2019年10月17日木曜日

21年 中部日本vs巨人 2回戦


5月16日 (木) 後楽園
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
1 0 0 2 0 0 0 0 0 3 中部 4勝6敗2分 0.400 西沢道夫 
0 0 2 4 0 0 0 0 X 6 巨人 6勝5敗 0.545 中尾輝三
勝利投手 中尾輝三 1勝1敗
敗戦投手 西沢道夫 0勝2敗 

二塁打 (中)服部、小鶴 (巨)呉新亨
本塁打 (巨)林(満塁) 1号

勝利打点 (巨)林清一 1


林清一、戦後初のグランドスラム

 後楽園の試合は午後3時2分、西沢道夫と中尾輝三の先発で、島球審の右手が上がりプレイボール。

 中部は初回、いきなり岩本、金山が連続四球、相変わらず中尾はコントロールが悪い。古川の三前内野安打で無死満塁、巨人内野陣はここで中間守備、小鶴の遊ゴロでショート山田はゲッツー狙いを選択し二塁に送球、千葉からの一塁転送でダブルプレーが完成、この間に三走岩本が還って1点を先制する。


 巨人は3回裏、一死後山田の当りは遊ゴロ、これをショート金山がエラー、トップに返り呉新亨の三ゴロをサード藤原が一塁に悪送球して一死二三塁、このチャンスに現在首位打者の山川がライト線に2点タイムリーを放ち2-1と逆転、山川は二塁を欲張り「9-3-6」と転送されてタッチアウト。


 中部は走者二塁のケースでの右前打でファースト小鶴がカットに入った。しかしこれは山川の当りがライト線への打球であったことが理由でしょう。戦前からこの時期にかけて、ごく一部の例外を除いてピッチャーがカットに入るのが慣例となっている。


 中部は4回表、一死後小鶴が死球を受けて出塁、加藤はストレートの四球で一二塁、服部が左中間に二塁打を放ち2-2の同点、一死二三塁から藤原の遊ゴロの間に三走加藤が還って3-2と逆転に成功する。


 巨人はその裏、先頭の黒沢が四球を選んで出塁、多田の左前打で一二塁、諏訪が死球を受けて無死満塁、ここで林清一がレフトスタンドに戦後初の満塁本塁打、6-3と逆転に成功する。


 中尾輝三は5回以降中部打線を無得点に抑え、5安打4四球1死球5三振の完投で戦後初勝利をあげる。


 西沢道夫も5回以降は無失点、6回以降は無安打であった。しかし8回を完投して6四球1死球、戦地で肩を痛めたことが原因なのか、コントロールが悪すぎる。林清一に打たれた満塁本塁打も、その前の諏訪に死球をぶつけて思い切った投球ができなかったことが要因として考えられる。ベテラン林はそこを見逃さず、ワンボールからの2球目を積極的に狙っていったのである。


 林の本塁打は昭和11年7月15日、猛暑の山本球場で行われた連盟結成記念全日本選手権名古屋大会以来10年ぶり2本目。林の通算本塁打はこの2本だけである。



*林清一の第1号本塁打。日本職業野球連盟公報第四号(昭和11年7月25日発行)より。


*林清一が放った戦後初のグランドスラム。

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