2019年11月12日火曜日

21年 阪急vs巨人 4回戦


5月26日 (日) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計 
0 0 0 0 0 0 0 0  0  0 阪急 12勝5敗 0.706 野口二郎 天保義夫 
0 0 0 0 0 0 0 0 1X 1 巨人 9勝7敗 0.563 藤本英雄 

勝利投手 藤本英雄 4勝2敗
敗戦投手 野口二郎 3勝1敗 

二塁打 (巨)多田

勝利打点 (巨)山田潔 1

猛打賞 (巨)近藤貞雄 1


打撃不振の山田潔がサヨナラ打!

 西宮の第2試合は野口二郎と藤本英雄の先発で午後3時7分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。第1試合で三塁塁審を務めた阪急球団職員の片岡勝はこの試合では外された。

 試合は両投手による息詰まる投手戦となった。


 藤本は初回、一死後下社にレフト戦ヒットを許すが、青田を二ゴロ併殺に打ち取り波に乗った。2回、3回は三者凡退。4回、先頭の山田伝に四球を与え、一死後青田のスウィングがキャッチャー多田のミットに当たる打撃妨害で一二塁のピンチを招くが、野口明を一ゴロ、野口二郎を二飛に打ち取り無失点。5回も1四球を与えただけでここまで無失点。


 野口二郎は走者を出しながらのピッチング。初回、上田、尾西の二遊間が1つずつエラーを犯して二死一二塁のピンチを招くが、当たりの出てきた多田を左飛に打ち取り無失点。2回は近藤、3回は千葉にヒットを許すが無失点で切り抜け、4回は初めての三者凡退。5回は二死後呉新亨にヒットを許すが、呉の二盗をキャッチャー坂田が阻止してここまで無失点。


 後半に入っても藤本は快調なピッチング、6回は二死後青田に中前打を打たれて二盗を許すが、野口明を遊ゴロに打ち取る。7回、8回は三者凡退。


 野口二郎は6回、一死後千葉に四球を与えるが、ここも千葉の二盗を坂田が阻止、続く黒沢の投ゴロを野口が弾くがバックアップのショート尾西が黒沢を一塁に刺してバックが野口を盛り上げる。7回は二死後近藤と藤本に連打を浴びて一二塁のピンチを招くが、当たりの出ない山田潔を投ゴロに打ち取り無失点。8回も一死後山川に中前打から二盗を許すが、千葉を右飛、黒沢を左飛に打ち取り何とか無失点で切り抜ける。


 阪急は9回表、一死後青田が左前打を放って出塁、しかし野口明のニゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレー。


 巨人は9回裏、先頭の多田がレフト線に二塁打、林は三邪飛に倒れるが、近藤の左前打で一死一三塁、強打の藤本、当たっていない山田潔と続くここは藤本を敬遠して一死満塁、阪急ベンチはここで野口二郎に代えて天保義夫をマウンドに送り、巨人は諏訪を代打に起用する手もあったが山田がそのまま打席に向かい、天保の初球を二遊間にヒット、三走多田がサヨナラのホームを駆け抜け藤本の好投に報いる。


 藤本英雄は3安打2四球1三振で今季3度目の完封、4勝目をマークする。


 戦前は力任せのピッチングで四球から崩れるケースが目立った藤本は、戦後になってピッチングスタイルが変わった。一般には昭和22年の中日時代に肩を壊してから軟投派に移行したと言われているが、昭和21年の時点で戦前と投球内容が変わっていることは、「実況中継」を聞いている当ブログの読者であればご理解いただけるでしょう。


 開幕からショートで使われ続け、この試合まで46打数4安打、打率0割8分7厘と全く当りの出ていなかった山田潔がサヨナラ打を放った。内野の控えには戦前からのベテラン坂本、宮下、渡部がいるので諏訪の代打は当然考えられる場面であったが、藤本英雄監督は余程山田の守備を信頼しているのでしょう。因みにまだ中島治康は復帰していないので、開幕からこの時点での巨人の監督は藤本英雄。


 打率1割に満たない打者のことを、球界では「ブ男」と呼びます。私も東京六大学準硬式野球リーグ戦で、2年秋は開幕から使われ続けながらシーズン途中まで打率1割を切っていましたので身に沁みます。山田はこの一打で50打数5安打となり、打率を1割に乗せてきました。


*大映時代の選手名鑑に残された山田潔の直筆サイン。山田はこの年で巨人を去り国民リーグに移り、昭和23年から金星-大映で長く活躍を続ける。このユニフォームは昭和24~25年に使われたもの。(綱島理友著「日本プロ野球ユニフォーム大図鑑」参照)

グ軍とパ軍の勝敗について


 パシフィック藤本定義監督が、ベンチ入り登録した「無届け」の白石敏男と藤井勇を強行出場させたことで、昭和21年5月20日、23日、24日、26日の試合は、後に没収試合となり、放棄試合が宣告されて9対0で相手チームの勝ちと裁定されることになります。この結果、26日のグレートリングとの試合は勝ちと負けがひっくり返ることになりますが、当ブログは「実況中継」なので、当時の選手が認識していた数字をベースにお伝えしていくこととします。裁定が確定した時点で、勝敗の数字を訂正します。これは、後に取り消される真田重蔵の「勝利投手」と清水秀雄の「敗戦投手」についても同様の扱いとさせていただきますのでご了承ください。


