2010年5月2日日曜日

12年春 第4節週間MVP

週間MVP

 今節は各チーム4試合づつの長丁場、ジャイアンツとタイガースが3勝づつをあげ、打線が息切れしてきた首位阪急を追う展開となる。セネタース、大東京も2勝をあげ、金鯱は名古屋に連勝して伏兵陣も虎視眈々、いよいよ春の大リーグ戦も佳境に突入してきた。

ジャイアンツ 白石敏男 1
 攻守に進境著しい活躍。茂林寺の千本ノックの効果がようやく現れてきたか。首位阪急に1ゲーム差と迫ってきたジャイアンツでは、水原茂と白石敏男の活躍に加え、兵役から戻ってきた三原修の加入が大きい。水原にはやや守備面でのマイナスが見られるため、白石の受賞となった。

大東京 近藤久 1
 投手部門では、今節の完封勝利はセネタース浅岡三郎、タイガース御園生崇男、大東京近藤久、ジャイアン澤村栄治の4人を数えるが、3試合に登板し2勝をあげた近藤が、同じく2勝をあげた澤村を競り落として受賞した。


殊勲賞

阪急 中田武雄 1
 強打タイガース打線を翻弄した4月18日のピッチングが光る
。2回に山口政信、7回には広田修三にぶつけるなど内懐を突く大胆な投球。特に主砲景浦将を第一打席三ゴロ、第二打席三飛、第三・第四打席三ゴロと完璧に封じ、結局強打タイガース打線を3安打(うち2本は内野安打)に抑えて完投。

敢闘賞

イーグルス 畑福俊英 2
 4月18日の大東京戦で無四球完投勝利。
 畑福は今が投手人生の中で絶頂期にあるのではないか。専修大学時代はそもそも東都リーグは東京六大学に比べて一段下と見られていたし、昭和9年の全日本加入から11年までのジャイアンツ時代は東京六大学出身者とはうまくいかなかったことは容易に想像され、さりとて若き澤村栄治ほどの才能に恵まれていたわけでもないので身の置き所に苦労していたのではないだろうか。
 畑福にとって、イーグルス移籍は大正解であったと考えられる。戦後においても、松原(福士)、山内、千田、船田、梅田、宮寺等、巨人を出て正解だった例は枚挙にいとまがない。何より河野安通志との出会いが畑福にとって幸運だったのではないだろうか。河野は同じ早稲田出身でありながら市岡忠男とは全く合わなかった。純粋な理想主義者にしてリベラリストの河野安通志、官僚的厳格な性格の市岡忠男、畑福俊英のような呑兵衛を受け入れてくれるタイプがどちらであるかは、火を見るよりも明らかである。

 河野安通志は早稲田大学時代のアメリカ遠征時、連戦連投を重ね、かの地で「アイアンコーノ」の異名をとった大投手である。それが故に、指導者となってからも「エースとはかくあるべし」との理想論をもっていたと考えられる。日本運動協会時代は山本栄一郎(当ブログでもジャイアンツの代打の切り札として登場しています。)を、宝塚運動協会に移ってからは大貫賢(当ブログでもセネタースのベテラン外野手として渋い活躍ぶりをみせています。)を、酷使とも言える使い方をしてきました。昭和12年春季リーグ戦においても「畑福、畑福、雨、畑福」と言えるような使い方をしておりますが、おそらく畑福俊英は、それを人生意気に感じて頑張っているのではないでしょうか。

技能賞

タイガース 景浦将 1
 景浦に技能賞は失礼かも知れませんが(大相撲においても殊勲・敢闘・技能の三賞は関脇以下に与えられるものであり、大関以上は受賞対象外。)、4月14日の金鯱戦のように、決勝タイムリーを放った次の回からマウンドに上り抑え込んでしまうような芸当は、技能賞にこそふさわしい。

 

 








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