2017年6月27日火曜日

18年 朝日vs名古屋 9回戦


9月21日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 0 1 0 0 1 0 3 朝日 31勝25敗6分 0.554 真田重蔵
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 名軍 34勝22敗6分 0.607 森井茂

勝利投手 真田重蔵 8勝9敗
敗戦投手 森井茂     5勝5敗

二塁打 (朝)中谷

勝利打点 なし


真田重蔵、2安打完封

 朝日は初回、二死後酒沢政夫が四球を選んで出塁、中谷順次は二塁に内野安打、一走酒沢は快足を飛ばして三塁に達し、セカンド石丸藤吉からの三塁送球の間に打者走者の中谷は二塁に進んで二死二三塁、ここで名古屋先発の森井茂が痛恨のワイルドピッチ、朝日が1点を先制する。

 朝日は2回、先頭の大友一明が三塁への内野安打で出塁するが、続く早川平一の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってゲッツー。4回は一死後中谷がレフト線に二塁打を放つが後続なく無得点。


 朝日は5回、先頭の早川が四球を選んで出塁、大島渡が送りバントを決めて一死二塁、真田重蔵の中前打で一死一三塁、トップに返り坪内道則が投前にスクイズを決めて2-0とする。


 朝日は8回、一死後坪内が三遊間を破って出塁、森本清三の三前バントが犠打となって二死二塁、酒沢の当りは遊ゴロ、これをショート芳賀直一がエラーする間に二走坪内が一気にホームに還り3-0とダメ押す。


 朝日先発の真田重蔵は立ち上がり不安定なピッチング。初回、先頭の石丸藤吉と二番古川清蔵に連続四球、小鶴誠に送りバントを決められて一死二三塁のピンチ、しかし吉田猪佐喜を三振、加藤喜作を中飛に抑えて無失点。3回も石丸藤吉、古川に連続四球を与えて無死一二塁のピンチ、しかし小鶴を右飛に打ち取り、吉田の投ゴロを「1-6-3」と回してダブルプレー。


 真田は5回まで2安打5四球で毎回走者を出しながら無失点、6回以降は名古屋打線を無安打1四球に抑え、2安打6四球6三振で今季4度目の完封、8勝目をあげる。


 朝日は初回に酒沢と中谷が好走塁を見せて先制、5回はベテラン坪内がスクイズを決め、8回も坪内のヒットを森本が送って加点、渋い勝利をあげる。



18年 大和vs阪神 9回戦


9月21日 (火) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 大和 26勝31敗5分 0.456 石田光彦
1 0 1 0 0 1 0 0 X 3 阪神 30勝26敗6分 0.536 三輪八郎

勝利投手 三輪八郎 7勝7敗
敗戦投手 石田光彦 8勝9敗

勝利打点 玉置玉一 3


阪神、相手ミスと四球で加点

 阪神は初回、先頭の山口政信が三前にバント、これをサード高橋吉雄がファンブル、記録はエラーで無死一塁、金田正泰が左前に流し、藤村冨美男の三前バントが内野安打となって無死満塁、景浦将の左犠飛で1点を先制する。

 大和は2回、先頭の鈴木秀雄が四球で出塁、小松原博喜が送って一死二塁、石田光彦は中飛に倒れるが、渡辺絢吾が中前に同点タイムリーを放って1-1とする。


 阪神は3回、先頭の山口の当りは三ゴロ、これをサード高橋が初回に続いてエラー、金田の一ゴロの間に山口は二進、藤村は中飛、景浦は歩かされて二死一二塁、門前真佐人のピッチャー強襲ヒットで二死満塁、玉置玉一が押出し四球を選んで2-1と勝ち越す。


 阪神は6回、一死後武智修が左前打、塚本博睦はストレートの四球で一死一二塁、トップに返り山口の遊ゴロで塚本が二封されて二死一三塁、金田の一塁へのヒットがタイムリーとなって3-1とする。


 三輪八郎は6安打3四球5三振の完投で7勝目をあげる。


 両チーム6安打ずつで打撃は互角であったが、大和は石田光彦の8与四球とサード高橋吉雄の2つの失策が響いた。阪神の勝利打点は押出し四球によるもので、山口政信が記録した2得点は何れも高橋のエラーで塁に出たものであった。