*5月26日のパ軍vsグ軍戦の「雑記」欄。「後日放棄試合が宣告され9-0でグレートリングの勝利となる。記録はそのまま(勝利・敗戦投手を除く)有効とする。」と書かれています。あくまで訂正されるのは「後日」のことであり、それは恐らく10月4日のことになると考えられます。当ブログでは、その「後日」がやってくるまでは、訂正前の数字をベースに「実況中継」を続けていきます。



2019年11月11日月曜日

21年 パシフィックvsグレートリング 3回戦


5月26日 (日) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 2 2 0 0 1 2 7 0 パ軍 8勝10敗1分 0.444(後に訂正)真田重蔵 
0 0 2 0 0 0 1 0 1 4 9 グ軍 7勝8敗 0.467(後に訂正)松川博爾 清水秀雄 

真田重蔵 4勝3敗(後に訂正)
清水秀雄 3勝2敗(後に訂正)

二塁打 (パ)真田、藤井、森下2 (グ)清水
本塁打 (パ)藤井 1号、森下 1号

勝利打点 (パ)藤井勇 1(後に訂正)

猛打賞 (パ)森下重好 3


藤井、森下が連続本塁打

 本日は西宮で2試合のみ。第1試合は真田と松川の先発で午後1時2分、金政主審の右手が上がりプレイボール。

 パ軍は白石敏男の出場は見合わせたが、藤井勇は四番ライトで起用した。


 グ軍は戦列に加わったばかりの河西俊雄が欠場。前日の試合で内野安打の際に代走を出されており、足を痛めた可能性がある。二番には河西に代わってこのところ当たっている筒井敬三が起用された。


 パ軍は初回、先頭の富松が中前打で出塁するが、続く辻井の右飛に富松が飛び出しており「9-3」と渡ってダブルプレー。


 グ軍は2回裏、一死後岡村の当たりはニゴロ、これをセカンド小島がエラー、堀井の右前打で岡村は三塁に進み、堀井が二盗を決めて一死二三塁、しかし別所の投ゴロで三走岡村がホームに突っ込むが三本間に挟まれ「1-5」と渡ってタッチアウト、二走堀井は当然三塁に進んだが、打者走者の別所は一塁止まりで二死一三塁、別所はファーストで出場しているので全力疾走の必要があるが、グ軍の機動力野球も別所にまでは求められていなかったか、続く松川は投ゴロに倒れて無得点。


 グ軍は3回裏、一死後安井が四球で歩くと二盗に成功、筒井も四球を選んで一二塁、木村のニゴロで筒井は二封、木村が二盗を決めて二死二三塁、ここで山本が左前に先制の2点タイムリーを放ち2-0とする。山本もバックホームの間に二塁に進み、キャッチャー伊勢川の送球ミスの間に三塁に進む。山本一人監督自ら機動力野球を率先している。続く岡村は三振に倒れてこの回2点止まり。


 パ軍は4回表、二死後、伊勢川、松井、平野が3連続四球、グ軍は突然コントロールの乱れた松川に代えて清水秀雄をマウンドに送るが、真田がライトに同点二塁打を放ち2-2と追い付く。


 パ軍は5回表、先頭の辻井が中前打から二盗に成功、小島は三振に倒れるが、藤井が中越えに二塁打を放ち3-2、森下も中越えに二塁打を放って4-2とリードする。


 グ軍は7回裏、先頭の清水がライト線に二塁打、宮崎の遊ゴロの間に清水は三進、トップに返り安井の中犠飛で3-4と1点差に迫る。


 パ軍は8回表、先頭の森下が左越えに2打席連続二塁打、伊勢川が送って一死三塁、松井の遊ゴロで三走森下がホームに突っ込み、この回からショートに入った宮崎がバックホームするがセーフ、野選が記録されて5-3と突き放す。


 パ軍は8回表、二死後藤井がセンター左後方に戦後初ホームラン、続く森下が中越えにプロ入り初ホームラン、二者連続本塁打で7-3とダメ押す。


 グ軍は9回裏、先頭の堀井が四球で出塁、別所の遊ゴロをショート松井がエラーして無死一三塁、清水の中犠飛で4-7、続く宮崎が中前打を放って一死一二塁、しかしトップに返り安井の当たりはレフトライナー、筒井は遊ゴロに倒れて反撃もここまで。


 真田重蔵は6安打4四球2三振の完投で4勝目をあげる。


 この試合は後に没収試合となり、パシフィックの放棄試合が宣告されて9対0でグレートリングの勝利に訂正されることとなる。ここまで4試合の没収試合については、個人記録はそのまま生きるが、この試合の勝利投手真田重蔵、敗戦投手清水秀雄だけは公式記録から除外される。当ブログが独自に集計している藤井勇の勝利打点も、裁定が出た時点で取り消します。


 なお、「日本プロ野球記録大全集」では、この試合の得点は「7対3」となっている。グ軍は7回裏に「1得点」を記録しているが、スコアカードには「0」と記載ミスがあり、「日本プロ野球記録大全集」は機械的にスコアカードを読み込んでいるだけなので、こういうミスが起こる。当ブログの実況中継だけが、「史実」を伝えている。


*2者連続本塁打を記録した藤井勇と森下重好の直筆サインカード。
藤井のカードには「太陽」と書かれているが、ユニフォームからすると昭和24年「大陽ロビンス」時代のもの。
森下のカードには「大陽ロビンス」と書かれているが肩のマークから昭和22年「太陽ロビンス」か昭和23年「大陽ロビンス」時代のもの。
(綱島理友著「日本プロ野球ユニフォーム大図鑑」参照)



