一塁に送球して離塁していた青田を封殺、ダブルプレーで切り抜ける。

 9回、先頭の伊藤に三塁内野安打を許し、中島の二ゴロをセカンド原秀雄がエラーして無死一二塁、しかし坂本を「6B-3」の併殺に打ち取り二死三塁、多田に代わる代打小暮力三に四球を与え、代走三好主に二盗を決められて二死二三塁と一打同点のピンチを迎えるが、小池に代わる代打林清光(林清一から登録名変更)を二ゴロに打ち取り、初登板を初勝利で飾る。

 藤本英雄はプロ入り初の敗戦投手となった。


 真田重蔵の投入、キャッチャーを広田修三から小林章良に代えてその小林が好送球で同い年の真田を助ける、3年目を迎えた竹内愛一監督の采配が冴え渡った。林安夫に続いて真田重蔵を獲得した朝日の躍進を予感させるゲームであった。


 巨人は須田博、藤本英雄で開幕2連敗、野球賭博問題で揺れる2016年同様、多難なスタートとなった。



*真田重蔵はプロ入り初登板初勝利、2年目の藤本英雄はプロ入り初黒星を喫した。





*「雑記」欄には「真田の初陣はみごとだった。」と記されている。


 

2016年3月14日月曜日

18年 阪神vs西鉄 1回戦


4月4日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 4 0 0 0 0 0 0 1 5 阪神 2勝0敗 1.000 渡辺誠太郎 若林忠志
0 1 3 0 0 0 0 0 0 4 西鉄 1勝1敗 0.500 重松通雄 野口二郎

勝利投手 若林忠志 1勝0敗
敗戦投手 重松通雄 0勝1敗

二塁打 (神)三輪裕章 (西)祖父江、富松

勝利打点 山口政信 1 


阪神辛勝

 阪神は長身の渡辺誠太郎、西鉄は下手投げの重松通雄が先発。

 阪神は2回、先頭の四番・山口政信が中前打、門前真佐人が左前打で続き、大島武のバントが内野安打となって無死満塁、乾国雄が押出し四球を選んで1点を先制、渡辺の一塁内野安打で2-0、三輪裕章の一ゴロの間に三走大島が還って3-0、トップに返り塚本博睦の遊ゴロで三走乾がホームに突っ込み、ショート濃人渉からのバックホームはセーフ、野選が記録されて4-0とする。

 大量リードを奪われた西鉄は2回裏、先頭の野口明が中前打、祖父江東一郎が四球を選んで無死一二塁、富松信彦の二ゴロをセカンド乾がエラーして無死満塁、村瀬秀孝に代わる代打貞池広喜が押出し四球を選んで1-4、阪神はここで渡辺を下げて若林忠志監督が登板、重松は捕飛、トップに返り中村信一は浅い右飛、濃人も左飛に倒れて三者残塁、ここは阪神の継投策が成功した。

 ところが西鉄は3回、先頭の黒澤俊夫の当りは遊ゴロ、これをショート三輪裕章が一塁に悪送球して雲行きが怪しくなる。続く中村民雄がセンター右にヒットを放ち無死一二塁、野口明は左飛に倒れるが、祖父江が右中間に二塁打を放って2-4としてなお一死二三塁、富松信彦が左中間を破る同点二塁打を放ち4-4と追い付く。

 重松は3回以降立ち直り、8回まで阪神打線を2安打に抑えて無失点。若林も4回以降8回まで西鉄打線を1安打に抑えて無失点。

 4対4の同点で迎えた9回表阪神の攻撃、先頭の若林は中飛に倒れるが、三輪裕章がライト線に二塁打を放って勝越しのチャンス到来、トップに返り塚本に代わる代打御園生崇男が四球を選んで一死一二塁、金田正泰も四球を選んで一死満塁、西鉄ベンチはここで重松を下げて前日2安打完封のエース野口二郎を投入、玉置玉一の遊ゴロで三走三輪裕章がホームに突っ込むがショート濃人からのバックホームにフォースアウト、二死満塁となって山口が押出し四球を選び5-4と1点リード。

 西鉄は9回裏、一死後貞池が中前打を放って出塁、野口二郎の三ゴロをサード玉置がエラーして一死一二塁と一打同点のチャンス、しかしトップに返り中村信一は投ゴロ、濃人も左飛に倒れてゲームセット。