2017年6月24日土曜日

18年 西鉄vs阪急 9回戦


9月20日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 西鉄 26勝31敗6分 0.456 重松通雄
1 0 0 0 0 0 0 0 X 1 阪急 22勝39敗2分 0.361 笠松実

勝利投手 笠松実     6勝8敗
敗戦投手 重松通雄 7勝16敗

勝利打点 三木久一 2

56分の投手戦

 昭和15年8月11日、大連・満倶球場 で行われた阪急vsタイガース戦で記録された56分と並ぶ最短試合時間タイ記録が樹立された。

 阪急は初回、先頭の中村栄が四球を選んで出塁、上田藤夫のライト線ヒットで中村は三塁に進み、上田が二盗を決めて無死二三塁、山田伝のバントは捕飛となって一死二三塁、ここはスクイズ失敗か、下社邦男が四球を選んで一死満塁、三木久一の二ゴロの間に三走中村が還って1点を先制する。


 西鉄先発の重松通雄は初回に3四球を出したが、2回以降8回まで1四球1安打無失点のピッチング。


 阪急先発の笠松実は7回まで3四球無安打無失点。8回、二死後鵜飼勉に左前打を打たれて大記録は逸したが、1安打3四球3三振で今季3度目の完封。


 重松通雄も西鉄打線を2安打3四球3三振1失点に抑え、両軍合わせて3安打のみであった。


 初回の重松の3四球がなかったら試合時間は55分となっていたかもしれない。


 昭和21年7月26日、タイガースvsパシフィック戦で55分の史上最短試合時間記録が作られることとなる。昭和18年9月20日時点においては、昭和15年の大連とこの日に記録された56分が最短試合時間記録となる。



2017年6月21日水曜日

18年 南海vs巨人 9回戦


9月20日 (月) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 23勝39敗1分 0.371 別所昭
1 0 0 0 0 1 0 0 X 2 巨人 41勝20敗2分 0.672 中村政美

勝利投手 中村政美 2勝4敗
敗戦投手 別所昭  14勝20敗

二塁打 (巨)中島

勝利打点 中村政美 1


中村政美、プロ入り初完封

 巨人は初回、先頭の呉昌征が四球で出塁すると二盗に成功、白石敏男も四球、小暮力三の三前バントが内野安打となって無死満塁、青田昇の当りはショートライナー、三走呉が還れずダブルプレー、中島治康が四球を選んで二死満塁、中村政美が押出し四球を選んで1点を先制する。

 巨人は6回、一死後呉が四球を選ぶと又も二盗に成功、更に三盗にも成功、キャッチャー荒木正からの三塁送球が悪送球となって呉が還り2-0とする。


 南海先発の別所昭は8回を完投したが9安打9四球の大乱調。


 巨人は18個の出塁を記録したが2得点で16残塁であった。


 巨人先発の中村政美は4安打2四球8三振の好投を見せてプロ入り初完封、2勝目をあげる。中村は昭和19年には野手としての出場が増え、戦前最後の本塁打を記録することとなるが戦死する。