2019年11月10日日曜日

21年 ゴールドスターvsタイガース 4回戦


5月24日 (金) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計 
2 0 1 0 0 0 0 0  0  3 ゴ軍 6勝9敗1分 0.400 内藤幸三 
0 0 1 0 0 0 0 0 3X 4 タ軍 9勝6敗 0.600 野崎泰一 

勝利投手 野崎泰一 2勝2敗
敗戦投手 内藤幸三 3勝4敗

三塁打 (タ)長谷川

勝利打点 (タ)金田正泰 1

猛打賞 (ゴ)坪内道則(4安打) 1

本盗  (タ)長谷川善三


タ軍9盗塁、劇的なサヨナラ勝ち

 後楽園の試合は野崎と内藤の先発で午後3時6分、池田球審の右手が上がりプレイボール。

 ゴ軍は初回、先頭の坪内が三塁線に内野安打、坪内が二盗を決め、酒沢が送って一死三塁、田中宣顕が四球から二盗を決めて一死二三塁、菊矢の三ゴロで三走坪内がホームに突っ込み、サード藤村からのバックホームをかいくぐってホームイン、野選が記録されて1点を先制、一死一三塁から内藤の一ゴロの間に三走田中が還って、この回1安打で2点を先制する。


 ゴ軍は2回表、先頭の吉川が5球ファウルで粘るが三振、大崎欣一の二ゴロをセカンド本堂がエラー、しかし坂本勲のサードライナーに大崎が飛び出し「5-3」と転送されてダブルプレー。


 ゴ軍は3回表、先頭の坪内が三遊間に内野安打、ショート長谷川善三の悪送球が加わり無死二塁、酒沢が送って一死三塁、絶好調の田中が中前にタイムリーを放ち3-0とリードを広げる。


 タ軍は3回裏、二死後長谷川が右中間に三塁打、トップに返り呉昌征が四球を選んで二死一三塁、ここでダブルスチールを決めて1-3とする。


 ゴ軍は5回表、一死後坪内が三前にバントヒット、しかし酒沢の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー。


 タ軍は7回裏、一死後長谷川が四球を選んで出塁、トップに返り呉も四球を選んで一死一二塁、ゴ軍坪内監督がここでライトを末崎正隆から早川平一に交代させて一息入れると、金田は三振、御園生はニゴロ、ここは内藤が息を吹き返して無得点。


 ゴ軍は8回表、先頭の坪内が又も三前にバントヒット、しかしここも酒沢の投ゴロが「1-6-3」と渡ってダブルプレー、田中は遊飛に倒れて無得点。


 タ軍は9回裏、先頭の池端の遊ゴロをショート酒沢が一塁に悪送球、打者走者の池端は二塁に進んで代走に小林英一を起用、野崎に代わる代打渡辺誠太郎の遊ゴロもショート酒沢がエラー、この間に二走小林が還って2-3、無死一塁から長谷川が送りバントを決めて一死二塁、トップに返り呉は四球を選んで一死一二塁、ここでダブルスチールを決めて一死二三塁、金田が右前に決勝の2点タイムリーを放ち、タ軍が劇的な逆転サヨナラ勝ちを飾る。


 野崎泰一は6安打2四球3三振の完投で2勝目をマークする。


 ゴ軍では坪内監督が2本のバントヒットを含むオール内野安打で4打数4安打の猛打賞。二番の酒沢が送りバントを決めた第1打席と第2打席は共に得点に結びついたが、第3打席と第4打席は共に「1-6-3」のダブルプレー。5回の第3打席は一死一塁だったので酒沢は打っていったと考えられるが、8回の第4打席は送りバントが併殺になった可能性が高い。


 その酒沢は9回裏に手痛いWエラー。野球にミスは付き物とは言え、この日は酒沢の日ではなかった。


 タ軍は9盗塁を記録、呉昌征が3盗塁、本堂も3盗塁であった。長谷川善三がダブルスチールによる本盗を決め、9回のサヨナラ劇もダブルスチールからのものであった。


*逆転サヨナラ打の金田正泰。このユニフォームは昭和23~24年のもの(綱島理友著「日本プロ野球ユニフォーム大図鑑」参照)。ここまで状態の良いカードは珍しいでしょう。


*オール内野安打で4安打の坪内道則。カードは中日時代。いかにも短距離打者らしい構えですね。この肩のマークは昭和24年のもの。


2019年11月9日土曜日

21年 グレートリングvs巨人 3回戦


5月24日 (金) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
3 0 0 0 0 2 0 0 0 5 グ軍 7勝7敗 0.500 丸山二三雄 別所昭 松川博爾 
2 1 1 0 0 1 0 1 X 6 巨人 8勝7敗 0.533 中尾輝三 藤本英雄 

勝利投手 藤本英雄 3勝2敗
敗戦投手 松川博爾 1勝3敗 

二塁打 (グ)木村 (巨)中尾、呉新亨
三塁打 (巨)呉新亨、近藤

勝利打点 (巨)多田文久三 3

猛打賞 (巨)呉新亨 2


多田の決勝打で乱戦を制す

 西宮の第2試合は丸山と中尾両左腕の先発で午後3時丁度、金政主審の右手が上がりプレイボール。

 グ軍は初回、先頭の安井がいきなりストレートの四球で出塁、河西は一邪飛に倒れるが、安井が二盗に成功、木村が四球を選んで一死一二塁、山本一人が中前に先制タイムリーを放ち1-0、一走木村は三塁に進んで一死一三塁、ここで山本が二盗、キャッチャー多田からの二塁送球がセンターに抜け、更にバックアップの呉新亨が後逸、ダブルエラーの間に三走木村に続いて山本も一気にホームに還って3-0とする。