 この試合に先発した渡辺誠太郎は1922(大正11)年2月8日生まれ。「公益社団法人全国野球振興会(日本プロ野球OBクラブ)」会報誌vol.59(2013年秋号)に掲載されている「訃報」欄により、2013年6月22日に91歳で亡くなられていることが確認されている。


 

2016年3月13日日曜日

18年 南海vs阪急 1回戦


4月3日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 1 1   南海 0勝1敗 0.000 清水秀雄
1 0 0 0 0 0 0 2 X 3   阪急 1勝0敗 1.000 天保義夫

勝利投手 天保義夫 1勝0敗
敗戦投手 清水秀雄 0勝1敗

二塁打 (急)上田、山田

勝利打点 上田藤夫 1

ファインプレー賞 (急)仁木安 1


阪急、ルーキーが活躍

 南海の四番は戦場から還ってきた鈴木芳太郎。七番ライトには日新商業からやってきた堀井数男が入る。

 阪急の一番ライトは浪華商業から入団した仁木安、四番には池田久之が入り、五番ファーストは豊国商業からやってきた笠石徳五郎、七番レフトに愛知県の享栄商業から入団した下社邦男が入る。愛知県は、昭和18年に全国に先駆けて「野球排撃決議」を発した。八番サードは浪華商業からやってきた伊藤健一が入る。

 阪急は初回、先頭の仁木が四球を選んで出塁、仁木が二盗を決めて無死二塁、フランク山田伝は三振に倒れるが、上田藤夫が右中間に二塁打を放って1点を先制する。

 南海は3回まで三者凡退を続ける。4回、先頭の猪子利男の遊ゴロをショート中村栄が一塁に悪送球、しかし長谷川善三の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー。5回は二死後八木進が左前打、堀井がプロ入り初安打となる中前打を放つが、中野正雄は右飛に倒れて無得点。6回は先頭の加藤喜作が一塁に内野安打、トップに返り猪子が送って一死二塁とするが後続なく無得点。

 阪急は8回、先頭の池田の三ゴロをサード鈴木が一塁に悪送球、ルーキー笠石の左前打を放ち無死一二塁、中村が送って一死二三塁、ルーキー下社が中前に2点タイムリーを放って3-0とする。

 南海は9回、先頭の岡村俊昭が右前打で出塁、鈴木の投ゴロをピッチャー天保義夫が一塁に悪送球、清水秀雄のヒット性のライトへのライナーをルーキー仁木がダイビングキャッチ、二走岡村はタッチアップから三進して一死一三塁、八木の遊ゴロの間に三走岡村が還って1-3、しかし堀井に代わる代打別所昭は三ゴロに倒れてゲームセット、阪急がルーキーの活躍で開幕戦を飾る。


 天保義夫は4安打1四球5三振1失点の完投で今季初勝利を飾る。


 ルーキー下社邦男が8回に貴重な追加点となる2点タイムリーを放った。つなぎの左前打を放ったのもルーキー笠石徳五郎である。同じくルーキー仁木安は初回に盗塁を決めて先制のホームを踏み、9回には清水のヒット性のライナーを好捕してファインプレー賞を獲得した。


 

2016年3月10日木曜日

18年 大和vs名古屋 1回戦


4月3日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0  0  0 大和 0勝1敗 0.000 片山栄次
0 0 0 0 0 0 0 0 0 1X 1 名軍 1勝0敗 1.000 松尾幸造

勝利投手 松尾幸造 1勝0敗
敗戦投手 片山栄次 0勝1敗

二塁打 (和)小松原 (名)古川、小鶴

勝利打点 小鶴誠 1


小鶴誠が開幕戦サヨナラ打

 小雨模様ながら7千人の観衆を集めて西宮球場でも昭和18年ペナントレースが開幕した。

 名古屋の先発は剛球左腕・松尾幸造、大和の開幕投手は昭和11年に大東京で野手として活躍した片山栄次が戦場から復帰して投手として初登板。名古屋は八番ショートで豊国商業から入団した金山次郎が先発出場、金山は戦後、球史に残る活躍を見せることとなる。

 大和は2回、先頭の小松原博喜がレフト線二塁打、続く嘉義農林からやってきたルーキー呉新亨は右飛に倒れるが、南海から移籍してきて柳鶴震から改姓した大塚鶴雄が左前打を放ち一死一三塁、しかし後続なく無得点。

 プロ入り初登板ながら開幕投手に抜擢された片山は1回、2回を三者凡退に抑え、3回も1四球無安打無失点。4回二死後小鶴誠に三塁内野安打を許すが、吉田猪佐喜を遊ゴロに打ち取り無失点。

