2010年4月10日土曜日

12年春 阪急vsセネタース 1回戦






4月10日(土)洲崎

1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 阪急     5勝1敗 0.833 笠松実
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 セネタース  4勝2敗 0.667 野口明




勝利投手 笠松実 2勝0敗
敗戦投手 野口明 3勝1敗

二塁打 (セ)中村民、野口明


首位攻防戦
 共に4勝1敗同士の首位攻防戦。阪急は初回、先頭の西村正夫が右前にクリーンヒット、山田伝が送り一死二塁。セネタース先発の野口明は好調山下実を警戒しすぎて歩かせ一二塁。続く四番も好調山下好一、野口明はゲッツーを狙い内角低めへシュート気味の投球、これをキャッチャー中村民雄がはじいて捕逸となり一死二三塁。山下好一の二ゴロの間に西村還り1点を先制。この1点がセネタースに重くのしかかる。その裏セネタースはトップ苅田久徳が右前にクリーンヒット、中村信一との間でエンドラン、打球は右翼への小飛球、苅田は戻っても間に合わずとみて二塁へ猛進、しかしライト西村前進また前進してこの飛球を好捕、一塁に送球してゲッツー。阪急は2回以降、小さめのテークバックから切れの良い速球を投げ込む野口明に抑えられ2安打のみ。セネタースは2回、捕逸を挽回しようと中村民が左中間に二塁打、今度は家村相太郎が送り一死一三塁、しかし後続が続かず無得点。3回から7回までは笠松実に抑えられ1安打で2塁も踏めず。セネタースは8回、二死から野口明が左中間に二塁打、しかし期待の苅田が投ゴロに倒れ得点ならず。
 圧巻は4回と7回に魅せた野口明と苅田による2つの併殺プレー。共に上田藤夫が出塁して黒田健吾が送りバントを試みるが1-4-3のダブルプレー(写真左)。セネタース内野陣が百万ドル内野と呼ばれる所以である。野口明は後年捕手に転じて成功するが、中京商業時代は捕手として吉田正夫の球を受けていた。投手としてはどの文献にも小さなテークバックから小気味の良いピッチングを見せたとされているが、スコアブックに残された本日のフィールディングからも捕手としての才能が窺われる。
 0-1のビハインドで迎えた最終回、セネタースは先頭の中村信が二遊間を破り出塁、強打の尾茂田叶が送り一死二塁、ここで中村信が三盗を敢行、これが成功して一死三塁、8回からマスクを被る北浦三郎は三飛に倒れ二死三塁、中村民は四球で二死一三塁、打者は序盤戦の当たりが止まっている家村相太郎、ワンストライクワンボールから笠松が3球目を投じてボール、ここで中村民が捨て身のディレードスチールを敢行、キャッチャー島本義文は三走中村信の動きを封じ込めながらショート上田藤夫に送球、上田は横目で中村信の動きを見ながら一二塁間に挟まれた中村民を追いファースト山下実に送球、上田はセオリーどおりそのまま直進してファーストベースのカバーに入る、山下実は前方左の三走中村信の動きを封じ込めながら中村民を追いセカンド宇野錦次に送球、宇野は右目で中村信の動きを見ながら中村民を追い詰める、ファーストカバーに回ったショートの上田も前に出て中村民との距離を詰める、絶妙のタイミングで宇野から上田に送球され上田が中村民にタッチして試合終了。セネタース内野陣の見事な挟殺プレーに三走中村信はホームを窺おうとするがスタートを切るタイミングをつかめず。最後の場面はスコアブックに「2・6・3・4・6」と記録されている(写真右)。
 初回の攻撃は共に先頭打者がヒットで出塁、阪急は送りバントを1点に結びつけるがセネタースはエンドランが裏目に出て併殺、初回の攻防が明暗を分ける結果となった。首位攻防戦に相応しい熱のこもった投手戦、笠松実がスミ一を守りきる力投で阪急が単独首位に躍り出る。阪急の強さは外野守備陣にある。強肩快足の山下好一がセンターに入っているため、他チームであれば当然センターを守るべき山田伝と西村正夫を両翼に配すことができる贅沢な布陣が大きな武器となっている。初回の西村の好守がいい例である。

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