 巨人は1回裏、手痛いエラー犯した先頭の呉が汚名挽回の中越え三塁打で反撃開始、山川のニゴロの間に呉が還って1-3、続く千葉のニゴロをセカンド安井がエラー、黒沢が3球ファウルで粘って四球を選び一死一二塁、多田の一ゴロをファースト山本は二塁に送球して黒沢は二封、ショート河西からの一塁転送は打者走者多田の足の方が速くセーフ、この間に二走千葉が一気にホームに還る好走塁を見せて2-3と1点差、多田に打点が記録された。
 巨人は2回裏、この回も先頭のファーストに起用された近藤が中越えに三塁打、中尾の右犠飛で3-3の同点に追い付く。二死後呉が三塁線に内野安打から二盗に成功、山川は四球を選んで二死一二塁、グ軍ベンチはここで先発の丸山から別所にスイッチ、千葉は右飛に倒れてスリーアウトチェンジ。


 巨人は3回裏、先頭の黒沢が2打席連続四球、多田もストレートの四球、林の一塁後方のファウルフライはセカンド安井がよく追い付いて二邪飛、ここで丸山がボークを犯して一死二三塁、近藤の右犠飛で4-3と勝ち越す。


 グ軍は4回表、山本が一二塁間ヒットから二盗に成功、更にパスボールで三進、一死後岡村が死球から二盗を決めて二三塁、別所の当たりはショートライナーで二死二三塁、筒井はストレートの四球で二死満塁、しかし宮崎は捕邪飛に倒れて無得点。


 グ軍は5回表、一死後河西が二遊間にヒット、この時何かあったのか河西の代走に櫛田由美彦が起用され、木村の右越え二塁打で二三塁、山本は四球を選んで一死満塁、しかし堀井の投ゴロが「1-2-3」と転送されてダブルプレーで無得点。


 チャンスを潰してきたグ軍は6回表、一死後別所が左前打、筒井も二遊間にヒット、宮崎の遊ゴロをショート山田潔がエラーして一死満塁、トップに返り安井が右前にタイムリーを放ち4-4の同点、5回裏からショートに入った桶川隆がスクイズを決めて5-4と逆転に成功する。


 巨人は6回裏、先頭の中尾が右中間に二塁打、山田は中飛に倒れるが、トップに返り呉が右中間にヒット、二走中尾は三塁ストップするが打者走者の呉は二塁に走って二塁打、一死二三塁となって山川のニゴロで三走中尾が中途半端な走塁、セカンド安井が三塁に送球してタッチアウト、二死一二塁から千葉が左前に同点タイムリーを放ち5-5とする。


 巨人は7回から中尾に代わって藤本がリリーフ登板。


 巨人は8回裏、先頭の呉が四球を選んで出塁、山川が送って一死二塁、千葉は二飛に倒れるが、黒沢がこの日4個目の四球を選んで二死一二塁、多田が中前に決勝タイムリーを放ち乱戦を制す。


 藤本英雄は3イニングを2安打1四球2三振無失点に抑えて3勝目をマークする。


 河西俊雄は第3打席の二遊間ヒットの際に代走を出されたが、この後2試合を欠場することから考えると、一塁ベースを踏んだ時に足を捻ったか、何らかの怪我があったのではないか。


 実況からも分かるとおり乱戦となった。グ軍は9安打5四球1死球で10残塁、巨人は8安打9四球で12残塁。試合時間はぎりぎり2時間を切る1時間58分、試合終了は午後4時58分であった。


 グ軍は2試合連続5盗塁を記録、機動力野球の方向性が明確になってきた。


 巨人は多田文久三が復調してきて3個目の勝利打点を記録、森下重好、飯島滋弥と並んで現在勝利打点王。



2019年11月8日金曜日

21年 パシフィックvs阪急 4回戦


5月24日 (金) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 2 1 0 0 0 0 3 0 パ軍 7勝10敗1分 0.412 湯浅芳彰 真田重蔵 
0 0 2 0 0 0 2 0 X 4 9 阪急 12勝4敗 0.750 森弘太郎 野口二郎 

勝利投手 野口二郎 3勝0敗
敗戦投手 湯浅芳彰 1勝3敗 

二塁打 (パ)小島
三塁打 (急)日比野

勝利打点 (急)山田伝 1


2本の2点適時打

 24日も後楽園で1試合と西宮で2試合。西宮の第1試合は午後1時丁度、杉村主審の右手が上がりプレイボール。三塁塁審は阪急球団職員の片岡勝が務める。

 阪急は森弘太郎が戦後初登板初先発。森の登板は昭和18年6月23日の阪急vs西鉄6回戦で先発して以来、約3年ぶりとなる。


 また、阪急は四番に森田定雄を起用。森田は今季まだ2試合しか出場していないが3打数2安打を記録している。森田の四番は昭和17年7月21日の阪急vs大洋7回戦以来、約4年ぶりとなる(日本プロ野球私的統計研究会様「スタメンアーカイブ」参照)。