 呉昌征が3個の盗塁を記録、呉は9月18日の阪急戦の5回に三盗に失敗して29個連続盗塁成功記録が途切れたが、そこから5個連続盗塁成功となっている。



2017年6月20日火曜日

18年 第13節 週間MVP


 今節は西鉄が4勝1敗1分、阪神が3勝1敗1分、名古屋が3勝2敗、巨人が3勝3敗、大和が2勝2敗1分、南海が2勝4敗、阪急が2勝4敗、朝日が0勝2敗3分であった。


週間MVP

投手部門

 巨人 藤本英雄 6

 3勝1敗3完封。6試合連続完封で途切れた後2連続完封。

 朝日 内藤幸三 1

 9月15日の西鉄戦で延長12回1安打無失点。

 阪神 三輪八郎 1

 2勝0敗、15日の巨人戦は完封勝利。

 大和 畑福俊英 1

 2勝0敗1完封。

打撃部門

 西鉄 中村信一 1 

 25打数8安打5四球4得点2打点。

 巨人 呉昌征 4

 18打数6安打9四球6盗塁。

 大和 木村孝平 2

 5試合目は6打数無安打ながら19打数7安打二塁打3本。

 南海 岡村俊昭 1

 23打数9安打4得点6打点。

 阪神 山口政信 2

 17打数5安打2得点4打点7四球、V打2本。


殊勲賞

 朝日 真田重蔵 1

 9月11日の西鉄戦で2打席連続三塁打。

 名古屋 西沢道夫 1

 9月12日の阪急戦で満塁走者一掃代打決勝二塁打
 
 西鉄 野口二郎 1

 2試合連続V打。

敢闘賞

 西鉄 野口明 1

 24打数7安打5得点3打点。

 阪急 山田伝 2

 18打数7安打。

技能賞

 南海 丸山二三雄 2

 9月13日の阪急戦で4安打完封と2安打1打点。

 名古屋 野口正明 1

 9月13日の大和戦で完投勝利と勝利打点。

 巨人 川畑博 1

 9月18日の阪急戦から急造キャッチャーとしてマスクを被り決勝打も放つ。

2017年6月16日金曜日

18年 巨人vs西鉄 10回戦


9月19日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 2 1 0 2 5 巨人 40勝20敗2分 0.667 藤本英雄
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 西鉄 26勝30敗6分 0.464 近藤貞雄

勝利投手 藤本英雄 27勝7敗
敗戦投手 近藤貞雄   4勝3敗

二塁打 (西)中村信一

勝利打点 小暮力三 2


西鉄、10連勝でストップ

 巨人打線は西鉄先発・近藤貞雄の前に5回まで3安打無得点。

 巨人は6回、先頭の呉昌征が四球で歩くと二盗に成功、キャッチャー中村民雄の悪送球が重なって呉は三進、白石敏男も四球から二盗を決めて無死二三塁、小暮力三がライト線に先制タイムリーを放って1-0、小暮も二盗を決めて再度無死二三塁、青田昇の中犠飛で2-0とする。


 巨人は7回、一死後小池繁雄が中前打で出塁、坂本茂は三振に倒れるがスリーストライク目に小池が二盗を決めて二死二塁、トップに返り呉の一塁線タイムリーで3-0とする。


 巨人は9回、二死後坂本が四球で出塁すると二盗に成功、呉も四球を選んで二死一二塁、白石の中前タイムリーで二走坂本が還り4-0、センター富松信彦がボールを逸らす間に一走呉も快足を飛ばしてホームに還り5-0として試合を決める。


 巨人先発の藤本英雄は3回まで無安打ピッチング。4回、一死後野口明に四球を与え、中村民雄に左前打を許すが、富松を中飛、村瀬秀孝を投飛に打ち取る。5回も二死後中村信一に右中間を抜かれて二塁打、しかし濃人渉を右飛に打ち取る。


 藤本は7回、二死後鵜飼勉に左前打を許すと近藤にも中前打を打たれて二死一二塁、トップに返り中村信一にもセンター右に弾き返されるが、センター呉のバックホームに二走鵜飼が本塁寸前刺されてこの回も無失点。9回も一死後富松に中前打を許すが後続を抑えて逃げ切る。


 藤本英雄は6安打3四球3三振で今季14度目の完封、27勝目をあげる。9月15日の阪神戦で連続完封記録は6試合でストップしたが、その後2試合連続完封勝利で西鉄の連勝記録を10でストップさせた。



2017年6月13日火曜日

18年 阪急vs南海 10回戦


9月19日 (日) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 阪急 21勝39敗2分 0.367 天保義夫
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 南海 23勝38敗1分 0.377 別所昭

勝利投手 天保義夫 6勝12敗
敗戦投手 別所昭   14勝19敗

勝利打点 なし

猛打賞 (急)山田伝 4


別所昭、手痛い牽制悪送球

 南海先発の別所昭は初回、先頭の中村栄を二ゴロ、上田藤夫を三ゴロに打ち取るが、山田伝に中前打を許し、山田の二盗をキャッチャー荒木正が刺して3人で攻撃を終える。2回、3回は三者凡退。

 阪急先発の天保義夫は立ち上がりから安定せず、初回は一死後鈴木芳太郎にストレートの四球、しかし岡村俊昭を一ゴロ、中野正雄を三振に打ち取る。2回も一死後堀井数男にレフト線ヒットを打たれるが、増田敏を左飛、荒木を三邪飛に抑える。3回は二死後鈴木を遊ゴロに打ち取るがショート中村がエラー、ここも岡村を二ゴロに打ち取り無失点。


