2019年10月27日日曜日

21年 セネタースvsパシフィック 3回戦


5月19日 (日) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 セ軍 5勝8敗 0.385 大下弘 黒尾重明 
0 0 0 0 0 0 0 3 X 3 パ軍 7勝7敗1分 0.500 井筒研一 

勝利投手 井筒研一 3勝3敗
敗戦投手 黒尾重明 0勝1敗 

二塁打 (セ)飯島 (パ)小島、伊勢川2

勝利打点 (パ)伊勢川真澄 1


井筒研一、プロ入り初完封

 第1試合が長引いたため、西宮の第2試合は午後3時35分、杉村主審の右手が上がりプレイボール。第1試合の阪急vsゴ軍戦では審判のメンバーに入っていなかった阪急球団職員の片岡勝が三塁塁審を務める。

 セ軍は大下弘がプロ入り3度目の登板で初先発。大下の守備の評価は決して高くは無いようだが、「地肩」は強かったと見て良さそうだ。


 その大下は立ち上がりから不安定な投球で、初回いきなり富松、木暮に連続四球、左が2人続くことから横沢三郎監督は大下を先発起用したものと考えられるが逆効果となった。しかし小島の遊ゴロが「6-4-3」と渡ってダブルプレー、森下を二ゴロに打ち取り無失点。


 2回は先頭の辻井を遊ゴロに打ち取るがショート鈴木清一が大悪投して辻井は一気に三塁ん進み、伊勢川はストレートの四球、ここで大下はライトに下げられているので敬遠では無いでしょう。セカンド根津弘司に代わって黒尾重明が入って二番手ピッチャー、ライトの長持がセカンドに回る。


 替わった黒尾もいきなりワイルドピッチ、三走辻井は動かず無死二三塁、松井信勝はストレートの四球、当たっている松井なのでここは敬遠の可能性も僅かながらあるか、序盤なのでランナーは溜めたくないところですが。無死満塁となって平野は三振、井筒は三邪飛、トップに返り富松は中飛、セ軍はもらったチャンスを生かせなかった。


 この後、黒尾は何度かピンチを迎えるが無失点を続ける。3回は先頭の木暮を四球で歩かせ、小島の三塁へのヒットで無死一二塁、しかし森下、辻井を連続遊飛に打ち取り、重盗を決められて二三塁とするが、伊勢川を三振に仕留めて無失点。5回と6回には小島、伊勢川に二塁打を許すが後続を抑えて無失点。


 パ軍先発の井筒研一も好投を見せた。4回まで2四球のみで無安打無失点。5回、先頭の上口政に初ヒットを許すが、熊耳の当りは一塁後方ライト前にフラフラと上がり、ファースト辻井とライト木暮が追いかけて木暮が捕球、一走上口はハーフウェイから一塁ベースに戻るが、ピッチャー井筒がベースカバーに入っており木暮からの送球に上口は戻れず「9-1A」のダブルプレー、この井筒の守備は特筆される。


 6回も先頭の鈴木に右前打を許すが、一死後長持の二ゴロは「4-6-3」と渡ってダブルプレー。7回も2本のヒットと四球で一死満塁のピンチを迎えるが、熊耳の投ゴロを本塁に送球、キャッチャー伊勢川が一塁に転送して「1-2-3」のダブルプレー。8回は二死後トップの横沢七郎に四球、続く長持の中前打で二死一二塁のピンチを迎えるが、大下が先発ピッチャーで五番に下がった関係で三番に入った一言多十を一邪飛に打ち取り無失点。終盤ののピンチに大下を迎えていたらどうなっていたか、勝負の綾は微妙です。


 パ軍は8回裏、先頭の小島が四球を選んで出塁、森下が右前打を放って無死一二塁、辻井の遊ゴロが野選を誘い無死満塁、ここで伊勢川が左中間に二塁打を放ち二者を迎え入れて2点を先制、松井が四球を選んで再度無死満塁、平野が貴重な追撃の中犠飛を打ち上げて3-0とする。


 ここまで再三のピンチを切り抜けてきた井筒は、最終回も先頭の飯島に左中間二塁打を打たれるが、大下を中飛、上口を二ゴロ、飯島が三進して二死三塁とするが、最後は熊耳に代わる代打白木を遊ゴロに打ち取り逃げ切る。


 井筒研一は6安打4四球無三振の完封で3勝目をあげる。井筒は昭和14~16年にも登板しているが完封はおろか勝利もなく戦前は通算0勝5敗、戦後になってその素質を開花させた。本日のプロ入り初完封では、守備力も高く評価できる。戦前にもバッテリーを組んでいた女房役の伊勢川がバットで花を添えた。



*昭和26年頃の松竹ロビンス選手名鑑に残された井筒研一の直筆サイン。




*5回に見せた井筒の好守備の場面。ヒットで出た上口が熊耳の右飛で戻れず「9-1A」のダブルプレー。熊耳の当りがフラフラと一塁後方ライトの前に上がり、ライト木暮が捕球して一塁ベースカバーに入った井筒に送球したもの。




*決勝打を放った伊勢川真澄の直筆サイン入りカード。井筒とは戦前からバッテリーを組んでいた。写真は大映スターズ時代。


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