 パ軍はこの日も一番に白石、四番に藤井を起用した。阪急は前川と青田を巨人から譲り受けているため文句が言える立場にない。藤本は自伝「覇者の謀略」に「青田と前川については知らぬ顔を決め込んでいる。そのうえ(阪急の=筆者注)村上代表など理事として『藤本はけしからん。白石を巨人へ返せ』などどいっている。そんな身勝手な理屈があってたまるか」と書いている。


 森弘太郎は無難な立ち上がりを見せ、初回は三者凡退、2回は先頭の藤井を三振に打ち取り、続く森下に中前打を許すが、辻井を二ゴロ併殺に打ち取り無失点、3回も三者凡退に抑える。


 阪急は3回裏、先頭の森が四球を選んで出塁、尾西はサードライナーに倒れ、トップに返り山田伝の右前打で一死一二塁、続く下社も右前打、三塁に進んだ二走森は中継がもたつくのを見てホームに突っ込むが、「9-4-6-2」と転送されてタッチアウト、結果的に森の判断ミスとなったがブランクの影響か。青田が四球を選んで二死満塁、ここで四番に器用された森田が期待に応えて中前タイムリー、二者還って2点をリードする。さすがは当ブログが「最も無名の最強打者」と認定しているクラッチヒッターである。


 パ軍は4回表、先頭の白石が死球を受けて出塁、小暮の一ゴロでランナーが入れ替わり、小島の左中間二塁打で小暮が還って1点差、藤井は捕邪飛に倒れるが、ワイルドピッチで小島は三進、森下が右前に同点タイムリーを放ち2-2と追い付く。


 阪急は4回裏、一死後日比野の当たりはレフトを超え、日比野は鈍足を飛ばして三塁に駆け込み三塁打、ところが森の投飛に三走日比野は戻れず「1-5」と渡ってダブルプレー。スコアカードに「BT」の表記はないが、スクイズ失敗の可能性が考えられる。いくら日比野が鈍足と言っても、高く上がったピッチャーフライで戻れないことはない。ハーフライナーのような当たりだった可能性はある。


 パ軍は5回表、二死後白石が左前打で出塁、小暮の中前打で一走白石が一気にホームに生還して3-2と逆転に成功、ここはエンドランが掛かっていたか、続く小島も中前打を放って二死一二塁、ここで阪急ベンチは先発の森をあきらめ野口二郎をリリーフに送り、藤井は中飛に倒れてこの回1点止まり。


 阪急は7回裏、先頭の日比野が左前打で出塁すると代走に西村正夫監督が自ら出陣、野口二郎の左前打で無死一二塁、尾西の投前送りバントが野選を誘って無死満塁、トップに返り山田の初球がボールとなったところでパ軍藤本定義監督は先発の湯浅から真田にスイッチ、スリーボールツーストライクから山田が前進守備の二遊間を破るタイムリー、三走西村監督に続いて二走野口も還って4-3と逆転に成功する。


 野口二郎は4回3分の1を2安打1四球無三振無失点に抑えて3勝目をマークする。


 阪急は森田定雄と山田伝が放った2本の2点タイムリーで逆転勝ちした。「日本野球年鑑」には、「7回、1点リードしていたパシヒックが満塁の時、前進守備を取った所を山田に抜かれ、折角の勝星を失ったのは惜しかった」と書かれているが、無死満塁の場面での前進守備は致し方のないところではないか。一死満塁なら二遊間は中間守備からセカンドゲッツーを選択する余地はあるが・・・。


 この試合はパ軍が「無届け」の白石と藤井を使ったため、後に「没収試合」となる。



訂正しないお知らせ


 「隠し球」につきまして、これまで大半を「隠し玉」と表記していた可能性が高まりました。面倒すぎて訂正はしませんので、気付かれた読者の方は、ご自身で訂正しておいてください。

 まぁ、意味は通じると思いますので、大目に見てやってください。素人のブログですから(笑)。



戦後最初の「隠し球」


 昭和21年5月23日、西宮球場の第2試合、グレートリングvsパシフィック2回戦の8回表グ軍の攻撃、先頭の清水秀雄が右飛に倒れてからの一死後、筒井敬三が三塁線にゴロを放ち、この回からサードの守備に入った高須清が一塁に送球、打者走者の筒井は一塁に駆け込みセーフ、内野安打となって筒井が一塁ベースに戻り、リードを取って離塁したところに何と白球を隠し持っていたファースト辻井弘がタッチ、戦後最初の「隠し球」が成立しました。

 「隠し球」は戦争後期となった昭和18年に禁止されましたので、スコアカードから確認できる戦前最後の「隠し球」は、昭和17年10月15日、阪神vs大和14回戦の5回裏大和の攻撃、先頭の石原繁三が右前打で出塁し、ライトからの返球を隠し持っていたファースト門前真佐人が石原がリードを取って離塁したところにタッチして成立させた「隠し球」であると考えられます。


 したがって、辻井がやった「隠し球」は3年半ぶりのものとなりました。まぁ、平和な時代を象徴する出来事と言えそうです。


 ちなみに、私が先週やっていた草野球で、1回表二死二三塁で左中間に2点タイムリー二塁打を放ち、リードを取るために二塁ベースを離れたところを遊撃手にタッチされて「隠し球」を喰らいました。小学生以来約50年ぶりでしたね。平和な時代です(笑)。



*戦後最初の「隠し球」が記録された場面。九番筒井が三塁への内野安打で出塁したがファースト辻井にタッチされて二死目が記録されており、「雑記」欄に「かくし球」と記載されている。