 5回は一死後三失で走者すが、金山を二ゴロ併殺に打ち取る。6回は一死後石丸藤吉を四球で歩かせるが、石丸の二盗をキャッチャー藤原鉄之助が刺してこの回も無失点。

 片山は7回から9回を三者凡退に抑えて、ここまで小鶴の内野安打1本に抑える好投を見せる。

 名古屋先発の松尾も3回から8回までを無安打に抑え、10回まで無失点を続ける。

 名古屋は10回裏、先頭の古川清蔵が左中間に二塁打、ここで小鶴が左越えにサヨナラ二塁打を放って開幕戦を制す。


 松尾幸造は延長10回を4安打4四球1死球3三振に抑えて完封勝利を飾る。


 初登板の片山栄次は9回3分の0を投げて3安打2四球2三振1失点であった。


 

2016年3月7日月曜日

18年 阪神vs巨人 1回戦


4月3日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 1 0 0 0 0 0 2 阪神 1勝0敗 1.000 三輪八郎 御園生崇男
0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 巨人 0勝1敗 0.000 須田博

勝利投手 三輪八郎 1勝0敗
敗戦投手 須田博     0勝1敗
セーブ 御園生崇男 1

二塁打 (神)金田、山口
本塁打 (神)乾国雄 1

勝利打点 玉置玉一 1 

猛打賞 (巨)呉昌征 1


阪神、開幕戦を飾る

 1万人の観衆を集めた後楽園の第二試合は午後2時50分、沢東洋男主審の右手が上がり試合開始。

 巨人は藤本定義が辞任して中島治康が監督を兼任、「呉波」は「呉昌征」に改名、そして沢村栄治 が戦場から復帰してきた。

 阪神は初回、一死後金田正泰が右中間二塁打、玉置玉一が右前にタイムリーを放って1点を先制する。

 阪神は4回、乾国雄がレフトポール際にホームランを叩き込んで2-0とする。

 巨人は7回、一死後小池繁雄がストレートの四球で出塁、須田博も四球を選んで一死一二塁、トップに返り呉昌征の左前タイムリーで1点返して1-2、阪神ベンチはここで先発の三輪八郎から御園生崇男にスイッチ、青田昇の二ゴロは「4-6-3」と渡ってダブルプレー、阪神の継投策がズバリ的中した。

 巨人は8回、二死後中島治康監督が右前打で出塁、坂本茂の左前打で中島は三塁に進み、打者走者の坂本も送球の隙を突いて二塁に進んで二死二三塁、一打逆転のチャンスに多田文久三に代えて代打沢村栄治 を起用するが、左打席に立った沢村は三振に倒れる。


 三輪八郎は6回3分の1を投げて4安打7四球3三振1失点で今季初勝利、二番手の御園生崇男は2回3分の2を3安打無四球2三振無失点に抑えて今季初セーブをあげる。


 呉昌征に改名した呉は5打席3打数3安打2四球で出塁率10割、猛打賞を獲得した。




 

2016年3月6日日曜日

18年 朝日vs西鉄 1回戦



4月3日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 朝日 0勝1敗 0.000 林安夫
0 0 0 0 0 1 0 0 X 1 西鉄 1勝0敗 1.000 野口二郎

勝利投手 野口二郎 1勝0敗
敗戦投手 林安夫     0勝1敗

二塁打 (西)祖父江、中村民雄

勝利打点 中村民雄 1


野口二郎、2安打無四球完封で開幕を飾る

 昭和18年ペナントレースは4月3日、青空が見える後楽園球場と小雨模様の西宮球場で開幕した。

 朝日の先発は林安夫、大洋から球団名が変更した西鉄の先発は野口二郎。昭和17年10月に大量応召があったことから、昭和18年の開幕時点では出場メンバーに大きな変化は見られない。

 両軍3回まで三者凡退を続ける。

 朝日は4回、先頭の坪内道則が中前打で出塁、酒沢政夫が送りバントを決めて一死二塁、しかし早川平一は三振、スリーストライク目に坪内の三盗も失敗して三振ゲッツー。

 西鉄は4回裏二死後、復帰初戦となる黒沢俊夫が二遊間に内野安打、しかし中村民雄は遊飛に倒れてスリーアウトチェンジ。

 西鉄は5回、二死後富松信彦が四球を選んで出塁、祖父江東一郎がレフト線に二塁打を放って二死二三塁、しかし今季松本商業から入団した村瀬秀孝は投ゴロに倒れて無得点。

 西鉄は6回、先頭の中村信一が二遊間に内野安打、濃人渉の三ゴロでランナーが入れ替わり、黒沢の遊ゴロの間に濃人は二進、ここで四番・中村民雄が右中間に二塁打を放ち1点を先制、これが決勝点となった。