 別所は4回、一死後植田に四球を与え、パスボールで上田が二進、山田に右前打を許すと二走上田は三塁ベースを蹴ってホームへ、しかしライト岡村俊昭からの本塁送球にタッチアウト、ここも別所は味方の補殺に助けられた。


 別所は5回、先頭の三木久一に三塁内野安打を許し、笠石徳五郎は中飛に打ち取るが、池田久之に左前打を打たれて一死一二塁、ここも天保義夫を三ゴロ、伊藤健一も二ゴロに抑える。


 天保は5回、先頭の荒木に左前打を許し、長谷川善三の投前送りバントをファンブルして犠打エラー、しかし牽制で二走荒木を刺し、猪子利男を三ゴロ併殺に打ち取りピンチを切り抜ける。


 阪急は6回、二死後山田が中前打を放つと二盗に成功、更にキャッチャー荒木の悪送球が加わり山田は三進、下社邦男も四球から二盗を決めて二死二三塁、ここで別所が三塁に牽制球を投ずるが痛恨の悪送球、三走山田に続いて二走下社も還ってこの回2点を先制する。


 別所は7回以降、阪急打線を無安打に抑える。


 天保義夫は7回以降を三者凡退に抑え、3安打2四球5三振で今季4度目の完封、7勝目をあげる。


 別所昭も3安打3四球4三振2失点のピッチング、自責点ゼロであるが、あまりにも痛い三塁牽制悪送球であった。


2017年6月11日日曜日

18年 阪神vs名古屋 9回戦


9月18日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 1 0 2 2 0 0 0 0 6 阪神 29勝26敗6分 0.527 若林忠志
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 名軍 34勝21敗6分 0.618 野口正明 西沢道夫

勝利投手 若林忠志 17勝9敗
敗戦投手 野口正明   6勝3敗

勝利打点 山口政信 5


名古屋、手痛い連敗

 阪神は初回、先頭の山口政信が四球を選んで出塁、金田正泰は右邪飛に倒れ、藤村冨美男の投ゴロの間に山口は二進、景浦将がセンター左にタイムリーを放って1点を先制する。

 名古屋は1回裏、石丸藤吉、古川清蔵が連続四球、小鶴誠が送りバントを決めて一死二三塁、吉田猪佐喜の二ゴロの間に三走石丸藤吉が還って1-1の同点とする。


 阪神は2回、一死後若林忠志、武智修が連続ストレートの四球、塚本博睦の左前打で一死満塁、トップに返り山口の右犠飛で2-1と勝ち越す。


 阪神は4回、先頭の玉置が四球で出塁、若林が送って一死二塁、武智が左前打から二盗を決めて一死二三塁、塚本の三ゴロで三走玉置がホームに突っ込み、サード小鶴が本塁に送球するがセーフ、野選が記録されて3-1、塚本が二盗を決めて再度一死二三塁、山口の三ゴロの間に三走武智が還って4-1とリードを広げる。


 阪神は5回、一死後景浦が二遊間にヒット、門前真佐人の三ゴロをサード小鶴が二塁に悪送球して一走景浦は三進して一死一三塁、キャッチャー藤原鉄之助がパスボールで三走景浦は動かず門前が二進して一死二三塁、玉置は三振に倒れるが、若林の中前タイムリーで景浦に続いて二走門前もホームに還り6-1とダメ押す。


 若林忠志は4安打2四球2三振1失点の完投で17勝目をあげる。若林は4回まで無安打ピッチング、後半は4安打を許したが、5回と8回のピンチを併殺で切り抜けた。


 名古屋は15日の阪急戦に続いて2連敗、巨人に迫っていただけにこの連敗は痛かった。



18年 大和vs朝日 9回戦


9月18日 (土) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 計
0 0 0 0 0 1 0 0 0  0   0   0  1 大和 26勝30敗5分 0.464 畑福俊英 石田光彦
0 0 0 0 0 1 0 0 0  0   0   0  1 朝日 30勝25敗6分 0.545 内藤幸三