2019年11月7日木曜日

21年 セネタースvsタイガース 1回戦


5月23日 (木) 後楽園 

1 2 3 4 5 6 7 8  9  計 
0 0 0 0 0 0 0 0  0  0 セ軍 6勝9敗 0.400 黒尾重明 
0 0 0 0 0 0 0 0 1X 1 タ軍 8勝6敗 0.571 御園生崇男 

勝利投手 御園生崇男 1勝0敗
敗戦投手 黒尾重明     0勝2敗 

三塁打 (セ)鈴木

勝利打点 (タ)富樫淳 1


御園生崇男、戦後初登板を完封で飾る

 後楽園の試合は午後3時4分、島球審の右手が上がりプレイボール。

 タ軍は呉昌征の成功で味を占めたのか、本日は御園生崇男が戦後初登板。その御園生が快投を見せた。


 ピンチを招いたのは序盤だけで、初回、先頭の一言多十に四球を与え、横沢に中前打、大下もストレートの四球でこのまま崩れるかに見えたが、飯島を投飛に打ち取り、長持の投ゴロで三走一言を本封、黒尾を中飛に打ち取り無失点で切り抜ける。


 2回も二死後鈴木清一に三塁打を打たれるが、トップに返り一言を中飛に打ち取り無失点。3回は一死後大下の右飛をライト富樫が落球、大下に二盗を決められ一死二塁とするが、飯島を2打席連続投飛、長持も一飛に打ち取り無失点。


 4回、5回は三者凡退。6回一死後、飯島に四球を与えるが、長持を二ゴロ併殺に打ち取る。7回、8回も三者凡退。


 御園生は9回も圧巻の投球を見せ、三番大下、四番飯島を連続三振、長持にはストレートの四球を与えるが、黒尾を二飛に打ち取りここまで無失点、味方の援護を待つ。


 パ軍先発の黒尾も好投を見せ、2回までに3安打を許すが無失点、3回は1四球のみ。4、5、6回は三者凡退。7回、8回も無失点で切り抜け試合は最終回へ。


 タ軍は9回裏、先頭の呉昌征はニゴロ、金田は左飛に倒れて二死無走者、本堂のあたりはニゴロ、0対0のまま延長戦に突入かと見られた矢先、セカンド根津がエラー、藤村はストレートの四球で二死一二塁、ここで富樫が右前にサヨナラヒット、タ軍が接戦を制す。


 黒尾重明は8回3分の2を投げて5安打2四球1三振1失点、自責点ゼロのピッチングであった。


 御園生崇男は2安打4四球3三振、戦後初登板を完封勝利で飾った。


 実況でお伝えしたとおり、9回裏二死一塁の場面で藤村冨美男がストレートの四球で歩かされたが、これが敬遠であった可能性について考えてみたい。常識的に考えれば、1点もやれない状況でわざわざスコアリングポジションに走者を送るなど考えられないところであるが、藤村は前節終了時点で4割1分7厘の首位打者、直近6試合では24打数13安打と5割を超えている。次の打者がルーキーの富樫淳であることから、藤村との勝負を避けたと見るのが妥当であろう。キャッチャーが立つようなあからさまな敬遠ではなかったにせよ、セ軍バッテリーはストライクで勝負する気はなかったのではないか。そこを捕らえてサヨナラ打を放った富樫が殊勲甲であることは間違いないが、その背景には「ダイナマイト打線」の恐怖がちらついていたのである。



2019年11月6日水曜日

21年 グレートリングvsパシフィック 2回戦


5月23日 (木) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 0 3 4 0 0 7 9 グ軍 7勝6敗 0.538 野口務 清水秀雄 
0 0 0 0 3 2 0 0 X 5 0 パ軍 7勝9敗1分 0.438 井筒研一 湯浅芳彰 

勝利投手 清水秀雄 3勝1敗
敗戦投手 井筒研一 3勝4敗 

二塁打 (グ)安井 (パ)小島

勝利打点 (グ)堀井数男 2

猛打賞 (グ)河西俊雄 1 (パ)藤井勇 1

隠し玉 (パ)辻井弘


河西俊雄、鮮烈デビュー

 西宮の第2試合は野口務と井筒研一の先発で午後2時55分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。

 パ軍は「無届け」の白石敏男を一番ショート、藤井勇を四番ライトにスタメン起用の暴挙。


 グ軍は初回、一死後プロ入り初出場の河西俊雄が三塁にプロ入り初ヒット、更にプロ入り初盗塁を決めるが、木村と山本は共に中飛に倒れて無得点。


 グ軍は2回表、二死後ファーストでスタメンの別所が三塁線にヒット、野口も三塁にヒットを放ち一二塁とするが、坂本政数はニゴロに倒れて無得点。


 パ軍は2回裏、一死後森下がセンター右にヒット、辻井も中前打、伊勢川はストレートの四球で一死満塁、しかし平野のニゴロが「4-6-3」と渡ってダブルプレー。


 グ軍は井筒に抑え込まれて3、4、5回と三者凡退。


 パ軍も野口から四球は選ぶが4回まで無得点。


 パ軍は5回裏、先頭の井筒がレフト線にヒット、トップに返り白石が二遊間に戦後初ヒット、富松の投前送りバントをピッチャー野口が一塁に悪送球、犠打とエラーが記録されて無死満塁、小島のレフト戦二塁打で2点を先制、藤井も左前にタイムリーを放ち3-0とする。