 野口二郎は7回に酒沢に左前打を打たれたが、許したヒットは4回の坪内と2本のみ、無四球9三振の快投を見せて今季初勝利を飾った。西鉄はノーエラーの好守備を見せて、野口は7個の三者凡退を記録した。


 昭和18年の「野球界」に「登録復活 黒沢(大洋→西鉄)」の記事が見られる。昭和16年7月以降消息が不明であった黒澤俊夫が2度目の応召から復帰した可能性が高い。


 

2016年3月5日土曜日

17年 10月・11月 月間MVP



 今月の月間MVPの対象は10月10日~11月18日に行われた82試合となります。

投手部門

 朝日 林安夫 2

 投手部門の候補は

 須田博  8勝2敗3完封。85回2/3を投げて防御率1.16、WHIP1.02、奪三振率4.02。

 藤本英雄 8勝0敗3完封。86回を投げて防御率0.42、WHIP0.88、奪三振率4.60。

 野口二郎 9勝4敗5完封。105回1/3を投げて防御率0.85、WHIP0.77、奪三振率3.77。

 林安夫  9勝3敗1完封。111回2/3を投げて防御率0.73、WHIP0.82、奪三振率1.86。


 林安夫の奪三振率が低いのはピッチングスタイルの違いに起因するもので、マイナス材料とはならない。111回3分の2を投げて与四球29個という抜群のコントロールを誇る。

 デビューから10連勝の藤本英雄は防御率0.42と他を圧しているが、大和戦に3回登板して27イニングで自責点1が大きく寄与しているものである。巨人は上位球団に須田、下位球団に藤本というローテーションを組んでいるため、楽な試合が多いのが実態であり、数字だけを額面どおりに評価する愚を犯してはならない。

 野口二郎も105回3分の1を投げて与四球27個のコントロールを見せたが、疲れから全盛期のピッチングができておらず、負け数が多く奪三振率が低下している。

 須田博の数字が藤本より悪く見えるのは上位球団を相手にしているからである。むしろ、ピッチング内容は藤本を上回っていると言える。

 甲乙付け難い成績であったが、最多投球回数の林安夫が選出された。藤本とは防御率で差が開いたが、10月18日の阪急戦で自責点3だったのが響いたものであり、これが無ければ林の防御率も0.48となる。この試合一試合を以て林の価値を貶めるものではない。秋季リーグ戦の月間MVP投手部門は、前半が内藤幸三、後半が林安夫と、朝日勢が独占した。



打撃部門

 巨人 呉波 3

 打撃部門の候補は巨人勢の3人、

 青田昇  54打数21安打、打率3割8分9厘、6得点8打点。出塁率4割4厘、長打率4割7厘、OPS0.811。

 中島治康 75打数23安打、打率3割0分7厘、9得点14打点。出塁率3割6分9厘、長打率4割1分3厘、OPS0.782。

 呉波  77打数27安打、打率3割5分1厘、16得点9打点。出塁率4割2分0厘、長打率4割6分8厘、OPS0.888。


 打率では秋季リーグ戦首位打者の青田昇であるが、ルーキー青田はまだ全試合に出場していない。中島は数字的に見劣りする。打点が突出しているのは呉が出塁しているからである。

 呉波は二塁打3本、三塁打3本をマークしており、長打率においても強打の青田と中島をを凌いでいる。呉の選出には疑問の余地がない。
 


 