二塁打 (和)岡田、小島

勝利打点 なし

猛打賞 (朝)酒沢政夫 2


朝日、3試合連続12回引分け

 朝日はここまで2試合連続延長12回引分け。9月15日の西鉄戦で12回を完投して1安打無失点の好投を見せた内藤幸三が中2日で先発する。

 内藤はこの日も快調な立ち上がりで、1回、2回と三者凡退。3回、先頭の小松原博喜にストレートの四球を与えるが、畑福俊英のバントが小飛球となり内藤が捕球して一塁に送球、一走小松原が還れずダブルプレー、渡辺絢吾に左前打を許すが渡辺の二盗をキャッチャー小林章良が刺した。


 4回は一死後岡田福吉にストレートの四球から二盗を許すが、金子裕を三振、小島利男も連続三振に打ち取る。5回、先頭の高橋吉雄に中前打を打たれ、鈴木秀雄も一二塁間に内野安打、小松原の投前バントを内藤が三塁に送球して二走高橋を三封、畑福を三振に仕留め、渡辺に四球を与えて二死満塁とするが、トップに返り木村孝平を中飛に打ち取りここまで無失点。


 大和先発の畑福俊英も持ち前の粘りのピッチングを見せた。1回は三者凡退、2回は二死後大友一明に三塁内野安打を許し、渡辺時信にも左前打を打たれて二死一二塁とするが、大島渡を右飛に打ち取る。


 3回も二死後森本清三に四球を与え、酒沢政夫にライト線ヒットを許して森本は三進、酒沢が二盗を決めて二死二三塁のピンチとするが、ここも中谷順次を二ゴロに抑える。4回は三者凡退、5回は二死後坪内道則に三塁線にバントヒットを決められ、サード高橋の一塁悪送球も加わって二死二塁とするが、森本を遊ゴロに抑えてここまで無失点。


 試合が動いたのは6回。


 大和は6回表、先頭の岡田が思い切り引っ張って左中間に二塁打、金子の中前打で無死一三塁、小島が左中間に二塁打を放って1点を先制、高橋は浅い中飛に倒れて一死二三塁、鈴木のバントは投飛、これはスクイズ失敗か、小松原も中飛に倒れて追加得点はならず。


 朝日は6回裏、先頭の酒沢が中前打で出塁、中谷は遊飛に倒れるが、小林章良の右前打で一死一三塁、大友の遊ゴロ併殺崩れの間に三走酒沢が還って1-1の同点とする。


 6回に1点を失ったが粘りのピッチングで追加点を許さなかった内藤は、7回、8回を三者凡退。9回、先頭の高橋にレフト線ヒットを許し、鈴木を三振に打ち取るが、小松原に四球を許して一死一二塁、ここも畑福に代わる代打吉水幸夫を三ゴロ併殺に打ち取る。


 畑福に代打を出した朝日は9回から二番手として石田光彦をマウンドに送る。石田は9回裏を三者凡退、10回裏、二死後酒沢に中前打、中谷に四球を与えて二死一二塁とするが、小林を遊ゴロに打ち取る。11回裏、先頭の大友に中前打を許し、早川平一に送りバントを決められて一死二塁と一打サヨナラのピンチ、しかしここも林安夫を右飛、内藤を二ゴロに抑えて無失点。


 延長に入って10回、11回と三者凡退に抑えてきた内藤は12回表にピンチを迎える。一死後小松原に四球を与え、石田に左前打を許して一死一二塁、渡辺に代わる代打呉新亨の投ゴロを内藤が三塁に送球して二走小松原は三封、トップに返り木村の当りはセカンドライナーとなって大和の勝ちはなくなった。


 石田は12回裏を三者凡退に抑えて両軍引分け、朝日はこれで3試合連続延長12回引分けとなった。


 内藤幸三は15日の西鉄戦に続いて延長12回を完投して引分け。この日は157球を投げて8安打5四球9三振1失点であった。9回裏一死一二塁のピンチで朝日が畑福に代えて代打吉水幸夫を起用、内藤が吉水を三ゴロ併殺に打ち取ったが、内藤としては強打の畑福の方が嫌だったのではないか、内心「しめた!」というところではなかったでしょうか。