 グ軍は6回表、先頭の安井が四球で出塁、河西の一二塁間ヒットで無死一三塁、木村の遊ゴロで河西は二封、三走安井は動かず一死一三塁、ここでダブルスチールを仕掛けるが「2-6-2」と渡って安井は本塁タッチアウト、この間に一走木村は三塁に進む。重盗失敗片割れなので木村には盗塁は記録されない。山本が四球から二盗を決めて二死二三塁、堀井の三ゴロで三走木村が還り1-3、サード平野からの一塁送球が悪送球となる間に二走山本も還って2-3、打者走者の堀井は二塁に進み、岡村のライト線タイムリーで3-3の同点に追い付く。


 試合を振出しに戻したグ軍は6回からバッテリーを野口-坂本から清水-筒井に入れ替え、ついでに山本監督がサードからファーストに回り、ファースト別所に代わって宮崎が入ってサードの布陣を敷く。


 パ軍は6回裏、一死後井筒がレフト線にヒット、トップに返り白石の投前送りバントをファースト山本が落球、犠打とエラーが記録されて一死一二塁、富松のピッチャー強襲ヒットで一死満塁、小島の左犠飛で4-3と勝ち越し、藤井の左前タイムリーで5-3とする。


 グ軍は7回表、一死後安井がライト線に二塁打、河西が三塁へのヒットから二盗に成功、木村が四球を選んで一死満塁、山本が左前に同点の2点タイムリーを放ち5-5、一死一二塁からダブルスチール、キャッチャー伊勢川からの三塁送球はタイミングはアウトであったがサード平野が落球して一死二三塁、堀井の三ゴロの間に三走木村が還って6-5と逆転に成功、岡村の三塁へのタイムリーで1点追加して7-5とリードする。



 逆転してもらった清水は7回裏、先頭の辻井をストレートの四球で歩かせ、続く伊勢川に中前打を打たれて無死一二塁のピンチを招くが何とか後続を抑えて無失点。

 清水は8回も一死後小島に四球、藤井に右前打を打たれて一三塁のピンチを招くが、森下を投ゴロ、辻井を三振に抑えて無失点。

 清水は9回のパ軍の反撃を三者凡退に退け、4イニングで5奪三振の力投を見せて3勝目をマークする。


 グ軍は河西が加入していきなり3安打2盗塁、チーム全体でも5盗塁と、機動力野球が動き出した。


 この試合は「無届け」の白石と藤井が出場しているので、当然没収試合。白石は3打数1安打2得点、藤井は5打数3安打2打点の活躍であった。



2019年11月3日日曜日

21年 巨人vs阪急 3回戦


5月23日 (木) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 0 4 1 0 0 5 巨人 7勝7敗 0.500 近藤貞雄 
0 0 0 1 0 0 3 0 0 4 阪急 11勝4敗 0.733 笠松実 野口二郎 

勝利投手 近藤貞雄 3勝2敗
敗戦投手 笠松実    3勝2敗 

二塁打 (巨)呉 (急)青田2、三木
三塁打 (巨)山川

勝利打点 (巨)多田文久三 2

猛打賞 (急)青田昇 5


林清一が殊勲打

 第5節の初日は後楽園で1試合と西宮で2試合。西宮の第1試合は近藤、笠松の先発で午後1時丁度、金政主審の右手が上がりプレイボール。

 巨人打線は笠松に苦手意識があるのか、前半は無得点が続く。初回、先頭の呉新亨が左前に引っ張って出塁するが、山川は遊ゴロ、千葉は三ゴロ、黒沢は投ゴロに倒れて無得点。戦前から苦手にしている笠松のシュートに手こずっているようだ。


 一転して2回は多田が中飛、林も中飛、諏訪は三飛と凡飛の繰り返し。3回は近藤が三振、山田潔は三ゴロ、呉が左飛と翻弄された。


 阪急打線も3回まで近藤に抑えられてきたが4回裏、先頭の青田がレフト線に二塁打、一死後三木が左中間に二塁打を放ち1点を先制する。


 5回まで笠松に2安打に抑え込まれてきた巨人は6回、ようやく笠松をとらえる。


 巨人は6回表、先頭の山田潔が四球を選んで出塁、トップに返り呉がレフト線に二塁打を放って二三塁、山川は浅い右飛に倒れるが、千葉はストレートの四球で一死満塁、黒沢が押出し四球を選んで1-1の同点、多田の左犠飛で2-1と逆転、二走千葉と一走黒沢もバックホームの間にタッチアップから進塁して二死二三塁、ここで林が左前に2点タイムリーを放ち4-1と突き放す。


 巨人は7回表、二死後呉が四球を選んで出塁、山川が右越えに三塁打を放ち呉が還って5-1とリードを広げる。


 阪急は7回裏、先頭の下社がレフト線にヒット、坂田はストレートの四球で無死一二塁、笠松に代わる代打野口二郎の三ゴロをサード山川が一塁に悪送球して無死満塁、ここで開幕からいい働きを見せている九番尾西がライト線にタイムリーを放って2-5、なおも無死満塁が続き、トップに返り山田伝の遊ゴロをショート山田潔がバックホームするがセーフ、野選が記録されて3-5、なおも無死満塁が続いて上田は遊ゴロ、ショート山田潔は二塁ベースカバーのセカンド千葉に送球して一走山田伝は二封、この間に三走野口二郎は生還して4-5と1点差、この時三塁に進んだ二走尾西がホームを狙って突っ込んだが、これを見た千葉は一塁に転送せずにホームに送球して尾西はタッチアウト、二死一塁となって青田がレフト線に二塁打を放ち二死二三塁と一打逆転のチャンス、しかし四番野口明は三ゴロに倒れて反撃もここまで。 


