2011年7月3日日曜日

13年 日本選手権 1回戦

11月26日 (土) 甲子園
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  計
0 1 0 1 0 0 0 0 0  0   2 ジャイアンツ 0勝1敗 0.000 スタルヒン
0 0 2 0 0 0 0 0 0 1X  3 タイガース    1勝0敗 1.000 西村幸生


勝利投手 西村幸生  1勝0敗
敗戦投手 スタルヒン 0勝1敗


二塁打 (ジ)川上 (タ)景浦
三塁打 (タ)皆川

タイガース、緒戦を制す


 昭和11年チャンピオンはジャイアンツ、12年はタイガースが優勝、今年の対戦は春季はタイガースが3勝2敗、秋季はジャイアンツが3勝2敗と全くの五分。天下分け目の一戦は予想通りスタルヒン、西村幸生の先発で午後2時ちょうど二出川延明プレートアンパイヤの右手が上がりプレイボール。 

 ジャイアンツは初回三者凡退。タイガースは先頭の松木謙治郎が左前打で出塁するが本堂保次の三ゴロが5-4-3と渡ってダブルプレー。

 ジャイアンツは2回、一死後伊藤健太郎が左翼線にヒット、川上哲治が左翼線に二塁打を放って一死二三塁、白石敏男の中犠飛で1点を先制する。

 タイガースは3回、一死後皆川定之が左中間に三塁打、トップに返り松木が中前に同点タイムリーを放って1-1、本堂が四球でつないで一二塁、山口政信は右飛に倒れるがこの日四番に起用された藤村富美男が中前にタイムリーを放って2-1と逆転、外野からの返球の隙に本堂もホームを狙うが8-1-6-2と渡ってタッチアウト。

 ジャイアンツは4回、一死後伊藤が四球で出塁、川上の中前打で一死一二塁、白石が中前に同点タイムリーを放って2-2、川上も三塁を狙うが8-1-5と渡ってスリーアウトチェンジ。

 序盤は点の取り合いとなったがここからスタルヒン、西村幸生により投手戦が繰り広げられる。

 ジャイアンツは5回から9回まで無安打。6回は二死から伊藤が四球を選ぶが川上は一ゴロ。7回、先頭の白石が四球、吉原正喜の捕前送りバントをカイザー田中義雄が二塁に悪送球、吉原には犠打は記録されていない。スタルヒンの投ゴロで白石は三封、トップに返り三原脩は右飛、水原茂が四球を選んで二死満塁とするが千葉茂は右飛に倒れる。この辺りの走者を出しながら粘り切るピッチングこそが西村幸生の真骨頂である。北別府の投球を想起すると西村のピッチングのイメージが掴みやすいのではないないでしょうか。8回、9回は三者凡退。

 タイガースは5回、一死後松木四球、本堂中前打で一二塁とするが山口の遊ゴロで本堂は二封、山口が走って二三塁とするが藤村は三振に倒れる。6回、7回は三者凡退。8回、二死後藤村の二ゴロをセカンド三原がエラー、景浦将四球で一二塁とするが伊賀上良平は三振に倒れる。9回、この回先頭の田中が三塁に内野安打、西村の記録は三ゴロで田中が二封されているが「5-6B」と記録されているので送りバント失敗であろう。打って出ての三ゴロ二封であれば当然「5-4B」となります。皆川が四球でつないで一死一二塁、トップに返り松木も四球を選んで一死満塁、しかし本堂は二飛、山口は三振に倒れて死闘は延長戦に突入する。

 ジャイアンツは10回表、一死後水原が四球で出塁、千葉の中前打で一死一三塁、ここまで4打数無安打の四番中島治康の打球は右方向への痛烈な当り、これをセカンド本堂が好捕して飛び出していた千葉も刺されてダブルプレー。松木謙治郎著「タイガースのおいたち」によると「10回裏(表の間違い:追補版では訂正されているかもしれませんが)、一死一二塁のピンチに中島の猛烈なライナーを右よりにとびつき、好捕した本堂の美技が西村を援護した」とのことである。

 タイガースは10回裏、先頭の藤村は一邪飛に倒れるが本日五番に入った景浦が右中間に二塁打、景浦に代えて代走に岡田宗芳を起用、スタルヒンのワイルドピッチで一死三塁、伊賀上、田中は連続四球、松木著「タイガースのおいたち」によると歩かせて塁を詰めたようである。ジャイアンツはファーストを川上から永澤富士雄に代えて守備を固める。一死満塁で西村の打席、石本秀一監督は勝負を賭けて代打に秋季リーグ戦でも景浦欠場の穴を埋める活躍を続けてきた松廣金一を起用、しかし松廣は二ゴロに倒れ三走岡田が本封されて二死満塁、更に皆川に代えて代打藤井勇を起用、スタルヒンが遂に力尽き押出し四球となってタイガースが大事な緒戦をものにする。


 タイガースは二番手には若林忠志を用意していたのであろう。景浦の後にも松廣が使えるし皆川の後には岡田を入れればよい。タイガースは総力戦でスタルヒンを倒して絶対的優位に立った。

 西村幸生は6安打6四球1三振。スタルヒンは8安打9四球6三振。今季のスタルヒンはコントロールが安定していたがタイガースのプレッシャーに四球を連発、この試合は投球数の記録が残されていないが150球は超えていたでしょう。ジャイアンツは主砲中島治康が5打数無安打とブレーキになった。



          *ジャイアンツとタイガースのメンバー









          *西村幸生とスタルヒンの投げ合い



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