18年 阪急vs巨人 9回戦


9月18日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 阪急 20勝39敗2分 0.339 笠松実
0 2 0 0 0 0 0 0 X 2 巨人 39勝20敗2分 0.661 藤本英雄

勝利投手 藤本英雄 26勝7敗
敗戦投手 笠松実      5勝8敗

勝利打点 川畑博 2


藤本英雄、後半修正して26勝目

 巨人は連続完封記録が6試合で途切れた藤本英雄が先発、今季初めてスタメンマスクの川畑博とバッテリーを組む。今年の巨人は多田文久三がレギュラー捕手で、7月6日の阪神戦で木村由夫がスタメンマスクを被った以外は全て多田が先発捕手であったが、この試合からしばらく川畑がマスクを被ることとなる。

 巨人は2回、先頭の青田昇が三塁に内野安打、中島治康の遊ゴロをショート中村栄が二塁に送球するがセーフ、野選が記録されて無死一二塁、藤本の三塁線バントが内野安打となって無死満塁、川畑の一塁内野安打で1点を先制、小池繁雄は三振に倒れるが、坂本茂が押出し四球を選んで2-0とする。


 藤本は初回を三者凡退、2回は一死後三木久一に四球を与えるが後続を抑え、3回は2三振を奪って三者凡退。


 藤本は4回、先頭の上田藤夫を三振に打ち取るが、山田伝にストレートの四球を与え、下社邦男にも連続四球、三木を三振に打ち取り二死一二塁、笠石徳五郎にも四球を与えて二死満塁、しかし池田久之を三振に打ち取りここまで無失点。


 三振か四球の独り相撲は5回も続き、先頭の笠松に四球を与えるが伊藤健一は三振、トップに返り中村も三振に打ち取り、上田に右前に初ヒットを打たれて一死一二塁、山田の一ゴロをファースト小暮力三が弾き、これを見た三塁に進んでいた二走笠松がホームを狙うが、白球を拾いあげた小暮が本塁に返球してタッチアウト。


 藤本は6回以降コントロールを取り戻し9回まで無四球ピッチング、147球の力投で3安打5四球11三振、今季13度目の完封で26勝目をあげる。


 今季シーズン当初はコントロールの乱れから崩れることが多かった藤本英雄は巨人の前半戦苦戦の戦犯となっていたが、夏前からコントロールが安定して夏季リーグ戦終盤には5試合連続完封、秋季初戦で連続完封記録を6試合に伸ばしたが前回の阪神戦では1四球ながら終盤打ち込まれて敗戦投手となった。この試合は前半戦四球を連発して春先の悪夢が甦ったが、後半修正に成功した。藤本の成長を物語る試合であった。



2017年6月7日水曜日

18年 西鉄vs南海 9回戦


9月18日 (土) 後楽園

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 3 0 0 0 2 0 3 9 西鉄 26勝29敗6分 0.473 野口二郎
0 0 4 0 0 0 0 2 0 6 南海 23勝37敗1分 0.383 別所昭 丸山二三雄

勝利投手 野口二郎 15勝10敗
敗戦投手 別所昭     14勝8敗

二塁打 (西)中村民雄、富松、鵜飼 (南)堀井
本塁打 (南)中野 1号、岡村 1号

勝利打点 村瀬秀孝 1

猛打賞 (西)中村民雄 2 (南)岡村俊昭 1


西鉄、下位打線の爆発で10連勝!

 西鉄は初回、一死後濃人渉と野口二郎が連続ストレートの四球で一死一二塁、しかし野口明は右飛、黒沢俊夫は一ゴロに倒れて無得点。

 西鉄は2回、先頭の中村民雄がライトに二塁打、富松信彦がセンター左にヒットを放ち送球の隙を突いて二進して無死二三塁、村瀬秀孝の二ゴロで三走中村民雄がホームを突き、セカンド増田敏がバックホームするが中村民雄は三塁ベースに戻ってセーフ、このプレーで増田に野選が記録され、鵜飼は捕邪飛に倒れて一死満塁、トップに返り中村信一の右前タイムリーで1点を先制する。