2016年3月4日金曜日

17年 第23節 週間MVP




 最終節は巨人が3勝0敗1分、朝日は4勝1敗、名古屋が3勝1敗1分、大洋が4勝2敗、阪神が3勝2敗、阪急が1勝3敗、大和が1勝5敗、南海が0勝5敗であった。


週間MVP

投手部門

 朝日 林安夫 6

 今節4勝0敗。

 大洋 野口二郎 7

 今節3勝0敗3完投。

 名古屋 石丸進一 3

 今節2勝1敗1分。11月12日阪神戦の1安打完封が光る。


打撃部門

 巨人 呉波 4

 今節4試合連続2安打を続けて、18打数8安打3得点5打点。

 巨人 中島治康 7 

 今節16打数7安打4得点6打点

 巨人 青田昇 3

 今節13打数8安打2得点3打点。


殊勲賞

 朝日 酒沢政夫 3

 今節2個の勝利打点を記録。

 大洋 富松信彦 2

 16日の大和戦で3本の長打を放つ。

 
敢闘賞

 名古屋 古川清蔵 1

 今節23打数7安打の活躍。

 大洋 中村民雄 1

 今節18打数6安打の活躍。

 朝日 中谷順次 1

 今節17打数5安打の活躍。


技能賞

 大洋 中村信一 1

 9日の大和戦で再三の好走塁を見せる。

 大和 渡辺絢吾 1

 12日の大洋戦で好バックホームを見せる。

 
 

2016年3月2日水曜日

17年 南海vs巨人 15回戦


11月18日 (水) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 49勝56敗 0.471 川崎徳次 別所昭
0 0 0 2 1 5 0 0 X 8 巨人 73勝27敗5分 0.730 須田博

勝利投手 須田博     26勝8敗
敗戦投手 川崎徳次 15勝17敗

二塁打 (巨)呉、中島
三塁打 (巨)呉

勝利打点 なし


300勝投手が初競演

 いよいよ今季最終戦を迎えました。

 この試合の見どころは呉波と岩本義行による今季通算打率争いにあります。呉はここまで366打数104安打で打率2割8分4厘、岩本はここまで354打数98安打で打率2割7分7厘。この試合で呉が3打数無安打だと2割8分1厘8毛、岩本が4打数3安打だと2割8分2厘1毛で逆転首位打者となります。呉が1本打てば逃切り濃厚ですね。


 巨人は初回、先頭の白石敏男が四球で出塁、呉波の第一打席は右飛に終わり岩本にチャンスが残る。続く伊藤健太郎の三ゴロが「5-4-3」と渡ってダブルプレー。

 南海は2回、岩本義行の当りは遊ゴロ、これをショート白石が弾いて記録はエラー、これで岩本は苦しくなった。

 南海は4回、二死後岩本は遊飛に倒れてほぼ絶望。

 巨人は4回裏、先頭の呉が右中間に三塁打を放って昭和17年の年間首位打者を決めた。伊藤は浅い左飛に倒れるが中島は四球を選んで一死一三塁、ここで南海先発の川崎徳次がワイルドピッチを犯して三走呉が還り1点を先制、楠安夫は四球で一死一二塁、青田昇が中前にタイムリーを放ち2-0とする。

 南海は5回から先発の川崎が退き別所昭がマウンドに上がる。

 巨人は5回、一死後白石が四球で出塁、呉のレフト線二塁打で白石が還り3-0とする。

 巨人は6回、先頭の青田の三ゴロをサード柳鶴震が一塁に悪送球、別所の一塁牽制が悪送球となり、坂本茂が四球を選んで無死一二塁、三好主は三振に倒れるが、須田博の遊ゴロをショート長谷川善三がエラーする間に二走青田が還って4-0、トップに返り白石の遊ゴロも長谷川がエラーして一死満塁、長谷川は2試合連続で連続エラーを犯した。続く呉が押出し四球を選んで5-0、小暮力三は三振に倒れて二死満塁、中島治康が右中間に走者一掃の二塁打を放って8-0として試合を決める。

 須田博は4安打1四球1三振の完封で26勝目をあげて今季最終戦を飾った。


 ここまでの実況中継でお気付きの点があると思います。巨人は先発の須田博が完投、南海は5回から別所昭が登板した。この瞬間、日本プロ野球史上初めて「後の300勝投手による競演」が実現したのである。


 呉波は4打数2安打を記録して今季通算370打数106安打、打率2割8分6厘で年間首位打者となった「。2割8分6厘」は現在でも首位打者としての史上最低打率となっている。


 これにて昭和17年のペナントレースは終了、戦火は増々激しくなる中、昭和18年のシーズンを迎えることとなる。




*記念すべき日本プロ野球史上初の「後の300勝投手による競演」を伝えるスコアカード。









*南海最終戦のオーダー。今季中盤まで巨人と優勝を争っていたが、終盤にかけて息切れした。神田武夫の病気の進行が主要因であるが、八百長疑惑も囁かれている。










*巨人最終戦のオーダー。73勝27敗5分の圧勝であった。