2019年8月14日水曜日

21年 阪急vsグレートリング 1回戦


4月27日 (土) 西宮 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 
0 0 0 0 2 0 2 1 0 5 阪急 1勝0敗 1.000 天保義夫 
0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 グ軍 0勝1敗 0.000 松川博爾 長谷川治 

勝利投手 天保義夫 1勝0敗
敗戦投手 松川博爾 0勝1敗 

二塁打 (急)上田、青田、野口二郎 (グ)丸山

勝利打点 (急)野口明 1

猛打賞 (急)上田藤夫 1、青田昇 1


阪急、確実に加点

 昭和21年4月27日午後1時4分、5,016人の観衆が見守る中、杉村正一郎主審の右手が上がり戦後最初のプレイボールのコールが西宮球場に響き渡る。審判員は杉村、金政卯一、片岡勝の三氏。

 阪急は初回、先頭の上田藤夫が3球ファウルで粘ってフルカウントからレフト線に二塁打、続く青田昇は右飛、野口二郎は遊ゴロ、髙橋敏が四球を選ぶが、野口明も遊ゴロに倒れて無得点。


 阪急先発の天保義夫は快調な滑り出し、グレートリング打線を3回まで3人ずつで片づける。


 グ軍は4回裏、二死後岡村俊昭の当りは一ゴロ、これをファースト野口明がエラー、岡村が二盗を決めて二死二塁、四番・山本一人が左前に先制タイムリーを放ち1-0とする。山本のヒットは昭和14年11月12日「鶴岡一人」時代以来のこととなる。


 阪急は5回表、先頭の上田が三遊間を破って出塁、青田の右前打で上田は三塁に進み無死一三塁、青田が二盗を決め、野口二郎は浅い左飛、高橋は三振に倒れるが、野口明が右前に2点タイムリーを放ち2-1と逆転に成功する。野口明はバックホームの間に二塁を狙うがタッチアウト。


 グ軍は5回裏、先頭の丸山二三雄がライト線に二塁打を放って同点のチャンス、桶川隆の二ゴロの間に丸山は三進、ところが松川博爾の打席で「2-5-1-5」で挟殺、チャンスを潰した。これはスクイズを外された可能性が高い。


 阪急は7回表、先頭の上田が投前に内野安打、青田の右前打で無死一二塁、野口二郎がセンターオーバーの二塁打を放ち3-1、5回の守備からレフトに入っている下社邦男が四球を選んで無死満塁、野口明は浅い右飛に倒れるが、三木久一が左前にタイムリーを放ち4-1と突き放す。



 阪急は8回表、先頭の天保がストレートの四球で出塁、尾西信一の二ゴロの間に天保は二進、トップに返り上田は右飛に倒れるが、青田がライト線に二塁打を放ち5-1とダメ押す。

 天保義夫は5回以降グレートリング打線を無得点に封じ、5安打1四球4三振、自責点ゼロの完投で戦後初勝利を飾る。

 グレートリングは5回裏の攻撃で三塁に進んだ丸山二三雄が三本間に挟殺されて試合の流れをつかめなかったことが敗因となった。戦前のスコアカードには「雑記」欄に「スクイズを外される」などの記載も見られたが、この日のスコアカードには何の記載もない。スクイズを外されたのか、打者か走者のサインミスにより三走丸山が飛び出したことが原因である。この試合ではまだ河西俊雄と田川豊は出場しておらず、グ軍の機動力が機能するのはもう少し先のこととなる。


 阪急は一番の上田藤夫と二番の青田昇がそれぞれ3安打2得点を記録。近年のメジャーではマイク・トラウトに代表されるようにチームの最強打者を「二番」に起用することが常識になっており、日本の高校野球でも好打者を「二番」に配すチームが見られるようになってきた。阪急は、昭和21年4月の段階で、強打の青田昇を「二番」に据えている。



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