 西鉄は3回、先頭の野口明が四球で出塁すると二盗に成功、黒沢も四球を選び、中村民雄も四球で無死満塁、南海ベンチはここで先発の別所昭から二番手・丸山二三雄にスイッチ、その代わりばなを富松が右中間に二塁打、二者還って3-0、一走中村民雄も一旦三塁ベースを回るが三本間に挟まれ「9-4-5-2」と転送されてタッチアウト、打者走者の富松は三塁に進み、村瀬がレフトにタイムリーを放って4-0と大きくリードする。


 南海は3回裏、先頭の長谷川善三が左前打、トップに返り猪子利男は捕邪飛に倒れるが、鈴木芳太郎が四球を選んで一死一二塁、岡村俊昭が中前にタイムリーを放って1-4、なおも続く一死一二塁から四番・中野正雄がレフトスタンドに同点のスリーランホームランを叩き込んで4-4と追い付く。


 西鉄は7回、濃人と野口二郎が連続左前打、野口明の一ゴロが進塁打となって一死二三塁、黒沢が左前に2点タイムリーを放ち6-4とリードを奪う。


 南海は8回裏、先頭の鈴木が三塁に内野安打、岡村がライトスタンドに同点ツーランを叩き込んで6-6と再度追い付く。


 西鉄は9回、先頭の黒沢が左前打で出塁、中村民雄も二遊間にヒット、富松が送りバントを決めて一死二三塁、このチャンスに村瀬が中前に決勝タイムリーを放ち7-6、村瀬が二盗を決めて一死二三塁、鵜飼のレフト線二塁打で二者還り9-6として最終回を迎える。 


 ここまで9安打6失点、被本塁打2本の西鉄戦発・野口二郎は最終回を三者凡退に抑えて完投で15勝目をあげる。


 西鉄は14安打を放つ猛攻を見せ、1引分けを挟んで10連勝。この日は五番以降の下位打線が爆発して、五番・黒沢俊夫が3打数2安打2得点2打点、六番・中村民雄が4打数3安打2得点、七番・富松信彦が3打数2安打1得点2打点、八番・村瀬秀孝が5打数2安打1得点2打点で勝利打点も記録、九番・鵜飼勉は5打数2安打2打点の活躍を見せた。


 南海では岡村俊昭が4打数3安打3打点、中野正雄が4打数2安打3打点1本塁打であった。


 2017年の巨人は1943年の西鉄とは対照的に球団ワーストの12連敗を記録した。




2017年6月5日月曜日

18年 大和vs南海 10回戦


9月15日 (水) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 0 4 0 1 0 0 0 0 5 大和 26勝30敗4分 0.464 畑福俊英
0 2 0 0 0 0 0 0 0 2 南海 23勝36敗1分 0.390 別所昭 丸山二三雄

勝利投手 畑福俊英 8勝5敗
敗戦投手 別所昭  14勝17敗

二塁打 (和)鈴木秀雄 (南)堀井、鈴木芳太郎

勝利打点 鈴木秀雄 3


鈴木秀雄、満塁走者一掃逆転二塁打

 南海は2回、先頭の別所昭がストレートの四球で出塁、堀井数男のレフト線二塁打で無死二三塁、増田敏は二ゴロに倒れて一死二三塁、荒木正の中犠飛で1点を先制、センター渡辺絢吾からのバックホームを捕球したキャッチャー鈴木秀雄は、タッチアップから三塁に進んでいた二走堀井がオーバーランしたのを見て三塁に送球するが、高く逸れる悪送球となり堀井が還って2-0とする。

 大和は3回、木村孝平、金子裕が連続四球で無死一二塁、四番・小島利男が投前に送りバントを決めて一死二三塁、高橋吉雄はストレートの四球で一死満塁、南海ベンチはここで先発の別所から丸山二三雄にスイッチ、しかし2回にタイムリーエラーとなる悪送球を犯した鈴木秀雄がライト線を抜いて満塁走者一掃の逆転二塁打、3-2となって一死二塁、増田は三ゴロに倒れて二死二塁、ここで鈴木が三盗を決め、キャッチャー荒木からの三塁送球が悪送球となる間に鈴木が還って4-2とする。


 大和は5回、先頭の小島が四球を選んで出塁、高橋は中飛に倒れ、鈴木秀雄は三振に終わるがスリーストライク目に小島が二盗に成功、二死二塁となって小松原博喜が左前にタイムリーを放ち5-2と突き放す。


