2010年5月5日水曜日

12年春 名古屋vsタイガース 1回戦

4月24日(土)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
2 1 2 0 0 0 0 1 4 10 名古屋   5勝8敗    0.385 森井茂
0 0 0 2 5 0 0 0 1 8  タイガース  8勝4敗1分 0.667 藤村富美男-景浦将

勝利投手 森井茂    3勝3敗
敗戦投手 藤村富美男 1勝1敗

二塁打 (名)前田、小島 (タ)藤村、松広
三塁打 (タ)藤村

名古屋シーソーゲームを制す
 名古屋は初回、桝嘉一のファーストフライを松木謙治郎が落球、桝は二塁に達する。この松木のエラーがタイガースのケチのつき始め、芳賀直一左前打で無死一三塁、岩田次男の遊ゴロで一死二三塁、小島茂男三振後、五番に起用された大沢清が右中間に2点タイムリーを放ち先制。2回は中越え三塁打の三浦敏一を桝の中前打で還し3-0。更に3回、先頭岩田の右前打で藤村富美男をKO、景浦将ライトからマウンドへ、藤村がセンターに入り山口政信がライトに回る。小島の送りバントをキャッチャー広田修三が間に合わない二塁に投げて野選となり無死一二塁、二死後前田喜代志が左中間を破り二者還り5-0と主導権を握る。
 序盤の大量リードに守られて森井茂のペースにはまるかと思われた4回、タイガースが反撃を開始。景浦三塁内野安打、山口四球から、藤村が汚名挽回の右中間三塁打で5-2とすると5回、一死後松木三塁内野安打、藤井勇との間でヒットエンドラン成功、打球は一二塁間を抜け一死一三塁。広田の三ゴロで松木還り5-3、景浦三遊間タイムリーで5-4、山口四球後藤村が又も右中間を破り二者生還、6-5と大逆転、奈良友夫の三ゴロをサード岩田が失する間に藤村還り7-5とする。
 大逆転に気を良くしたか景浦の剛球唸りを上げ名古屋打線を4回から7回まで無安打に抑え込む。景浦のナチュラルシュートの威力を端的に示したのが大沢清に対する攻め。本日の第1打席の右前打まで今季ここまで11打席連続打球がセンターから右方向に飛んでいた(澤村に喫した三振を除くと10連続)が、第2打席は三振、第3打席では遂にショートゴロと初めて左方向への打球に打ち取られる。
 名古屋は8回、先頭の小島が中越え二塁打で出塁し三盗を企てる、負傷の広田に代わりマスクを被る岩崎利夫が悪送球し小島還り7-6と1点差に詰め寄る。そして9回、無死から三浦が四球で出塁、二盗とキャッチャー岩崎の悪送球で三塁へ進む。桝四球で無死一三塁、芳賀の三塁前ボテボテの当たりは内野安打となる、三浦は三塁に自重して無死満塁。ここで景浦は岩田に対して痛恨の押出し四球を与え遂に同点、小島一飛に倒れるが大沢清の二ゴロを奈良がお手玉、桝が還り8-7と逆転成る。更に岩崎のパスボールで9-7、前田一ゴロの間に岩田還りこの回一挙4点をあげ10-7とする。
 タイガースは9回、右前打の藤井を置いて岩崎の代打松広金一(松木謙治郎著「タイガースの生い立ち」によると華商業時代、明石中学の楠本保(京都商業の澤村栄治よりも評価が高かった剛球投手)を得意としていた好打者。4月16日の金鯱戦では6-0リードの場面ではあったが、8回景浦の代打として起用されデビューしている。)が右翼線に二塁打を放ち1点を返すがここまで。藤井の本塁生還は右翼エラーのためであり、記録はワンヒットワンエラーとなり松広には打点は記録されない。森井茂は最後までよく粘り、12安打8失点ながら4四球3三振で完投勝利。
 タイガースの敗戦投手は藤村富美男に記録されている。リリーフの景浦は3回無死から7イニングを投げており、途中タイガースが逆転してから再逆転されているので現行ルールでは当然景浦に敗戦投手が記録されるが、この当時は勝利投手、敗戦投手の記録は記録者の判断に委ねられていた。景浦は6失点ながら自責点は1であり、特に8、9回の5失点は自責点0である。景浦の投球内容から見て、景浦に敗戦の責を負わせるには忍びないことから試合を決したのは序盤の失点であったと判断されたのであろう。
 タイガースは門前真佐人に続き広田修三も負傷と、キャッチャー陣にご難続き。今日の岩崎の守備では心もとなく、門前の復帰が待たれる。

 この試合をもって昭和12年春第1期を終了する。

0 件のコメント:

コメントを投稿