 阪急は笠松の代打に出た野口二郎がそのままマウンドに上がって8回、9回を無失点に抑える。


 阪急は8回裏、二死後坂田が四球を選んで出塁するが野口二郎は遊ゴロに倒れて無得点。


 近藤貞雄は9回の阪急の攻撃を三者凡退に退け、7安打3四球3三振の完投で3勝目をあげる。


 この試合の勝利打点は決勝犠飛の多田文久三に記録されるが、「真の殊勲打」はその直後に追撃の2点タイムリーを放った林清一の一打であった。林は19日のタイガース戦で手痛いミスをしたばかりだったが、まだまだ「ベテラン健在」ぶりを見せつけた。


 一方、阪急は開幕から活躍を続けてきた尾西の走塁ミスが響いた。「日本野球年鑑」には、「7回絶好の挽回機に尾西の悪走が祟って若い近藤を打ち崩す機会を自らの手で刈り取ってしまった」と書かれている。ここは尾西の奮起に期待したいところ。



2019年11月2日土曜日

21年 第4節 週間MVP


週間MVP

投手部門
 パシフィック 井筒研一 1

 今節2勝をマームしたのは清水秀雄のみ。清水の勝利は19日の中部戦は味方の大量得点に恵まれたもので、20日の巨人戦は4人の継投によるもの。巨人戦の勝利投手は、現行基準であれば野口渉で清水にはセーブが記録された可能性が高い。
 完封勝利は井筒研一と野口二郎が記録した。井筒は7回まで0対0の重苦しい展開を粘り切ったもので、5回表の守備では走者一塁の場面で右前にフラフラと上がる打球でがら空きとなった一塁ベースカバーに走り、捕球したライト木暮からの送球をキャッチして併殺を完成させた好守が高く評価されて、井筒研一が受賞した。

打撃部門
 ゴールドスター 田中宣顕 1

 16打数9安打3得点2打点。前節終了時点の打率1割9分6厘を2割9分まで上げて打撃ベスト10までもう一歩の勢いである。4連勝阪急の尾西信一と山田伝のライバルを抑えて受賞した。
 昭和19年の「田中豊一」時代には、同年に4安打を記録した9人のうちの一人であり、昭和19年7月16日に近畿の清水秀雄から戦前最後の満塁本塁打を放った。この一打は、同年に甲子園球場で記録された2本の本塁打のうちの1本でもあった。
 田中はこの強打が評価されて、この後四番を打つことになるが、この年46試合に出場しただけでプロ野球を去ることとなる。このような強打者が全く無名というのが不思議ですね。

殊勲賞
 巨人 林清一 1
 16日の中部戦で戦後最初の満塁本塁打。
 戦前最後の満塁本塁打を放った田中宣顕と、戦後最初の満塁本塁打を放った林清一という、二人のバイプレイヤーが表彰対象となった。

 阪急 三木久一 1
 19日のゴ軍戦で、9回表に満塁走者一掃逆転二塁打。

 グレートリング 野口渉 1
 20日の巨人戦で逆転の決勝2点タイムリー。野口渉がプロで記録した通算打点はこの「2点」だけである。

敢闘賞
 阪急 尾西信一 1
 11打数4安打2得点3打点。九番打者としてつなぎ役で好調阪急を引っ張る。

 阪急 山田伝 1
 18打数7安打3得点3打点3盗塁。前節終了時点まで打率1割7分6厘と開幕から不振が続いていたが、本領を発揮してきた。

 グレートリング 安井亀和 1
 10打数4安打2得点3打点4四球。グ軍機動力野球の核弾頭。

 パシフィック 伊勢川真澄 1
 11打数4安打1得点2打点5四球。戦前からバッテリーを組む井筒が完封した19日のセ軍戦で8回裏に決勝打を放つ。

技能賞
 中部日本 森井茂 1
 17日のグ軍戦で芸術的ピッチングを見せる。次の試合で打たれたため惜しくも週間MVPを逃した。

 タイガース 呉昌征 1
 19日の巨人戦で完投勝利、20日の中部戦では勝利打点の「二刀流」。

2019年11月1日金曜日

21年 第4節トピックス


 第4節は合計14試合。阪急が4勝0敗で通算11勝3敗、勝率7割8分6厘。二位タイガース7勝6敗を大きく引き離して独走態勢に入っている。

 田中宣顕が19、20日の阪急2連戦で2試合連続猛打賞。


 林清一が16日の中部戦で戦後初の「満塁本塁打」。


 加藤正二が20日のタ軍戦で第3号本塁打。二位は複数の1本で、ホームランダービー独走中。


 本堂保次が20日の中部戦で4個目の犠飛。二位は複数の1個で断トツの「犠飛王」。


 野口渉が20日の巨人戦で逆転の決勝2点適時打。野口渉の通算打点はこの2点のみである。


 末崎正隆は規定打席にこそ達していないものの、ここまで25打数10安打、打率4割。OPSも0.943と立派な成績である。


 中部は20日のタ軍戦で9回表に服部、藤原、西沢が3連続二塁打。


 大下弘が19日のパ軍戦で3度目の登板にして初先発。「地肩」の強さは認められるが、レフトに回っていた8回の伊勢川の左中間決勝二塁打については、「日本野球年鑑」に「左翼手の悪判断」と書かれており、大下の守備には不安があるようだ。