 畑福俊英は6安打6四球2三振で完投、三者凡退は3回だけで毎回のように走者を背負いながら粘りのピッチングで8勝目をマークする。


 鈴木秀雄の決勝満塁走者一掃逆転二塁打が全てであったが、鈴木と小島利男の盗塁が効いた試合であった。



2017年6月4日日曜日

18年 名古屋vs阪急 10回戦


9月15日 (水) 西宮

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 名軍 34勝20敗6分 0.630 石丸進一
2 0 0 0 0 0 0 0 X 2 阪急 20勝38敗2分 0.345 中田武夫

勝利投手 中田武夫   5勝9敗
敗戦投手 石丸進一 13勝7敗

二塁打 (名)石丸進一 (急)三木

勝利打点 三木久一 1

猛打賞 (急)三木久一 1


三木久一、勝利打点と猛打賞

 名古屋は初回、一死後古川清蔵が四球を選んで出塁するが二盗に失敗、続く小鶴誠も四球を選ぶが、吉田猪佐喜は二飛に倒れてスリーアウトチェンジ。 

 阪急は1回裏、先頭の中村栄がストレートの四球で出塁、上田藤夫の三ゴロをサード小鶴が二塁に悪送球して無死一二塁、三木久一のライト線二塁打で二者還り2点を先制する。


 名古屋は2回、一死後岩本章が四球で出塁、芳賀直一は捕邪飛に倒れるが、藤原鉄之助も四球を選んで二死一二塁、石丸進一がレフト線に二塁打を放って1-2、なお二死二三塁のチャンスが続くが、トップに返り石丸藤吉は遊ゴロに倒れて同点機を逃す。


 立ち上がりコントロールが不安定だった阪急先発の中田武夫は3回以降立ち直り3回、4回と三者凡退。5回は藤原鉄之助と古川に四球を与えるが無安打に抑えて無失点、6回~8回も三者凡退に抑え込む。


 名古屋は9回、先頭の吉田が中前打、加藤正二が送って一死二塁、しかし岩本は三振、芳賀は中飛に倒れて試合終了。


 中田武夫は6四球を与えたが2安打2三振の完投で5勝目をマークする。


 三木久一が初回に決勝の二塁打を放ち猛打賞を記録する活躍であった。三木は戦争の時代を生き抜き、1945年11月に行われた東西対抗にも出場するが、1948年に病死することとなる。



*終戦直後の1945年12月1日に発行された「体育週報」臨時号。西軍の外野手に三木久一の名が見られる。




2017年6月3日土曜日

三冠への道2017 その2


 5月の月間MVP予想

 昨日は則本のピッチングに見惚れていましたので、1日遅れでアップさせていただきます。

 ナ打撃部門はコロラドのブラックモンとマイアミのボアーとの争い。ボアーは3割4分4厘、11本塁打、21打点で、ブラックモンは3割5分9厘、6本塁打、22打点と、ボアー有利に見えます。ボアーは33安打、2塁打4本、三塁打0本で塁打数は70。ブラックモンは42安打、二塁打6本、三塁打5本で塁打数は76。近年では「塁打数」はあまり評価されていませんが、ここは塁打数で上回るブラックモンと予想します。


 ア打撃部門は絶好調ヒューストンのカルロス・コレア。3割8分6厘、7本塁打26打点、今年のWBCでは三塁手部門ベストナインでした。


 ア投手部門もヒューストンのランス・マッカラーズ。4勝0敗、防御率0.99、37奪三振。ボストンのクリス・セールは5勝0敗、58奪三振ですが、防御率4.24では苦しい。


 ナ投手部門はドジャースのアレックス・ウッドで決まりでしょう。5勝0敗、防御率1.27、41奪三振。奪三振好きの記者が43回3分の2を投げて60奪三振、3勝1敗、防御率2.27のシャーザーに投票する可能性があります。


  それにしても、田中7失点の原因となったアーロン・ジャッジの「バンザイ」は余りもお粗末。トランボの打球の速さはデビュー時から有名で、現在では数字でも証明されています。草野球ならライトの「バンザイ」は日常茶飯事ですが、プロでは言い訳無用。新人王は当確の勢いですが、あの守備ではMVPは無理ですね。